有価証券報告書-第70期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

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2018/06/22 9:05
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用環境や企業収益に改善が進み、緩やかな回復基調で推移してまいりましたが、海外経済の地政学的リスクや欧米の政策動向による不確実性は払拭されず、不透明な状況が続いてまいりました。
貨物自動車運送業界におきましては、景気動向を反映し、貨物輸送量は小幅ながら増加傾向にありましたが、ドライバーをはじめとする人材確保のための労働環境の改善や安全対策などのコスト増要因が山積しており、依然として厳しい経営環境下にありました。
このような状況のもと当社グループは、企業間物流におけるサービス品質の強化と適正な運賃・料金の収受に努め、生産性の向上を目指した営業活動に注力してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,677億99百万円(前期比4.7%増)、営業利益は147億26百万円(前期比33.3%増)、経常利益は161億19百万円(前期比24.3%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は106億64百万円(前期比12.9%増)となりました。
これらをセグメント別に見た事業の概要は、次のとおりであります。
[運送事業]
運送事業におきましては、顧客管理の精度向上に資する運賃システム「新得意先マスタ」の導入を推進し、昨年12月からは日・祝日料金の見直し、2月には届出運賃の改定などの運賃是正を積極的に行ってまいりました。また、昨年5月に奈良支店(奈良県)、気仙沼営業所(宮城県)、7月には石狩営業所(北海道)を開設し、配送拠点の整備に努め輸送品質の向上に取り組んでまいりました。輸送の効率化と労働環境の改善を図る大量輸送の一環として、昨年10月より全国で初めて全長25mのバン型フルトレーラーの運行開始、長距離フェリー便の増発など幹線輸送の多様化にも努めてまいりました。
以上の結果、売上高は2,341億82百万円(前期比4.6%増)、営業利益は139億22百万円(前期比33.1%増)となりました。
[流通加工事業]
流通加工事業におきましては、昨年12月には西日本域内での旺盛な物流業務の需要に対処するため福山北流通センター(広島県)を開設するとともに新規案件の開拓にも積極的に取り組んでまいりました。
以上の結果、売上高は116億52百万円(前期比2.1%増)、営業利益は5億72百万円(前期比5.6%増)となりました。
[国際事業]
国際事業におきましては、国内景気を反映し輸出入貨物の取扱量が堅調であったことから、フォワーディング及び通関業とも好調に推移いたしました。また、ASEAN域内での車両を増強しクロスボーダートラック輸送の拡大を図ってまいりました。
以上の結果、売上高は81億56百万円(前期比22.5%増)、営業利益は5億13百万円(前期比26.0%増)となりました。
[その他事業]
その他事業におきましては、賃貸施設の稼働率の改善が進むなど概ね堅調に推移いたしました。
以上の結果、売上高は138億8百万円(前期比1.2%増)、営業利益は39億93百万円(前期比6.0%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度に比べ105億50百万円増加し303億82百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
主に売上債権の増加や法人税等の支払により資金が減少しましたが、税金等調整前当期純利益や未払消費税等が増加したことにより310億81百万円(前期比31.3%増)の資金の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
主に有形固定資産の取得による支出や無形固定資産の取得による支出により187億39百万円(前期比10.8%減)の資金の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
主に長期借入れによる収入により資金が増加しましたが、配当金の支払や自己株式の取得による支出により18億42百万円(前期比57.2%減)の資金の減少となりました。
③輸送及び収入の状況
当連結会計年度における収入実績等をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(ⅰ) 運送事業
貨物運送事業、港湾運送事業及びその他付帯事業に関する実績
(イ) 輸送実績
車両所有状況最大積載屯数(屯)前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
台数(台)延最大積載屯数(屯)台数(台)延最大積載屯数(屯)
大型車6 ~12.53,90143,3153,92544,188
(トラクター)237-237-
(トレーラー)12.3 ~244126,3474186,396
中型車3 ~4.254,12913,3263,99812,968
小型車0.35 ~27,18313,6237,11813,539
合計-15,86276,61315,69677,093
車両稼働状況稼働日数253255
延実在車両数5,823千台5,777千台
延実働車両数4,036千台4,035千台
車両稼働率69.3%69.8%
輸送屯数11,190千屯11,498千屯
総走行距離466,297千キロ480,292千キロ

(ロ) 営業収入の地域別状況
区分前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前期比(%)
北海道・東北地区22,913百万円24,385百万円106.4
関東地区94,161百万円96,719百万円102.7
中部地区40,252百万円42,188百万円104.8
近畿地区71,665百万円74,401百万円103.8
中国・四国地区59,723百万円61,617百万円103.2
九州地区27,982百万円28,505百万円101.9
合計316,698百万円327,818百万円103.5

(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 金額は、発送運賃収入及びその他の付帯収入であり、状況を正確に表すため、地域間の内部売上高を含めて記載しております。
(ハ) 従業員1人当たりの月額営業収入
区分前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前期比(%)
1か月平均営業収入26,391百万円27,318百万円103.5
平均在籍従業員数17,239人17,191人99.7
1人当たりの月額営業収入1,530千円1,589千円103.8

(ニ) 燃料の購入量及び使用量
区分前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
期首在庫量
(kℓ)
購入量
(kℓ)
使用量
(kℓ)
期末在庫量
(kℓ)
期首在庫量
(kℓ)
購入量
(kℓ)
使用量
(kℓ)
期末在庫量
(kℓ)
軽油3,142109,012110,3061,8481,848109,316108,3612,804

(ホ) 燃料価格の推移
区分平成28年9月平成29年3月平成29年9月平成30年3月
軽油81.7円88.9円90.6円99.8円

(注) 市場価格は、経済産業省 資源エネルギー庁 資源・燃料部石油流通課発行の大口需要者向け軽油ローリー渡価格に基づく1ℓ当たりの半期ごとの平均値であります。
(ヘ) 一般貨物自動車運送事業運賃
a 特別積合せ貨物運送
現行の運賃は、平成30年2月14日付国土交通大臣に届出した運賃に基づき収受しております。
この基準運賃表の一部を示せば次のとおりであります。
区分10Kgまで20Kgまで30Kgまで100Kgまで200Kgまで500Kgまで1,000Kgまで
50Kmまで1,400円1,500円1,700円2,600円4,100円9,000円20,100円
100Kmまで1,400円1,600円1,700円2,800円4,400円10,100円22,600円
200Kmまで1,500円1,800円1,900円3,300円5,500円12,800円29,500円
500Kmまで1,700円2,100円2,200円4,900円8,400円21,100円49,400円

b 特別積合せ貨物運送以外
現行の運賃は、平成6年2月15日付自貨第11号通達による車扱距離制運賃に基づき収受しております。
この基準運賃表の一部を示せば次のとおりであります。
区分1トン車まで2トン車まで4トン車まで8トン車まで12トン車まで
10Kmまで5,290円7,460円10,280円17,050円20,260円
20Kmまで8,740円11,100円12,820円
100Kmまで23,670円25,950円30,260円38,780円46,300円
200Kmまで34,280円37,500円43,870円59,040円67,270円
500Kmまで61,730円67,950円79,120円107,190円122,470円

(ト) 営業収入実績
区分前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前期比(%)
貨物運送事業223,461百万円233,757百万円104.6
港湾運送事業145百万円160百万円110.4
その他付帯事業351百万円264百万円75.4
合計223,958百万円234,182百万円104.6

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(ⅱ) 流通加工事業
倉庫業及び流通加工業に関する実績
(イ) 施設の状況
区分前連結会計年度末
(平成29年3月31日)
当連結会計年度末
(平成30年3月31日)
流通加工事業場面積671,270㎡705,173㎡
事業所数106か所107か所

(ロ) 営業収入実績
区分前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前期比(%)
倉庫業496百万円514百万円103.6
流通加工業10,915百万円11,138百万円102.0
合計11,411百万円11,652百万円102.1

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(ⅲ) 国際事業
国際利用運送業及び通関業に関する実績
(イ) 施設の状況
区分前連結会計年度末
(平成29年3月31日)
当連結会計年度末
(平成30年3月31日)
保税蔵置場面積10,050㎡8,693㎡
設置数8か所6か所
通関業許可取得状況21か所16か所

(ロ) 営業収入実績
区分前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前期比(%)
国際運送業875百万円2,299百万円262.5
国際利用運送業3,643百万円3,457百万円94.9
通関業2,139百万円2,399百万円112.2
合計6,659百万円8,156百万円122.5

(注) 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(ⅳ) その他事業
不動産等の賃貸業、ボウリング事業及びその他の事業に関する実績
(イ) 施設の貸付及びボウリングの状況
区分前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
不動産等賃貸業
建物面積1,486,541㎡1,497,273㎡
土地面積1,766,782㎡1,766,782㎡
機器台数1,652台1,787台
ボウリング事業
ゲーム回数272千回277千回
入場者人数79千人81千人

(ロ) 営業収入実績
区分前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
前期比(%)
不動産等賃貸業13,055百万円13,568百万円103.9
物品販売事業3,967百万円3,583百万円90.3
コンビニエンスストア事業1,361百万円1,459百万円107.1
損害保険代理業407百万円410百万円100.6
ボウリング事業136百万円135百万円99.5
労働者派遣業(委託業務)999百万円955百万円95.6
その他事業1,818百万円2,829百万円155.6
合計21,746百万円22,942百万円105.5

(注)1 上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記金額は、状況を正確に表わすため、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。これらの連結財務諸表の作成にあたって、会計方針の継続適用と財務内容の健全化のため保守的に行うよう考慮しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(ⅰ) 財政状態の分析
資産につきましては、主に現金及び預金や受取手形及び売掛金が増加したことにより、流動資産が160億95百万円増加したことと、有形固定資産は減少しましたが、投資有価証券が増加したことにより、固定資産が50億97百万円増加した結果、総資産は前連結会計年度末に比べて211億92百万円増加し4,383億12百万円となりました。
負債につきましては、主に長期借入金(1年内含む)や未払消費税等が増加したことにより、負債合計は前連結会計年度末に比べて95億8百万円増加し1,921億17百万円となりました。
純資産につきましては、主に利益剰余金が増加したことにより、株主資本が61億84百万円増加したことと、その他有価証券評価差額金が増加したことにより、その他の包括利益累計額が52億3百万円増加した結果、純資産は前連結会計年度末に比べて116億84百万円増加し2,461億94百万円となりました。
(ⅱ) 経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は、企業間物流におけるサービス品質の強化と適正な運賃・料金の収受に努め、生産性の向上を目指した営業活動に注力したことにより、前連結会計年度より121億21百万円増加し2,677億99百万円となりました。
営業利益は、慢性的な運転手不足や燃料単価の高騰により、傭車費や燃料油脂費が増加しましたが、前連結会計年度より36億82百万円増加し147億26百万円となりました。
経常利益は、補助金収入は減少しましたが、営業利益が増加したことにより、前連結会計年度より31億52百万円増加し161億19百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益は減少しましたが、経常利益が増加したことにより、前連結会計年度より12億16百万円増加し106億64百万円となりました。
(ⅲ) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの事業活動における運転資金需要は、当社グループの各事業に関わる人件費や傭車費等の外注費となっております。また、設備資金需要の主なものは、事業活動拡大のためのトラックターミナル建設や車両運搬具の取得、更新、さらには省力化を目的とした機械投資となっております。
(ⅳ) 経営者の問題認識と今後の方針
貨物自動車運送業界は、環境対策、安全対策、さらには時間外労働への対応など事業者に課せられた責任は多岐に渡ると認識しております。これらに限らず、社会的責任や安全安心といった経営理念に継続して取り組んでまいります。