有価証券報告書-第177期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/28 9:09
【資料】
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【項目】
92項目
(経営成績等の概要)
(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、不安定な国際情勢などの影響が懸念されましたが、企業収益や雇用情勢の改善などを背景に景気は緩やかな回復を続けてまいりました。
ホテル業界におきましては、訪日外国人客数が過去最高を記録するなど、宿泊を中心に需要の拡大が継続いたしましたが、一方で、新規ホテルの開業等による客室の供給増や競合ホテル間での価格競争の激化など、厳しい経営環境となりました。
このような状況のもと、当社グループにおきましては、市場の動向に対応した営業活動と的確な価格政策に努めるとともに、外国人富裕層の利用拡大に向けた営業活動を強力に推進するなど、売上げの増進に全力を注いでまいりました。
また、「フランク・ロイド・ライト生誕150周年」を記念した催事や商品販売、提携ホテル『ハレクラニ』や各国大使館と協働した多彩な外国催事の開催など、話題性のある企画と商品開発に積極的に取り組み、集客と売上げの向上に邁進してまいりました。加えて、当社グループが継承する歴史と伝統を国内外に広く発信するべく、本館1階に常設の展示スペース「インペリアル タイムズ」を新設するなど、ブランド力のさらなる強化に努めてまいりました。
さらに、当連結会計年度は各国重要賓客の宿泊が相次ぎ、当社グループが有する「ハードウェア」「ソフトウェア」「ヒューマンウェア」の総力を結集した接遇により、高い評価を得ることができました。
設備面におきましても、本館のスイートルームおよび鉄板焼レストラン『嘉門』の改修や大阪のカジュアルレストラン『カフェ クベール』の新規開店など、競争力の強化と顧客満足のさらなる向上を目指し、諸施設の改善に取り組んでまいりました。
一方、経費面におきましては、業務全般の効率化による諸経費の削減に努め、利益の向上にグループ一丸となって努めてまいりましたが、サービス向上とさらなる安全・安心の確保に向けた人件費や業務委託費の増加を補うには至りませんでした。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は、前期比2.2%増の57,236百万円となり、営業利益は前期比4.8%減の4,698百万円、経常利益は前期比4.0%減の4,961百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は前期比7.9%減の3,399百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
①ホテル事業
宿泊は、繁閑に応じた価格政策により、インターネット経由の個人客やインバウンドが好調に推移し、稼働率は前年を上回りましたが、一室単価は前年を下回った結果、売上高は前年並みとなりました。
食堂は、鉄板焼レストラン『嘉門』や大阪のカジュアルレストラン『カフェ クベール』の改修工事による影響もありましたが、多彩な外国催事や企画商品、バー・ラウンジを中心に顧客ニーズに即したメニューが好評であったことなどから、売上高は前年を上回る結果となりました。
宴会は、一般宴会は、社長就任披露や周年記念等の大型宴会の受注が好調であり、婚礼も、市場のニーズを捉えた販売施策を積極的に展開した結果、売上増となりました。
以上のことなどから、売上高は前期比2.2%増の53,431百万円となりましたが、営業費用増もあり、営業利益は前期比1.8%減の4,987百万円となりました。
②不動産賃貸事業
賃料改定の効果もあり、売上高は前期比0.9%増の3,825百万円となりましたが、設備改修などにより、営業利益は前期比3.8%減の2,016百万円となりました。
財政状態の概要は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて4,558百万円増加し79,225百万円となりました。負債は、前連結会計年度に比べて1,708百万円増加し22,648百万円となりました。純資産は、前連結会計年度と比べて2,850百万円増加し56,577百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、28,429百万円となり、前年同期と比べ2,146百万円(8.2%)増加いたしました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益や減価償却費などにより増加し、法人税等の支払いなどにより減少したことにより、前年同期と比べ3,005百万円(60.6%)増加し、7,964百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得による支出が前期に比べて増加したことなどにより、前年同期と比べ1,292百万円(35.6%)増加し、4,928百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いが前期に比べて減少したことなどにより、前年同期と比べ59百万円(6.3%)減少し、890百万円の支出となりました。
(生産、受注及び販売の実績)
(1) セグメント売上高
セグメントの名称前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
金額(百万円)金額(百万円)
ホテル事業52,26253,431
帝国ホテル本社39,43340,463
帝国ホテル大阪10,99411,101
その他1,8341,866
不動産賃貸事業3,7683,804
合計56,03157,236

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の金額であります。
(2) 主要な事業所の収容能力及び収容実績
① 帝国ホテル本社
項目前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
収容能力収容実績利用率一日平均収容能力収容実績利用率一日平均
客室339,815室260,421室76.6%713室339,815室267,628室78.8%733室
食堂434,715名1,387,988名3.2回転3,803名434,715名1,411,221名3.2回転3,866名
宴会1,387,000名674,437名0.5回転1,848名1,387,000名700,069名0.5回転1,918名
委託食堂198,925名212,982名1.1回転584名198,925名216,586名1.1回転593名

(注) 1 客室の収容能力は客室数により算出しております。
2 食堂及び宴会の収容能力は着席数により算出しております(宴会についてはディナー形式の着席数として
おります)。
当連結会計年度及び前連結会計年度の宿泊客、食事客及び宴会客の利用割合は次のとおりであります。
項目前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
比率(%)当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
比率(%)
利用客数(名)宿泊利用客数(名)宿泊
宿泊客
外人客187,10848.3194,76148.5
邦人客200,17651.7206,60751.5
小計387,284100.015.8401,368100.016.0
食事客1,387,98856.71,411,22156.1
宴会客674,43727.5700,06927.9
合計2,449,709100.02,512,658100.0

② 帝国ホテル大阪
項目前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
収容能力収容実績利用率一日平均収容能力収容実績利用率一日平均
客室139,065室114,789室82.5%314室139,065室120,777室86.8%331室
食堂213,160名348,024名1.6回転953名213,160名349,658名1.6回転958名
宴会963,600名359,823名0.4回転986名963,600名346,303名0.4回転949名
委託食堂38,325名51,484名1.3回転141名38,325名52,101名1.4回転143名

(注) 1 客室の収容能力は客室数により算出しております。
2 食堂及び宴会の収容能力は着席数により算出しております(宴会についてはディナー形式の着席数として
おります)。
当連結会計年度及び前連結会計年度の宿泊客、食事客及び宴会客の利用割合は次のとおりであります。
項目前連結会計年度
(自 平成28年4月1日
至 平成29年3月31日)
比率(%)当連結会計年度
(自 平成29年4月1日
至 平成30年3月31日)
比率(%)
利用客数(名)宿泊利用客数(名)宿泊
宿泊客
外人客88,57949.389,36547.3
邦人客91,15350.799,50552.7
小計179,732100.020.3188,870100.021.4
食事客348,02439.2349,65839.5
宴会客359,82340.5346,30339.1
合計887,579100.0884,831100.0


(経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。
(1) 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における資産の合計は79,225百万円(前連結会計年度末74,667百万円)となり、4,558百万円増加いたしました。
うち流動資産は40,618百万円(同36,869百万円)と、3,748百万円増加いたしました。これは現金及び預金が増加したことなどによるものであります。
固定資産は38,607百万円(同37,797百万円)と、809百万円増加いたしました。これは投資有価証券が増加したことなどによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債の合計は22,648百万円(同20,940百万円)となり、1,708百万円増加いたしました。
うち流動負債は、9,845百万円(同7,895百万円)と、1,949百万円増加いたしました。これは未払費用や未払法人税等の増加などによるものであります。
固定負債は12,802百万円(同13,044百万円)と、241百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の合計は56,577百万円(同53,727百万円)と、2,850百万円増加いたしました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上などによるものであります。この結果、自己資本比率は71.4%となりました。
(2) 経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は57,236百万円(前年同期比2.2%増)、材料費・販売費及び一般管理費の合計額は52,537百万円(同2.8%増)、営業利益は4,698百万円(同4.8%減)、経常利益は4,961百万円(同4.0%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は3,399百万円(同7.9%減)となりました。
売上高の主な増加要因は、宴会が好調に推移したことなどによるものであります。販売費及び一般管理費の主な増加要因は、業務全般の効率化による諸経費の削減に努めてまいりましたが、サービス向上とさらなる安全・安心の確保に向けた人件費や業務委託費の増加を補うには至らなかったことなどによるものであります。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の減少要因は、上記要因によるものであります。
(3) キャッシュ・フローの分析
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は、前年同期と比べ3,005百万円(60.6%)増加し、7,964百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益4,959百万円、減価償却費2,797百万円などの計上、法人税等の支払額832百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は、前年同期と比べ1,292百万円(35.6%)増加し、4,928百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出3,025百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は、前年同期と比べ59百万円(6.3%)減少し、890百万円となりました。これは、配当金の支払額890百万円によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は28,429百万円となり、前連結会計年度末より2,146百万円増加いたしました。