有価証券報告書-第23期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国の経済は、米中の貿易摩擦等の不安要因や、消費税率引上げといった不確実性はあるものの、国内消費は全体に堅調に推移しておりましたが、2020年2月に入り、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、経済活動の自粛・制限による将来についての不安が増大いたしました。インターネット業界においては、5G時代における新たなサービスの可能性や、NHKによる常時同時配信の在り方に注目が集まりました。感染症対策のため外出や人との接触を減らさざるを得ない状況下、Webを通じたコミュニケーション手法が注目され利用が広がりました。 こうした環境下、当社グループでは、成長性の高い市場開拓のための調査研究や政府・民間による情報通信業界の将来に向けた取組に積極的に参加する一方、メディアによるコンテンツ配信ビジネスの一層の強化に応える体制強化や、医薬系企業によるWeb講演会の市場開拓のための新サービスや新しい協業体制を推進するなど、主力となる配信・制作サービスの受注につながる各種施策を展開しました。8月には医薬系等の市場開拓・サービス力強化のため、持分法適用会社であったビッグエムズワイの株式を全部取得、連結子会社として連携を強化しました。新型コロナウイルス感染症の蔓延以降は、各種対策などグループ社員の健康管理に注力すると同時に、社会貢献の側面からもインターネットライブや映像事前収録等のサービスの提供を積極的に進めました。
この結果、当連結会計年度の財政状態および経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ845百万円増加し、5,886百万円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ684百万円増加し、1,696百万円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ161百万円増加し、4,189百万円となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の経営成績は、連結売上高8,442百万円(前期比24.5%増)、連結営業利益547百万円(前期比74.7%増)、連結経常利益562百万円(前期比76.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は249百万円(前期比27.4%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
配信事業の売上高は4,230百万円(前期比20.0%増)となりました。
制作・システム開発事業の売上高は3,443百万円(前期比36.9%増)となりました。
その他の売上は 768百万円(前期比3.8%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末より13百万円増加し、当連結会計年度末には2,024百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と資金の増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益446百万円の計上、減価償却費380百万円の計上などの資金の増加要因が資金減少要因を上回り616百万円の収入(前年同期比11.0%減)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動よるキャッシュ・フローは、有形及び無形固定資産の取得などにより427百万円の支出(前年同期比33.4%減)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払59百万円及びリース債務の支払81百万円などにより174百万円の支出(前年同期比9.5%増)となりました。
③生産、受注及び販売の実績
a.受注実績
当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 受注高(千円) | 前年同期比(%) | 受注残高(千円) | 前年同期比(%) |
| 配 信 | 4,255,617 | 118.3 | 1,473,475 | 101.8 |
| 制作・システム開発 | 3,616,568 | 141.4 | 506,690 | 151.9 |
| 報告セグメント計 | 7,872,185 | 127.9 | 1,980,166 | 111.1 |
| そ の 他 | 781,847 | 92.4 | 234,601 | 177.6 |
| 合計 | 8,654,032 | 123.6 | 2,214,767 | 115.7 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.2019年8月30日に株式会社ビッグエムズワイの全株式を取得し、同社を完全子会社としたため制作・システム開発事業セグメントが増加しております。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2019年4月1日 至 2020年3月31日) | |
| 金額(千円) | 前年同期比(%) | |
| 配 信 | 4,230,117 | 120.0 |
| 制作・システム開発 | 3,443,506 | 136.9 |
| 報告セグメント計 | 7,673,624 | 127.0 |
| そ の 他 | 768,971 | 103.8 |
| 合計 | 8,442,596 | 124.5 |
(注)1.金額は販売価格によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3.2019年8月30日に株式会社ビッグエムズワイの全株式を取得し、同社を完全子会社としたため制作・システム開発事業セグメントが増加しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積もり
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。重要な会計方針については、「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」をご参照ください。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績等
1) 財政状態
(資産合計)
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より845百万円増加の5,886百万円となりました。
このうち流動資産は4,204百万円となり、前連結会計年度末より812百万円増加しました。これは主に連結子会社取得に伴う売上債権の増加によるものであります。
また、固定資産は1,682百万円となり、前連結会計年度末より33百万円増加しました。これは主に配信系サービス機器の増加と連結子会社取得によるのれんの増加によるものであります。
(負債合計) 当連結会計年度末における負債合計は1,696百万円となり、前連結会計年度末より684百万円増加しました。これは主にリース債務などの増加によるものであります。
(純資産合計)
当連結会計年度末における純資産合計4,189百万円となり、親会社株主に帰属する当期純利益249百万円を計上した一方で、配当金の支払59百万円を計上した結果、前連結会計年度末より161百万円増加しました。
2) 経営成績
(売上高)
メディア系のコンテンツ配信、各種運用・監視、システム開発にかかる売上や、医薬系業界のWeb講演会関連のライブ配信売上が順調に拡大しました。2020年2月以降においては、各種イベントの自粛が広がる中、イベントや会議等ともにインターネットライブについても相当のキャンセル事例が発生しましたが、Web講演会については接触機会を減らせることから受注が増加し、他にも各業界において、Webセミナー、社員集会、卒業式典、入社式、社長訓話、採用セミナー、社内研修、株主総会等様々な用途でのライブ、事前収録等映像制作の問い合わせが急増し、受注増につながりました。オンデマンド配信についても教育等各種用途の利用時間が増加し、流量増からネットワーク売上が増加することとなりました。これらの結果、前連結会計年度に比べ24.5%増の8,442百万円となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
メディア系技術サポート業務の拡大による増加分や、ビッグエムズワイの子会社化に伴う計上分により外注費が増加し、この傾向は継続する見込みです。これらの結果、売上原価は前連結会計年度に比べ26.3.%増の5,526百万円となりました。また販売費及び一般管理費については、グループ企業の増加のほかに特段の増加要因はなく、前連結会計年度に比べ13.2%増の2,369百万円となり全体では微増に留めることができました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の経常利益は562百万円と前連結会計年度に比べ76.1%の増加となりました。当連結会計年度末において、サービス間の機能の重複と市場環境の変化に伴い今後の販売拡大が見込めないソフトウェアおよびグループ会社の利用状況の芳しくない施設について「固定資産の減損に係る会計基準」に基づき減損処理し、特別損失70百万円を計上しました。
税金等調整前当期純利益は前連結会計年度に比べ40.8%増の446百万円となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度に比べ27.4%増の249百万円となりました。
3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
インターネットにおける動画利用の市場は成長基調にあり、このような環境下において当社グループの業績が市場要因から急激に悪化する可能性は低いと認識しております。こうした環境下にある企業として健全な成長を遂げるためには、市場において確固たる地位を占め続けることが重要であると認識しております。
当社グループではインターネットにおける動画の利用を、放送局やコンテンツプロバイダ各社を中心としたOTT市場におけるものと、一般企業による販売促進や情報共有・コミュニケーションにおける利用であるEVC(Enterprise Video Communication)市場に大別して市場環境や各種施策を検討しております。
OTT市場においては、大規模の配信案件を獲得するに足る配信設備の信頼性の確保や価格競争力、市場の拡大変容に伴い必要とされる各種機能への柔軟な対応が必要となります。大規模配信においては、低価格で提供できる安定した配信基盤の整備に加え、配信の周辺領域におけるサービスや機能を顧客の求める形にまとめて提供すること、突発的な事態やトラブルの際などの機動的な対応ができる設備設計・体制構築を進めることが、重要と認識しています。
EVC市場においては、一般企業からの受注拡大のために、ニーズに即した提案とライブ配信現場等での安定した運営能力や、一般企業がオンデマンド配信を利用する際に使いやすいプラットフォーム、また教育目的の受講管理や世界規模の企業における同時視聴など、動画利用の目的に応じた適切なソリューションを提供できること、更に医薬のWeb講演会のような特に丁寧な対応が必要とされる案件においては、顧客の立場に沿った充実したサポートを提供することが重要と認識しています。
こうした両市場でのサービス展開にあたり適切な研究開発・市場調査が非常に重要であるとの認識の下、適切な投資を実施していきます。
両市場において配信サービス受注を確保するためには、優秀な人的・設備的制作能力の確保・改善も必須となります。当社グループは、映像制作・Web制作と各種配信サービスがセットで利用される案件を多く獲得することで相対的な優位性を保っております。顧客獲得のために、競争力のある制作提案ができる優秀な人員を社内に確保した上で、案件の実作業過程において、原価のコントロールを行い、協力会社等を含めた体制を管理運用して効率良くプロダクトを生み出せる組織を目指していきます。
広くIT系企業に求められる要請事項として、セキュリティ、個人情報保護等への対応があります。当社としましては、事業部門と管理部門との連携を密にし、案件の実施前に注意すべき事項を洗い出し、対応方法を確認してリスクの回避・低減に取り組みます。
当社グループでのサービス提供には配信インフラ、ソフトウェア等のみならず、優秀な人材がサービス提供に不可欠であるとの認識のもと、人材の強化・育成・採用に取り組み、組織の総合力の強化を図ります。
c.資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社グループの事業活動における資金需要の主なものは、受注から開発納品、顧客からの支払受領までの期間と、外注支払等とのギャップ部分の運転資金に加え、各事業についての一般管理費などがあります。設備資金の需要としては、サーバ等の設備、比較的少額のオフィス等の機器に関する設備資金需要があります。無形固定資産に関連するものでは、サービスソフトウェア関連の開発投資、サービス開発投資に加え、社内のシステムに関する開発投資に関する資金需要があります。この他、企業や事業の買収に関する資金需要があります。
(財務政策)
資金の調達につきましては、株式公開及び増資以降は外部からの資金調達を行っておりません。近年の売上増大に伴う運転資金需要の増加や、ソフトウェア開発等の資金需要は自己資金で賄っております。将来的にM&Aや新規事業開拓等に伴う資金需要において不足が生じる場合には、様々な資金調達の方法から適切な方策を検討いたします。
海外との取引については大きな額ではない各種ライセンス程度に限定されており、上述の調達環境を含め、為替、金利変動による直接的な財務リスクは大きくありません。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループにおいては、インターネット上の動画を利用したマーケティング活動や情報発信、情報共有や各種コンテンツ配信の市場は成長基調にあると認識しております。こうした環境下においては、小規模でも動画利用をする顧客層を拡大し、導入顧客の動画利用を促進する知識や情報を提供し、利用実績を積み重ねることで目的達成への効果を実感頂き、取引規模を順次拡大していくことが重要であると判断しております。この方針の達成状況を判断するために重視している指標は、取引先数、また新規の取引先獲得数であります。また、構築した配信基盤を利用して、こうした顧客に適切なサービスを提供して利益をあげられているかの目安として、営業利益率を重要な指標としております。
営業利益率については当連結会計年度において6.5%となり前期比1.9ポイント向上しております。 開発・運用体制の強化に伴う支出や、ウェブサイト・リニューアル、システム開発、映像制作等の外注比率が比較的高い案件獲得が増加したことに伴う外注費、業務委託手数料の増加の影響が大きくなっており、原価のコントロール、内製と外注のバランスに留意し改善に取り組んでまいります。
e.セグメントごとの財政状況及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
(配信事業)
当連結会計年度においては、メディア業界のコンテンツ配信にかかる大規模配信、技術サポートや運用受託業務の受注が順調に推移しました。医薬系企業によるオンライン講演会等の情報提供のためのライブ配信案件の受注についても、大口取引先をはじめとして順調に推移しました。第4四半期連結会計期間においては、この傾向が持続したことに加え、新型コロナウイルス感染症対策のためにライブを活用する事例が増加したこともあり前年実績を大きく上回る結果となりました。これらの結果、当事業の売上高は4,230百万円(前期比20.0%増)となりました。
配信事業セグメントの利益は、メディア企業向けの人材提供を伴う運営サービスの提供等により外注費支出が増加したため、利益率は低下する結果となりましたが、売上増の効果が大きく、1,081百万円(前期比16.9%増)となりました。
配信事業セグメントの資産は、配信インフラとして必要な、長期に渡り利用されるサーバ類の増強・更新の過程にあることから、1,972百万円(前期比15.5%増)となりました。
(制作・システム開発事業)
当連結会計年度においては、コンテンツ配信サイトのリニューアルにかかるシステム開発、eスポーツ関連機材導入を伴うスタジオ設計、教育系の動画利用にかかるシステム開発等の大口受注が得られましたが、Web制作に関する受注は比較的小口の案件が多くなり、全体では前期並に推移しました。映像制作は大口の案件が少なく、また、映像制作系子会社における映像等スタジオ利用の受注が低水準に留まったことが売上減少要因となりましたが、8月末に子会社化したビッグエムズワイによる医薬系企業向けの映像制作、コンテンツ制作やシステム開発売上が大きな売上増加要因となりました。これらの結果、当事業の売上高は3,443百万円(前期比36.9%増)となりました。
制作・システム開発事業セグメントの利益は、ビッグエムズワイの利益の算入に伴い215百万円(前期比42.2%増)となりました。
制作・システム開発事業セグメントの資産には特段の大きな投資実行などありませんでしたが、子会社の増加による影響から2,082百万円(前期比50.1%増)となりました。
(その他)
当連結会計年度におけるその他の売上高は、子会社によるエンコード等設備の販売を伴うインテグレーション業務売上について前年度ほどの大口受注がなかったものの、広告関連売上が医薬関連中心に伸長したことから増加し、768百万円(前期比3.8%増)となりました。
その他の利益は、広告関連ビジネスが開拓途上にあり、関連ソフトウェアの開発や調査研究に関する出費が先行していることから30百万円の損失(前期は45百万円の損失)となりました。
その他の資産については、広告関連ビジネス関連のソフトウェア増に株式会社イノコスの商品在庫増が加わった結果、339百万円(前期比50.6%増)となりました。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されており
ます。この連結財務諸表の作成においては、経営者による会計上の見積りを行なっております。経営者はこれらの
見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性が
あるため、これらの見積りと異なる場合があります。
(繰延税金資産)
繰延税金資産については、将来の利益計画に基づいて課税所得を見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について計上しております。なお、当該課税所得を見積るにあたって、前提とした条件や仮定に変更が生じ、これが減少した場合、繰延税金資産が減額され、税金費用が計上される可能性があります。
実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。