有価証券報告書-第24期(平成30年10月1日-令和1年9月30日)
(1)経営成績等の状況の概要
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度(2018年10月1日から2019年9月30日まで)において当社は、前事業年度より引き続き、再生医療等安全性確保法「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」と医薬品医療機器等法「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」による法的枠組みの下、新たなビジネス展開による事業拡大に向けた取り組みを進めるとともに収益構造の改善に注力しております。2018年10月1日には、前事業年度より実施している事業構造改革に伴う経営効率化の一環として、完全子会社であった株式会社医業経営研究所と株式会社メドセルの2社を吸収合併いたしました。
2018年12月には、株式会社JUNTEN BIOとの間で同社が学校法人順天堂と共同で開発を行っている臓器移植後の拒絶反応の抑制を目的とした再生医療等製品の製造技術の開発委受託契約を締結いたしました。2019年1月には、米国のBioLegend 社との間で当社が保有する新規モノクローナル抗体を用いた研究用製品の開発を目的としたライセンス契約を締結いたしました。2019年2月には、中国ハイアールグループ傘下のQingdao Haier Biotech Holding Co.,Ltd.との間でヘルスケア領域における業務提携に向けた協議の実施の合意書を締結し、2019年3月には、同社との間で中国から日本への再生・細胞医療等の先端医療や健診の受診を目的とした医療ツーリズム事業の提携について契約を締結いたしました。
また、前事業年度に当社が自家細胞培養軟骨「NeoCart®」の開発・販売を目的としたライセンス契約を締結したHistogenics Corporation(所在地:米国マサチューセッツ州ウォルサム市、以下「ヒストジェニックス社」という。)は、米国で実施した自家細胞培養軟骨「NeoCart®」の米国第Ⅲ相臨床試験での主要評価項目未達の結果及び今後の生物学的製剤承認申請(Biologics License Application:BLA)に関して米国食品医薬品局(FDA)と協議を行っておりましたが、2018年12月にFDA よりBLAには追加の臨床試験が必要であるとの回答を得ました。その後ヒストジェニックス社は当該追加試験の実施のための資金調達等も含めた検討をしておりましたが、2019年4月に、米国で臨床段階の革新的なバイオ医薬品を開発しているOcugen 社(所在地:米国ペンシルベニア州モルバーン市)と合併契約を締結し、2019年9月末に合併したことを発表いたしました。さらに同年5月には、ヒストジェニックス社はMedavate 社(所在地:米国コロラド州フォートコリンズ市)と自家細胞培養軟骨「NeoCart®」に係る資産譲渡契約を締結したことに伴い、当社とヒストジェニックス社との間で締結した自家細胞培養軟骨「NeoCart®」に関するライセンス契約についてもMedavate 社に譲渡されることから、当社は資産譲渡完了後、Medavate 社と国内における自家細胞培養軟骨「MDNT01」の開発に係る協議を進めてまいります。
なお、前事業年度での転移性腎細胞がんを対象とする再生医療等製品「AGS-003」の米国での開発中止に続き、昨年11月には米国連邦破産法第11章に基づく手続開始の申し立てを行ったArgos Therapeutics, Inc.(本社:米国、以下「Argos社」という。)に関して、当社は同社に対する債権を破産更生債権として全額貸倒引当金を計上しておりましたが、2019年9月には、Argos社が米国連邦破産裁判所から清算計画の承認を得たことにより、当該計画に含まれていた合意に基づき当社の同社に対する破産更生債権等のうち139百万円が弁済されました。
当事業年度は、特定細胞加工物製造委受託契約を締結している既存の契約医療機関においては、がん免疫治療分野での市場環境の変化等による患者数減少の影響が継続したことにより、一部では患者数の増加が見られたものの患者数の回復は限定的となりました。また、新規顧客の獲得に注力し、新たに特定細胞加工物製造委受託契約を締結した医療機関からの細胞加工受託は増加いたしました。この結果、売上高は、1,059百万円(前期比101百万円増、10.6%増)となりました。
損益面では、当事業年度においても前事業年度から引き続き事業構造改革に取り組み、大阪、新横浜の各細胞培養加工施設を閉鎖して製造拠点を品川細胞培養加工施設に集約するとともに、人員配置の最適化により製造体制の効率化を図りました。これらの事業構造改革の実施により損益は大幅に改善されました。また、研究開発活動においては、自家細胞培養軟骨「MDNT01」の開発の再検討等により、再生医療等製品の研究開発投資が想定を下回ったことから研究開発費は276百万円となりました。
これらの結果、販売費及び一般管理費は1,408百万円(前期比1,622百万円減、53.5%減)となり、営業損失は1,008百万円(前期は営業損失2,714百万円)となりました。
その他、受取利息7百万円(前期比25百万円減)、投資事業組合運用益9百万円(前期は投資事業組合運用損15百万円)等の営業外損益により、経常損失は995百万円(前期は経常損失2,700百万円)となりました。また、Argos社からの貸付金等債権の弁済等による貸倒引当金戻入額144百万円、株式会社医業経営研究所と株式会社メドセルの2社を吸収合併したことによる抱合せ株式消滅差益62百万円、投資有価証券売却益8百万円等の特別利益の計上、事業構造改善費用25百万円の特別損失の計上及び法人税等6百万円等により、当期純損失は795百万円(前期は当期純損失3,127百万円)となりました。
報告セグメント別の業績の概況は、以下のとおりであります。
当社は、2018年9月期は連結業績を開示しておりましたが、当事業年度より非連結での業績を開示しております。そのため、セグメント別の前期比は記載しておりません。
Ⅰ 細胞加工業
細胞加工業については、細胞加工業の3つのビジネス領域(「特定細胞加工物製造業」・「バリューチェーン事業」・「CDMO事業」)の拡大に向けて積極的な活動を展開しております。特定細胞加工物製造業では、特定細胞加工物製造委受託契約を締結している医療機関において、一部では患者数の増加が見られるものの、がん免疫治療分野での市場環境の変化等により、患者数の回復が限定的となる一方で、細胞加工事業の新たな顧客獲得に向けた取り組みにも注力いたしました。また、構造改革の実施による細胞培養加工施設の集約化、人員配置の最適化等の結果、損益が大幅に改善し、売上高は1,050百万円、セグメント利益は89百万円となりました。
Ⅱ 再生医療等製品事業
再生医療等製品事業については、再生医療等製品の早期の収益化を目指すとともに、国内外で行われている再生医療等製品の開発動向にも注目し、早期製品化の可能性のあるパイプライン取得、拡充を視野に入れた活動を行っております。自家細胞培養軟骨「MDNT01」に係る研究開発投資が想定を下回ったこと等から、売上高は8百万円、セグメント損失は411百万円となりました。
(資産)
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べて780百万円減少し、3,084百万円となりました。流動資産は1,852百万円と前事業年度末に比べ661百万円減少しており、主な要因は現金及び預金の減少723百万円、前払費用の減少26百万円、売掛金の増加116百万円です。固定資産は1,231百万円と前事業年度末に比べ118百万円減少しており、主な要因は有形固定資産の減少56百万円、無形固定資産の減少22百万円、関係会社株式の減少36百万円によるものです。
(負債)
当事業年度末の負債は、前事業年度末に比べて120百万円減少し、493百万円となりました。流動負債は328百万円で前事業年度末に比べて107百万円減少しております。主な要因は、未払金の減少36百万円、リース債務の減少23百万円、資産除去債務の減少21百万円です。固定負債は164百万円と前事業年度末に比べて12百万円減少しており、主な要因はリース債務の減少16百万円、資産除去債務の増加5百万円です。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べて660百万円減少し、2,590百万円となりました。主な要因は、新株予約権の行使による資本金76百万円及び資本剰余金76百万円の増加の一方、当期純損失795百万円と新株予約権13百万円等の減少によるものです。
この結果、自己資本比率は、前事業年度末と同水準の82.7%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、当事業年度末には1,403百万円となりました。なお、前事業年度は、連結キャッシュ・フロー計算書を作成しておりますが、キャッシュ・フロー計算書は作成していないため、前期との比較を行っておりません。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動に使用した資金は938百万円となりました。
主な増加は、減価償却費206百万円であり、主な減少は、税引前当期純損失788百万円、貸倒引当金戻入額139百万円、売上債権の増加額115百万円、抱合せ株式消滅差益62百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって獲得した資金は50百万円となりました。
主な収入は、長期貸付金の回収による収入144百万円、投資事業組合からの分配による収入21百万円であり、主な支出は、有形固定資産の取得による支出105百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって獲得した資金は90百万円となりました。
主な収入は、株式の発行による収入151百万円であり、主な支出は、リース債務の返済による支出43百万円です。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
該当事項はありません。
b. 受注実績
該当事項はありません。
c. 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.当事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
3.当社は、2018年9月期は連結業績を開示しておりましたが、当事業年度より非連結での業績を開示しております。そのため、セグメント別の前期比、前期の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。これらの財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
② 経営成績の分析
当社の当事業年度の売上高は1,059百万円(前期比101百万円増、10.6%増)となりました。
(細胞加工業)
細胞加工業の売上高は、1,050百万円となりました。当事業年度の売上高の増加は、がん免疫治療分野での市場環境の変化等による患者数減少の影響は継続しているものの、新規顧客の獲得に注力し、新たに特定細胞加工物製造委受託契約を締結した医療機関からの細胞加工受託が増加したことが主な要因であります。今後も引き続き、新規顧客の獲得に注力し、収益の拡大を目指してまいります。
(再生医療等製品事業)
再生医療等製品事業の売上高は、8百万円となりました。再生医療等製品事業の売上高は、現時点では上市できている再生医療等製品がないため、大学病院で実施している先進医療に対する免疫細胞療法総合支援サービス売上とライセンス収入に留まっており、再生医療等製品の製造販売に向けて、研究開発投資が先行している状況にあります。
当事業年度の営業損失は1,008百万円(前期は営業損失2,714百万円)となり前期に比べて1,706百万円損失が減少しております。売上高の増加により売上総利益は400百万円(前期比83百万円増、26.3%増)となりました。また、自家細胞培養軟骨「MDNT01」の開発の再検討等により再生医療等製品の研究開発投資が想定を下回ったことや希望退職の募集による人件費の削減、本社機能も含めた拠点の集約等による構造改革の実施等により、販売費及び一般管理費は1,408百万円(前期比1,622百万円減、53.5%減)となりました。その内訳は、研究開発費は276百万円(前期比1,226百万円減、81.6%減)、販売費は119百万円(前期比176百万円減、59.6%減)、一般管理費は1,012百万円(前期比220百万円減、17.9%減)となりました。
(細胞加工業)
当事業年度においては、製造体制の効率化を図り、当事業年度での収支均衡を目指してまいりましたが、前事業年度からの事業構造改革を着実に実行してきたこと等により、当事業年度ではセグメント利益89百万円を計上いたしました。今後は、多種多様な細胞の培養・加工に対応する製造体制の強化を図り、事業の拡大を目指してまいります。
(再生医療等製品事業)
当事業年度においては、前事業年度から引き続き、膝軟骨損傷を対象とした自家細胞培養軟骨「MDNT01」及び成人T細胞白血病を対象とした樹状細胞ワクチン「ATL-DC-101」の製造販売承認を取得するための治験開始に向けた準備を進めております。今後はこれらに加えて、早期の製品化が可能な開発品候補の選定も視野に入れ、製品開発を進めてまいります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(資金の需要)
当社の資金需要の主なものは、製造費用や販売費及び一般管理費等の営業費用による運転資金と品川細胞培養加工施設等への設備投資および再生医療等製品の研究開発投資等によるものであります。
(資金の源泉及び資金の流動性)
当社の資金の源泉の主なものは、運転資金については自己資金と金融機関からの借入により、設備投資や研究開発投資については、新株予約権の発行による資金調達であります。
当事業年度末におけるリース債務による有利子負債残高は32百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,403百万円となっております。
資金の流動性については、当事業年度においては、第14回及び第15回の新株予約権の発行により資金を調達しております。今後も細胞加工の新規顧客の獲得や研究開発の効率化等によりキャッシュ・フローの改善を図り、資金の流動性の確保に努めてまいります。
なお、当面の資金繰りのための資金は十分に確保していると判断しております。
④ 事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策
当社は、前記「2 事業等のリスク」に記載のとおり、継続企業の前提に疑義を生じさせるリスクが存在しております。
しかしながら、当社は、2018年4月に開始した事業構造改革を着実に実行することで、細胞加工業セグメントにおいては細胞加工施設の統廃合、希望退職募集の実施等を通じて製造体制の適正化を図り、当事業年度において同セグメントのセグメント利益の黒字化を達成いたしました。一方、再生医療等製品事業セグメントにおいては、早期の製造販売承認の取得に向けて有望でかつ可能性の高いシーズを優先して開発を進めるとともに、再生医療等製品の開発費等については資金状況を勘案の上、機動的に資金調達を実施してまいります。現状では、構造改革の着実な実行を通じた資金の確保、さらに2019年6月の第14回及び第15回の新株予約権の発行による再生医療等製品開発費の資金調達等により、安定的なキャッシュポジションを維持しており、当面の資金繰りに懸念はないものと判断しております。これらに加えて、当社の当事業年度末の資金残高の状況を総合的に検討した結果、事業活動の継続性に疑念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度(2018年10月1日から2019年9月30日まで)において当社は、前事業年度より引き続き、再生医療等安全性確保法「再生医療等の安全性の確保等に関する法律」と医薬品医療機器等法「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」による法的枠組みの下、新たなビジネス展開による事業拡大に向けた取り組みを進めるとともに収益構造の改善に注力しております。2018年10月1日には、前事業年度より実施している事業構造改革に伴う経営効率化の一環として、完全子会社であった株式会社医業経営研究所と株式会社メドセルの2社を吸収合併いたしました。
2018年12月には、株式会社JUNTEN BIOとの間で同社が学校法人順天堂と共同で開発を行っている臓器移植後の拒絶反応の抑制を目的とした再生医療等製品の製造技術の開発委受託契約を締結いたしました。2019年1月には、米国のBioLegend 社との間で当社が保有する新規モノクローナル抗体を用いた研究用製品の開発を目的としたライセンス契約を締結いたしました。2019年2月には、中国ハイアールグループ傘下のQingdao Haier Biotech Holding Co.,Ltd.との間でヘルスケア領域における業務提携に向けた協議の実施の合意書を締結し、2019年3月には、同社との間で中国から日本への再生・細胞医療等の先端医療や健診の受診を目的とした医療ツーリズム事業の提携について契約を締結いたしました。
また、前事業年度に当社が自家細胞培養軟骨「NeoCart®」の開発・販売を目的としたライセンス契約を締結したHistogenics Corporation(所在地:米国マサチューセッツ州ウォルサム市、以下「ヒストジェニックス社」という。)は、米国で実施した自家細胞培養軟骨「NeoCart®」の米国第Ⅲ相臨床試験での主要評価項目未達の結果及び今後の生物学的製剤承認申請(Biologics License Application:BLA)に関して米国食品医薬品局(FDA)と協議を行っておりましたが、2018年12月にFDA よりBLAには追加の臨床試験が必要であるとの回答を得ました。その後ヒストジェニックス社は当該追加試験の実施のための資金調達等も含めた検討をしておりましたが、2019年4月に、米国で臨床段階の革新的なバイオ医薬品を開発しているOcugen 社(所在地:米国ペンシルベニア州モルバーン市)と合併契約を締結し、2019年9月末に合併したことを発表いたしました。さらに同年5月には、ヒストジェニックス社はMedavate 社(所在地:米国コロラド州フォートコリンズ市)と自家細胞培養軟骨「NeoCart®」に係る資産譲渡契約を締結したことに伴い、当社とヒストジェニックス社との間で締結した自家細胞培養軟骨「NeoCart®」に関するライセンス契約についてもMedavate 社に譲渡されることから、当社は資産譲渡完了後、Medavate 社と国内における自家細胞培養軟骨「MDNT01」の開発に係る協議を進めてまいります。
なお、前事業年度での転移性腎細胞がんを対象とする再生医療等製品「AGS-003」の米国での開発中止に続き、昨年11月には米国連邦破産法第11章に基づく手続開始の申し立てを行ったArgos Therapeutics, Inc.(本社:米国、以下「Argos社」という。)に関して、当社は同社に対する債権を破産更生債権として全額貸倒引当金を計上しておりましたが、2019年9月には、Argos社が米国連邦破産裁判所から清算計画の承認を得たことにより、当該計画に含まれていた合意に基づき当社の同社に対する破産更生債権等のうち139百万円が弁済されました。
当事業年度は、特定細胞加工物製造委受託契約を締結している既存の契約医療機関においては、がん免疫治療分野での市場環境の変化等による患者数減少の影響が継続したことにより、一部では患者数の増加が見られたものの患者数の回復は限定的となりました。また、新規顧客の獲得に注力し、新たに特定細胞加工物製造委受託契約を締結した医療機関からの細胞加工受託は増加いたしました。この結果、売上高は、1,059百万円(前期比101百万円増、10.6%増)となりました。
損益面では、当事業年度においても前事業年度から引き続き事業構造改革に取り組み、大阪、新横浜の各細胞培養加工施設を閉鎖して製造拠点を品川細胞培養加工施設に集約するとともに、人員配置の最適化により製造体制の効率化を図りました。これらの事業構造改革の実施により損益は大幅に改善されました。また、研究開発活動においては、自家細胞培養軟骨「MDNT01」の開発の再検討等により、再生医療等製品の研究開発投資が想定を下回ったことから研究開発費は276百万円となりました。
これらの結果、販売費及び一般管理費は1,408百万円(前期比1,622百万円減、53.5%減)となり、営業損失は1,008百万円(前期は営業損失2,714百万円)となりました。
その他、受取利息7百万円(前期比25百万円減)、投資事業組合運用益9百万円(前期は投資事業組合運用損15百万円)等の営業外損益により、経常損失は995百万円(前期は経常損失2,700百万円)となりました。また、Argos社からの貸付金等債権の弁済等による貸倒引当金戻入額144百万円、株式会社医業経営研究所と株式会社メドセルの2社を吸収合併したことによる抱合せ株式消滅差益62百万円、投資有価証券売却益8百万円等の特別利益の計上、事業構造改善費用25百万円の特別損失の計上及び法人税等6百万円等により、当期純損失は795百万円(前期は当期純損失3,127百万円)となりました。
報告セグメント別の業績の概況は、以下のとおりであります。
当社は、2018年9月期は連結業績を開示しておりましたが、当事業年度より非連結での業績を開示しております。そのため、セグメント別の前期比は記載しておりません。
Ⅰ 細胞加工業
細胞加工業については、細胞加工業の3つのビジネス領域(「特定細胞加工物製造業」・「バリューチェーン事業」・「CDMO事業」)の拡大に向けて積極的な活動を展開しております。特定細胞加工物製造業では、特定細胞加工物製造委受託契約を締結している医療機関において、一部では患者数の増加が見られるものの、がん免疫治療分野での市場環境の変化等により、患者数の回復が限定的となる一方で、細胞加工事業の新たな顧客獲得に向けた取り組みにも注力いたしました。また、構造改革の実施による細胞培養加工施設の集約化、人員配置の最適化等の結果、損益が大幅に改善し、売上高は1,050百万円、セグメント利益は89百万円となりました。
Ⅱ 再生医療等製品事業
再生医療等製品事業については、再生医療等製品の早期の収益化を目指すとともに、国内外で行われている再生医療等製品の開発動向にも注目し、早期製品化の可能性のあるパイプライン取得、拡充を視野に入れた活動を行っております。自家細胞培養軟骨「MDNT01」に係る研究開発投資が想定を下回ったこと等から、売上高は8百万円、セグメント損失は411百万円となりました。
(資産)
当事業年度末の総資産は、前事業年度末に比べて780百万円減少し、3,084百万円となりました。流動資産は1,852百万円と前事業年度末に比べ661百万円減少しており、主な要因は現金及び預金の減少723百万円、前払費用の減少26百万円、売掛金の増加116百万円です。固定資産は1,231百万円と前事業年度末に比べ118百万円減少しており、主な要因は有形固定資産の減少56百万円、無形固定資産の減少22百万円、関係会社株式の減少36百万円によるものです。
(負債)
当事業年度末の負債は、前事業年度末に比べて120百万円減少し、493百万円となりました。流動負債は328百万円で前事業年度末に比べて107百万円減少しております。主な要因は、未払金の減少36百万円、リース債務の減少23百万円、資産除去債務の減少21百万円です。固定負債は164百万円と前事業年度末に比べて12百万円減少しており、主な要因はリース債務の減少16百万円、資産除去債務の増加5百万円です。
(純資産)
当事業年度末の純資産は、前事業年度末に比べて660百万円減少し、2,590百万円となりました。主な要因は、新株予約権の行使による資本金76百万円及び資本剰余金76百万円の増加の一方、当期純損失795百万円と新株予約権13百万円等の減少によるものです。
この結果、自己資本比率は、前事業年度末と同水準の82.7%となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、当事業年度末には1,403百万円となりました。なお、前事業年度は、連結キャッシュ・フロー計算書を作成しておりますが、キャッシュ・フロー計算書は作成していないため、前期との比較を行っておりません。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動に使用した資金は938百万円となりました。
主な増加は、減価償却費206百万円であり、主な減少は、税引前当期純損失788百万円、貸倒引当金戻入額139百万円、売上債権の増加額115百万円、抱合せ株式消滅差益62百万円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって獲得した資金は50百万円となりました。
主な収入は、長期貸付金の回収による収入144百万円、投資事業組合からの分配による収入21百万円であり、主な支出は、有形固定資産の取得による支出105百万円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって獲得した資金は90百万円となりました。
主な収入は、株式の発行による収入151百万円であり、主な支出は、リース債務の返済による支出43百万円です。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
該当事項はありません。
b. 受注実績
該当事項はありません。
c. 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当事業年度 (自 2018年10月1日 至 2019年9月30日) | 前期比(%) |
| 細胞加工業(千円) | 1,050,314 | - |
| 再生医療等製品事業(千円) | 8,706 | - |
| 合計(千円) | 1,059,021 | 110.6 |
(注)1.上記の金額には消費税等は含まれておりません。
2.当事業年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
| 相手先 | 当事業年度 (自 2018年10月1日 至 2019年9月30日) | |
| 金額(千円) | 割合(%) | |
| 医療法人社団 滉志会 | 735,206 | 69.4 |
3.当社は、2018年9月期は連結業績を開示しておりましたが、当事業年度より非連結での業績を開示しております。そのため、セグメント別の前期比、前期の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については記載しておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。これらの財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針につきましては、「第5 経理の状況 1財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。
② 経営成績の分析
当社の当事業年度の売上高は1,059百万円(前期比101百万円増、10.6%増)となりました。
(細胞加工業)
細胞加工業の売上高は、1,050百万円となりました。当事業年度の売上高の増加は、がん免疫治療分野での市場環境の変化等による患者数減少の影響は継続しているものの、新規顧客の獲得に注力し、新たに特定細胞加工物製造委受託契約を締結した医療機関からの細胞加工受託が増加したことが主な要因であります。今後も引き続き、新規顧客の獲得に注力し、収益の拡大を目指してまいります。
(再生医療等製品事業)
再生医療等製品事業の売上高は、8百万円となりました。再生医療等製品事業の売上高は、現時点では上市できている再生医療等製品がないため、大学病院で実施している先進医療に対する免疫細胞療法総合支援サービス売上とライセンス収入に留まっており、再生医療等製品の製造販売に向けて、研究開発投資が先行している状況にあります。
当事業年度の営業損失は1,008百万円(前期は営業損失2,714百万円)となり前期に比べて1,706百万円損失が減少しております。売上高の増加により売上総利益は400百万円(前期比83百万円増、26.3%増)となりました。また、自家細胞培養軟骨「MDNT01」の開発の再検討等により再生医療等製品の研究開発投資が想定を下回ったことや希望退職の募集による人件費の削減、本社機能も含めた拠点の集約等による構造改革の実施等により、販売費及び一般管理費は1,408百万円(前期比1,622百万円減、53.5%減)となりました。その内訳は、研究開発費は276百万円(前期比1,226百万円減、81.6%減)、販売費は119百万円(前期比176百万円減、59.6%減)、一般管理費は1,012百万円(前期比220百万円減、17.9%減)となりました。
(細胞加工業)
当事業年度においては、製造体制の効率化を図り、当事業年度での収支均衡を目指してまいりましたが、前事業年度からの事業構造改革を着実に実行してきたこと等により、当事業年度ではセグメント利益89百万円を計上いたしました。今後は、多種多様な細胞の培養・加工に対応する製造体制の強化を図り、事業の拡大を目指してまいります。
(再生医療等製品事業)
当事業年度においては、前事業年度から引き続き、膝軟骨損傷を対象とした自家細胞培養軟骨「MDNT01」及び成人T細胞白血病を対象とした樹状細胞ワクチン「ATL-DC-101」の製造販売承認を取得するための治験開始に向けた準備を進めております。今後はこれらに加えて、早期の製品化が可能な開発品候補の選定も視野に入れ、製品開発を進めてまいります。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
(資金の需要)
当社の資金需要の主なものは、製造費用や販売費及び一般管理費等の営業費用による運転資金と品川細胞培養加工施設等への設備投資および再生医療等製品の研究開発投資等によるものであります。
(資金の源泉及び資金の流動性)
当社の資金の源泉の主なものは、運転資金については自己資金と金融機関からの借入により、設備投資や研究開発投資については、新株予約権の発行による資金調達であります。
当事業年度末におけるリース債務による有利子負債残高は32百万円となっております。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は1,403百万円となっております。
資金の流動性については、当事業年度においては、第14回及び第15回の新株予約権の発行により資金を調達しております。今後も細胞加工の新規顧客の獲得や研究開発の効率化等によりキャッシュ・フローの改善を図り、資金の流動性の確保に努めてまいります。
なお、当面の資金繰りのための資金は十分に確保していると判断しております。
④ 事業等のリスクに記載した重要事象等についての分析・検討内容及び当該重要事象等を解消し、又は改善するための対応策
当社は、前記「2 事業等のリスク」に記載のとおり、継続企業の前提に疑義を生じさせるリスクが存在しております。
しかしながら、当社は、2018年4月に開始した事業構造改革を着実に実行することで、細胞加工業セグメントにおいては細胞加工施設の統廃合、希望退職募集の実施等を通じて製造体制の適正化を図り、当事業年度において同セグメントのセグメント利益の黒字化を達成いたしました。一方、再生医療等製品事業セグメントにおいては、早期の製造販売承認の取得に向けて有望でかつ可能性の高いシーズを優先して開発を進めるとともに、再生医療等製品の開発費等については資金状況を勘案の上、機動的に資金調達を実施してまいります。現状では、構造改革の着実な実行を通じた資金の確保、さらに2019年6月の第14回及び第15回の新株予約権の発行による再生医療等製品開発費の資金調達等により、安定的なキャッシュポジションを維持しており、当面の資金繰りに懸念はないものと判断しております。これらに加えて、当社の当事業年度末の資金残高の状況を総合的に検討した結果、事業活動の継続性に疑念はなく、継続企業の前提に関する重要な不確実性は認められないものと判断しております。