有価証券報告書-第63期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

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2020/03/27 13:25
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156項目
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。
当社は、この連結財務諸表の作成にあたって、有価証券の減損、たな卸資産の評価、減価償却資産の耐用年数の設定、退職給付債務及び年金資産の認識、繰延税金資産の計上、偶発債務の認識等の重要な会計方針に関する見積り及び判断を行っております。当社の経営陣は、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づいた合理的だと考えられる様々な要因に基づき、損益又は資産の状況に影響を与える見積り及び判断を行い、それらに対して継続して評価を行っております。また、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(2) 経営成績
当連結会計年度における日本経済は、国内設備投資や消費税増税前の駆け込み需要増など内需を中心に堅調でしたが、海外経済の減速に伴う外需低迷もあり、先行きにはやや不透明感が残りました。また、世界経済には中国の経済成長鈍化や米中間の貿易摩擦激化、中東情勢の悪化などが見られました。
国内においては、台風による大規模な河川災害等の復旧対応の本格化や国土強靭化に伴う防災・減災市場の拡大、インフラの効率的な維持管理への社会的要請、洋上風力発電に代表される再生可能エネルギー市場の拡大など、当社グループの市場機会には一層の広がりが見られました。
海外においては、アジアを中心としたインフラ・メンテナンス市場の成長や資源関連市場の持ち直しなどがグループの成長の追い風となる一方で、米中貿易摩擦の激化やそれに伴う世界経済の低迷など、先行きの不透明感が増加しました。
このような状況の下、当社グループでは中期経営計画Jump18に基づき、地盤の三次元可視化技術による新たな価値創造と市場開拓を目的とした技術開発を継続してきました。具体的には、三次元探査センターの開設や地下埋設物情報提供サービスに向けた異業種連携などに取り組みました。さらに、AIを活用したコンクリート構造物の健全度判定サービスや洋上風力発電関連業務、災害廃棄物処理関連業務などにも積極的に取り組みました。グローバル事業展開の面では、海外M&Aの実施やソリューションサービスの海外市場開拓にも努めました。
その結果、当社グループの当連結会計年度の業績は、受注高は564億5千2百万円(前期比122.0%、今期から連結に加わったシンガポール企業の受注高には前期末の受注残高を含む)、売上高は538億8千3百万円(同119.1%)となり、営業利益は、防災・減災事業が好調であったことや海外グループ会社の業績復調等により、25億8千1百万円(同174.3%)と増益になりました。経常利益は30億5千8百万円(同159.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益は21億7千6百万円(前期比270.5%)となりました。
(売上高)
売上高は、538億8千3百万円(前年同期比119.1%)と前連結会計年度から86億5千万円増加いたしました。
(売上総利益)
売上総利益は、158億8千3百万円(前年同期比112.2%)と前連結会計年度から17億3千万円増加いたしました。これは、売上が増加したことによります。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は、133億1百万円(前年同期比105.0%)と前連結会計年度から6億2千9百万円増加いたしました。営業利益は、人件費の増加などにより、販売費及び一般管理費が増加したものの、上記の売上高の増加により、25億8千1百万円(前年同期比174.3%)と前連結会計年度から11億円増加いたしました。売上高営業利益率は4.8%となり、前連結会計年度から1.5ポイント増加いたしました。
(営業外損益、経常利益)
営業外損益は、4億7千6百万円の利益となり、前連結会計年度から4千4百万円増加いたしました。この結果、経常利益は前連結会計年度に比べ11億4千4百万円増加し、30億5千8百万円となりました。
(特別損益、税金等調整前当期純利益)
特別損益は、8千4百万円の利益となり、前連結会計年度から1億2千万円増加いたしました。この結果、税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ12億6千4百万円増加し、31億4千2百万円となりました。
(法人税等(法人税等調整額を含む)、非支配株主に帰属する当期純利益、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における税金費用は、9億5千2百万円と前連結会計年度に比べ1億5千万円減少いたしました。また、当連結会計年度の非支配株主に帰属する当期純利益は1千3百万円(前年同期は2千9百万円の損失)となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は21億7千6百万円となり、前連結会計年度に比べ13億7千2百万円増加いたしました。
当社グループの事業セグメント別の業績は、以下のとおりです。
(インフラ・メンテナンス事業)
国土強靭化関連予算を背景に建設・維持管理市場が好調であったことから、受注高は250億4千2百万円(前期比128.1%、今期から連結に加わったシンガポール企業の受注高には前期末の受注残高を含む)、売上高は229億2千3百万円(同119.3%)、営業利益は12億5千万円(同113.3%)と増収増益となりました。
(防災・減災事業)
平成30年7月豪雨に伴う復旧支援業務の継続や令和元年の台風による大規模な河川災害等の復旧対応、国土強靭化関連業務の需要拡大もあり、受注高は120億3千3百万円(前期比122.2%)、売上高は117億2千7百万円(同127.2%)、営業利益は8億6百万円(同206.1%)と増収増益となりました。
(環境事業)
災害廃棄物処理関連業務ならびに建物の建替え需要に伴うアスベスト対策関連業務等が堅調に推移した結果、受注高は91億8千4百万円(前期比103.5%)となりました。売上高は、89億6千2百万円(同105.3%)、営業利益は6億4千9百万円(同122.9%)と増収増益となりました。
(資源・エネルギー事業)
原子力関連市場の縮小が続いたものの、再生可能エネルギーの洋上風力発電関連業務が引き続き好調であったこと、また、海外での海洋資源探査分野が順調に回復したことから、受注高は101億9千2百万円(前期比127.6%)、売上高は102億6千9百万円(同123.9%)となりました。一方で、営業損益は1億2千1百万円の損失となりましたが、前年より損失幅は縮小しました(前期は5億4千3百万円の営業損失)。
生産、受注及び販売の実績は、次の通りであります。
a. 生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
前年同期比(%)
インフラ・メンテナンス事業(百万円)22,923119.3
防災・減災事業(百万円)11,727127.2
環境事業(百万円)8,962105.3
資源・エネルギー事業(百万円)10,269123.9
合計(百万円)53,883119.1

(注) 1 金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループが中期経営計画Jump18で目標としている経営指標における実績値は次のとおりであります。
目標とする経営指標前連結会計年度
(2018年12月期)
当連結会計年度
(2019年12月期)
目標数値
(2020年12月期)
連結売上高452億円538億円650億円
連結営業利益率3.3%4.8%10%
自己資本利益率(ROE)1.2%3.3%6%以上

Jump18の数値目標に対しては、単体の構造改革の遅れ、M&Aの遅れ、海外グループ企業の収益回復の遅れ等により、その実現が厳しい状況にありますが、引き続きこれらの経営指標の目標達成に向けて取り組んでまいります。
b. 受注状況
当連結会計年度における受注状況をセグメントごとに示すと次のとおりであります。
セグメントの名称受注高
(百万円)
前年同期比
(%)
受注残高
(百万円)
前年同期比
(%)
インフラ・メンテナンス事業25,042128.110,122126.5
防災・減災事業12,033122.24,662107.0
環境事業9,184103.53,190107.5
資源・エネルギー事業10,192127.62,29096.7
合計56,452122.020,266114.5

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
前年同期比(%)
インフラ・メンテナンス事業(百万円)22,923119.3
防災・減災事業(百万円)11,727127.2
環境事業(百万円)8,962105.3
資源・エネルギー事業(百万円)10,269123.9
合計(百万円)53,883119.1

(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2018年1月1日
至 2018年12月31日)
当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
国土交通省4,51610.05,2329.7

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(3) 財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ31億4千万円増加し、835億5千9百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末に比べ25億2千万円増加し、601億5百万円となりました。これは主として、大型案件の完成に伴い未成業務支出金が16億4千万円減少した一方で、完成業務未収入金が33億9千2百万円増加したこと、現金及び預金が8億1千6百万円増加したことによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べ6億2千万円増加し、234億5千3百万円となりました。これは主として、投資有価証券が2億7千9百万円増加したこと、及び退職給付に係る資産が2億6千3百万円増加したことによります。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ9億9千7百万円増加し、154億2百万円となりました。これは主として、大型案件の完成に伴い未成業務受入金が11億9千6百万円減少した一方で、未払法人税等が4億4千2百万円増加したこと、業務未払金が3億9千7百万円増加したこと、流動負債のその他が5億6千9百万円増加したこと、及び固定負債のリース債務が3億5千6百万円増加したことによります。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ21億4千3百万円増加し、681億5千7百万円となりました。これは主として、利益剰余金が16億3千7百万円増加したこと、及びその他有価証券評価差額金が5億1千1百万円増加したことによります。
(4) キャッシュ・フロー
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ11億6千6百万円増加(前期は10億7千8百万円の資金減)し、205億6千5百万円(前期比106.0%)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は25億1千5百万円(前期比116.8%)となりました。
これは主に、売上債権の増加29億2千6百万円(前期は1億1千2百万円の資金減)や未成業務受入金の減少11億9千5百万円(同1億9千7百万円の資金増)等の資金の減少要因があった一方で、税金等調整前当期純利益31億4千2百万円(前期比167.3%)や未成業務支出金の減少16億3千9百万円(同647.7%)等の資金の増加要因があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は6億2千4百万円(前期比92.2%)となりました。
これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出11億5千1百万円(同108.9%)等の資金の減少要因があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は7億5千6百万円(前期比31.8%)となりました。
これは主に、配当金の支払額7億4千万円(同98.5%)等の資金の減少要因があったことによるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、以下の通りであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、外注費及び人件費並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、研究開発、設備投資及びM&A等によるものであります。これらの資金につきましては、原則として自己資金で賄うこととしております。
当連結会計年度のキャッシュ・フローの詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (4) キャッシュ・フロー」をご参照ください。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりであります。
2015年
12月期
2016年
12月期
2017年
12月期
2018年
12月期
2019年
12月期
自己資本比率(%)81.980.180.981.981.1
時価ベースの自己資本比率(%)44.344.446.236.047.8
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)4.2
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)207.8686.0490.0332.5

※ 自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注) 1 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値によって算出しております。
2 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3 キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
4 2016年12月期のインタレスト・カバレッジ・レシオは営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載を省略しております。