有価証券報告書-第62期(平成30年1月1日-平成30年12月31日)

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2019/03/27 15:44
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当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社は、この連結財務諸表の作成にあたって、有価証券の減損、たな卸資産の評価、減価償却資産の耐用年数の設定、退職給付債務及び年金資産の認識、繰延税金資産の計上、偶発債務の認識等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。当社の経営陣は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的だと考えられる様々な要因に基づき、損益又は資産の状況に影響を与える見積り及び判断を行い、それらに対して継続して評価を行っております。また、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2) 経営成績
当連結会計年度における日本経済は、輸出の増加や好調な内需に牽引され、引き続き堅調が持続しましたが、中国経済の減速や米中の経済摩擦などから、先行きには不透明感が増しております。世界経済も堅調な成長が続く一方、米中間の貿易摩擦の激化から世界経済全体へ深刻な影響が及ぶことが懸念されています。
国内では、平成30年7月豪雨の復旧需要や国の国土強靭化政策に伴う防災・減災市場の拡大、インフラの維持管理への社会的要請、洋上風力発電など再生可能エネルギー市場の拡大など、当社グループの市場機会は一層の広がりを見せております。
世界的には、中国や新興国での旺盛なインフラ建設・更新需要が当社グループの市場機会を伸ばしています。その一方で、当社グループの業績に大きな影響を及ぼす資源探査市場では、中国経済の減速や米国の金融政策、米中の経済摩擦への懸念から、資源事業者による開発投資は依然として抑制的で、大きな回復には至っておりません。
このような状況の下、当社グループでは当期からスタートした中期経営計画Jump18に則り、地盤の三次元可視化技術や情報通信技術(ICT)、ビッグデータ解析、センシング・モニタリング技術をコアとして、多様化する社会課題に対応したソリューションの開発、人工知能(AI)やクラウドを活用した次期ビジネス基盤としてのICTプラットフォームの構築、世界的なBIM(Building Information Modelling)の市場の拡大を見越した研究開発やM&A、さらには、急速に市場が活性化している洋上風力発電など再生可能エネルギー分野に向けた新技術の開発や設備投資に取り組みました。
また、西日本を中心に大規模な被害をもたらした平成30年7月豪雨においては、グループの保有する防災・減災及び災害廃棄物処理に関わる様々な技術を投入し、被災自治体の早期復旧に向けた対応を強力に支援いたしました。
その結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、受注高は462億6千2百万円(前期比101.0%)、売上高は452億3千2百万円(同98.4%)となり、営業利益は、原価率の改善および海外事業の損失縮小等により、14億8千1百万円(同173.2%)と増益となりました。経常利益は19億1千3百万円(同156.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益は8億4百万円(前期比107.6%)となっております。
(売上高)
売上高は、前期に比べ期初の受注残高が少なく、大型受注による年内売上分が当期は無かったことから、452億3千2百万円(前年同期比98.4%)と前連結会計年度から7億2千4百万円減少いたしました。
(売上総利益)
売上総利益は、141億5千2百万円(前年同期比107.1%)と前連結会計年度から9億3千9百万円増加いたしました。これは、売上原価率が前連結会計年度に比べ改善したことによります。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、126億7千1百万円(前年同期比102.5%)と前連結会計年度から3億1千3百万円増加いたしました。営業利益は、上記の売上減少に加え、人件費の増加などにより、販売費及び一般管理費が増加したことから、14億8千1百万円(前年同期比173.2%)と前連結会計年度から6億2千5百万円増加いたしました。売上高営業利益率は3.3%となり、前連結会計年度から1.4ポイント増加いたしました。
(営業外損益、経常利益)
営業外損益は、4億3千2百万円の利益となり、前連結会計年度から6千7百万円増加いたしました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ6億9千2百万円増加し、19億1千3百万円となりました。
(特別損益、税金等調整前当期純利益)
特別損益は、3千5百万円の損失となり、前連結会計年度から5千7百万円減少いたしました。この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ6億3千5百万円増加し、18億7千8百万円となりました。
(法人税等(法人税等調整額を含む)、非支配株主に帰属する当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における税金費用は、11億3百万円と前連結会計年度に比べ5億7千4百万円増加いたしました。また、当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純損失は2千9百万円(前年同期は3千4百万円の損失)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は8億4百万円となり、前連結会計年度に比べ5千6百万円増加いたしました。
当社グループの事業セグメント別の業績は、以下のとおりです。なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分方法を変更しており、当連結会計年度の比較・分析は、変更後の区分に基づいております。変更の詳細は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」の「2. 報告セグメントの変更等に関する事項」をご参照ください。
(インフラ・メンテナンス事業)
受注高は、国内および海外での建設・維持管理市場が好調であった一方、東日本大震災復興関連事業の収束などから、受注高は195億5千5百万円(前年同期比95.7%)、売上高は192億1千6百万円(同97.9%)となりましたが、海外事業を中心に利益率が向上し、営業利益は11億4百万円(同123.2%)となりました。
(防災・減災事業)
平成30年7月豪雨での復旧支援を中心に国土強靭化分野が好調に推移したことなどから、受注高は98億4千7百万円(前年同期比115.7%)、売上高は92億1千7百万円(同115.3%)、営業利益は3億9千1百万円(同309.9%)と増収増益となりました。
(環境事業)
災害廃棄物関連サービスや福島復興関連業務、アスベスト関連業務等が堅調に推移した結果、受注高は88億7千万円(前年同期比110.0%)となりました。一方、売上高は、前年の大型売上の反動から、85億1千2百万円(同88.6%)と減収になり、営業利益も5億2千8百万円(同79.6%)と減益となりました。
(資源・エネルギー事業)
東日本大震災後の電力施設関連事業が概ね一巡したことから、受注高は79億8千8百万円(前年同期比90.9%)となりました。売上高は、82億8千7百万円(同95.0%)、損益は、海外の資源探査市場の回復の遅れから5億4千3百万円の損失となりましたが、前年より損失幅は着実に縮小しています(前年は7億9千9百万円の営業損失)。
生産、受注及び販売の実績は、次の通りであります。
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
前年同期比(%)
インフラ・メンテナンス事業(百万円)19,21697.9
防災・減災事業(百万円)9,217115.3
環境事業(百万円)8,51288.6
資源・エネルギー事業(百万円)8,28795.0
合計(百万円)45,23298.4

(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
b. 受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称受注高
(百万円)
前年同期比
(%)
受注残高
(百万円)
前年同期比
(%)
インフラ・メンテナンス事業19,55595.78,003104.4
防災・減災事業9,847115.74,355116.9
環境事業8,870110.02,969113.7
資源・エネルギー事業7,98890.92,36888.8
合計46,262101.017,697106.2

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
前年同期比(%)
インフラ・メンテナンス事業(百万円)19,21697.9
防災・減災事業(百万円)9,217115.3
環境事業(百万円)8,51288.6
資源・エネルギー事業(百万円)8,28795.0
合計(百万円)45,23298.4

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2017年1月1日
至 2017年12月31日)
当連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
国土交通省4,4869.84,51610.0

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ40億2千6百万円減少し、807億4百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ18億7千9百万円減少し、578億8千8百万円となりました。これは主として、現金及び預金が、6億8千5百万円減少したこと、有価証券が5億8千万円減少したこと、未成調査支出金が2億5千3百万円減少したこと、及び商品及び製品が1億5千5百万円減少したことによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ21億4千7百万円減少し、228億1千6百万円となりました。これは主として、繰延税金資産が2億6千8百万円減少したこと、投資有価証券が14億2千8百万円減少したこと、及び退職給付に係る資産が2億1千9百万円減少したことによります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ12億9百万円減少し、146億9千1百万円となりました。これは主として、未成業務受入金が1億9千7百万円増加した一方で、業務未払金が2億2千5百万円減少し、流動負債のその他が9億2千4百万円減少したこと、及び繰延税金負債が3億8千1百万円減少したことによります。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ28億1千6百万円減少し、660億1千3百万円となりました。
株主資本は、前連結会計年度に比べ、13億1千4百万円減少し、668億8千1百万円となりました。これは主として、自己株式の消却に伴い資本剰余金が14億4千1百万円減少したことによります。
その他の包括利益累計額は、前連結会計年度に比べ13億5千6百万円減少し、△10億円となりました。これは主として、その他有価証券評価差額金が6億9千3百万円減少したこと、及び為替の影響により為替換算調整勘定が3億7千5百万円減少したことによります。
この結果、自己資本比率は81.6%となりました。
(4) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ10億7千8百万円減少(前年同期は21億7千3百万円の資金増)し、193億9千9百万円(前年同期比94.7%)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は21億5千2百万円(前年同期比54.8%)となりました。
これは主に、売上債権の増加1億1千2百万円(前年同期は36億1千2百万円の資金減)等の資金の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は6億7千7百万円(前年同期比153.8%)となりました。
これは主に、定期預金の払戻による収入53億3千万円(同115.1%)や有価証券の売却による収入12億円(前年同期比100.0%)等の資金の増加要因があった一方で、定期預金の預入による支出55億2千1百万円(同98.4%)や、有形及び無形固定資産の取得による支出10億5千7百万円(同98.7%)等の資金の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は23億8千1百万円(前年同期比204.7%)となりました。
これは主に、自己株式の取得に伴う支出14億1千万円(前年同期は0百万円)、配当金の支払額7億5千2百万円(同72.6%)等の資金の減少要因があったことによるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、以下の通りであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、外注費及び人件費並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、研究開発、設備投資及びM&A等によるものであります。これらの資金につきましては、原則として自己資金で賄うこととしております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4) キャッシュ・フロー」をご参照ください。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。
2014年
12月期
2015年
12月期
2016年
12月期
2017年
12月期
2018年
12月期
自己資本比率(%)81.281.980.180.981.6
時価ベースの自己資本比率(%)62.244.344.446.236.0
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)434.0207.8686.0488.7

※ 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値によって算出しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3 キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
4 2016年12月期のインタレスト・カバレッジ・レシオは営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載を省略しております。