有価証券報告書-第35期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/21 10:14
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【項目】
148項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善を背景に、緩やかな回復基調で推移しているものの、世界経済の減速懸念や米中貿易摩擦問題等の要因から、先行き不透明な状況が続いております。
このような経済環境下、当連結会計年度における当社グループの業績は、有料放送収入の増加や、テレマーケティング事業における外部売上の増加等により、売上高は826億23百万円と前期に比べ10億49百万円(1.3%)の増収となりました。営業利益は戦略的なコンテンツ強化による番組費の増加等により、67億79百万円と前期に比べ30億96百万円(△31.4%)の減益、経常利益は75億31百万円と前期に比べ31億67百万円(△29.6%)の減益、親会社株主に帰属する当期純利益は51億82百万円と前期に比べ21億77百万円(△29.6%)の減益となりました。
当社グループは、放送衛星を使った放送事業に係るサービスを行う「放送」、放送事業に係る顧客管理を含む「テレマーケティング」の2つを報告セグメントとしております。各セグメントの経営成績は次のとおりです。
<放送>当連結会計年度におきましては、オリジナルコンテンツの強化及び各ジャンルのNo.1コンテンツのラインナップに取り組むことで、他社との差別化を図りました。
スポーツでは、大坂なおみ選手がグランドスラム2大会連続優勝を成し遂げたことが話題となったテニスが新規加入を牽引しました。音楽では安室奈美恵や、東方神起、B’z等のライブが新規加入に貢献しました。
オリジナルドラマでは、滝沢秀明が初の外科医役に挑んだ「連続ドラマW 孤高のメス」や、「連続ドラマW コールドケース2 ~真実の扉~」、「連続ドラマW ダブル・ファンタジー」等が好評を得ました。
また、視聴の利便性を向上させ、新たな顧客開拓を図るために、当社の番組を放送と同時にネットで配信する「ネット同時配信」を2018年12月から開始しました。
以上の結果、当連結会計年度における放送セグメントの売上高は782億50百万円と前期に比べ5億99百万円(0.8%)の増収、セグメント利益は64億20百万円と前期に比べ33億19百万円(△34.1%)の減益となりました。
当連結会計年度の加入件数の状況は次表のとおりとなりました。
(単位:件)
第34期
2018年3月期
第35期
2019年3月期
対前年差対前年増減率
新規加入件数590,649660,19169,54211.8%
解約件数537,432635,10097,66818.2%
正味加入件数53,21725,091△28,126△52.9%
累計正味加入件数2,876,4022,901,49325,0910.9%
内)複数契約(注)1417,440415,289△2,151△0.5%
内)宿泊施設契約(注)260,65264,1803,5285.8%

(注)1. 同一契約者による2契約目と3契約目については、月額2,300円(税抜)の視聴料金を900円(税抜)に割引しており、当該割引の対象となる契約を「複数契約」と呼称しております。
2. 宿泊施設の客室で視聴するための宿泊施設事業者との契約については、視聴料金を個別に定めており、当該契約を「宿泊施設契約」と呼称しております。
<テレマーケティング>既存外部顧客からのテレマーケティング業務の受注等の増加による外部売上の増加や、セグメント間の内部売上の増加により、売上高は89億17百万円と前期に比べ12億7百万円(15.7%)の増収、セグメント利益は3億58百万円と前期に比べ2億22百万円(163.4%)の増益となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度末に比べ1億37百万円増加し、241億29百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は50億17百万円(前期比44億4百万円減)となりました。主なプラス要因は、税金等調整前当期純利益74億67百万円、仕入債務の増加額33億38百万円及び減価償却費27億13百万円の計上等であり、主なマイナス要因は、たな卸資産の増加額47億85百万円及び法人税等の支払額37億58百万円等です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は28億56百万円(前期比43億82百万円減)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出21億5百万円等です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は22億36百万円(前期比1億6百万円減)となりました。主な要因は、配当金の支払額21億59百万円等です。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における売上高実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称売上高(百万円)対前年増減率(%)
放送78,2240.8
テレマーケティング4,39811.6
合計82,6231.3

(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.主要な販売の相手先は一般視聴者であり、主な相手先別に記載するべきものはありません。
4.放送セグメントには有料放送収入70,692百万円(対前年増減率1.5%)を含んでおります。
加入件数の状況、加入方法及び有料放送の料金体系を示すと、以下のとおりです。
A 加入件数の状況
「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」における加入件数の状況をご参照ください。
B 加入方法
(A) デジタル機器(直接受信)による視聴の場合
加入申込は、カスタマーセンターでの電話による受付及びインターネット等を通じて顧客と当社が直接契約する形態と特約店業務委託契約をしている電器店等を通じて行う形態があります。
(B) ケーブルテレビ局経由による視聴の場合
加入申込は、当社が契約しているケーブルテレビ局を通じて行っております。
(C) スカパー経由による視聴の場合
加入申込は、スカパーJSAT㈱を通じて行っております。
(D) ひかりTV経由による視聴の場合
加入申込は、㈱アイキャストを通じて行っております。
C 有料放送の料金体系
区分視聴料備考
衛星デジタル有料放送サービス月額視聴料 2,300円
(プログラムガイド込み)
-
衛星デジタル有料放送サービスに更に衛星デジタル有料放送サービスを追加して有料放送契約を締結する場合の衛星デジタル有料放送サービス(複数契約)月額視聴料 900円
(プログラムガイドなし)
ただし、同一世帯による同一口座から視聴料の引落しを受ける衛星デジタル有料放送サービス契約1契約につき新たな衛星デジタル有料放送サービス2契約までとする。

(注)上記金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって、決算日における資産・負債の数値並びに当該会計期間における収益・費用の数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行います。
見積り及び判断の基礎としては、過去の実績や合理的と考えられる査定方式を採っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性により、見積りと異なる場合があります。見積りに大きな影響を及ぼす重要な会計方針の主要なものは以下のとおりです。
A たな卸資産
当社グループのたな卸資産の大半を占める番組勘定の計上額及び費用計上については、その収入獲得への経済的効果から、費用収益の対応・番組ジャンル別効果を勘案し費用計上基準を設定しております。なお、「棚卸資産の評価に関する会計基準」に基づき、貸借対照表価額は、収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定しております。
B 貸倒引当金
当社グループは、会計基準に基づく貸倒率による算定及び特定債権については、回収不能見込額を見積もった上で貸倒引当金を計上しております。しかしながら、景気の急激なる低下や特定顧客の財務状態の悪化により追加引当が必要となる可能性があります。
C 投資有価証券
当社グループは、長期的な取引関係維持または将来における事業の多角化を見据え、特定の有価証券を保有しております。これらの株式のうち、時価のあるものについて時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理をしております。時価を把握することが極めて困難と認められるものについて実質価額が著しく低下したときは、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない限り、減損処理をしております。
将来の市況悪化または投資先の業績不振等により、現在簿価に反映されていない追加的な評価損の計上が必要となる可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
A 連結経営成績の推移
最近5期間における経営成績(重要な経営指標)は、以下のように推移しております。
回次第31期第32期第33期第34期第35期
決算年月2015年3月2016年3月2017年3月2018年3月2019年3月
新規加入件数(件)684,521589,731578,193590,649660,191
解約件数(件)576,635541,387559,682537,432635,100
正味加入件数(件)107,88648,34418,51153,21725,091
累計正味加入件数(件)2,756,3302,804,6742,823,1852,876,4022,901,493
売上高(百万円)72,63175,29678,25381,57482,623
経常利益(百万円)10,3719,51610,28210,6987,531
売上高経常利益率(%)14.312.613.113.19.1
営業活動による
キャッシュ・フロー
(百万円)9,3095,33112,2029,4215,017

2015年3月期
累計正味加入件数増加に伴い有料放送収入が前期に比べ増加したこと等により、売上高は前期に比べ3.4%の増収となりました。番組費及び広告宣伝費等の効果的・効率的な投下等により営業費用が減少したことにより、経常利益は前期に比べ37.4%の増益、経常利益率は3.6ポイントの増加となりました。営業活動の結果得られた資金は前期に比べ67.9%の増加となりました。
2016年3月期
累計正味加入件数増加に伴い有料放送収入が前期に比べ増加したこと等により、売上高は前期に比べ3.7%の増収となりました。番組等に戦略的な費用投下を行ったことにより営業費用が増加したため、経常利益は前期に比べ8.2%の減益、経常利益率は1.7ポイントの減少となりました。営業活動の結果得られた資金は前期に比べ42.7%の減少となりました。
2017年3月期
累計正味加入件数増加に伴い有料放送収入が前期に比べ増加したことや、EC(電子商取引)ショップ等でのグッズ販売が増加したこと等により、売上高は前期に比べ3.9%の増収となりました。一方で、効果的・効率的な費用投下等により広告宣伝費等が減少したこと等により、経常利益は前期に比べ8.1%の増益、経常利益率は0.5ポイントの増加となりました。営業活動の結果得られた資金は前期に比べ128.9%の増加となりました。
2018年3月期
新たに㈱WOWOWプラスを連結子会社化したこと等により、売上高は前期に比べ4.2%の増収となりました。経常利益は広告宣伝費等が増加するも、為替差損益が良化したことにより、前期に比べ4.0%の増益、経常利益率は前期と同率となりました。営業活動の結果得られた資金は前期に比べ22.8%の減少となりました。
B 当連結会計年度(2019年3月期)の経営成績の分析
(A) 加入件数
当連結会計年度の新規加入件数は660,191件(対前年増減率11.8%)、解約件数は635,100件(同18.2%)、新規加入件数から解約件数を差し引きました正味加入件数は25,091件の増加(同△52.9%)となり、当連結会計年度末の累計正味加入件数は2,901,493件(同0.9%)と13期連続純増を達成しました。また、当連結会計年度末時点において、複数契約は415,289件(同△0.5%)、宿泊施設契約は64,180件(同5.8%)となりました。
(B) 売上高
売上高は有料放送収入の増加や、テレマーケティング事業における外部売上の増加等により826億23百万円となり、前期に比べ10億49百万円(1.3%)の増収となりました
(C) 経常利益
経常利益は戦略的なコンテンツ強化による番組費の増加等により75億31百万円となり、前期に比べ31億67百万円(△29.6%)の減益、経常利益率は、9.1%となりました。
(D) 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は50億17百万円となり、前期に比べ44億4百万円(△46.8%)の減少となりました。主なプラス要因は、税金等調整前当期純利益74億67百万円、仕入債務の増加額33億38百万円及び減価償却費27億13百万円の計上等であり、主なマイナス要因は、たな卸資産の増加額47億85百万円及び法人税等の支払額37億58百万円等です。
C 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループを取り巻く事業環境は、年々競争激化の様相を強めております。それに伴い事業運営のリスク要因等も多種・多様化しております。詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」並びに「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
当社グループの売上高の源泉は加入者からの視聴料です。したがって、加入者を如何にして増やし続けるか、その為に何をするかが重要な課題であり、経営成績に重要な影響を与える要因です。さらに、当社グループの基幹事業は放送です。加入への誘引、加入していただいたお客さまの視聴の継続に大きく影響を及ぼすのは、放送の内容、番組、コンテンツです。質の高いコンテンツを獲得することは、必要不可欠であり、経営成績に重要な影響を与える要因です。
D 資本の財源及び資金の流動性について
(A) 当社グループの資金状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度に比べ1億37百万円増加し、241億29百万円となりました。詳細につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(B) 財務政策
当社グループは、運転資金及び設備投資等の資金につきましては、自己資金により充当しております。
次期の運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金及び取引銀行4行と個別契約しております総額32億70百万円の当座貸越契約により確保しております。