有価証券報告書-第43期(2025/07/01-2026/06/30)
(1) 経営成績等の状況の概要
2026年6月期における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。また、文中の将来に関する事項は、2026年6月末現在において当社が判断したものです。
① 経営成績の状況
当社は2025年6月期から始まる3カ年中期経営計画を策定しています。本中期経営計画では、"Transformation for the Future"を掲げ、2030年代を見据え、事業の多角化と持続的な成長の基盤づくりに取り組んでいます。これらの実現に向けて、この3年間は、「事業」「技術」「人財」の3つの“変革”に注力しています。
中期経営計画では、事業領域を提供する機能別に、「決済」「セキュリティ」「データ通信・分析基盤(新領域)」の3つに再編し、それぞれの領域において、成長に向けた施策を推進しています。
主力の決済領域では、国内のキャッシュレス決済の拡大に伴い、主要取引先である決済事業者の基幹システムのモダナイズやオープン化が進展しています。当社は強みであるFEP※分野に加え、アクワイアリング分野への領域拡大を図ることで、決済ソリューションの価値向上に努めています。また、不正検知分野においては、カードの不正利用が後を絶たず、不正の手口も高度化・多様化する中、カード業界横断型の不正対策ソリューションの立ち上げなどを通じて、決済領域における提供価値の向上に取り組んでいます。
セキュリティ領域では、収益性の高い自社プロダクトの価値向上に向けた開発を進めるとともに、東南アジアを中心とした海外市場への展開にも注力しています。データ通信・分析基盤領域では、コア技術である高速・大量のデータ通信および分析・処理技術の他業界における活用の検討を進め、新たな市場の獲得にチャレンジしています。
当事業年度の業績は、売上高17,247百万円(前期比10.6%増)、営業利益2,076百万円(同12.3%増)、経常利益2,129百万円(同12.6%増)、当期純利益1,487百万円(同10.2%増)となりました。決済領域における主要顧客向けシステム更改案件等が好調に推移し、売上高及び各利益ともに過去最高を更新しました。
■事業領域別売上高
(単位:百万円)
| 2025年6月期 | 2026年6月期 | 前期比 | |
| 売上高 | 15,596 | 17,247 | 110.6% |
| 決済 | 12,755 | 14,285 | 112.0% |
| うちクラウドサービス | 3,479 | 4,293 | 123.4% |
| セキュリティ | 2,022 | 2,067 | 102.2% |
| データ通信・分析基盤 | 817 | 894 | 109.4% |
売上高は、決済領域において、主力のFEP・不正検知分野で主要顧客のシステム更改案件等が進捗したことにより、ハードウェア販売に加え、下期にはシステム開発売上も増加しました。カード会社における基幹システムのモダナイズや不正利用対策を中心としたシステム投資需要は、堅調に推移しています。また、データ通信・分析基盤領域においては、証券会社向けシステム開発案件の売上が増加しました。
営業利益は、一部顧客向けクラウドサービス案件における品質対応や、セキュリティ領域における製品構成の影響により粗利率が低下したものの、品質対応は当事業年度中に収束しました。一方で、主要案件を中心としたシステム開発案件の採算が堅調に推移したことに加え、ハードウェア販売が増加したことから、増益となりました。
受注高は15,365百万円(前期比20.5%減)、受注残高は18,429百万円(同9.3%減)となりました。受注高及び受注残高は、前事業年度にクラウドサービスおよびセキュリティ領域で大型の複数年契約案件を獲得した反動により減少しました。一方で、システム開発案件については主要顧客のシステム更改案件等により増加しました。
※ FEP(Front End Processor)システム:クレジットカード決済処理に必要なネットワーク接続やカード使用認証等の機能をもつハードウェア、及びソフトウェア
② 財政状態の状況
当事業年度末における資産の残高は、前事業年度末に比べ1,357百万円減少し、17,333百万円となりました。うち流動資産は、前事業年度末に比べ579百万円減少し、9,880百万円となりました。これは主に、受取手形、売掛金及び契約資産1,168百万円、未収入金147百万円、前払費用135百万円の増加があったものの、現金及び預金1,788百万円、前渡金386百万円の減少があったためです。固定資産は、前事業年度末に比べ777百万円減少し、7,452百万円となりました。これは主に、投資有価証券102百万円の増加があったものの、無形固定資産700百万円、繰延税金資産264百万円の減少があったためです。
当事業年度末における負債の残高は、前事業年度末に比べ1,947百万円減少し、7,267百万円となりました。これは主に、前受金863百万円、未払法人税等759百万円、未払消費税等395百万円の減少があったためです。
当事業年度末における純資産の残高は、前事業年度末に比べ590百万円増加し、10,065百万円となりました。これは主に、繰越利益剰余金514百万円、その他有価証券評価差額金73百万円の増加があったためです。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、4,034百万円となり、前事業年度末に比べて、2,388百万円減少しました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、313百万円の収入(前事業年度比92.6%減)となりました。主な内訳としては、税引前当期純利益2,106百万円、減価償却費1,711百万円の計上、売上債権の増加額2,031百万円、仕入債務の増加額554百万円、未払消費税等の減少額404百万円、法人税等の支払額1,255百万円があったためです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における投資活動によるキャッシュ・フローは、1,730百万円の支出(前事業年度は1,599百万円の支出)となりました。これは主に、販売目的及び自社利用のソフトウェアの構築を主とする無形固定資産の取得による支出607百万円と定期預金の預入による支出600百万円があったためです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度における財務活動によるキャッシュ・フローは、975百万円の支出(前事業年度は1,052百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払額972百万円があったためです。
キャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりです。
| 2025年6月期 | 2026年6月期 | |
| 自己資本比率(%) | 50.7 | 58.1 |
| 時価ベースの自己資本比率(%) | 156.0 | 140.9 |
| 債務償還年数(年) | 0.0 | 0.0 |
| インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍) | ― | ― |
(注)1 自己資本比率:自己資本/総資産
2 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
3 債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
有利子負債は、貸借対照表に計上されている負債のうち利子を払っている全ての負債を対象としています。
4 インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
(資本の財源及び資金の流動性に係る情報)
当社の主要な資金需要は、システム開発に係る人件費や商品の仕入、販売管理費などの営業費用、新製品開発を行う研究開発、設備の新設や改修等に係る投資等です。これらの資金需要は、手許の資金と営業活動によるキャッシュ・フローを財源とすることを基本方針としています。なお、必要と判断した場合には金融機関等外部からの資金調達も検討します。また、取引金融機関4行及び生命保険会社1社と当座貸越契約及びコミットメントライン契約を締結しており、機動的かつ安定的な資金調達体制を構築し、資金の流動性を確保しています。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
| 前事業年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) | 当事業年度 (自 2025年7月1日 至 2026年6月30日) | ||
| 生産高(千円) | 前年同期比(%) | 生産高(千円) | 前年同期比(%) |
| 5,803,226 | 101.1 | 5,192,529 | 89.5 |
(注) 生産実績は、販売価格により表示しています。
b.仕入実績
| 前事業年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) | 当事業年度 (自 2025年7月1日 至 2026年6月30日) | ||
| 仕入高(千円) | 前年同期比(%) | 仕入高(千円) | 前年同期比(%) |
| 1,725,970 | 98.4 | 2,720,727 | 157.6 |
(注) 当社の仕入はソフトウェア及びサービスであり、数量表示は困難ですので、金額のみで表示しています。
c.受注実績
| 前事業年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) | 当事業年度 (自 2025年7月1日 至 2026年6月30日) | ||||||
| 受注高(千円) | 受注残高(千円) | 受注高(千円) | 受注残高(千円) | ||||
| 前年同期比(%) | 前年同期比(%) | 前年同期比(%) | 前年同期比(%) | ||||
| 19,322,686 | 96.0 | 20,311,266 | 122.5 | 15,365,143 | 79.5 | 18,429,400 | 90.7 |
d.販売実績
| 前事業年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) | 当事業年度 (自 2025年7月1日 至 2026年6月30日) | ||
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | 金額(千円) | 前年同期比(%) |
| 15,596,131 | 107.4 | 17,247,009 | 110.6 |
(注)1 当社の製品は多岐にわたっており、数量表示は困難ですので、金額のみで表示しています。
2 主な相手先別の販売実績が当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
| 相手先 | 前事業年度 (自 2024年7月1日 至 2025年6月30日) | 当事業年度 (自 2025年7月1日 至 2026年6月30日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| イオンフィナンシャル サービス㈱ | 874,245 | 5.6 | 1,917,846 | 11.1 |
| 大日本印刷㈱ | 1,731,251 | 11.1 | 1,437,424 | 8.3 |
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容は、次のとおりです。また、文中の将来に関する事項は、2026年6月期末現在において当社が判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
上記については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要」に記載しています。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
上記については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しています。
③経営指標について
当社は、継続的な収益力の向上と事業運営の効率性を示す指標として、営業利益率とROE(株主資本利益率)を主要な経営指標としており、営業利益率15.0%、ROE17.0%以上の達成を目指しています。
また、当社の資本コストは、8~10%と見積もっており、資本コストを上回るROEを追求することで、当社の株主価値の向上を目指します。
1)経営指標の推移
(単位:百万円)
| 2022年6月 | 2023年6月 | 2024年6月 | 2025年6月 | 2026年6月 | |
| 営業利益 | 1,519 | 1,556 | 2,030 | 1,848 | 2,076 |
| 利益率(営業利益) | 13.2% | 11.6% | 14.0% | 11.9% | 12.0% |
| ROE | 13.5% | 13.8% | 15.8% | 14.4% | 15.2% |
| 総資産回転率 (売上高/総資産) | 0.96 | 1.01 | 0.95 | 0.88 | 0.96 |
| 利益率(純利益) | 9.2% | 8.7% | 9.8% | 8.6% | 8.6% |
| 財務レバレッジ(総資産/純資産) | 1.53 | 1.57 | 1.69 | 1.90 | 1.84 |
| 一人あたり売上高 | 25.5 | 28.0 | 29.5 | 30.1 | 32.3 |
(単位:百万円)
| 2022年6月 | 2023年6月 | 2024年6月 | 2025年6月 | 2026年6月 | |
| 総資産額 | 12,740 | 13,683 | 16,847 | 18,690 | 17,333 |
| うち流動資産額 | 8,274 | 7,863 | 9,279 | 10,460 | 9,880 |
| うち無形固定資産額 | 2,049 | 2,738 | 3,996 | 4,154 | 3,453 |
2)ROEについて
売上高の増加に合わせて資産も増加していますが、直近3年間の総資産回転率は、0.88から0.96の範囲で推移しました。総資産のうち無形固定資産は、当社製のソフトウェア(販売用のソフトウェアやクラウドサービスに提供されるソフトウェア)が大部分を占めています。この知的資産を有効に活用し、売上高の増加を促進することで、総資産回転率は改善の余地があるものとみています。
営業利益率の向上は、システム開発業務の効率化や成果物の品質を上げることによって実現されるほか、自社プロダクトの販売等システム開発業務の収益性を超える売上高比率を増やすことによっても実現されます。当社事業の場合、営業利益率の向上は純利益率の向上に直結します。
従業員一人あたり売上高の増加は、売上高の成長の効率性を示す指標と考えられます。より長期的には、一人あたり売上高の増加に伴う効率的な売上高の増加によって、規模的な成長とともに収益性も高めることができ、営業利益率を向上させることと期待します。
④重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成しています。財務諸表の作成に際し、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(a) 市場販売目的のソフトウェアの減価償却の方法
市場販売目的のソフトウェアの減価償却費については、製品ごとに未償却残高を、見込販売収益を基礎として当事業年度の実績販売収益に対して計算した金額と残存有効期間(3年)に基づく定額償却額のいずれか大きい金額で償却を行うものとしています。今後、見込販売収益が減少した場合、減価償却費が増加する可能性があります。
(b) 固定資産の減損判定
固定資産については、当事業年度末に、有形固定資産及び無形固定資産が減損している可能性を示す兆候の有無を判断しています。減損の兆候がある資産又は資産グループについて、サービスの提供に用いるソフトウェアや資産計上したサーバ等の当該資産から得られる割引前キャッシュフローの総額が、事業環境の悪化や開発コストの増加等により帳簿価額を下回る場合には、固定資産の減損処理を実施する可能性があります。
(c) 繰延税金資産の回収可能性の判断
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上していますが、繰延税金資産は将来の課税所得の見積りに依存するため、将来の不確実な経済条件の変動等や税制改正による法定実効税率等の変化があった場合には、繰延税金資産の回収可能性が変動する場合があります。