有価証券報告書-第178期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/27 11:32
【資料】
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【項目】
146項目
(経営成績等の状況の概要)
(1) 業績
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善や個人消費の持ち直し等により、景気は緩やかな回復を続けてまいりましたが、期後半には、企業の生産活動の鈍化など、景気の停滞感が見られました。
ホテル業界におきましては、競合ホテル間の販売競争が一層激化するなか、西日本などで相次いだ自然災害の影響もありましたが、訪日外国人客数のさらなる増加に伴い宿泊需要が拡大し、企業収益の改善による法人利用が堅調に推移するなど、概ね良好な経営環境となりました。
このような状況のもと当社グループにおきましては、市場の動向を見据えた販売施策を継続し、特に外国人富裕層への訴求力を強化すべく、海外メディア向け各種広報活動を積極的に展開するなど売上増に全力を注いでまいりました。
また『インペリアルバイキング サール』開業60周年記念企画や『東京ミッドタウン日比谷』の開業にあわせた話題性のある多彩なイベントに加え、各国フードフェアなどの外国催事を開催し、集客増とブランド力の一層の向上に注力してまいりました。
さらに、顧客会員組織「インペリアルクラブ」に向けた多様な施策を積極的に推進するとともに、インターネットを利用した情報提供サービスを拡充するなど、さらなる顧客基盤の強化に向けグループ一丸となって邁進してまいりました。
設備面におきましても、本館のスイートルームの改修など競争力強化を図るべく諸施設の改善と充実に取り組んでまいりました。
一方、経費面におきましては、業務全般の効率化による諸経費の削減に努め、収益増に鋭意努力してまいりました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は、前期比2.1%増の58,426百万円、営業利益は、前期比7.2%増の5,036百万円、経常利益は、前期比7.1%増の5,314百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益は、前期比8.4%増の3,686百万円となりました。
セグメントの業績は、次のとおりであります。
①ホテル事業
イ 帝国ホテル本社
宿泊は、アジアを中心とした外国人客が好調で、また、繁閑に応じた販売政策により団体客の利用も増加し、稼働率は前期比3.3ポイント増の82.1%となり、一室単価も36,045円と前年を上回ったことから売上高は前期比5.0%増の10,058百万円となりました。
食堂は、『インペリアルバイキング サール』開業60周年記念企画を始めとした各種催事が好評で、宿泊客数増加に伴う朝食利用も好調だったことなどから、売上高は前期比6.2%増の6,789百万円となりました。
宴会は、一般宴会は、社長就任披露や大型国際会議等の大型宴会の受注が好調であったことから、売上増となりました。婚礼も、市場のニーズを捉えた新商品の販売が好調で、件数、単価ともに増加し、売上増となりました。その結果、売上高は前期比1.6%増の13,868百万円となりました
ロ 帝国ホテル大阪
宿泊は、西日本で相次いだ自然災害の影響で外国人を中心に利用が減少し、一室単価は前期並みの19,032円を維持できましたが、稼働率は前期比3.1ポイント減の83.7%となり、売上高は前期比4.1%減の2,215百万円となりました。
食堂は、宿泊客や外来客数減少の影響がありましたが、新たに開店したカジュアルレストラン『カフェ クベール』も好調に推移し、売上高は前期比1.3%増の1,571百万円となりました。
宴会は、一般宴会は、周年記念等の大型宴会や国際会議利用も堅調であったことから売上増となりました。婚礼は、市場が縮小するなか、各種販売促進活動を推進し、件数は増加したものの、人数、単価が減少し、売上減となりました。その結果、売上高は前期並みの5,266百万円となりました。
以上のことなどから、ホテル事業の売上高は前期比2.3%増の54,650百万円となり、営業利益は前期比10.3%増の5,501百万円となりました。

②不動産賃貸事業
大型テナント退去の影響もあり、売上高は前期比0.8%減の3,796百万円となり、営業利益は前期比2.1%減の1,973百万円となりました。
財政状態の概要は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べて1,841百万円増加し81,067百万円となりました。負債は、前連結会計年度末に比べて916百万円減少し21,731百万円となりました。純資産は、前連結会計年度末と比べて2,757百万円増加し59,335百万円となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、32,768百万円となり、前年同期と比べ4,338百万円(15.3%)増加いたしました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益などが前期に比べて増加しましたが、法人税等の支払いが前期に比べて増加し、また、その他に含まれる未払費用などが前期に比べて減少したことなどにより、前年同期と比べ1,891百万円(23.7%)減少し、6,073百万円の収入となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、有形固定資産の取得が前期に比べて減少したことなどにより、使用した資金が前年同期と比べ4,083百万円(82.9%)減少し、844百万円の支出となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払いにより、889百万円の支出となりました。
(生産、受注及び販売の実績)
(1) セグメント売上高
セグメントの名称前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(百万円)金額(百万円)
ホテル事業53,43154,650
帝国ホテル本社40,46341,813
帝国ホテル大阪11,10111,045
その他1,8661,791
不動産賃貸事業3,8043,775
合計57,23658,426

(注) 1 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2 上記の金額は、セグメント間取引の相殺消去後の金額であります。
(2) 主要な事業所の収容能力及び収容実績
① 帝国ホテル本社
項目前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
収容能力収容実績利用率一日平均収容能力収容実績利用率一日平均
客室339,815室267,628室78.8%733室339,815室279,045室82.1%765室
食堂434,715名1,411,221名3.2回転3,866名431,795名1,444,514名3.3回転3,958名
宴会1,387,000名700,069名0.5回転1,918名1,387,000名683,749名0.5回転1,873名
委託食堂198,925名216,586名1.1回転593名198,925名221,693名1.1回転607名

(注) 1 客室の収容能力は客室数により算出しております。
2 食堂及び宴会の収容能力は着席数により算出しております(宴会についてはディナー形式の着席数として
おります)。
当連結会計年度及び前連結会計年度の宿泊客、食事客及び宴会客の利用割合は次のとおりであります。
項目前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
比率(%)当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
比率(%)
利用客数(名)宿泊利用客数(名)宿泊
宿泊客
外国人客194,76148.5202,14647.0
邦人客206,60751.5227,62953.0
小計401,368100.016.0429,775100.016.8
食事客1,411,22156.11,444,51456.5
宴会客700,06927.9683,74926.7
合計2,512,658100.02,558,038100.0

② 帝国ホテル大阪
項目前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
収容能力収容実績利用率一日平均収容能力収容実績利用率一日平均
客室139,065室120,777室86.8%331室139,065室116,414室83.7%319室
食堂213,160名349,658名1.6回転958名213,160名342,208名1.6回転938名
宴会963,600名346,303名0.4回転949名963,600名347,993名0.4回転953名
委託食堂38,325名52,101名1.4回転143名38,325名48,413名1.3回転133名

(注) 1 客室の収容能力は客室数により算出しております。
2 食堂及び宴会の収容能力は着席数により算出しております(宴会についてはディナー形式の着席数として
おります)。
当連結会計年度及び前連結会計年度の宿泊客、食事客及び宴会客の利用割合は次のとおりであります。
項目前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
比率(%)当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
比率(%)
利用客数(名)宿泊利用客数(名)宿泊
宿泊客
外国人客89,36547.385,06147.4
邦人客99,50552.794,55852.6
小計188,870100.021.4179,619100.020.7
食事客349,65839.5342,20839.3
宴会客346,30339.1347,99340.0
合計884,831100.0869,820100.0


(経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析)
当連結会計年度の財政状態及び経営成績の分析は以下のとおりであります。
(1) 財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における資産の合計は81,067百万円(前連結会計年度末79,225百万円)となり、1,841百万円増加いたしました。
うち流動資産は42,788百万円(同39,907百万円)と、2,880百万円増加いたしました。これは有価証券が増加したことなどによるものであります。
固定資産は38,278百万円(同39,318百万円)と、1,039百万円減少いたしました。これは有形固定資産が減少したことなどによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における負債の合計は21,731百万円(同22,648百万円)となり、916百万円減少いたしました。
うち流動負債は、9,029百万円(同9,845百万円)と、815百万円減少いたしました。これは未払費用の減少などによるものであります。
固定負債は12,701百万円(同12,802百万円)と、101百万円減少いたしました。これは退職給付に係る負債の減少などによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の合計は59,335百万円(同56,577百万円)と、2,757百万円増加いたしました。これは親会社株主に帰属する当期純利益の計上などによるものであります。この結果、自己資本比率は73.2%となりました。
(2) 経営成績の分析
当連結会計年度における売上高は58,426百万円(前年同期比2.1%増)、材料費・販売費及び一般管理費の合計額は53,389百万円(同1.6%増)、営業利益は5,036百万円(同7.2%増)、経常利益は5,314百万円(同7.1%増)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は3,686百万円(同8.4%増)となりました。
売上高の主な増加要因は、宿泊、食堂、宴会が好調に推移したことなどであります。販売費及び一般管理費の主な増加要因は、売上連動に加えて、サービス向上とさらなる安全・安心の確保に向けた業務委託費等の増加や賃借料等の固定費の増加などであります。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の増加は、上記要因によるものであります。
(3) キャッシュ・フローの分析
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は、前年同期と比べ1,891百万円(23.7%)減少し、6,073百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益5,315百万円、減価償却費2,672百万円などの計上、法人税等の支払額1,791百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は、前年同期と比べ4,083百万円(82.9%)減少し、844百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出2,246百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は、889百万円となりました。これは、配当金の支払いによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は32,768百万円となり、前連結会計年度末より4,338百万円増加いたしました。
(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの資金需要のうち主なものは、材料費、販売費及び一般管理費などの運転資金及び設備投資資金であり、全て自己資金を充当しております。なお、資金調達につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(金融商品関係)1.金融商品の状況に関する事項 (1)金融商品に対する取組方針」に記載の通り、必要に応じて金融機関からの借入をする方針であります。