有価証券報告書-第37期(令和1年7月1日-令和2年6月30日)
(1) 経営成績等の状況の概要
2020年6月期における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 経営成績の状況
2020年6月期の国内経済情勢は、新型コロナウイルス感染症の影響により、緩やかな拡大基調から一転、大変厳しい状況になりました。企業収益と業況感は悪化し、設備投資は増勢の鈍化が明確になっています。
今後、経済活動が徐々に再開し、感染症の影響が収束していけば、状況は改善するものとみられますが、今後とも、感染症の帰趨やその影響の大きさについての不確実性は高いと考えられます。
大手クレジットカード会社のクレジットカードショッピングの取扱高も感染症の影響を受け、2020年3月から5月にかけての月次実績は、前年同期を大きく下回りました。
一方で、2020年6月11日付け、経済産業省の公表によれば、2019年10月に開始したキャッシュレス・ポイント還元事業の対象になるクレジットカード決済額は、2019年10月1日から12月2日までに1.4兆円、2020年3月16日までに4.6兆円に増加しました。キャッシュレス・ポイント還元事業は、2020年6月末に終了しましたが、期間中に事業に参加した店舗の売上高に占めるキャッシュレス決済比率は、事業開始から2020年4月にかけて、約26%から33%に増加しました。このキャッシュレス決済のうち、クレジットカード決済の金額は6割を超え、クレジットカード決済は、依然キャッシュレス決済の中心の位置を占めていると言えます。
感染症の影響で、店頭のクレジットカード決済は減少する半面、ネットショッピングによるカード利用は増加しているとの見方があり、消費活動に占めるクレジットカード決済の普及拡大は、今後も継続するものと思われます。
外部環境は急激に変化していますが、当第4四半期(2020年4月~6月)においても当社の事業は堅調に推移しました。感染症の影響で、当期に売上の計上を予定していた一部の案件が来期へ延伸しましたが、軽微な金額であり、ほぼ当初の予想どおりの業績を達成しました。
カード決済に不可欠な機能を提供するシステムの開発や運用を担う当社は、社会的な使命を正しく認識し、業務を継続するために必要な設備や体制を整備しつつ業務を推進しています。
当期(2019年7月~2020年6月)の売上高は、10,920百万円と、期初の予想10,600百万円を上回りました。金融システムソリューション事業においては、売上高9,857百万円と、期初予想9,400百万円を上回りましたが、プロダクトソリューション事業においては、売上高1,063百万円と、期初予想1,200百万円を下回りました。
また、当期売上高10,920百万円は、前期実績10,443百万円を4.6%上回りました。
金融システムソリューション事業においては9,857百万円と、前期実績9,336百万円を5.6%上回りましたが、プロダクトソリューション事業においては1,063百万円と、前期実績1,106百万円を下回りました。
営業利益は、1,036百万円と、期初予想1,000百万円を上回り、前期実績921百万円を12.5%上回りました。金融システムソリューション事業においては、1,123百万円と、前期実績890百万円を26.2%上回りましたが、プロダクトソリューション事業においては、営業損失87百万円でした。
経常利益は1,074百万円と、前期実績953百万円を12.7%上回りました。当期純利益は762百万円と、前期実績683百万円を11.4%上回りました。
当期におけるセグメント別の業績は次のとおりです。
(金融システムソリューション事業)
金融システムソリューション事業においては、主にクレジットカードの決済処理を完遂するために必要なネットワーク接続やカードの使用認証等の機能をもつFEP(Front End Processing)システムの開発業務を行っています。
例えば、FEPシステムの新規開発に際しては、システムの中核を構成するNET+1(ネットプラスワン)の販売による売上(当社製パッケージソフトウェア)と、技術者がそのパッケージをカスタマイズして顧客の機能要件に合わせる開発業務による売上(ソフトウェア開発業務)、開発したソフトウェアを搭載するサーバーの販売による売上(ハードウェア)、ソフトウェアとハードウェアで構成されたシステムの保守業務による売上(保守)のそれぞれが計上されます。
当期の業績は、売上高9,857百万円(前期は9,336百万円)、営業利益1,123百万円(前期は890百万円)でした。
当期は、主に既存顧客向けの開発案件を中心に売上を計上しました。ソフトウェア開発の売上高は、5,791百万円(前期は5,668百万円)と、ほぼ前年並みでした。
当期は、特に、ハードウェア販売による売上高が1,526百万円(前期は1,140百万円)対前期比で、33.9%伸びました。当社が構築するFEPシステムに採用されるサーバーの一部の型式について、メーカーのサポートの期限切れが近づいており、当第4四半期に、このサーバーの更新案件が複数売上計上されました。2021年6月期も同様の更新案件が複数予定されています。
クラウドサービス事業の売上高は、新規の顧客向けにサービスを開始したことにより、828百万円と、前期実績637百万円を30%上回りました。一方で、自社製パッケージソフトウェアの販売は226百万円と、前期実績490百万円を下回りました。当社の主要な自社製パッケージソフトウェアNET+1は、当社が開発するFEPシステムの核を構成する製品であり、当社が受託するFEPシステムの新規構築や置換えの開発案件に利用されています。前第3四半期においては、複数の顧客向けのFEPシステム開発案件のパッケージソフトウェアの販売時期が重なったため、売上高が一時的に伸びました。当期は同様の現象がなかったため、売上高は減少しました。これらの製品販売の売上計上時期は不規則です。通常、各開発案件の進捗状況によって、ハードウェアやソフトウェアの売上計上時期は変わります。
当期の営業利益は、1,123百万円と、前期実績890百万円を26.2%上回りました。ソフトウェア開発業務は、不採算の案件の発生もなく順調に推移し、前期より損益が改善しました。クラウドサービス事業は、売上高が増加したことによって損益が改善しました。また、前述のとおり、ハードウェア販売の売上高が大きく伸びたことによって、営業利益は増加しました。
(プロダクトソリューション事業)
プロダクトソリューション事業においては、企業組織の内部情報漏えいを防ぐ当社製品と、サイバーセキュリティ対策のための他社製品の販売業務を行っています。
当期の業績は、売上高1,063百万円(前期は1,106百万円)、営業損失87百万円(前期は31百万円の営業利益)でした。
当期は、当社製品の販売について、一部の案件が感染症の影響によって来期に延伸したこともあり、売上高は前期実績を下回りました。他社製品の販売は前期実績を上回りましたが、相対的に利益率の低い製品が多く、当社製品の販売実績の低下と合わせて、損益は対前期で悪化しました。
なお、上記のセグメントは、それぞれ下記の製品と商品に区分され、その内訳は以下のとおりです。
イ 金融システムソリューション事業
売上高の推移は、以下のとおりです。
| 製・商品区分 | 2019年6月期(千円) | 2020年6月期(千円) | 前年同期比(%) |
| ソフトウェア開発 | 5,668,343 | 5,791,627 | 102.2 |
| 当社製パッケージソフトウェア | 490,076 | 226,240 | 46.2 |
| ソフトウェア保守 | 1,124,728 | 1,246,166 | 110.8 |
| サービス(自社製品) | 659,297 | 846,212 | 128.4 |
| 製品小計 | 7,942,445 | 8,110,247 | 102.1 |
| ハードウェア | 1,140,095 | 1,526,492 | 133.9 |
| 他社製パッケージソフトウェア | 224,894 | 194,543 | 86.5 |
| サービス(他社製品) | 29,405 | 26,219 | 89.2 |
| 商品小計 | 1,394,395 | 1,747,255 | 125.3 |
| 合計 | 9,336,840 | 9,857,502 | 105.6 |
ロ プロダクトソリューション事業
売上高の推移は、以下のとおりです。
| 製・商品区分 | 2019年6月期(千円) | 2020年6月期(千円) | 前年同期比(%) |
| ソフトウェア開発 | 72,943 | 53,098 | 72.8 |
| 当社製パッケージソフトウェア | 133,023 | 89,340 | 67.2 |
| ソフトウェア保守 | 282,844 | 276,473 | 97.7 |
| 製品小計 | 488,810 | 418,912 | 85.7 |
| ハードウェア | 82,721 | 44,087 | 53.3 |
| 他社製パッケージソフトウェア | 534,926 | 600,346 | 112.2 |
| 商品小計 | 617,648 | 644,433 | 104.3 |
| 合計 | 1,106,459 | 1,063,346 | 96.1 |
② 財政状態の状況
当期末における資産の残高は、前事業年度末に比べ519百万円増加し、10,552百万円となりました。うち流動資産は、前事業年度末に比べ326百万円増加し、6,381百万円となりました。これは主に、仕掛品244百万円の減少及び前渡金123百万円の減少がありましたが、現金及び預金386百万円の増加、売掛金264百万円の増加があったためです。固定資産は、前事業年度末に比べ192百万円増加し、4,170百万円となりました。これは主に、繰延税金資産85百万円の減少がありましたが、ソフトウェア73百万円の増加及び投資有価証券124百万円の増加があったためです。
負債の残高は、前期末に比べ91百万円減少し、3,568百万円となりました。これは主に、買掛金294百万円の増加がありましたが、未払法人税等297百万円の減少及び未払金55百万円の減少並びに前受金46百万円の減少があったためです。
純資産の残高は、前期末に比べ610百万円増加し、6,983百万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金85百万円の増加及び利益剰余金525百万円の増加があったためです。
セグメントごとの資産は次のとおりです。
(金融システムソリューション事業)
当期末の資産合計は、前期末に比べ599百万円増加し、8,825百万円となりました。これは主に、仕掛品の減少244百万円がありましたが、現金及び預金433百万円の増加及び売掛金329百万円の増加があったためです。
(プロダクトソリューション事業)
当期末の資産合計は、前期末に比べ153百万円減少し、602百万円となりました。主な減少要因は、前渡金69百万円の減少、売掛金64百万円の減少並びに現金及び預金46百万円の減少があったためです。
(その他)
当期末の資産合計は、前期末に比べ73百万円増加し、1,123百万円となりました。これは主に、繰延税金資産51百万円の減少がありましたが、投資有価証券の時価の上昇等により125百万円増加したことによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当期末における現金及び現金同等物は、3,641百万円となり、前期末に比べて、386百万円増加しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当期の営業活動によるキャッシュ・フローは、1,547百万円の収入(前事業年度比25.0%増)となりました。これは全体の事業収支が堅調に推移した結果、税引前当期純利益が1,074百万円となり、主に非資金項目である減価償却費605百万円の計上や法人税等の支払額552百万円があったためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当期の投資活動によるキャッシュ・フローは、752百万円の支出(前事業年度は601百万円の支出)となりました。これは、販売目的及び自社利用のソフトウェアの構築を主とする無形固定資産の取得による支出579百万円があったためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当期の財務活動によるキャッシュ・フローは、407百万円の支出(前事業年度は219百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額236百万円、自己株式の取得による支出136百万円があったためです。
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社の主要な資金需要は、ソフトウェア開発に係る人件費や商品の仕入、販売管理費などの営業費用、新製品開発を行う研究開発、設備の新設や改修等に係る投資等です。これらの資金需要は、手元の資金と営業活動によるキャッシュ・フローを財源とすることを基本方針としています。なお、必要と判断した場合には金融機関等外部からの資金調達も検討します。また、取引金融機関3行及び生命保険会社1社とコミットメントライン契約を締結しており、機動的かつ安定的な資金調達体制を構築し、資金の流動性を確保しています。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 前事業年度 (自 2018年7月1日 至 2019年6月30日) | 当事業年度 (自 2019年7月1日 至 2020年6月30日) | ||
| 生産高(千円) | 前年同期比(%) | 生産高(千円) | 前年同期比(%) | |
| 金融システムソリューション事業 | 6,158,419 | 92.4 | 6,017,867 | 97.7 |
| プロダクトソリューション事業 | 159,812 | 149.4 | 97,230 | 60.8 |
| 合 計 | 6,318,232 | 93.3 | 6,115,098 | 96.8 |
(注)1 セグメント間取引については、相殺消去しています。
2 生産実績は、販売価格により表示しています。
3 上記金額には、消費税等は含まれていません。
b.仕入実績
当事業年度における商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 前事業年度 (自 2018年7月1日 至 2019年6月30日) | 当事業年度 (自 2019年7月1日 至 2020年6月30日) | ||
| 仕入高(千円) | 前年同期比(%) | 仕入高(千円) | 前年同期比(%) | |
| 金融システムソリューション事業 | 971,588 | 145.1 | 1,165,561 | 120.0 |
| プロダクトソリューション事業 | 461,606 | 61.9 | 502,370 | 108.8 |
| 合 計 | 1,433,194 | 101.2 | 1,667,931 | 116.4 |
(注)1 当社の仕入はソフトウェア及びサービスであり、数量表示は困難ですので、金額のみで表示しています。
2 上記金額には、消費税等は含まれていません。
c.受注実績
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 前事業年度 (自 2018年7月1日 至 2019年6月30日) | 当事業年度 (自 2019年7月1日 至 2020年6月30日) | ||||||
| 受注高 (千円) | 受注残高 (千円) | 受注高 (千円) | 受注残高 (千円) | |||||
| 前年同期比 (%) | 前年同期比 (%) | 前年同期比 (%) | 前年同期比 (%) | |||||
| 金融システムソリューション事業 | 10,026,811 | 116.8 | 4,515,516 | 118.0 | 10,011,301 | 99.9 | 4,669,315 | 103.4 |
| プロダクトソリューション事業 | 1,316,899 | 83.0 | 819,739 | 134.5 | 891,950 | 67.7 | 648,343 | 79.1 |
| 合 計 | 11,343,711 | 111.5 | 5,335,255 | 120.3 | 10,903,252 | 96.1 | 5,317,659 | 99.7 |
(注) 上記金額には、消費税等は含まれていません。
d.販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
| セグメントの名称 | 前事業年度 (自 2018年7月1日 至 2019年6月30日) | 当事業年度 (自 2019年7月1日 至 2020年6月30日) | ||
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| 金融システムソリューション事業 | 9,336,840 | 100.0 | 9,857,502 | 105.6 |
| プロダクトソリューション事業 | 1,106,459 | 87.0 | 1,063,346 | 96.1 |
| 合 計 | 10,443,300 | 98.5 | 10,920,848 | 104.6 |
(注)1 当社の製品は多岐にわたっており、数量表示は困難ですので、金額のみで表示しています。
2 主な相手先別の販売実績が当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
| 相手先 | 前事業年度 (自 2018年7月1日 至 2019年6月30日) | 当事業年度 (自 2019年7月1日 至 2020年6月30日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| 大日本印刷(株) | 1,436,708 | 13.8 | 1,837,130 | 16.8 |
3 上記金額には、消費税等は含まれていません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営成績について
経営成績の推移
(百万円)
| 2016年6月 | 2017年6月 | 2018年6月 | 2019年6月 | 2020年6月 | |
| 売上高 | 7,205 | 8,469 | 10,603 | 10,443 | 10,920 |
| 営業利益 | 731 | 702 | 547 | 921 | 1,036 |
| 営業利益率 | 10.1% | 8.3% | 5.2% | 8.8% | 9.5% |
| EBITDA* | 944 | 1,039 | 1,032 | 1,628 | 1,641 |
| 当期純利益 | 513 | 547 | 377 | 683 | 762 |
| 純資産額 | 5,013 | 5,647 | 5,715 | 6,372 | 6,983 |
| 総資産額 | 6,944 | 8,508 | 8,837 | 10,032 | 10,552 |
| ROE | 10.5% | 10.3% | 6.6% | 11.3% | 11.4% |
| 従業員数(人) | 315 | 339 | 397 | 413 | 435 |
EBITDA* 営業利益+減価償却費
当社は、これまで、事業規模の拡大と事業内容の質的な変化を重要な要素として、会社と事業の“進化”を追求してきました。
当社は、クレジットカード会社向けに特定の機能を提供するシステム開発を主な事業として、安定的な事業基盤を維持してきましたが、決済手段の多様化やキャッシュレス社会の進展という社会情勢の変化を成長機会として、既存のシステム開発事業を伸ばすだけでなく、新たな収益機会の獲得に取組んできました。
会社の進化を具体的に示す指標として売上高100億円超の目標を掲げ、新製品と新サービスの開発と市場投入が連続的に起こる組織づくりを目指して、事業の規模的、質的な進化を追求してきました。
既存顧客である大手クレジットカード会社からのシステム開発業務の受注は順調に推移し、売上高の成長を支えました。
当社は、2020年6月期に売上高100億円、営業利益10億円を超える業績をあげることができました。当社の収益力を示す指標であるEBITDAは、944百万円から1,641百万円へ大きく成長し、規模的な進化を遂げています。
2016年6月期から5年間の年平均成長率は、売上高が11.0%、営業利益が9.1%の実績でした。成長率は、当社の進化の速度を示しますが、さらに改善余地があります。主力事業であるシステム開発事業の成長に加えてクラウドサービス事業に続く新製品、新サービスの開発投入を活性化させ、進化の速度を上げていきます。
2016年6月期に開始したクラウドサービス事業は、当社事業の質的な進化を示す事例といえます。従来、顧客ごとに開発して納入していたクレジットカード関連の業務システムを、当社が運営するデータセンターから期間貸しすることによって、当社は、同一の顧客から安定的に収益をあげることができるようになりました。
顧客は、当社のサービスを利用することで、多額の初期投資を回避してカード業務を開始することができるため、新規参入事業者に途を開く結果になりました。当社にとっても新規の顧客を獲得する重要な機会になっています。
システム開発事業は、案件ごとに売上高が異なり、また利益率が異なる性質がありますが、クラウドサービス事業は、継続的かつ安定的に収益を積上げていくことができる事業であり、一定規模以上の売上高が計上できれば、相対的に高い利益をあげることができる事業です。2020年6月期末時点では、クラウドサービス事業の規模は未だ小さく利益もでていませんが、今後とも当社の成長を牽引する事業として伸ばしていきます。
クラウドサービス事業の推移
(百万円)
| 2017年6月 | 2018年6月 | 2019年6月 | 2020年6月 | |
| 売上高 | 179 | 386 | 637 | 828 |
| 売上総利益 | △166 | △296 | △105 | △24 |
キャッシュ・フローについて
キャッシュ・フローの推移
(百万円)
| 2016年6月 | 2017年6月 | 2018年6月 | 2019年6月 | 2020年6月 | |
| 営業CF | ― | 1,172 | 1,213 | 1,237 | 1,547 |
| 投資CF | ― | △1,151 | △603 | △601 | △752 |
| 財務CF | ― | △198 | △348 | △219 | △407 |
| 現金同等物 | ― | 2,578 | 2,839 | 3,254 | 3,641 |
| EBITDA | ― | 1,039 | 1,032 | 1,628 | 1,641 |
(注)2017年6月期以降は連結財務諸表を作成していません。2016年6月期実績は、非連結ベースによるキャッシュ・フロー、現金同等物等を開示していません。
キャッシュ創出力を示す指標であるEBITDAは着実に成長しています。当社は、事業活動から産み出されるキャッシュと手元資金を原資として、成長投資を行う方針です。
投資案件によっては外部からの資金調達を行う可能性もありますが、その場合も案件の収益性と財務の健全性を考慮して検討します。
2017年6月期には、主にクラウドサービス事業の起ち上げに必要な設備投資、開発投資を行いました。その後も新製品の開発投資を継続しています。
クラウドサービス事業の収益性は未だ低い状態ですが、当社にとって新たな収益源として将来性を期待しており、今後とも必要な投資を継続します。
株主還元について
配当金の推移
(百万円)
| 2016年6月 | 2017年6月 | 2018年6月 | 2019年6月 | 2020年6月 | |
| 配当金 | 158 | 184 | 184 | 237 | 264 |
| 配当性向 | 30.8% | 33.7% | 48.8% | 34.6% | 34.5% |
当社は、配当を重要な株主還元策と位置付けており、継続的に安定的な配当を維持することを基本方針としています。配当金額を検討するうえで、概ね3割程度の配当性向の実現を緩やかな基準として実施しています。
経営指標について
当社は、継続的な収益力の向上の指標として営業利益を主要な経営指標としています。
ROE(株主資本利益率)ほかの経営指標の推移については以下のとおりです。
経営指標の推移
(百万円)
| 2016年6月 | 2017年6月 | 2018年6月 | 2019年6月 | 2020年6月 | |
| 営業利益 | 731 | 702 | 547 | 921 | 1,036 |
| 利益率(営業利益) | 10.1% | 8.3% | 5.2% | 8.8% | 9.5% |
| ROE | 10.5% | 10.3% | 6.6% | 11.3% | 11.4% |
| 総資産回転率 (売上高/総資産) | 1.08 | 1.10 | 1.22 | 1.11 | 1.06 |
| 利益率(純利益) | 7.1% | 6.5% | 3.6% | 6.5% | 7.0% |
| 財務レバレッジ(総資産/純資産) | 1.37 | 1.45 | 1.53 | 1.56 | 1.54 |
| 一人あたり売上高 | 22.9 | 25.0 | 26.7 | 25.3 | 25.1 |
ROEについて
売上高の増加に合わせて資産も増加しており、総資産の回転率は、1.06から1.22の範囲で推移しました。売上高の増加に伴って、売掛金等の流動資産も増加し総資産の増加につながっています。無形固定資産は、当社製のソフトウェア(販売用のソフトウェアやクラウドサービスに提供されるソフトウェア)が大部分を占めています。この知的資産を有効に活用し、売上高の増加を促進することで、総資産回転率は改善の余地があるものとみています。
資産の推移
(百万円)
| 2016年6月 | 2017年6月 | 2018年6月 | 2019年6月 | 2020年6月 | |
| 総資産額 | 6,944 | 8,508 | 8,837 | 10,032 | 10,552 |
| うち流動資産額 | 4,681 | 4,984 | 5,034 | 6,054 | 6,381 |
| うち無形固定資産額 | 565 | 1,421 | 1,514 | 1,341 | 1,465 |
また、従業員一人あたり売上高の増加は、売上高の成長の効率性を示す指標と考えられます。より長期的には、一人あたり売上高の増加に伴う効率的な売上高の増加によって、規模的な成長とともに収益性も高めることができ、営業利益率を向上させることと期待します。また、営業利益率の向上は、システム開発業務の効率化や成果物の品質を上げることによって実現されるほか、システム開発業務の収益性を超える事業の売上高比率を増やすことによっても実現されます。当社の事業の場合、営業利益率の向上は純利益率の向上に直結します。
売上高の効率的な増加と営業利益率の向上は、結果的にROEの改善に帰結します。
当社は、営業利益率の向上による純利益率の向上と一人あたり売上高を、収益力の向上と効率性の向上を示す指標とし、ROEは当社の株主資本効率を示す指標とします。
当社は、当社の株主資本コストを6.8%*と推計しており、ROEを評価する際の指標にしています。エクイティスプレッド(ROEと株主資本コストとの差分)の増加を意識しつつ、収益力の強化によるROEの改善を目指します。
*CAPM(Capital Asset Pricing Model、資本資産評価モデル)による。
重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しています。
財務諸表の作成に際し、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は見積りと異なる場合があります。
また、新型コロナウイルス拡大による会計上の見積りに関しては、財務諸表作成時における入手可能な情報に基づき見積りを行っておりますが、当事業年度の経営成績等に重要な影響を与える事象は認識しておりません。しかしながら、新型コロナウイルスウイルス拡大による影響は不確定要素が多く、新規案件の受注の遅延等、翌事業年度の当社の財政状態及び経営成績に影響を及ぼす可能性があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(a) 市場販売目的のソフトウェアの減価償却の方法
市場販売目的のソフトウェアの減価償却費については、製品ごとに未償却残高を、見込販売収益を基礎として当事業年度の実績販売収益に対して計算した金額と残存有効期間(3年)に基づく定額償却額のいずれか大きい金額で償却を行うものとしています。今後、見込販売収益が減少した場合、減価償却費が増加する可能性があります。
(b) 固定資産の減損判定
固定資産については、当事業年度末に、有形固定資産及び無形固定資産が減損している可能性を示す兆候の有無を判断しています。減損の兆候がある資産又は資産グル-プについて、サ-ビスの提供に用いるソフトウェアや資産計上したサ-バ等の当該資産から得られる割引前キャッシュフロ-の総額が、事業環境の悪化や開発コストの増加等により帳簿価額を下回る場合には、固定資産の減損処理を実施する可能性があります。
(c) 繰延税金資産の回収可能性の判断
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しておりますが、繰延税金資産は将来の課税所得の見積りに依存するため、将来の不確実な経済条件の変動等や税制改正による法定実効税率等の変化があった場合には、繰延税金資産の回収可能性が変動する場合があります。