有価証券報告書-第88期(2025/04/01-2026/03/31)
(1) 経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況
(単位:百万円)
当連結会計年度における日本経済は、好調な企業業績や人手不足を背景に昨年度以上の高い賃上げ率となりましたが、食料品を中心に消費者物価は高止まりの状況が続き、個人消費は伸び悩んだもののインバウンド需要に支えられ、景気は緩やかな回復基調となりました。
また、ロシアとウクライナの戦争長期化に加え、米国・イスラエルとイランとの軍事衝突でホルムズ海峡は事実上封鎖となり、サプライチェーンは寸断され世界経済は深刻な事態となっております。
当社グループは、第1四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を、「曳船事業」、「海事関連事業」、「旅客船事業」に変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。
当社グループの主たる事業である曳船事業を取り巻く状況につきましては、曳船作業対象船舶の東京湾への入出港数は、米国の自動車関税の影響で自動車専用船の入出港数は大幅な減少を予想しておりましたが増加基調で推移し、昨年度低調であったタンカーは増加に転じました。
また、大型のコンテナ船は減少となったものの、2025年5月からの港湾曳船作業料率の値上効果が奏功し増収となりました。
海事関連事業では、洋上風力発電交通船(CTV)は、富山県入善港でのO&M(保守・維持管理)作業に加え、北九州での洋上風力発電建設作業で多数のCTVが傭船されたため大きく増収となりました。
旅客船事業では、従来の「売店・食堂事業」はカーフェリー部門との事業関連性が強いことを考慮し、「旅客船事業」に変更・集約いたしました。横浜港の観光船部門においては、持分法適用会社に事業を移管したことにより売上高は大幅に減少いたしました。
このような経済環境のなかで、当社グループの売上高は1,102百万円増加し13,144百万円(前期比9.2%増)となりました。
利益面では、洋上風力発電交通船(CTV)の稼働が大幅に増加したことで用船料が増加し、CTVの新造や建造価額の上昇で減価償却費が増加となりました。
一方、横浜港の観光船部門においては、持分法適用会社に事業を移管したことで、人件費や食材費を中心に営業費用が減少いたしました。
この結果、営業利益は106百万円(前期は511百万円の営業損失)となり、経常利益は347百万円(前期は259百万円の経常損失)となりました。
また、特別利益として、土地・建物や船舶の売却で7,970百万円の固定資産売却益が発生し、特別損失として、観光船部門他の施設にかかる固定資産の減損損失を334百万円計上し、カーフェリー部門における燃料油の備蓄タンクからの漏油による土壌汚染対策の費用として、環境対策引当金繰入額を233百万円計上したことで、親会社株主に帰属する当期純利益は5,046百万円(前期比146.9%増)となりました。
セグメント別の売上高(上段)及び営業損益(下段)の概況は下記のとおりです。
(単位:百万円)
(注)売上高は外部顧客に対する売上高を表示しております。
曳船事業
曳船事業は、作業対象船舶の増加に加え、2025年5月よりハーバータグ作業における港湾曳船作業料率と、進路警戒船作業におけるエスコート作業料率の値上効果等によりすべての地区で増収となりました。
横浜川崎地区では、作業対象船舶のうち大型コンテナ船は減少いたしましたが、入出港数は堅調に推移したことに加え、新作業料率の適用が年後半にかけて徐々に出始め増収となりました。作業対象船舶がコンテナ船中心である東京地区では、中小型コンテナ船が増加し増収となりました。横須賀地区では、コンテナ船やタンカー等の危険物積載船等の増加でエスコート作業と湾口水先艇作業が増加し、値上効果も加わり増収となりました。千葉地区では、危険物積載船やバルカー船を中心にほぼすべての船種の入出港数が増加し、値上効果もあり増収となりました。
この結果、曳船事業セグメントの売上高は919百万円増加し9,517百万円(前期比10.7%増)となり、319百万円の営業利益(前期は146百万円の営業損失)となりました。
海事関連事業
海事関連事業は、富山県入善港でのO&M作業用CTVに加え、北九州ひびき灘における「北九州響灘洋上ウインドファーム」建設作業で多数のCTVの運航があり売上高は大幅に増加いたしました。
この結果、海事関連事業セグメントの売上高は、前期に比べ980百万円増加し1,956百万円(前期比100.4%増)となりましたが、用船料、支払手数料や減価償却費が増加し192百万円の営業損失(前期は342百万円の営業損失)となりました。
旅客船事業
旅客船事業は、横浜港における観光船部門(港内観光船、水上バス)は、持分法適用会社に事業移管を行い大幅な減収となりました。
一方、昨年度末までの「売店・食堂事業」は、久里浜・金谷間のカーフェリー部門との事業関連性が強いことから区分を「旅客船事業」に変更・集約いたしました。この結果、旅客船事業セグメントの売上高は、前期(新たな報告セグメントに組替後)に比べ796百万円減少し1,670百万円(前期比32.3%減)となり、58百万円の営業損失(前期は39百万円の営業損失)となりました。
②財政状態の概況
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ6,618百万円増加し37,880百万円となりました。
流動資産の部では、現金及び預金は固定資産売却収入を主因として4,914百万円増加し、売掛金が215百万円増加し、その他流動資産が264百万円減少いたしました。
固定資産の部では、船舶の減価償却が進み、CTV一隻を竣工後に共有船化したことで船舶が1,443百万円減少しましたが、建設仮勘定が924百万円増加いたしました。また、投資有価証券が期末時価評価により452百万円増加し、持分法適用会社の株式追加取得等により関係会社株式が1,892百万円増加いたしました。
負債は、前連結会計年度末に比べ、2,069百万円増加し8,535百万円となりました。流動負債の部では、未払法人税等が2,390百万円増加し、環境対策引当金が233百万円増加いたしました。固定負債の部では、長期借入金が369百万円、リース債務が130百万円減少し、割引率の上昇により退職給付に係る負債が144百万円減少いたしました。
純資産は、前連結会計年度末に比べ、4,549百万円増加し29,344百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益が5,046百万円となり、剰余金の配当を497百万円実施したことにより利益剰余金が4,046百万円増加、その他有価証券評価差額金が332百万円増加し、繰延ヘッジ損益が124百万円増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の76.0%から74.5%と1.5ポイント減少いたしました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,085百万円減少し5,676百万円となりました。
(単位:百万円)
当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりとなりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ610百万円増加し1,817百万円の資金取得となりました。資金収支の主な内訳は、税金等調整前当期純利益が7,710百万円となり、減価償却費が1,783百万円計上されました。また、固定資産売却益が7,970百万円、法人税等の支払額が212百万円発生したことです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ2,608百万円支出が増加し1,972百万円の資金支出となりました。資金収支の主な内訳は、土地・建物や船舶を売却し有形固定資産の売却による収入が8,459百万円発生し、曳船の購入と設備更新(曳船の代替)に加え洋上風力発電交通船(CTV)の建造により有形固定資産の取得による支出が1,825百万円となり、持分法適用会社の株式追加取得により関係会社株式の取得による支出が2,621百万円発生いたしました。また、預入期間が3カ月を超える定期預金の預入れによる支出が解約による収入を5,975百万円上回りました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ615百万円支出が増加し1,047百万円の資金支出となりました。資金収支の主な内訳は、長期借入金の返済による支出が387百万円、リース債務の返済による支出が139百万円、配当金の支払額が502百万円発生したことです。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループの報告セグメントは、曳船事業、海事関連事業、旅客船事業であり、生産及び受注を伴う事業ではないため生産及び受注の実績については記載を省略し、販売の実績については「①経営成績の状況」におけるセグメント別の経営成績に関連付けて記載しております。
最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点における当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
A.経営成績
(売上高)
当社グループ全体の売上高は、前期に比べ1,102百万円増収の13,144百万円(前期比9.2%増)となりました。
主力の曳船事業では、2025年5月から港湾曳船作業料率の値上げを実施したことや燃料油価格調整金(BAF)が増加したことに加え、昨年度低調であった危険物積載船等の入港数が増加し、曳船事業収入は919百万円増収の9,517百万円(前期比10.7%増)となりました。
海事関連事業では、北九州ひびき灘における洋上風力発電交通船(CTV)の建設段階での稼働が大幅に増加し、海事関連事業収入は980百万円増収の1,956百万円(前期比100.4%増)となりました。
旅客船事業では、昨年度末までの「売店・食堂事業」は、久里浜・金谷間のカーフェリー部門との事業関連性が強いことから区分を「旅客船事業」に変更・集約いたしました。また、昨年度は、しらはま丸の強風下での岸壁接触事故で2024年4月から8月初旬まで約4か月間一隻運航を余儀なくされました。今年度は、その反動増に加え2025年11月からの運賃値上効果もあり増収となりました。一方、横浜港における観光船部門(港内観光船、水上バス)は、2025年5月から持分法適用会社に事業移管を行ったことで、旅客船事業収入は796百万円(前期比32.3%減)の大幅な減収となり1,670百万円となりました。
(営業利益)
売上原価は、曳船事業では賃上げと時間外手当の増加により人件費が増加し、原油価格の高騰と円安により燃料費が増加いたしました。
また、海事関連事業における洋上風力発電交通船(CTV)の稼働増に伴い船員のマンニング費用の用船料や支払手数料の増加に加え、新造船の投入や建造価格の上昇もあり減価償却費が増加いたしました。
一方、旅客船事業では、横浜港の観光船事業を持分法適用会社に事業移管したことで営業費用(売上原価・一般管理費)が大幅に減少いたしました。
これに加え、期末にかけて市場金利が上昇したことで退職給付債務に使用する割引率が上昇し、退職給付費用が大幅な減少となり106百万円の営業利益(前期は511百万円の営業損失)となりました。
(経常利益)
経常損益は、受取配当金が90百万円、持分法による投資利益が105百万円計上され、347百万円の経常利益(前期は259百万円の経常損失)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益として土地・建物や曳船等の売却により固定資産売却益が7,970百万円発生し、特別損失として減損損失を334百万円計上し、カーフェリー部門で燃料油備蓄タンクからの漏油による土壌汚染が発生し、その対策費用として環境対策費及び環境対策引当金繰入額を250百万円計上いたしました。
その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は5,046百万円(前期比146.9%増)で昨年度に引き続き過去最高益となりました。
B.財政状態
財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、営業原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、主に曳船の設備更新と洋上風力発電交通船(CTV)の建造資金です。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては自己資金及びファイナンス・リースを基本としております。
2026年3月期の曳船1隻の設備更新及び船舶に係る建設仮勘定は、自己資金を充当いたしました。
重要な設備投資等の予定及びその資金調達方法については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に係る会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、重要な会計上の見積り」に記載しております。
④次期の見通しについて
今後の見通しにつきましては、ロシアとウクライナの戦争の長期化や米国・イスラエルとイランの軍事衝突により事実上ホルムズ海峡が封鎖され、停戦交渉は難航し長期化の様相を呈しており、国際情勢は混迷を深めております。
当社の主力の曳船事業では、売上高が当社自身のコントロールの効かない外部環境の変化による作業対象船舶の動向に大きく左右されるという事業特性があります。
ホルムズ海峡の閉鎖による曳船作業対象船舶に与える影響は、タンカーを中心に大幅に減少することは予想されますが、どの程度の規模になるかは図り知れず、旅客船事業においても同様に、合理的な前提をおいて業績に与える影響を予想することはきわめて困難な状況にあります。
このような状況下、2027年3月期の連結及び個別業績予想につきましては、未定としております。
今後、業績への影響額を適正に予測することが可能となった段階で、速やかに公表いたします。
①経営成績の状況
(単位:百万円)
| 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | 増減率 | |
| 売上高 | 12,041 | 13,144 | 1,102 | 9.2% |
| 売上原価 | 10,583 | 10,972 | 388 | 3.7% |
| 販売費及び一般管理費 | 1,969 | 2,065 | 96 | 4.9% |
| 営業利益又は営業損失(△) | △511 | 106 | 617 | - |
| 経常利益又は経常損失(△) | △259 | 347 | 606 | - |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 2,044 | 5,046 | 3,002 | 146.9% |
当連結会計年度における日本経済は、好調な企業業績や人手不足を背景に昨年度以上の高い賃上げ率となりましたが、食料品を中心に消費者物価は高止まりの状況が続き、個人消費は伸び悩んだもののインバウンド需要に支えられ、景気は緩やかな回復基調となりました。
また、ロシアとウクライナの戦争長期化に加え、米国・イスラエルとイランとの軍事衝突でホルムズ海峡は事実上封鎖となり、サプライチェーンは寸断され世界経済は深刻な事態となっております。
当社グループは、第1四半期連結会計期間より報告セグメントの区分を、「曳船事業」、「海事関連事業」、「旅客船事業」に変更しております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりです。
当社グループの主たる事業である曳船事業を取り巻く状況につきましては、曳船作業対象船舶の東京湾への入出港数は、米国の自動車関税の影響で自動車専用船の入出港数は大幅な減少を予想しておりましたが増加基調で推移し、昨年度低調であったタンカーは増加に転じました。
また、大型のコンテナ船は減少となったものの、2025年5月からの港湾曳船作業料率の値上効果が奏功し増収となりました。
海事関連事業では、洋上風力発電交通船(CTV)は、富山県入善港でのO&M(保守・維持管理)作業に加え、北九州での洋上風力発電建設作業で多数のCTVが傭船されたため大きく増収となりました。
旅客船事業では、従来の「売店・食堂事業」はカーフェリー部門との事業関連性が強いことを考慮し、「旅客船事業」に変更・集約いたしました。横浜港の観光船部門においては、持分法適用会社に事業を移管したことにより売上高は大幅に減少いたしました。
このような経済環境のなかで、当社グループの売上高は1,102百万円増加し13,144百万円(前期比9.2%増)となりました。
利益面では、洋上風力発電交通船(CTV)の稼働が大幅に増加したことで用船料が増加し、CTVの新造や建造価額の上昇で減価償却費が増加となりました。
一方、横浜港の観光船部門においては、持分法適用会社に事業を移管したことで、人件費や食材費を中心に営業費用が減少いたしました。
この結果、営業利益は106百万円(前期は511百万円の営業損失)となり、経常利益は347百万円(前期は259百万円の経常損失)となりました。
また、特別利益として、土地・建物や船舶の売却で7,970百万円の固定資産売却益が発生し、特別損失として、観光船部門他の施設にかかる固定資産の減損損失を334百万円計上し、カーフェリー部門における燃料油の備蓄タンクからの漏油による土壌汚染対策の費用として、環境対策引当金繰入額を233百万円計上したことで、親会社株主に帰属する当期純利益は5,046百万円(前期比146.9%増)となりました。
セグメント別の売上高(上段)及び営業損益(下段)の概況は下記のとおりです。
(単位:百万円)
| セグメントの名称 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 | 増減率 |
| 曳船事業 | 8,598 | 9,517 | 919 | 10.7% |
| △146 | 319 | 466 | - | |
| 海事関連事業 | 976 | 1,956 | 980 | 100.4% |
| △342 | △192 | 149 | - | |
| 旅客船事業 | 2,466 | 1,670 | △796 | △32.3% |
| △39 | △58 | △19 | - |
(注)売上高は外部顧客に対する売上高を表示しております。
曳船事業
曳船事業は、作業対象船舶の増加に加え、2025年5月よりハーバータグ作業における港湾曳船作業料率と、進路警戒船作業におけるエスコート作業料率の値上効果等によりすべての地区で増収となりました。
横浜川崎地区では、作業対象船舶のうち大型コンテナ船は減少いたしましたが、入出港数は堅調に推移したことに加え、新作業料率の適用が年後半にかけて徐々に出始め増収となりました。作業対象船舶がコンテナ船中心である東京地区では、中小型コンテナ船が増加し増収となりました。横須賀地区では、コンテナ船やタンカー等の危険物積載船等の増加でエスコート作業と湾口水先艇作業が増加し、値上効果も加わり増収となりました。千葉地区では、危険物積載船やバルカー船を中心にほぼすべての船種の入出港数が増加し、値上効果もあり増収となりました。
この結果、曳船事業セグメントの売上高は919百万円増加し9,517百万円(前期比10.7%増)となり、319百万円の営業利益(前期は146百万円の営業損失)となりました。
海事関連事業
海事関連事業は、富山県入善港でのO&M作業用CTVに加え、北九州ひびき灘における「北九州響灘洋上ウインドファーム」建設作業で多数のCTVの運航があり売上高は大幅に増加いたしました。
この結果、海事関連事業セグメントの売上高は、前期に比べ980百万円増加し1,956百万円(前期比100.4%増)となりましたが、用船料、支払手数料や減価償却費が増加し192百万円の営業損失(前期は342百万円の営業損失)となりました。
旅客船事業
旅客船事業は、横浜港における観光船部門(港内観光船、水上バス)は、持分法適用会社に事業移管を行い大幅な減収となりました。
一方、昨年度末までの「売店・食堂事業」は、久里浜・金谷間のカーフェリー部門との事業関連性が強いことから区分を「旅客船事業」に変更・集約いたしました。この結果、旅客船事業セグメントの売上高は、前期(新たな報告セグメントに組替後)に比べ796百万円減少し1,670百万円(前期比32.3%減)となり、58百万円の営業損失(前期は39百万円の営業損失)となりました。
②財政状態の概況
資産、負債及び純資産の状況
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ6,618百万円増加し37,880百万円となりました。
流動資産の部では、現金及び預金は固定資産売却収入を主因として4,914百万円増加し、売掛金が215百万円増加し、その他流動資産が264百万円減少いたしました。
固定資産の部では、船舶の減価償却が進み、CTV一隻を竣工後に共有船化したことで船舶が1,443百万円減少しましたが、建設仮勘定が924百万円増加いたしました。また、投資有価証券が期末時価評価により452百万円増加し、持分法適用会社の株式追加取得等により関係会社株式が1,892百万円増加いたしました。
負債は、前連結会計年度末に比べ、2,069百万円増加し8,535百万円となりました。流動負債の部では、未払法人税等が2,390百万円増加し、環境対策引当金が233百万円増加いたしました。固定負債の部では、長期借入金が369百万円、リース債務が130百万円減少し、割引率の上昇により退職給付に係る負債が144百万円減少いたしました。
純資産は、前連結会計年度末に比べ、4,549百万円増加し29,344百万円となりました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益が5,046百万円となり、剰余金の配当を497百万円実施したことにより利益剰余金が4,046百万円増加、その他有価証券評価差額金が332百万円増加し、繰延ヘッジ損益が124百万円増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は前連結会計年度末の76.0%から74.5%と1.5ポイント減少いたしました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,085百万円減少し5,676百万円となりました。
(単位:百万円)
| 科目 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | 増減額 |
| 現金及び現金同等物の期首残高 | 5,355 | 6,761 | 1,406 |
| Ⅰ.営業活動によるキャッシュ・フロー | 1,206 | 1,817 | 610 |
| Ⅱ.投資活動によるキャッシュ・フロー | 636 | △1,972 | △2,608 |
| Ⅲ.財務活動によるキャッシュ・フロー | △432 | △1,047 | △615 |
| 現金及び現金同等物に係る換算差額 | △4 | △15 | △10 |
| 現金及び現金同等物の増減額(△は減少) | 1,406 | △1,218 | △2,624 |
| 非連結子会社との合併に伴う現金及び現金同等物の増加額 | - | 132 | 132 |
| 現金及び現金同等物の期末残高 | 6,761 | 5,676 | △1,085 |
当連結会計年度に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況は以下のとおりとなりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ610百万円増加し1,817百万円の資金取得となりました。資金収支の主な内訳は、税金等調整前当期純利益が7,710百万円となり、減価償却費が1,783百万円計上されました。また、固定資産売却益が7,970百万円、法人税等の支払額が212百万円発生したことです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ2,608百万円支出が増加し1,972百万円の資金支出となりました。資金収支の主な内訳は、土地・建物や船舶を売却し有形固定資産の売却による収入が8,459百万円発生し、曳船の購入と設備更新(曳船の代替)に加え洋上風力発電交通船(CTV)の建造により有形固定資産の取得による支出が1,825百万円となり、持分法適用会社の株式追加取得により関係会社株式の取得による支出が2,621百万円発生いたしました。また、預入期間が3カ月を超える定期預金の預入れによる支出が解約による収入を5,975百万円上回りました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ615百万円支出が増加し1,047百万円の資金支出となりました。資金収支の主な内訳は、長期借入金の返済による支出が387百万円、リース債務の返済による支出が139百万円、配当金の支払額が502百万円発生したことです。
④生産、受注及び販売の実績
当社グループの報告セグメントは、曳船事業、海事関連事業、旅客船事業であり、生産及び受注を伴う事業ではないため生産及び受注の実績については記載を省略し、販売の実績については「①経営成績の状況」におけるセグメント別の経営成績に関連付けて記載しております。
最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 | 当連結会計年度 | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| 東京湾海事事業協同組合 | 1,319,793 | 10.96 | 1,456,442 | 11.08 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点における当社グループの経営成績等に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
A.経営成績
(売上高)
当社グループ全体の売上高は、前期に比べ1,102百万円増収の13,144百万円(前期比9.2%増)となりました。
主力の曳船事業では、2025年5月から港湾曳船作業料率の値上げを実施したことや燃料油価格調整金(BAF)が増加したことに加え、昨年度低調であった危険物積載船等の入港数が増加し、曳船事業収入は919百万円増収の9,517百万円(前期比10.7%増)となりました。
海事関連事業では、北九州ひびき灘における洋上風力発電交通船(CTV)の建設段階での稼働が大幅に増加し、海事関連事業収入は980百万円増収の1,956百万円(前期比100.4%増)となりました。
旅客船事業では、昨年度末までの「売店・食堂事業」は、久里浜・金谷間のカーフェリー部門との事業関連性が強いことから区分を「旅客船事業」に変更・集約いたしました。また、昨年度は、しらはま丸の強風下での岸壁接触事故で2024年4月から8月初旬まで約4か月間一隻運航を余儀なくされました。今年度は、その反動増に加え2025年11月からの運賃値上効果もあり増収となりました。一方、横浜港における観光船部門(港内観光船、水上バス)は、2025年5月から持分法適用会社に事業移管を行ったことで、旅客船事業収入は796百万円(前期比32.3%減)の大幅な減収となり1,670百万円となりました。
(営業利益)
売上原価は、曳船事業では賃上げと時間外手当の増加により人件費が増加し、原油価格の高騰と円安により燃料費が増加いたしました。
また、海事関連事業における洋上風力発電交通船(CTV)の稼働増に伴い船員のマンニング費用の用船料や支払手数料の増加に加え、新造船の投入や建造価格の上昇もあり減価償却費が増加いたしました。
一方、旅客船事業では、横浜港の観光船事業を持分法適用会社に事業移管したことで営業費用(売上原価・一般管理費)が大幅に減少いたしました。
これに加え、期末にかけて市場金利が上昇したことで退職給付債務に使用する割引率が上昇し、退職給付費用が大幅な減少となり106百万円の営業利益(前期は511百万円の営業損失)となりました。
(経常利益)
経常損益は、受取配当金が90百万円、持分法による投資利益が105百万円計上され、347百万円の経常利益(前期は259百万円の経常損失)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
親会社株主に帰属する当期純利益は、特別利益として土地・建物や曳船等の売却により固定資産売却益が7,970百万円発生し、特別損失として減損損失を334百万円計上し、カーフェリー部門で燃料油備蓄タンクからの漏油による土壌汚染が発生し、その対策費用として環境対策費及び環境対策引当金繰入額を250百万円計上いたしました。
その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は5,046百万円(前期比146.9%増)で昨年度に引き続き過去最高益となりました。
B.財政状態
財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要」に記載しております。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、営業原価、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資を目的とした資金需要は、主に曳船の設備更新と洋上風力発電交通船(CTV)の建造資金です。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては自己資金及びファイナンス・リースを基本としております。
2026年3月期の曳船1隻の設備更新及び船舶に係る建設仮勘定は、自己資金を充当いたしました。
重要な設備投資等の予定及びその資金調達方法については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成に係る会計方針及び見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項、重要な会計上の見積り」に記載しております。
④次期の見通しについて
今後の見通しにつきましては、ロシアとウクライナの戦争の長期化や米国・イスラエルとイランの軍事衝突により事実上ホルムズ海峡が封鎖され、停戦交渉は難航し長期化の様相を呈しており、国際情勢は混迷を深めております。
当社の主力の曳船事業では、売上高が当社自身のコントロールの効かない外部環境の変化による作業対象船舶の動向に大きく左右されるという事業特性があります。
ホルムズ海峡の閉鎖による曳船作業対象船舶に与える影響は、タンカーを中心に大幅に減少することは予想されますが、どの程度の規模になるかは図り知れず、旅客船事業においても同様に、合理的な前提をおいて業績に与える影響を予想することはきわめて困難な状況にあります。
このような状況下、2027年3月期の連結及び個別業績予想につきましては、未定としております。
今後、業績への影響額を適正に予測することが可能となった段階で、速やかに公表いたします。