有価証券報告書-第16期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
1 経営成績等の状況の概要
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①財政状態の状況
当連結会計年度末における資産合計は834,378百万円、負債合計は454,973百万円、純資産合計は379,405百万円となりました。
資産は、前連結会計年度末比1.9%増の834,378百万円となりました。流動資産は、未収入金、商品等の増加等により前連結会計年度末比6.6%増の71,254百万円となりました。固定資産は、減価償却が進んだものの、東京2020大会に対応する施設の増加等により前連結会計年度末比1.5%増の763,124百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末比0.1%増の454,973百万円となりました。流動負債は、1年内返済予定の長期借入金の増加等により、前連結会計年度末比3.8%増の99,041百万円となりました。固定負債は、長期借入金の減少等により前連結会計年度末比0.9%減の355,931百万円となりました。なお、長期借入金残高(1年内返済を含む)は32,000百万円となり、社債残高(1年内償還を含む)329,000百万円と合わせた長期債務残高は前連結会計年度末比5.5%減の361,000百万円となりました。
株主資本は、前連結会計年度末比3.8%増の371,714百万円となりました。これは配当金の支払いがあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益が24,423百万円計上されたことによるものであります。当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の43.5%から1.0ポイント増加し44.5%となりました。
非支配株主持分は、前連結会計年度末比0.8%増の8,071百万円となり、その他の包括利益累計額を含めた純資産合計は前連結会計年度末比4.1%増の379,405百万円となりました。
②経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、米中貿易摩擦の長期化や欧州の政治情勢不安定等により不透明な状態が続いていたところ、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行により大幅に景気が下押しされ、年度終盤において悪化しました。
これを受けた成田国際空港を取り巻く環境としましては、日韓関係の悪化に伴う韓国市場の減速はあったものの、引き続き観光先進国の実現に向けた官民一体での訪日プロモーションが行われたこと、また、2019年冬ダイヤから成田国際空港における日中間の権益が段階的に拡大することとなったことから、成田国際空港の国際線外国人旅客数は2020年1月まで全国平均を上回る形で推移しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年2月以降は大きく減少しました。
当連結会計年度における経営成績は、航空機発着回数について、新型コロナウイルスの感染拡大の影響等による国際線の減便、運休で減少したものの、国内線の新規就航等で増加したことから、空港使用料収入は微増。一方、新型コロナウイルスの感染拡大の影響等により国際線旅客数が減少したことから、旅客施設使用料収入、物販・飲食収入、構内営業料収入はいずれも減収となり、全体として、営業収益は前期比5.0%減の237,145百万円、営業利益は前期比27.0%減の40,767百万円、経常利益は前期比27.0%減の39,146百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比31.7%減の24,423百万円となりました。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
(空港運営事業)
空港運営事業では、航空機発着回数について、新型コロナウイルスの感染拡大の影響等により国際線は減少したものの、国内線は新規就航等で増加し、空港使用料収入は前期比0.7%増の40,987百万円となりました。一方、航空機材の低燃費化等により給油量が減少したことや新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、国際線の運休・減便が相次いだため給油施設使用料収入は前期比0.4%減の15,398百万円となりました。また、旅客施設使用料収入は新型コロナウイルスの感染拡大の影響等により国際線旅客数が減少したため、前期比5.0%減の39,571百万円となりました。以上の結果、営業収益は前期比1.9%減の108,801百万円、営業利益は東京2020大会に対応する施設改修費用や金利の低下により退職給付費用が増加したこと等により前期比75.8%減の2,597百万円となりました。
(リテール事業)
リテール事業では、元安による中国系旅客の消費マインドの低下に加え、新型コロナウイルスの感染拡大の影響等で国際線旅客数が大幅に減少したことにより、子会社が運営する直営店舗の物販・飲食収入は前期比10.1%減の74,191百万円、一般テナントからの構内営業料収入は前期比13.9%減の10,762百万円となりました。以上の結果、営業収益は前期比9.7%減の94,663百万円、営業利益は前期比18.3%減の24,493百万円となりました。
(施設貸付事業)
施設貸付事業では、営業収益は前期比1.0%減の30,699百万円、営業利益は東京2020大会に対応する施設改修費用
等の増加により、前期比9.5%減の13,221百万円となりました。
(鉄道事業)
鉄道事業では、営業収益は前期比0.2%減の2,981百万円、営業利益は前期比8.2%減の614百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比2,649百万円増の38,456百万円となりました。フリー・キャッシュ・フローは、前期比3,606百万円減の34,581百万円のキャッシュ・インとなりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響等による減収により、税金等調整前当期純利益が減少し、前期比16,822百万円減の61,571百万円のキャッシュ・インとなりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、大型工事の完成が期末に集中し、支払いが翌期となったことから、固定資産の取得による支出が減少し、前期比13,215百万円減の26,990百万円のキャッシュ・アウトとなりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還、長期借入金の返済が減少し、前期比5,917百万円減の31,929百万円のキャッシュ・アウトとなりました。
2 生産、受注及び販売の実績
(1) 当社グループにおいては、空港運営事業、リテール事業、施設貸付事業及び鉄道事業を行っておりますが、生産及び受注については該当事項はありません。
(2) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
空港運営事業
リテール事業
施設貸付事業
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.( )には構成比を記載しております。
3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(参考情報)
成田国際空港運用状況
3 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成にあたっては、連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。なお、当社グループが行っている会計上の見積りのうち、特に重要なものとしては、繰延税金資産等があり、当連結会計年度末の繰延税金資産の回収可能性の判断に用いた見積りの仮定は「第5 経理の状況」の「(税効果会計関係)」に記載しております。
また、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況」の「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(2) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、2019年3月に策定した「NAAグループ中長期経営構想」において掲げた空港像の実現に向け、以下の各種取り組みを進めてまいりました。
①成田国際空港を安全・円滑にご利用頂くための取り組み
2019年9月の台風15号襲来の際に、空港アクセスも含めた空港全体での機能確保、多言語を含めたお客様への十分な情報提供、また、根本的に滞留者を発生させないための対策等に関する諸課題が明らかになったことから、着陸制限措置も含めた自然災害等非常時における対応体制等を検証の上で改善し、2019年10月に発生した台風19号や豪雨の際には、お客様の滞留を大幅に抑制することができました。また、2019年10月末には当社グループ及び空港関連事業者が連携し、台風等の教訓を踏まえた大規模自然災害への対応を行うため、「成田国際空港BCP」を策定しました。
②成田国際空港の更なる機能強化のための取り組み
国、千葉県、空港周辺9市町、当社による「成田空港に関する四者協議会」(以下、「四者協議会」という。)において、2018年3月13日、成田空港の更なる機能強化のための事業を実施していくことが確認され、その一環として、2019年2月4日、A滑走路の夜間飛行制限の変更について2019年冬ダイヤから実施することが確認され、当連結会計年度において、夜間延長時間帯の運用体制の構築やお客様・従業員向けのアクセス確保等の施策を進め、2019年10月27日には、成田国際空港に携わる全ての関係者のご尽力により発着時間を1時間延長した運用を始めることができました。
また、空港の発着容量を年間50万回まで拡大するため、環境アセスメント等の諸手続きの進捗状況を踏まえ、2019年11月5日には、国において、成田国際空港株式会社法第3条に基づく基本計画が改定され、更なる機能強化が当社の取り組む事業として正式に位置づけられました。これを受け、2019年11月7日には、B滑走路の1,000m延伸及び3,500mのC滑走路の新設等について、2028年度末を完成予定期日として、航空法に基づく空港等変更許可申請を行い、2020年1月31日に国から同申請の許可を頂きました。
さらに、2020年3月27日に開催された四者協議会においては、今後更なる機能強化を進めるにあたって残された課題の対応が確認されるとともに、成田国際空港周辺の地域づくりに関する「実施プラン」が策定されました。これにより、「更なる機能強化」を本格的に推進する環境が整い、「地域への対策」「地域づくり」と「更なる機能強化」を共に進めていくことが四者で確認されました。
③航空ネットワークの強化に向けた取り組み
国際線及び国内線ネットワークの更なる拡充と既存路線の増強を目的とする「成田ハブ化促進インセンティブ」において、新規就航を促進するため、割引率や割引年数を拡大した他、朝の時間帯の出発便を増やしお客様の利便性を高めるため、2019年4月から「朝発ボーナス」を導入し、また、長距離線の更なる拡充を図るため、2020年1月からは「国際線長距離ボーナス」を導入しました。
また、2019年9月には国から、日中間の輸送に関し、「成田・北京・上海に係る輸送力制限を大幅に緩和する」旨の公表があったことを受け、当社グループはこれらを大きな機会として、路線誘致に向けた積極的な営業活動を実施してまいりました。
④お客様の一層の利便性・快適性向上に向けた取り組み
第3旅客ターミナルビルが2015年4月のオープンから4年を経過し、予測を上回るLCCの成長により年間取扱能力である750万人を超えるお客様にご利用頂く中、お客様の集中する時間帯に混雑が発生していたことから、2019年9月に1階到着ロビーを拡張し、出発されるお客様と到着されたお客様の動線を分離することで混雑緩和を図ったことに加え、2020年3月にインラインスクリーニングシステム及びスマートセキュリティを導入し、より効率的なターミナル運用を実現することで、第3旅客ターミナルビルの年間取扱能力を900万人へ増強しました。
また、ファストトラベルについては、2019年9月から、全ての旅客ターミナルビルで順次自動手荷物預け機を本格導入するとともに、自動チェックイン機と自動手荷物預け機を利用したセルフサービス型の搭乗手続き「Smart Check-in」をスタートさせました。また、2020年3月までにスマートセキュリティを導入し、保安検査の高度化・効率化を実現しました。これらの取り組みに加えて、世界最先端の顔認証技術を用いた新しい搭乗手続き「OneID」についても現在取り組みを進めているところです。
加えて、成田国際空港初となるアニメ特化型複合エンターテインメントエリアとして、第2旅客ターミナルビル本館2階において、2019年11月に全長60m超の通路壁面にアニメキャラクターイラストを展示する「成田アニメロード」と、株式会社KADOKAWAプロデュースによる飲食店とグッズショップ「成田アニメデッキ」をオープンしました。
⑤東京2020大会に万全を期するとともに、多様なお客様を安全・円滑にお迎えするための取り組み
各種工事は概ね完了しており、第1、第2旅客ターミナルビルにおいては、バリューアップ工事を行いました。また、世界トップレベルのユニバーサルデザインを実現するための取り組みを具体化した「成田空港ユニバーサルデザイン基本計画」に基づき、旅客ターミナルビル内全てのトイレに音声案内・フラッシュライト・L型手すり等のユニバーサルデザインを導入し、トイレの全面リニューアルを行いました。これら工事も含め、各種取り組みを積極的に推進した結果として、2020年1月に国土交通省バリアフリー化推進功労者大臣表彰を受賞しました。
以上の取り組みを続ける中、新型コロナウイルス感染症発生以降は、国や空港関連事業者と連携の上、ホームページ、ツイッター、旅客ターミナルビル館内の大型デジタルサイネージ及びポスター掲示等による情報共有、ドアノブ・手すりや手荷物カートハンドルの念入りな消毒等による清掃強化、委託先・空港内スタッフのマスク着用、また、検疫所が旅客ターミナルビル館内において実施するPCR検査への協力等、水際対策を徹底してまいりました。他方、運休や減便、搭乗者数の減少により厳しい経営環境に晒されている航空会社やテナント等の事業者に対しては、一致団結してその影響を乗り越え、一刻も早い運航便の回復を図っていくための負担軽減策として、2020年3月、着陸料及び停留料の支払い猶予や事務室賃料、構内営業料等の減免による過去最大規模の緊急措置を講じました。
こうした状況下、2019年度における航空機発着回数は前期比0.7%増の258,497回となりましたが、航空旅客数は、2019年度に入って外国人旅客数の伸び幅に縮小傾向が見られた上、2020年に入り新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響により日本人・外国人ともに大幅に減少したことから、前期比3.9%減の41,480千人となりました。国際航空貨物量は、前年度の反動による貨物便の発着回数増に伴い、仮陸揚貨物は大幅に増加したものの、中国の景気減速傾向の影響を受けて輸出・輸入ともに減少したことから、前期比4.0%減の2,045千tとなりました。給油量は、給油量の多い貨物便の発着回数が増加したものの、国際線旅客便を中心とした近距離路線の増や低燃費機材による運航割合の増等の影響により、前期比0.4%減の4,412千klとなりました。
以上の結果、当連結会計年度における業績は、営業収益は前期比5.0%減の237,145百万円となりました。営業利益は前期比27.0%減の40,767百万円、経常利益は前期比27.0%減の39,146百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比31.7%減の24,423百万円となりました。
(3) 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況」の「2 事業等のリスク」に記載しております。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「1 経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、営業活動によって得られた資金を設備投資及び長期債務の返済に充当しております。
なお、当社グループの今後の資金需要において、主なものは空港運営事業等に係る設備投資であり、「第3 設備の状況」の「3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
(5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループの事業においては、大規模な設備投資が定期的に発生することから、営業利益を確保するとともに、設備投資を営業キャッシュ・フロー内に抑制し、債務残高を圧縮するキャッシュ・フロー重視の経営を行っております。また、当社グループは資産規模が大きいことから、資産効率の向上が経営上重要なポイントであると認識しております。
こうしたことから中期経営計画(2019~2021年度)においては、連結営業利益、連結ROA、連結長期債務残高、連結長期債務残高/連結営業キャッシュ・フロー倍率を重要な指標として位置付けております。
2021年度末時点の各指標の目標値と当連結会計年度の状況は以下の通りです。
なお、2021年度末時点の各指標の目標値については、新型コロナウイルス感染症の影響を見極めたうえで、改めてその取り扱いについて検討を行います。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
①財政状態の状況
当連結会計年度末における資産合計は834,378百万円、負債合計は454,973百万円、純資産合計は379,405百万円となりました。
資産は、前連結会計年度末比1.9%増の834,378百万円となりました。流動資産は、未収入金、商品等の増加等により前連結会計年度末比6.6%増の71,254百万円となりました。固定資産は、減価償却が進んだものの、東京2020大会に対応する施設の増加等により前連結会計年度末比1.5%増の763,124百万円となりました。
負債は、前連結会計年度末比0.1%増の454,973百万円となりました。流動負債は、1年内返済予定の長期借入金の増加等により、前連結会計年度末比3.8%増の99,041百万円となりました。固定負債は、長期借入金の減少等により前連結会計年度末比0.9%減の355,931百万円となりました。なお、長期借入金残高(1年内返済を含む)は32,000百万円となり、社債残高(1年内償還を含む)329,000百万円と合わせた長期債務残高は前連結会計年度末比5.5%減の361,000百万円となりました。
株主資本は、前連結会計年度末比3.8%増の371,714百万円となりました。これは配当金の支払いがあったものの、親会社株主に帰属する当期純利益が24,423百万円計上されたことによるものであります。当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の43.5%から1.0ポイント増加し44.5%となりました。
非支配株主持分は、前連結会計年度末比0.8%増の8,071百万円となり、その他の包括利益累計額を含めた純資産合計は前連結会計年度末比4.1%増の379,405百万円となりました。
②経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、米中貿易摩擦の長期化や欧州の政治情勢不安定等により不透明な状態が続いていたところ、新型コロナウイルス感染症の世界的大流行により大幅に景気が下押しされ、年度終盤において悪化しました。
これを受けた成田国際空港を取り巻く環境としましては、日韓関係の悪化に伴う韓国市場の減速はあったものの、引き続き観光先進国の実現に向けた官民一体での訪日プロモーションが行われたこと、また、2019年冬ダイヤから成田国際空港における日中間の権益が段階的に拡大することとなったことから、成田国際空港の国際線外国人旅客数は2020年1月まで全国平均を上回る形で推移しておりましたが、新型コロナウイルス感染症の影響により、2020年2月以降は大きく減少しました。
当連結会計年度における経営成績は、航空機発着回数について、新型コロナウイルスの感染拡大の影響等による国際線の減便、運休で減少したものの、国内線の新規就航等で増加したことから、空港使用料収入は微増。一方、新型コロナウイルスの感染拡大の影響等により国際線旅客数が減少したことから、旅客施設使用料収入、物販・飲食収入、構内営業料収入はいずれも減収となり、全体として、営業収益は前期比5.0%減の237,145百万円、営業利益は前期比27.0%減の40,767百万円、経常利益は前期比27.0%減の39,146百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比31.7%減の24,423百万円となりました。
セグメントの経営成績は次のとおりであります。
(空港運営事業)
空港運営事業では、航空機発着回数について、新型コロナウイルスの感染拡大の影響等により国際線は減少したものの、国内線は新規就航等で増加し、空港使用料収入は前期比0.7%増の40,987百万円となりました。一方、航空機材の低燃費化等により給油量が減少したことや新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、国際線の運休・減便が相次いだため給油施設使用料収入は前期比0.4%減の15,398百万円となりました。また、旅客施設使用料収入は新型コロナウイルスの感染拡大の影響等により国際線旅客数が減少したため、前期比5.0%減の39,571百万円となりました。以上の結果、営業収益は前期比1.9%減の108,801百万円、営業利益は東京2020大会に対応する施設改修費用や金利の低下により退職給付費用が増加したこと等により前期比75.8%減の2,597百万円となりました。
(リテール事業)
リテール事業では、元安による中国系旅客の消費マインドの低下に加え、新型コロナウイルスの感染拡大の影響等で国際線旅客数が大幅に減少したことにより、子会社が運営する直営店舗の物販・飲食収入は前期比10.1%減の74,191百万円、一般テナントからの構内営業料収入は前期比13.9%減の10,762百万円となりました。以上の結果、営業収益は前期比9.7%減の94,663百万円、営業利益は前期比18.3%減の24,493百万円となりました。
(施設貸付事業)
施設貸付事業では、営業収益は前期比1.0%減の30,699百万円、営業利益は東京2020大会に対応する施設改修費用
等の増加により、前期比9.5%減の13,221百万円となりました。
(鉄道事業)
鉄道事業では、営業収益は前期比0.2%減の2,981百万円、営業利益は前期比8.2%減の614百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末比2,649百万円増の38,456百万円となりました。フリー・キャッシュ・フローは、前期比3,606百万円減の34,581百万円のキャッシュ・インとなりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響等による減収により、税金等調整前当期純利益が減少し、前期比16,822百万円減の61,571百万円のキャッシュ・インとなりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、大型工事の完成が期末に集中し、支払いが翌期となったことから、固定資産の取得による支出が減少し、前期比13,215百万円減の26,990百万円のキャッシュ・アウトとなりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、社債の償還、長期借入金の返済が減少し、前期比5,917百万円減の31,929百万円のキャッシュ・アウトとなりました。
2 生産、受注及び販売の実績
(1) 当社グループにおいては、空港運営事業、リテール事業、施設貸付事業及び鉄道事業を行っておりますが、生産及び受注については該当事項はありません。
(2) 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 空港運営事業 (百万円) | 108,801 | (45.9%) | 98.1 |
| リテール事業 (百万円) | 94,663 | (39.9%) | 90.3 |
| 施設貸付事業 (百万円) | 30,699 | (12.9%) | 99.0 |
| 鉄道事業 (百万円) | 2,981 | ( 1.3%) | 99.8 |
| 合計 (百万円) | 237,145 | (100.0%) | 95.0 |
空港運営事業
| 区分 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 空港使用料収入 (百万円) | 40,987 | (37.6%) | 100.7 |
| 旅客施設使用料収入 (百万円) | 39,571 | (36.4%) | 95.0 |
| 給油施設使用料収入 (百万円) | 15,398 | (14.2%) | 99.6 |
| その他収入 (百万円) | 12,844 | (11.8%) | 98.6 |
| 合計 (百万円) | 108,801 | (100.0%) | 98.1 |
リテール事業
| 区分 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 物販・飲食収入 (百万円) | 74,191 | (78.3%) | 89.9 |
| 構内営業料収入 (百万円) | 10,762 | (11.4%) | 86.1 |
| その他収入 (百万円) | 9,708 | (10.3%) | 98.5 |
| 合計 (百万円) | 94,663 | (100.0%) | 90.3 |
施設貸付事業
| 区分 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 土地建物等貸付料収入 (百万円) | 22,690 | (73.9%) | 101.7 |
| その他収入 (百万円) | 8,008 | (26.1%) | 92.2 |
| 合計 (百万円) | 30,699 | (100.0%) | 99.0 |
(注) 1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.( )には構成比を記載しております。
3.本表の金額には、消費税等は含まれておりません。
(参考情報)
成田国際空港運用状況
| 区分 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | 前年同期比(%) | |
| 航空機発着回数(回) | 258,497 | 100.7 | |
| 国際線 | 202,703 | 99.2 | |
| 国内線 | 55,794 | 106.4 | |
| 航空旅客数(千人) | 41,480 | 96.1 | |
| 国際線 | 34,019 | 94.8 | |
| (うち日本人) | (13,656) | (94.9) | |
| (うち外国人) | (16,620) | (93.7) | |
| (うち通過客) | ( 3,744) | (99.6) | |
| 国内線 | 7,461 | 102.1 | |
| 国際航空貨物量(千t) | 2,045 | 96.0 | |
| 積 込 | 954 | 90.3 | |
| 取 卸 | 1,092 | 101.7 | |
| 給油量(千kl) | 4,412 | 99.6 | |
| 国際線 | 4,259 | 99.7 | |
| 国内線 | 153 | 95.8 | |
3 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は有価証券報告書提出日現在において判断したものであり、その達成を保証するものではありません。
(1) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されており、連結財務諸表の作成にあたっては、連結決算日における資産・負債及び当連結会計年度における収益・費用の数値に影響を与える事項について、過去の実績や現在の状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき見積りを行った上で、継続して評価を行っております。ただし、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。なお、当社グループが行っている会計上の見積りのうち、特に重要なものとしては、繰延税金資産等があり、当連結会計年度末の繰延税金資産の回収可能性の判断に用いた見積りの仮定は「第5 経理の状況」の「(税効果会計関係)」に記載しております。
また、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況」の「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
(2) 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループは、2019年3月に策定した「NAAグループ中長期経営構想」において掲げた空港像の実現に向け、以下の各種取り組みを進めてまいりました。
①成田国際空港を安全・円滑にご利用頂くための取り組み
2019年9月の台風15号襲来の際に、空港アクセスも含めた空港全体での機能確保、多言語を含めたお客様への十分な情報提供、また、根本的に滞留者を発生させないための対策等に関する諸課題が明らかになったことから、着陸制限措置も含めた自然災害等非常時における対応体制等を検証の上で改善し、2019年10月に発生した台風19号や豪雨の際には、お客様の滞留を大幅に抑制することができました。また、2019年10月末には当社グループ及び空港関連事業者が連携し、台風等の教訓を踏まえた大規模自然災害への対応を行うため、「成田国際空港BCP」を策定しました。
②成田国際空港の更なる機能強化のための取り組み
国、千葉県、空港周辺9市町、当社による「成田空港に関する四者協議会」(以下、「四者協議会」という。)において、2018年3月13日、成田空港の更なる機能強化のための事業を実施していくことが確認され、その一環として、2019年2月4日、A滑走路の夜間飛行制限の変更について2019年冬ダイヤから実施することが確認され、当連結会計年度において、夜間延長時間帯の運用体制の構築やお客様・従業員向けのアクセス確保等の施策を進め、2019年10月27日には、成田国際空港に携わる全ての関係者のご尽力により発着時間を1時間延長した運用を始めることができました。
また、空港の発着容量を年間50万回まで拡大するため、環境アセスメント等の諸手続きの進捗状況を踏まえ、2019年11月5日には、国において、成田国際空港株式会社法第3条に基づく基本計画が改定され、更なる機能強化が当社の取り組む事業として正式に位置づけられました。これを受け、2019年11月7日には、B滑走路の1,000m延伸及び3,500mのC滑走路の新設等について、2028年度末を完成予定期日として、航空法に基づく空港等変更許可申請を行い、2020年1月31日に国から同申請の許可を頂きました。
さらに、2020年3月27日に開催された四者協議会においては、今後更なる機能強化を進めるにあたって残された課題の対応が確認されるとともに、成田国際空港周辺の地域づくりに関する「実施プラン」が策定されました。これにより、「更なる機能強化」を本格的に推進する環境が整い、「地域への対策」「地域づくり」と「更なる機能強化」を共に進めていくことが四者で確認されました。
③航空ネットワークの強化に向けた取り組み
国際線及び国内線ネットワークの更なる拡充と既存路線の増強を目的とする「成田ハブ化促進インセンティブ」において、新規就航を促進するため、割引率や割引年数を拡大した他、朝の時間帯の出発便を増やしお客様の利便性を高めるため、2019年4月から「朝発ボーナス」を導入し、また、長距離線の更なる拡充を図るため、2020年1月からは「国際線長距離ボーナス」を導入しました。
また、2019年9月には国から、日中間の輸送に関し、「成田・北京・上海に係る輸送力制限を大幅に緩和する」旨の公表があったことを受け、当社グループはこれらを大きな機会として、路線誘致に向けた積極的な営業活動を実施してまいりました。
④お客様の一層の利便性・快適性向上に向けた取り組み
第3旅客ターミナルビルが2015年4月のオープンから4年を経過し、予測を上回るLCCの成長により年間取扱能力である750万人を超えるお客様にご利用頂く中、お客様の集中する時間帯に混雑が発生していたことから、2019年9月に1階到着ロビーを拡張し、出発されるお客様と到着されたお客様の動線を分離することで混雑緩和を図ったことに加え、2020年3月にインラインスクリーニングシステム及びスマートセキュリティを導入し、より効率的なターミナル運用を実現することで、第3旅客ターミナルビルの年間取扱能力を900万人へ増強しました。
また、ファストトラベルについては、2019年9月から、全ての旅客ターミナルビルで順次自動手荷物預け機を本格導入するとともに、自動チェックイン機と自動手荷物預け機を利用したセルフサービス型の搭乗手続き「Smart Check-in」をスタートさせました。また、2020年3月までにスマートセキュリティを導入し、保安検査の高度化・効率化を実現しました。これらの取り組みに加えて、世界最先端の顔認証技術を用いた新しい搭乗手続き「OneID」についても現在取り組みを進めているところです。
加えて、成田国際空港初となるアニメ特化型複合エンターテインメントエリアとして、第2旅客ターミナルビル本館2階において、2019年11月に全長60m超の通路壁面にアニメキャラクターイラストを展示する「成田アニメロード」と、株式会社KADOKAWAプロデュースによる飲食店とグッズショップ「成田アニメデッキ」をオープンしました。
⑤東京2020大会に万全を期するとともに、多様なお客様を安全・円滑にお迎えするための取り組み
各種工事は概ね完了しており、第1、第2旅客ターミナルビルにおいては、バリューアップ工事を行いました。また、世界トップレベルのユニバーサルデザインを実現するための取り組みを具体化した「成田空港ユニバーサルデザイン基本計画」に基づき、旅客ターミナルビル内全てのトイレに音声案内・フラッシュライト・L型手すり等のユニバーサルデザインを導入し、トイレの全面リニューアルを行いました。これら工事も含め、各種取り組みを積極的に推進した結果として、2020年1月に国土交通省バリアフリー化推進功労者大臣表彰を受賞しました。
以上の取り組みを続ける中、新型コロナウイルス感染症発生以降は、国や空港関連事業者と連携の上、ホームページ、ツイッター、旅客ターミナルビル館内の大型デジタルサイネージ及びポスター掲示等による情報共有、ドアノブ・手すりや手荷物カートハンドルの念入りな消毒等による清掃強化、委託先・空港内スタッフのマスク着用、また、検疫所が旅客ターミナルビル館内において実施するPCR検査への協力等、水際対策を徹底してまいりました。他方、運休や減便、搭乗者数の減少により厳しい経営環境に晒されている航空会社やテナント等の事業者に対しては、一致団結してその影響を乗り越え、一刻も早い運航便の回復を図っていくための負担軽減策として、2020年3月、着陸料及び停留料の支払い猶予や事務室賃料、構内営業料等の減免による過去最大規模の緊急措置を講じました。
こうした状況下、2019年度における航空機発着回数は前期比0.7%増の258,497回となりましたが、航空旅客数は、2019年度に入って外国人旅客数の伸び幅に縮小傾向が見られた上、2020年に入り新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大の影響により日本人・外国人ともに大幅に減少したことから、前期比3.9%減の41,480千人となりました。国際航空貨物量は、前年度の反動による貨物便の発着回数増に伴い、仮陸揚貨物は大幅に増加したものの、中国の景気減速傾向の影響を受けて輸出・輸入ともに減少したことから、前期比4.0%減の2,045千tとなりました。給油量は、給油量の多い貨物便の発着回数が増加したものの、国際線旅客便を中心とした近距離路線の増や低燃費機材による運航割合の増等の影響により、前期比0.4%減の4,412千klとなりました。
以上の結果、当連結会計年度における業績は、営業収益は前期比5.0%減の237,145百万円となりました。営業利益は前期比27.0%減の40,767百万円、経常利益は前期比27.0%減の39,146百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比31.7%減の24,423百万円となりました。
(3) 当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況」の「2 事業等のリスク」に記載しております。
(4) 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」の「1 経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであり、営業活動によって得られた資金を設備投資及び長期債務の返済に充当しております。
なお、当社グループの今後の資金需要において、主なものは空港運営事業等に係る設備投資であり、「第3 設備の状況」の「3 設備の新設、除却等の計画」に記載しております。
(5) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況
当社グループの事業においては、大規模な設備投資が定期的に発生することから、営業利益を確保するとともに、設備投資を営業キャッシュ・フロー内に抑制し、債務残高を圧縮するキャッシュ・フロー重視の経営を行っております。また、当社グループは資産規模が大きいことから、資産効率の向上が経営上重要なポイントであると認識しております。
こうしたことから中期経営計画(2019~2021年度)においては、連結営業利益、連結ROA、連結長期債務残高、連結長期債務残高/連結営業キャッシュ・フロー倍率を重要な指標として位置付けております。
2021年度末時点の各指標の目標値と当連結会計年度の状況は以下の通りです。
なお、2021年度末時点の各指標の目標値については、新型コロナウイルス感染症の影響を見極めたうえで、改めてその取り扱いについて検討を行います。
| 指標 | 2021年度(目標) | 2019年度(実績) |
| 連結営業利益 | 440億円以上 | 407億円 |
| 連結ROA(総資産営業利益率) | 4.5%以上 | 4.9% |
| 連結長期債務残高 | 5,000億円台前半 | 3,610億円 |
| 連結長期債務残高/連結営業キャッシュ・フロー倍率 | 7.2倍以下 | 5.9倍 |