訂正有価証券報告書-第37期(2020/04/01-2021/03/31)
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により経済活動の停滞や個人消費の低迷が続く等厳しい状況となりました。各種政策の効果や海外経済の改善により景気は持ち直しの動きが見られるものの、新型コロナウイルス感染症の再拡大が経済を下振れさせる懸念もあり、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
このような経済環境下、当連結会計年度における当社グループの業績は、累計正味加入件数の減少に伴う有料放送収入の減少等により、売上高は791億65百万円と前期に比べ32億85百万円(△4.0%)の減収となりました。営業利益は新型コロナウイルス感染症の影響によるスポーツや音楽ライブ等の延期・中止に伴い番組費が減少しましたが、4Kや配信関連費用等が増加したことにより、67億89百万円と前期に比べ16億99百万円(△20.0%)の減益、経常利益は貸倒引当金繰入額を計上したこと等により、69億34百万円と前期に比べ22億91百万円(△24.8%)の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は減損損失等を計上したことにより、29億42百万円と前期に比べ21億29百万円(△42.0%)の減益となりました。
当社グループは、放送衛星を使った放送事業に係るサービスを行う「放送」、放送事業に係る顧客管理を含む「テレマーケティング」の2つを報告セグメントとしております。各セグメントの経営成績は次のとおりです。
<放送>当連結会計年度は、大坂なおみ選手がそれぞれの大会で二度目の優勝を成し遂げた「全米オープンテニス」「全豪オープンテニス」や、渋野日向子選手の躍進が注目を浴びた「LPGA全米女子オープン」、「UEFAチャンピオンズリーグ」等のスポーツコンテンツのほか、開局30周年記念「連続ドラマW コールドケース3~真実の扉~」等が新規加入を牽引しました。
また、2021年1月にはBS視聴環境が整っていなくても、インターネット環境があればWEB上でご加入いただける「WOWOWオンデマンド」をスタートしました。さらに、1月の「電波少年W~あなたのテレビの記憶を集めた~い!~」を皮切りに、「全豪オープンテニス」開催に合わせた「WOWOWテニスワールド」を2月に立ち上げる等、「視聴」だけではなく、お客さまに「参加」、「応援」、「体験」いただくコミュニティサービスを開始しました。3月には4Kチャンネル「WOWOW 4K」を開局する等、さまざまな変革に取り組みました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、スポーツイベントや音楽ライブ等が延期・中止になったこと等の影響は大きく、正味加入件数は純減と厳しい結果となりました。
以上の結果、当連結会計年度における放送セグメントの売上高は、749億77百万円と前期に比べ31億7百万円(△4.0%)の減収、セグメント利益は65億72百万円と前期に比べ16億50百万円(△20.1%)の減益となりました。
当連結会計年度の加入件数の状況は次表のとおりとなりました。
(単位:件)
(注)1. 同一契約者による2契約目と3契約目については、月額2,530円(税込)の視聴料金を990円(税込)に割引しており、当該割引の対象となる契約を「複数契約」と呼称しております。
2. 宿泊施設の客室で視聴するための宿泊施設事業者との契約については、視聴料金を個別に定めており、当該契約を「宿泊施設契約」と呼称しております。
<テレマーケティング>既存外部顧客からのテレマーケティング業務等の外部売上が新型コロナウイルス感染症の影響により減少しましたが、セグメント間の内部売上の増加により、売上高は94億13百万円と前期に比べ3億46百万円(3.8%)の増収となりました。一方、費用面において、当該感染症対策関連費の発生等により、セグメント利益は2億17百万円と前期に比べ49百万円(△18.5%)の減益となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度末に比べ61億36百万円減少し、221億51百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は59億61百万円(前期比40億21百万円減)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益45億53百万円、減価償却費33億14百万円、減損損失21億31百万円の計上であり、主な減少要因は、法人税等の支払額27億80百万円、たな卸資産の増加額11億34百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は99億48百万円(前期比63億68百万円増)となりました。主な増加要因は、定期預金の払戻による収入30億66百万円であり、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出56億60百万円、定期預金の預入による支出53億13百万円、無形固定資産の取得による支出17億6百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は21億96百万円(前期比1百万円減)となりました。主な要因は、配当金の支払額21億59百万円です。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における売上高実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.主要な販売の相手先は一般視聴者であり、主な相手先別に記載するべきものはありません。
4.放送セグメントには有料放送収入67,638百万円(対前年増減率△3.6%)を含んでおります。
加入件数の状況、加入方法及び有料放送の料金体系を示すと、以下のとおりです。
A 加入件数の状況
「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」における加入件数の状況をご参照ください。
B 加入方法
(A) デジタル機器(直接受信)による視聴の場合
加入申込は、カスタマーセンターでの電話による受付及びインターネット等を通じて顧客と当社が直接契約する形態と特約店業務委託契約をしている電器店等を通じて行う形態があります。
(B) ケーブルテレビ局経由による視聴の場合
加入申込は、当社が契約しているケーブルテレビ局を通じて行っております。
(C) スカパー経由による視聴の場合
加入申込は、スカパーJSAT㈱を通じて行っております。
(D) ひかりTV経由による視聴の場合
加入申込は、㈱アイキャストを通じて行っております。
C 有料放送の料金体系
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって、決算日における資産・負債の数値並びに当該会計期間における収益・費用の数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行います。
見積り及び判断の基礎としては、過去の実績や合理的と考えられる査定方式を採っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性により、見積りと異なる場合があります。見積りに大きな影響を及ぼす重要な会計方針の主要なものは以下のとおりです。
A 固定資産の減損処理
当社グループは、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損して、当該差額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等を合理的に見積った上で計算するため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の見積りに変更があった場合、当社グループで減損損失が計上される可能性があります。
B 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、回収可能性を判断したうえで繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、当該見積額が減少した場合には繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
C 投資有価証券の減損処理
当社グループは、長期的な取引関係維持または将来における事業の多角化を見据え、特定の有価証券を保有しております。これらの株式のうち、時価のあるものについて時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理をしております。時価を把握することが極めて困難と認められるものについて実質価額が著しく低下したときは、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない限り、減損処理をしております。
将来の市況悪化または投資先の業績不振等により、現在簿価に反映されていない追加的な評価損の計上が必要となる可能性があります。
当連結会計年度において、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)及び 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については不確実性があり、将来の業績予測等に反映させることが難しい要素もあるものの、現時点において入手可能な情報を基に合理的な見積りを行っております。合理的な見積りを行うにあたり使用した当該感染症の収束時期等を含む仮定に関する情報と影響する項目は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
A 連結経営成績の推移
最近5期間における経営成績(重要な経営指標)は、以下のように推移しております。
2017年3月期
累計正味加入件数増加に伴い有料放送収入が前期に比べ増加したことや、EC(電子商取引)ショップ等でのグッズ販売が増加したこと等により、売上高は前期に比べ3.9%の増収となりました。一方で、効果的・効率的な費用投下等により広告宣伝費等が減少したこと等により、経常利益は前期に比べ8.1%の増益、経常利益率は0.5ポイントの増加となりました。営業活動の結果得られた資金は前期に比べ128.9%の増加となりました。
2018年3月期
新たに㈱WOWOWプラスを連結子会社化したこと等により、売上高は前期に比べ4.2%の増収となりました。経常利益は広告宣伝費等が増加するも、為替差損益が良化したことにより、前期に比べ4.0%の増益、経常利益率は前期と同率となりました。営業活動の結果得られた資金は前期に比べ22.8%の減少となりました。
2019年3月期
累計正味加入件数増加に伴い有料放送収入が前期に比べ増加したことや、テレマーケティング事業における外部売上の増加等により、売上高は前期に比べ1.3%の増収となりました。一方で、戦略的なコンテンツ強化による番組費の増加等により、経常利益は前期に比べ29.6%の減益、経常利益率は4.0ポイントの減少となりました。営業活動の結果得られた資金は前期に比べ46.8%の減少となりました。
2020年3月期
累計正味加入件数の減少に伴う有料放送収入の減少等により、売上高は前期に比べ0.2%の減収となりました。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響によるスポーツや音楽ライブ等の延期、中止に伴い番組費が減少したこと等により、経常利益は前期に比べ22.5%の増益、経常利益率は2.1ポイントの増加となりました。営業活動の結果得られた資金は前期に比べ99.0%の増加となりました。
B 当連結会計年度(2021年3月期)の経営成績の分析
(A) 加入件数
当連結会計年度における加入件数の状況は、動画配信サービスの普及により、お客さまの視聴の選択肢が増えていることや、新型コロナウイルス感染症の影響により、放送、配信を予定していたスポーツや音楽ライブ等が延期、中止となったこと等から、新規加入件数は542,246件(対前年増減率△3.8%)、解約件数は605,541件(同△0.8%)、新規加入件数から解約件数を差し引きました正味加入件数は△63,295件となり、当連結会計年度末の累計正味加入件数は2,791,471件(同△2.2%)と2期連続純減と厳しい結果になりました。また、当連結会計年度末時点において、複数契約は397,191件(同△3.1%)、宿泊施設契約は75,294件(同7.0%)となりました。
(B) 売上高
累計正味加入件数の減少に伴う有料放送収入の減少等により、売上高は791億65百万円と前期に比べ32億85百万円(△4.0%)の減収となりました。
(C) 経常利益
新型コロナウイルス感染症の影響によるスポーツや音楽ライブ等の延期・中止に伴い番組費が減少しましたが、4Kや配信関連費用等が増加したことや、貸倒引当金繰入額を計上したこと等により、69億34百万円と前期に比べ22億91百万円(△24.8%)の減益となりました。
(D) 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は59億61百万円となり、前期に比べ40億21百万円(40.3%)の減少となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益45億53百万円、減価償却費33億14百万円、減損損失21億31百万円の計上であり、主な減少要因は、法人税等の支払額27億80百万円、たな卸資産の増加額11億34百万円です。
C 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループを取り巻く事業環境は、年々競争激化の様相を強めております。それに伴い事業運営のリスク要因等も多種・多様化しております。詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」並びに「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
当社グループの売上高の源泉は加入者からの視聴料です。したがって、加入者を如何にして増やし続けるか、その為に何をするかが重要な課題であり、経営成績に重要な影響を与える要因です。さらに、当社グループの基幹事業は放送です。加入への誘引、加入していただいたお客さまの視聴の継続に大きく影響を及ぼすのは、放送の内容、番組、コンテンツです。質の高いコンテンツを獲得することは、必要不可欠であり、経営成績に重要な影響を与える要因です。
D 資本の財源及び資金の流動性について
(A) 当社グループの資金状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度に比べ61億36百万円減少し、221億51百万円となりました。詳細につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(B) 財務政策
当社グループは、運転資金及び設備投資等の資金につきましては、自己資金により充当しております。
次期の運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金、取引銀行4行と個別契約しております総額32億70百万円の当座貸越契約及び取引銀行4行と2021年5月31日に締結いたしました総額100億円のコミットメントライン契約により確保しております。なお、コミットメントライン契約の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象) (コミットメントライン契約の締結)」をご参照下さい。
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により経済活動の停滞や個人消費の低迷が続く等厳しい状況となりました。各種政策の効果や海外経済の改善により景気は持ち直しの動きが見られるものの、新型コロナウイルス感染症の再拡大が経済を下振れさせる懸念もあり、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
このような経済環境下、当連結会計年度における当社グループの業績は、累計正味加入件数の減少に伴う有料放送収入の減少等により、売上高は791億65百万円と前期に比べ32億85百万円(△4.0%)の減収となりました。営業利益は新型コロナウイルス感染症の影響によるスポーツや音楽ライブ等の延期・中止に伴い番組費が減少しましたが、4Kや配信関連費用等が増加したことにより、67億89百万円と前期に比べ16億99百万円(△20.0%)の減益、経常利益は貸倒引当金繰入額を計上したこと等により、69億34百万円と前期に比べ22億91百万円(△24.8%)の減益となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は減損損失等を計上したことにより、29億42百万円と前期に比べ21億29百万円(△42.0%)の減益となりました。
当社グループは、放送衛星を使った放送事業に係るサービスを行う「放送」、放送事業に係る顧客管理を含む「テレマーケティング」の2つを報告セグメントとしております。各セグメントの経営成績は次のとおりです。
<放送>当連結会計年度は、大坂なおみ選手がそれぞれの大会で二度目の優勝を成し遂げた「全米オープンテニス」「全豪オープンテニス」や、渋野日向子選手の躍進が注目を浴びた「LPGA全米女子オープン」、「UEFAチャンピオンズリーグ」等のスポーツコンテンツのほか、開局30周年記念「連続ドラマW コールドケース3~真実の扉~」等が新規加入を牽引しました。
また、2021年1月にはBS視聴環境が整っていなくても、インターネット環境があればWEB上でご加入いただける「WOWOWオンデマンド」をスタートしました。さらに、1月の「電波少年W~あなたのテレビの記憶を集めた~い!~」を皮切りに、「全豪オープンテニス」開催に合わせた「WOWOWテニスワールド」を2月に立ち上げる等、「視聴」だけではなく、お客さまに「参加」、「応援」、「体験」いただくコミュニティサービスを開始しました。3月には4Kチャンネル「WOWOW 4K」を開局する等、さまざまな変革に取り組みました。
しかしながら、新型コロナウイルス感染症の影響により、スポーツイベントや音楽ライブ等が延期・中止になったこと等の影響は大きく、正味加入件数は純減と厳しい結果となりました。
以上の結果、当連結会計年度における放送セグメントの売上高は、749億77百万円と前期に比べ31億7百万円(△4.0%)の減収、セグメント利益は65億72百万円と前期に比べ16億50百万円(△20.1%)の減益となりました。
当連結会計年度の加入件数の状況は次表のとおりとなりました。
(単位:件)
第36期 2020年3月期 | 第37期 2021年3月期 | 対前年差 | 対前年増減率 | ||
新規加入件数 | 563,915 | 542,246 | △21,669 | △3.8% | |
解約件数 | 610,642 | 605,541 | △5,101 | △0.8% | |
正味加入件数 | △46,727 | △63,295 | △16,568 | - | |
累計正味加入件数 | 2,854,766 | 2,791,471 | △63,295 | △2.2% | |
内)複数契約(注)1 | 409,910 | 397,191 | △12,719 | △3.1% | |
内)宿泊施設契約(注)2 | 70,358 | 75,294 | 4,936 | 7.0% |
(注)1. 同一契約者による2契約目と3契約目については、月額2,530円(税込)の視聴料金を990円(税込)に割引しており、当該割引の対象となる契約を「複数契約」と呼称しております。
2. 宿泊施設の客室で視聴するための宿泊施設事業者との契約については、視聴料金を個別に定めており、当該契約を「宿泊施設契約」と呼称しております。
<テレマーケティング>既存外部顧客からのテレマーケティング業務等の外部売上が新型コロナウイルス感染症の影響により減少しましたが、セグメント間の内部売上の増加により、売上高は94億13百万円と前期に比べ3億46百万円(3.8%)の増収となりました。一方、費用面において、当該感染症対策関連費の発生等により、セグメント利益は2億17百万円と前期に比べ49百万円(△18.5%)の減益となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度末に比べ61億36百万円減少し、221億51百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は59億61百万円(前期比40億21百万円減)となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益45億53百万円、減価償却費33億14百万円、減損損失21億31百万円の計上であり、主な減少要因は、法人税等の支払額27億80百万円、たな卸資産の増加額11億34百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は99億48百万円(前期比63億68百万円増)となりました。主な増加要因は、定期預金の払戻による収入30億66百万円であり、主な減少要因は、有形固定資産の取得による支出56億60百万円、定期預金の預入による支出53億13百万円、無形固定資産の取得による支出17億6百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は21億96百万円(前期比1百万円減)となりました。主な要因は、配当金の支払額21億59百万円です。
③ 生産、受注及び販売の実績
当連結会計年度における売上高実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
セグメントの名称 | 売上高(百万円) | 対前年増減率(%) |
放送 | 74,968 | △4.0 |
テレマーケティング | 4,197 | △3.9 |
合計 | 79,165 | △4.0 |
(注)1.上記金額には、消費税等は含まれておりません。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.主要な販売の相手先は一般視聴者であり、主な相手先別に記載するべきものはありません。
4.放送セグメントには有料放送収入67,638百万円(対前年増減率△3.6%)を含んでおります。
加入件数の状況、加入方法及び有料放送の料金体系を示すと、以下のとおりです。
A 加入件数の状況
「(1) 経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」における加入件数の状況をご参照ください。
B 加入方法
(A) デジタル機器(直接受信)による視聴の場合
加入申込は、カスタマーセンターでの電話による受付及びインターネット等を通じて顧客と当社が直接契約する形態と特約店業務委託契約をしている電器店等を通じて行う形態があります。
(B) ケーブルテレビ局経由による視聴の場合
加入申込は、当社が契約しているケーブルテレビ局を通じて行っております。
(C) スカパー経由による視聴の場合
加入申込は、スカパーJSAT㈱を通じて行っております。
(D) ひかりTV経由による視聴の場合
加入申込は、㈱アイキャストを通じて行っております。
C 有料放送の料金体系
区分 | 視聴料 | 備考 | |
衛星デジタル有料放送サービス | 月額視聴料 2,530円(税込) (プログラムガイド込み) | - | |
衛星デジタル有料放送サービスに更に衛星デジタル有料放送サービスを追加して有料放送契約を締結する場合の衛星デジタル有料放送サービス(複数契約) | 月額視聴料 990円(税込) (プログラムガイドなし) | ただし、同一世帯による同一口座から視聴料の引落しを受ける衛星デジタル有料放送サービス契約1契約につき新たな衛星デジタル有料放送サービス2契約までとする。 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって、決算日における資産・負債の数値並びに当該会計期間における収益・費用の数値に影響を与える見積り及び仮定設定を行います。
見積り及び判断の基礎としては、過去の実績や合理的と考えられる査定方式を採っております。実際の結果は、見積り特有の不確実性により、見積りと異なる場合があります。見積りに大きな影響を及ぼす重要な会計方針の主要なものは以下のとおりです。
A 固定資産の減損処理
当社グループは、収益性が著しく低下した資産グループについて、固定資産の帳簿価額を回収可能価額まで減損して、当該差額を減損損失として計上しております。
固定資産の回収可能価額について、将来キャッシュ・フロー、割引率、正味売却価額等を合理的に見積った上で計算するため、当初見込んでいた収益が得られなかった場合や、将来キャッシュ・フロー等の見積りに変更があった場合、当社グループで減損損失が計上される可能性があります。
B 繰延税金資産の回収可能性
当社グループは、回収可能性を判断したうえで繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存しますので、当該見積額が減少した場合には繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
C 投資有価証券の減損処理
当社グループは、長期的な取引関係維持または将来における事業の多角化を見据え、特定の有価証券を保有しております。これらの株式のうち、時価のあるものについて時価が著しく下落したときは、回復する見込みがあると認められる場合を除き、減損処理をしております。時価を把握することが極めて困難と認められるものについて実質価額が著しく低下したときは、回復可能性が十分な証拠によって裏付けられない限り、減損処理をしております。
将来の市況悪化または投資先の業績不振等により、現在簿価に反映されていない追加的な評価損の計上が必要となる可能性があります。
当連結会計年度において、連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)及び 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
なお、新型コロナウイルス感染症の影響については不確実性があり、将来の業績予測等に反映させることが難しい要素もあるものの、現時点において入手可能な情報を基に合理的な見積りを行っております。合理的な見積りを行うにあたり使用した当該感染症の収束時期等を含む仮定に関する情報と影響する項目は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
A 連結経営成績の推移
最近5期間における経営成績(重要な経営指標)は、以下のように推移しております。
回次 | 第33期 | 第34期 | 第35期 | 第36期 | 第37期 | |
決算年月 | 2017年3月 | 2018年3月 | 2019年3月 | 2020年3月 | 2021年3月 | |
新規加入件数 | (件) | 578,193 | 590,649 | 660,191 | 563,915 | 542,246 |
解約件数 | (件) | 559,682 | 537,432 | 635,100 | 610,642 | 605,541 |
正味加入件数 | (件) | 18,511 | 53,217 | 25,091 | △46,727 | △63,295 |
累計正味加入件数 | (件) | 2,823,185 | 2,876,402 | 2,901,493 | 2,854,766 | 2,791,471 |
売上高 | (百万円) | 78,253 | 81,574 | 82,623 | 82,450 | 79,165 |
経常利益 | (百万円) | 10,282 | 10,698 | 7,531 | 9,225 | 6,934 |
売上高経常利益率 | (%) | 13.1 | 13.1 | 9.1 | 11.2 | 8.8 |
営業活動による キャッシュ・フロー | (百万円) | 12,202 | 9,421 | 5,017 | 9,982 | 5,961 |
2017年3月期
累計正味加入件数増加に伴い有料放送収入が前期に比べ増加したことや、EC(電子商取引)ショップ等でのグッズ販売が増加したこと等により、売上高は前期に比べ3.9%の増収となりました。一方で、効果的・効率的な費用投下等により広告宣伝費等が減少したこと等により、経常利益は前期に比べ8.1%の増益、経常利益率は0.5ポイントの増加となりました。営業活動の結果得られた資金は前期に比べ128.9%の増加となりました。
2018年3月期
新たに㈱WOWOWプラスを連結子会社化したこと等により、売上高は前期に比べ4.2%の増収となりました。経常利益は広告宣伝費等が増加するも、為替差損益が良化したことにより、前期に比べ4.0%の増益、経常利益率は前期と同率となりました。営業活動の結果得られた資金は前期に比べ22.8%の減少となりました。
2019年3月期
累計正味加入件数増加に伴い有料放送収入が前期に比べ増加したことや、テレマーケティング事業における外部売上の増加等により、売上高は前期に比べ1.3%の増収となりました。一方で、戦略的なコンテンツ強化による番組費の増加等により、経常利益は前期に比べ29.6%の減益、経常利益率は4.0ポイントの減少となりました。営業活動の結果得られた資金は前期に比べ46.8%の減少となりました。
2020年3月期
累計正味加入件数の減少に伴う有料放送収入の減少等により、売上高は前期に比べ0.2%の減収となりました。一方で、新型コロナウイルス感染症の影響によるスポーツや音楽ライブ等の延期、中止に伴い番組費が減少したこと等により、経常利益は前期に比べ22.5%の増益、経常利益率は2.1ポイントの増加となりました。営業活動の結果得られた資金は前期に比べ99.0%の増加となりました。
B 当連結会計年度(2021年3月期)の経営成績の分析
(A) 加入件数
当連結会計年度における加入件数の状況は、動画配信サービスの普及により、お客さまの視聴の選択肢が増えていることや、新型コロナウイルス感染症の影響により、放送、配信を予定していたスポーツや音楽ライブ等が延期、中止となったこと等から、新規加入件数は542,246件(対前年増減率△3.8%)、解約件数は605,541件(同△0.8%)、新規加入件数から解約件数を差し引きました正味加入件数は△63,295件となり、当連結会計年度末の累計正味加入件数は2,791,471件(同△2.2%)と2期連続純減と厳しい結果になりました。また、当連結会計年度末時点において、複数契約は397,191件(同△3.1%)、宿泊施設契約は75,294件(同7.0%)となりました。
(B) 売上高
累計正味加入件数の減少に伴う有料放送収入の減少等により、売上高は791億65百万円と前期に比べ32億85百万円(△4.0%)の減収となりました。
(C) 経常利益
新型コロナウイルス感染症の影響によるスポーツや音楽ライブ等の延期・中止に伴い番組費が減少しましたが、4Kや配信関連費用等が増加したことや、貸倒引当金繰入額を計上したこと等により、69億34百万円と前期に比べ22億91百万円(△24.8%)の減益となりました。
(D) 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動の結果得られた資金は59億61百万円となり、前期に比べ40億21百万円(40.3%)の減少となりました。主な増加要因は、税金等調整前当期純利益45億53百万円、減価償却費33億14百万円、減損損失21億31百万円の計上であり、主な減少要因は、法人税等の支払額27億80百万円、たな卸資産の増加額11億34百万円です。
C 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループを取り巻く事業環境は、年々競争激化の様相を強めております。それに伴い事業運営のリスク要因等も多種・多様化しております。詳細につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」並びに「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
当社グループの売上高の源泉は加入者からの視聴料です。したがって、加入者を如何にして増やし続けるか、その為に何をするかが重要な課題であり、経営成績に重要な影響を与える要因です。さらに、当社グループの基幹事業は放送です。加入への誘引、加入していただいたお客さまの視聴の継続に大きく影響を及ぼすのは、放送の内容、番組、コンテンツです。質の高いコンテンツを獲得することは、必要不可欠であり、経営成績に重要な影響を与える要因です。
D 資本の財源及び資金の流動性について
(A) 当社グループの資金状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の期末残高は、前連結会計年度に比べ61億36百万円減少し、221億51百万円となりました。詳細につきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
(B) 財務政策
当社グループは、運転資金及び設備投資等の資金につきましては、自己資金により充当しております。
次期の運転資金及び設備投資資金につきましては、自己資金、取引銀行4行と個別契約しております総額32億70百万円の当座貸越契約及び取引銀行4行と2021年5月31日に締結いたしました総額100億円のコミットメントライン契約により確保しております。なお、コミットメントライン契約の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (重要な後発事象) (コミットメントライン契約の締結)」をご参照下さい。