有価証券報告書-第54期(平成26年4月1日-平成27年3月31日)

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2015/06/25 13:06
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財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

(1) 当連結会計年度の経営成績の分析
①概況
当社グループは、セキュリティサービスを中心に防災、メディカルサービス、保険、地理情報サービス、情報通信、不動産開発・販売、不動産賃貸などの事業活動全般にわたってサービスの拡充、営業の拡大、システムの構築、商品の開発に努めるなど、積極的な事業展開を図ってまいりました。
当連結会計年度の売上高は8,407億円(前期比2.2%増加)となり、営業利益は1,236億円(前期比3.0%増加)となりました。経常利益は米国などにおける投資事業組合運用益92億円(前連結会計年度は40億円)を計上したことなどにより、1,366億円(前期比7.9%増加)、当期純利益は753億円(前期比7.9%増加)となりました。
②売上高
セキュリティサービス事業、メディカルサービス事業、保険事業、情報通信事業および不動産・その他の事業の増収により、売上高は前期比2.2%増加の8,407億円となりました。各事業セグメントの外部顧客に対する売上高の連結売上高に占める割合は、セキュリティサービス事業が55.8%、防災事業が14.4%、メディカルサービス事業が7.1%、保険事業が4.5%、地理情報サービス事業が6.3%、情報通信事業が5.7%、不動産・その他の事業が6.2%となりました。
③売上原価、販売費及び一般管理費
当連結会計年度の売上原価は、前期比2.8%増加の5,578億円となり、売上高に占める割合は前連結会計年度の66.0%から66.4%に上昇しました。
販売費及び一般管理費は、前期比3千万円減少の1,592億円となり、売上高に占める割合は前連結会計年度の19.4%から18.9%に低下しました。
これらの結果、当連結会計年度の営業利益は1,236億円(前期比3.0%増加)となりました。
④経常利益および当期純利益
当連結会計年度は、米国などにおける投資事業組合運用益の増加などにより、営業外収益が前期比52億円(40.2%)増加し、営業外費用が前期比11億円(17.8%)の減少となったことにより、経常利益は1,366億円(前期比7.9%増加)となりました。
なお、特別損失に固定資産の減損損失49億円を計上したことなどにより、税金等調整前当期純利益は1,272億円(前期比2.0%増加)となりました。
法人税、住民税及び事業税ならびに法人税等調整額の合計は前期比32億円(7.0%)減少の431億円となり、税金等調整前当期純利益に対する負担率は前連結会計年度の37.2%から33.9%に低下しました。
また、少数株主利益が前期比1億円(2.1%)増加の87億円となりました。
この結果、当連結会計年度の当期純利益は753億円(前期比7.9%増加)となり、売上高当期純利益率は前連結会計年度の8.5%から9.0%に上昇しました。また、1株当たり当期純利益は前連結会計年度の320.14円から345.42円となりました。
⑤セグメント別経営成績
セキュリティサービス事業は、お客様のニーズを的確に把握し、最適なサービスを総合的に提供することにより、お客様の満足度向上とリレーション強化につなげ、長期にわたりお客様に「安全・安心・快適・便利」を提供することに努めました。
事業所向けでは、当連結会計年度も高度な画像認識技術を搭載した「セコムAX」、出入管理機能によって労務管理などを効率化しお客様のコスト削減を可能にする「セコムLX」、設備制御機能を持つ「セコムFX」など、付加価値の高いオンライン・セキュリティシステムの拡販に努めました。また、食の安全問題や個人情報の漏えい事件を契機とした防犯や監視のニーズの高まりに応え、次世代型防犯カメラシステム「セコムNVRシステム」を発売し、そのオプションとして同システムで取得した画像データをセコムのデータセンターでお預かりする「セコム画像アーカイブサービス」を開始しました。
家庭向けでは、平成26年6月にホームセキュリティのご契約数が100万件を突破するなど、ご家庭の「安全・安心・快適・便利」なサービスへの高いニーズが続いており、当連結会計年度もホームセキュリティに生活に身近なサービスを提供する機能を付加した「セコム・ホームセキュリティ G-カスタム」の拡販に努めました。
海外では、ミャンマーで本格的なセキュリティサービスを開始するなど、経済発展が続く東南アジアや中国を中心に、緊急対処サービスを特徴とする「セコム方式」のセキュリティサービスの拡販に努めました。また、海外進出する日本企業への提案活動の強化を図りました。
当連結会計年度は事業所向け・家庭向けのセントラライズドシステム(オンライン・セキュリティシステム)や、監視カメラシステムなどの安全商品の販売が好調だったことおよび大型セキュリティシステムの売上の増加などにより、売上高は4,817億円(前期比2.0%増加)、営業利益は1,079億円(前期比2.0%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度と同率の22.4%となりました。
防災事業は、売上高は1,263億円(前期比0.7%減少)となりましたが、営業利益は業務効率化などによる原価低減、販売費及び一般管理費の減少などにより、119億円(前期比14.3%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の8.2%から9.4%に上昇しました。
メディカルサービス事業は、医薬品・医療機器などの販売が好調に推移したことなどにより、売上高は603億円(前期比11.9%増加)となりましたが、営業利益は原価率の上昇などにより、44億円(前期比3.4%減少)、売上高営業利益率は前連結会計年度の8.5%から7.3%に低下しました。
保険事業は、セコム損害保険株式会社のガン保険「自由診療保険メディコム」および火災保険が好調に推移したことなどにより、売上高は409億円(前期比5.8%増加)となり、営業損益は自然災害などの発生損害の減少などにより、前連結会計年度の4億円の営業損失から当連結会計年度は19億円の営業利益となりました。
地理情報サービス事業は、国内の公共部門および海外部門が減収となったことにより、売上高は529億円(前期比3.3%減少)となり、営業利益は原価率の上昇などにより、22億円(前期比46.4%減少)、売上高営業利益率は前連結会計年度の7.6%から4.2%に低下しました。
情報通信事業は、売上高は539億円(前期比0.1%増加)となりましたが、営業利益はデータセンターの運営費用の増加などにより、47億円(前期比14.8%減少)、売上高営業利益率は前連結会計年度の10.4%から8.9%に低下しました。
不動産・その他の事業は、不動産開発・販売事業が減収となりましたが、平成26年3月末より新たに連結子会社となった株式会社東光クリエートの寄与などにより、売上高は545億円(前期比6.2%増加)となり、営業利益は48億円(前期比12.9%増加)、売上高営業利益率は前連結会計年度の8.3%から8.9%に上昇しました。
なお、以上のセグメント売上高および営業損益はセグメント間取引を含む数値であり、第2[事業の状況]1[業績等の概要]に記載した売上高(セグメント間取引を含まない外部顧客に対する売上高)とは一致しません。
(2) 当連結会計年度の財政状態の分析
①資産
当連結会計年度末の総資産は、前期末比824億円(6.2%)増加の1兆4,107億円となりました。
流動資産は、現金及び預金が217億円(10.3%)増加の2,322億円、有価証券が155億円(120.1%)増加の285億円、リース債権及びリース投資資産が60億円(18.2%)増加の392億円、仕掛販売用不動産が56億円(36.8%)増加の210億円、現金護送業務用現金及び預金が82億円(14.0%)減少の503億円となり、流動資産合計は前期末比415億円(7.4%)増加の6,001億円となりました。
固定資産は、投資有価証券が380億円(15.5%)増加の2,843億円、退職給付に係る資産が173億円(98.8%)増加の350億円、繰延税金資産が86億円(64.0%)減少の48億円、無形固定資産が41億円(7.8%)減少の494億円となり、固定資産合計は前期末比409億円(5.3%)増加の8,105億円となりました。
②負債
当連結会計年度末の負債は、前期末比55億円(1.1%)増加の5,033億円となりました。
流動負債は未払消費税等が87億円(210.2%)増加の128億円、短期借入金が71億円(13.7%)減少の449億円、未払法人税等が66億円(24.1%)減少の210億円、支払手形及び買掛金が62億円(12.6%)減少の431億円となり、流動負債合計は前期末比89億円(3.5%)減少の2,477億円となりました。
固定負債は、保険契約準備金が90億円(6.4%)増加の1,501億円、長期借入金が33億円(19.4%)増加の206億円、繰延税金負債が23億円(21.4%)増加の135億円となり、固定負債合計は前期末比144億円(6.0%)増加の2,556億円となりました。
③純資産
当連結会計年度末の純資産は、利益剰余金が384億円(5.9%)の増加、その他有価証券評価差額金が144億円(115.8%)の増加、為替換算調整勘定が123億円(113.6%)の増加となり、純資産合計は前期末比769億円(9.3%)増加の9,073億円となりました。
これらの結果、当連結会計年度末の自己資本比率は、前連結会計年度末の55.0%から56.7%となり、期末発行済株式総数に基づく1株当たり純資産額は、前連結会計年度末の3,345.06円から3,667.33円となりました。
(3) 当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析
当社グループは、柔軟な事業活動を行い、強固な財務基盤を保つために、高い流動性を維持することを基本方針としております。また、営業活動から得た資金で積極的に事業投資活動を行っております。
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、法人税等の支払額が501億円、たな卸資産の増加額が112億円となりましたが、税金等調整前当期純利益が1,272億円、減価償却費が476億円となったことなどにより、全体では1,308億円の資金の増加となりました。
前連結会計年度との比較では、たな卸資産の増減が前連結会計年度の105億円の減少に対し112億円の増加などの資金減少要因がありましたが、現金護送業務用現金預金及び預り金の増減が前連結会計年度の96億円の増加に対し73億円の減少、受取手形及び売掛債権の増減が前連結会計年度の79億円の増加に対し9億円の減少、未払消費税等の増減が前連結会計年度の2億円の減少に対し87億円の増加などの資金増加要因により、営業活動から得た資金は前期比137億円(11.8%)の増加となりました。
投資活動によるキャッシュ・フローは、投資有価証券の売却及び償還による収入が382億円となりましたが、投資有価証券の取得による支出が514億円、警報機器及び設備等の有形固定資産の取得による支出が471億円となったことなどにより、全体では651億円の資金の減少となりました。
前連結会計年度との比較では、投資有価証券の取得による支出の減少227億円などの投資額減少により、投資活動に使用した資金は前期比243億円(27.2%)の減少となりました。
この結果、当連結会計年度のフリーキャッシュ・フロー(営業活動によるキャッシュ・フローと投資活動によるキャッシュ・フローの純額)は、656億円の資金の増加(前連結会計年度は275億円の資金の増加)となりました。
財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入れによる収入が90億円となりましたが、配当金の支払額が381億円、短期借入金の減少額が82億円となったことなどにより、全体では497億円の資金の減少となりました。
前連結会計年度との比較では、長期借入れによる収入の増加66億円などの資金増加要因がありましたが、短期借入金の収支純額の減少208億円、配当金の支払額の増加152億円などの資金減少要因により、財務活動に使用した資金は前期比280億円(128.9%)の増加となりました。
これらの結果、現金及び現金同等物の期末残高は、前期比172億円(7.7%)増加の2,417億円となりました。
当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。
第50期
平成23年3月期
第51期
平成24年3月期
第52期
平成25年3月期
第53期
平成26年3月期
第54期
平成27年3月期
自己資本比率(%)54.155.253.655.056.7
時価ベースの
自己資本比率(%)
77.080.284.797.7124.2
債務償還年数(年)1.00.80.50.70.6
インタレスト・
カバレッジ・レシオ
71.681.0130.9113.1137.0

※ 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。