有価証券報告書-第75期(2022/04/01-2023/03/31)

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2023/06/26 14:28
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、行動制限の緩和によりサービス業を中心とした個人消費の持ち直しやインバウンド需要の回復が見られ、景気は緩やかな回復基調にありました。一方で、人手不足による供給制約、物価上昇による消費者マインドの悪化、国際情勢の経済への影響などが景気回復の減速要因として懸念され、依然として先行き不透明な状況で推移しております。
貨物自動車運送業界におきましては、原油価格など高いコスト水準のなか、海外のサプライチェーンの混乱や物価上昇などによる景気回復の遅れもあり、企業間物流の貨物輸送量が低迷するなど、厳しい状況で推移しております。また、働き方改革関連法によって2024年4月以降、自動車運転業務における時間外労働時間の上限規制が適用されることから発生する問題(以下、2024年問題という。)を背景に、荷主企業において物流再編などの動きが強くなってきており、運送事業者は安定的な輸送を継続するためにより一層の企業努力が求められる経営環境にあります。
このような状況のもと当社グループにおきましては、3PL拠点となる倉庫機能を有した流通センターの開設やお客様の物流を海外から受託する複合一貫輸送サービスの営業を強化するなど、貨物輸送量の増加に取り組んでまいりました。一方、ドライバー不足がより一層深刻化するなか、安定的な輸送サービスを提供し、かつ環境負荷低減にも貢献するため、ダブル連結トラックの認可を20コースに拡大するなど、効率的な輸送体制の構築に努めてまいりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は2,933億58百万円(前期比0.7%増)、営業利益は213億75百万円(前期比3.2%減)、経常利益は229億85百万円(前期比0.9%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は207億91百万円(前期比24.0%増)となりました。
これらをセグメント別に見た事業の概要は、次のとおりであります。
[運送事業]
運送事業におきましては、昨年4月に岐阜かに支店(岐阜県)、3月に東かがわ営業所(香川県)を開設し、輸送品質向上のための集配拠点整備に努めてまいりました。また、9月に日本郵便株式会社と運送業務委託契約を締結し、配達業務を委託することで拡大するEC市場への参入を開始しましたが、円安などによる仕入価格の上昇や高インフレによる商品の買い控えなどの景気回復の下押し要因もあり貨物輸送量は低調に推移いたしました。なお、2024年問題や環境問題への対応、エネルギー価格高騰などのコストアップ要因が強まるなか、輸送品質の維持・向上を目的とし、2023年4月1日からの届出運賃の改定を公表しております。
以上の結果、売上高は2,529億45百万円(前期比0.6%減)、営業利益は201億16百万円(前期比3.3%減)となりました。
[流通加工事業]
流通加工事業におきましては、多様化するお客様ニーズにお応えするため、大型物流施設となる岐阜かに支店を開設するなど、3PL拠点を拡大してまいりました。また、既存施設の稼働率向上、加工業務の拡大による収益の確保に取り組むとともに、庫内作業における人件費、光熱費等の高騰を背景に作業料金の改定にも努めてまいりました。
以上の結果、売上高は211億4百万円(前期比6.6%増)、営業利益は34億64百万円(前期比3.2%増)となりました。
[国際事業]
国際事業におきましては、通関取扱件数は低調に推移いたしましたが、海上コンテナ取扱量の増加と上期までの海上運賃の高騰により増収となりました。
以上の結果、売上高は126億60百万円(前期比16.5%増)、営業利益は6億12百万円(前期比14.3%増)となりました。
[その他事業]
その他事業におきましては、行動制限の緩和により国内外の団体旅行が回復し、商品販売事業が堅調に推移いたしました。
以上の結果、売上高は66億47百万円(前期比6.5%増)、営業利益は14億75百万円(前期比9.4%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ48億2百万円増加し435億24百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
主に税金等調整前当期純利益309億51百万円の計上により310億18百万円の資金収入(前年同期は321億39百万円の資金収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
主に有形固定資産の取得による支出157億67百万円、投資有価証券の売却による収入95億23百万円により76億96百万円の資金支出(前年同期は167億77百万円の資金支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
主に長期借入金の返済により185億77百万円の資金支出(前年同期は125億20百万円の資金支出)となりました。
③輸送及び収入の状況
当連結会計年度における収入実績等をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(ⅰ) 運送事業
貨物運送事業、港湾運送事業及びその他付帯事業に関する実績
(イ) 輸送実績
車両所有状況最大積載屯数(屯)前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
台数(台)延最大積載屯数(屯)台数(台)延最大積載屯数(屯)
大型車6 ~12.54,18949,5314,11448,829
(トラクター)427-410-
(トレーラー)12.3 ~2470710,33282611,798
中型車3 ~4.253,90512,6263,93512,672
小型車0.35 ~27,11613,4107,23013,549
合計-16,34485,90016,51586,849
車両稼働状況稼働日数253254
延実在車両数5,971千台5,997千台
延実働車両数4,141千台4,175千台
車両稼働率69.4%69.6%
輸送屯数11,692千屯11,608千屯
総走行距離480,315千キロ468,780千キロ

(ロ) 営業収入の地域別状況
区分前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前期比(%)
北海道・東北地区27,012百万円26,861百万円99.4
関東地区105,674百万円103,595百万円98.0
中部地区47,302百万円47,907百万円101.3
近畿地区78,686百万円77,627百万円98.7
中国・四国地区65,569百万円64,345百万円98.1
九州地区29,217百万円29,114百万円99.6
合計353,463百万円349,452百万円98.9

(注) 金額は、発送運賃収入及びその他の付帯収入であり、状況を正確に表すため、地域間の内部売上高を含めて記載しております。
(ハ) 従業員1人当たりの月額営業収入
区分前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前期比(%)
1か月平均営業収入29,455百万円29,121百万円98.9
平均在籍従業員数20,591人20,533人99.7
1人当たりの月額営業収入1,430千円1,418千円99.1

(ニ) 燃料の購入量及び使用量
区分前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
期首在庫量
(kℓ)
購入量
(kℓ)
使用量
(kℓ)
期末在庫量
(kℓ)
期首在庫量
(kℓ)
購入量
(kℓ)
使用量
(kℓ)
期末在庫量
(kℓ)
軽油2,964115,929115,8483,0443,044113,724114,0072,762

(ホ) 燃料価格の推移
区分2021年9月2022年3月2022年9月2023年3月
軽油110.4円122.5円123.3円121.4円

(注) 市場価格は、経済産業省 資源エネルギー庁 資源・燃料部石油流通課発行の大口需要者向け軽油ローリー渡価格に基づく1ℓ当たりの半期ごとの平均値であります。
(ヘ) 一般貨物自動車運送事業運賃
a 特別積合せ貨物運送
現行の運賃は、2020年8月19日付国土交通大臣に届出した運賃に基づき収受しております。
この基準運賃表の一部を示せば次のとおりであります。
区分10Kgまで20Kgまで30Kgまで100Kgまで200Kgまで500Kgまで1,000Kgまで
50Kmまで1,750円1,920円2,120円3,200円4,790円10,100円19,270円
100Kmまで1,800円1,960円2,150円3,320円5,140円11,040円21,250円
200Kmまで1,810円2,100円2,260円3,840円6,100円13,570円26,740円
500Kmまで1,890円2,260円2,470円5,160円8,560円20,470円41,090円

b 特別積合せ貨物運送以外
現行の運賃は、2021年3月11日付各運輸支局に届出した車扱距離制運賃に基づき収受しております。
この基準運賃表の一部(中国運輸支局届出分)を示せば次のとおりであります。
区分小型車
(2トン車クラス)
中型車
(4トン車クラス)
大型車
(10トン車クラス)
トレーラー
(20トン車クラス)
10Kmまで13,000円15,060円19,220円23,980円
20Kmまで14,580円16,920円21,730円27,260円
100Kmまで27,200円31,740円41,830円53,420円
200Kmまで42,950円50,020円66,180円85,030円

(ト) 営業収入実績
区分前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前期比(%)
貨物運送事業252,946百万円251,582百万円99.5
港湾運送事業122百万円102百万円84.0
その他付帯事業1,296百万円1,260百万円97.2
合計254,364百万円252,945百万円99.4

(ⅱ) 流通加工事業
倉庫業及び流通加工業に関する実績
(イ) 施設の状況
区分前連結会計年度末
(2022年3月31日)
当連結会計年度末
(2023年3月31日)
流通加工事業場面積899,803㎡926,632㎡
事業所数119か所120か所

(ロ) 営業収入実績
区分前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前期比(%)
流通加工業19,796百万円21,104百万円106.6

(ⅲ) 国際事業
国際利用運送業及び通関業に関する実績
(イ) 施設の状況
区分前連結会計年度末
(2022年3月31日)
当連結会計年度末
(2023年3月31日)
保税蔵置場面積6,397㎡5,547㎡
設置数5か所5か所
通関業許可取得状況15か所15か所

(ロ) 営業収入実績
区分前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前期比(%)
国際運送業2,815百万円3,364百万円119.5
国際利用運送業5,189百万円6,392百万円123.2
通関業2,859百万円2,904百万円101.5
合計10,864百万円12,660百万円116.5

(ⅳ) その他事業
不動産等の賃貸業、ボウリング事業及びその他の事業に関する実績
(イ) 施設の貸付及びボウリングの状況
区分前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
不動産等賃貸業
建物面積1,086,043㎡1,061,381㎡
土地面積1,411,334㎡1,395,882㎡
機器台数1,416台1,374台
ボウリング事業
ゲーム回数207千回234千回
入場者人数57千人67千人

(ロ) 営業収入実績
区分前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前期比(%)
不動産等賃貸業6,219百万円6,177百万円99.3
物品販売事業2,842百万円3,210百万円113.0
コンビニエンスストア事業1,549百万円1,556百万円100.5
損害保険代理業407百万円409百万円100.5
ボウリング事業108百万円120百万円110.5
労働者派遣業(委託業務)628百万円534百万円84.9
その他事業2,159百万円2,143百万円99.3
合計13,916百万円14,152百万円101.7

(注) 上記金額は、状況を正確に表わすため、セグメント間の内部売上高を含めて記載しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(ⅰ) 財政状態の分析
資産につきましては、主に現金及び預金が増加したことにより、流動資産が43億30百万円増加しましたが、投資有価証券の売却により、投資その他の資産が71億33百万円減少した結果、総資産は前連結会計年度末に比べて11億31百万円減少し4,770億15百万円となりました。
負債につきましては、主に1年内返済予定の長期借入金が減少したことにより流動負債が102億82百万円減少した結果、負債合計は前連結会計年度末に比べて152億9百万円減少し2,066億33百万円となりました。
純資産につきましては、主に投資有価証券の売却により、その他有価証券評価差額金が42億82百万円減少しましたが、親会社株主に帰属する当期純利益207億91百万円を計上したことにより株主資本が183億11百万円増加した結果、純資産は前連結会計年度末に比べて140億77百万円増加し2,703億81百万円となりました。
(ⅱ) 経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は、円安などによる仕入価格の上昇や高インフレによる商品の買い控えなどの下押し要因もあり、貨物輸送量が減少したことにより運送収入は減少しましたが、3PL拠点の拡大や既存施設の稼働率向上により流通加工収入が増加、また海上運賃の高騰などにより国際事業収入が増加し、前連結会計年度より20億92百万円増加し2,933億58百万円となりました。
営業利益は、主力の運送事業の売上が低迷するなか、業務改革により人件費を抑制しましたが、資源価格の高騰により燃料費、光熱費などが増加し前連結会計年度より7億16百万円減少し213億75百万円となりました。
経常利益は、資金調達の手数料削減により営業外費用が減少しましたが、営業利益が減少したことにより、前連結会計年度より2億10百万円減少し229億85百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、投資有価証券売却益の発生により、前連結会計年度より40億28百万円増加し207億91百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
営業方針にそって積極的な設備投資を行っておりますが、営業キャッシュ・フローと資金調達をもって進めております。資金調達については、経営指標としております有利子負債対自己資本比率を意識しつつ行っており、設備投資による売上拡大、利益率の改善を図りつつROEにつきましても向上を目指しております。また、当社グループは、効率の良い資金運用を行うため、キャッシュ・マネジメント・システムを導入しております。各国内連結子会社の資金繰りの当社での一元管理と支払代行業務により余剰資金の圧縮に努めるとともに、グループ全体の必要資金の管理を徹底しております。
当社グループにおける運転資金需要は、事業活動に携わる者の人件費や傭車費等の外注費及び燃料費等が主なものとなっております。また、設備資金需要の主なものは、サービスの向上や事業拡大を目的としたトラックターミナル及び流通倉庫の建設と省力化を目的とした仕分装置への投資等となっております。
なお、長期的な資金繰りの安定性の確保のためコミットメントライン契約を従来から締結しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって用いた当社グループの重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1. 連結財務諸表等」の「連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
連結財務諸表の作成に当たっては、会計上の見積りを行う必要があり、各引当金の計上、繰延税金資産の回収可能性の判断等については、過去の実績や他の合理的と考えられる方法により見積りを行っております。但し、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りと異なる可能性があります。