有価証券報告書-第22期(令和2年4月1日-令和3年3月31日)

【提出】
2021/06/25 9:29
【資料】
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【項目】
111項目
文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動が制限された結果、様々な業界・業種が大打撃を受け、同時に国民の生活様式も大きく変容することとなりました。今年に入り2回目の緊急事態宣言が発令され新規感染者数はいったんは減少傾向にありましたが、再び増加に転じたため、2021年4月には3回目の緊急事態宣言が発令されることになりました。
一方でワクチン接種も始まり、それを機に我が国も含めた世界経済は徐々にではありますがコロナショックからの回復途上にあるとも思われます。まだ続くと予想される新型コロナウイルス感染症への新対策や財政・金融両面からの景気刺激策等が早期に打ち出されることが期待され、各企業にも自社の製品・サービスに一層磨きをかけ、この国難を乗り越えていくことが求められております。
一方当社が属するヘルスケア分野は、高齢化や健康・医療ニーズの多様化を背景に需要期待が高まっております。政府も成長戦略の一つと位置付けており、ヘルスケア産業の活性化は今後も引き続き見込まれております。
さらに、がんゲノム医療時代の幕開けと言える話題として、2019年6月に患者のがん細胞の遺伝子変異を調べて、最適な薬を選ぶ「がんゲノム医療」の遺伝子検査システムに公的医療保険が適用になりました。対象になるのは、原発不明がん、標準治療を終えたがんや希少がんの患者で、これまでは限られた医療機関において、自費で高額の費用をかけ、わずかな可能性にかけて検査を受け、使える薬を探っていたものが、公的医療保険を利用して全国の医療機関で広く検査を受けられるようになりました。
このような状況下において、当事業年度の経営成績は、昨年度に比べ受託事業の売上高は増加しましたが、診断事業の売上高が大きく減少したことにより、売上高は324百万円(前年同期比89.7%)となりました。利益面では、営業損失172百万円(前年同期123百万円)、経常損失174百万円(前年同期128百万円)、当期純損失172百万円(前年同期128百万円)となりました。
財政状態におきましては、当事業年度末における総資産の残高は、前事業年度末に比べ277百万円増加し1,020百万円となりました。
また、キャッシュ・フローの状況におきましては、当事業年度末における現金及び現金同等物の期末残高は前事業年度末に比べ318百万円増加し620百万円となりました。
①経営成績の状況
当事業年度における経営成績の状況は以下のとおりであります。
(売上高)
当事業年度の売上高は、324百万円(前年同期比89.7%)となりました。セグメント別の状況は以下のとおりです。
ⅰ.研究受託事業
研究受託事業におきましては、主な事業として受託解析サービスを行っております。大学や公的研究機関、製薬会社等の企業を主要な顧客として、遺伝子関連解析のサービスや解析結果の統計処理のサービスを提供しております。主なサービスは、マイクロアレイ受託解析サービスと次世代シークエンス受託解析サービスがあります。共に大学や公的研究機関、製薬会社等の企業に対し積極的な提案型営業を行うとともに、きめ細かなフォローを推進しております。また各種受託解析の実績から顧客の目的に合わせた実験デザインの提案、データ解析及びサポートに力を入れると共に、顧客ニーズに合わせた新規サービスメニューの拡充を図っております。
次世代シークエンスと並び注目を集める遺伝子解析として「デジタルPCR受託サービス」や独自の「再生医療研究分野に向けた間葉系幹細胞の品質評価解析サービス(C3チェックサービス)」等新規サービスを展開しております。
いずれのサービスにつきましても、他社との差別化を意識し、クオリティの高い内容をお客様に提供すべく取り組んでおります。
マイクロアレイ受託解析サービスは前年度を下回ったものの、次世代シークエンス受託解析サービスは前事業年度から当事業年度にかけて受託件数が伸びました。とくに近年遺伝子解析の主流となりつつある次世代シークエンス受託解析サービスについては、前年度を上回る受託件数となり、この分野において当社が重要な位置づけとなり、お客様の研究に貢献いたしました。その結果、当事業年度の研究受託事業の売上高は317百万円(前年同期比110.8%)となりました。
ⅱ.診断事業
診断事業におきましては、血液を用いて肺がんの遺伝子変異を検査する、EGFRリキッドおよび、肺がんの分子標的薬の適用となる遺伝子異常を一括検査可能な肺がんコンパクトパネルの市場への普及を当社の最優先事項として取り組んでおります。EGFRリキッドは、2020年7月31日に薬事承認を取得し、2021年5月21日に保険収載いたしました。この検査は、低侵襲的な血液遺伝子検査により、血中に微量に存在する血中腫瘍DNA上のEGFR変異を次世代シークエンス法により高感度に検出するリキッドバイオプシー検査です。肺がん組織の生検(気管支鏡検査、CTガイド化生検)は、侵襲性が高く患者さんへの負担も大きいことから、リキッドバイオプシー検査への期待が高まっています。また、EGFRリキッドに続いて、肺がん組織検査に特化した高感度な一括遺伝子検査パネル(肺がんコンパクトパネル)を開発中です。コンパクトパネルは、EGFR BRAF ALK ROS1 MET の5つのコンパニオン診断可能な遺伝子と近い将来分子標的治療薬の上市が予定されているいくつかのターゲット遺伝子が対象です。薬事申請に向けて開発を進めております。
また、希少変異検出の技術を発展させたNOIR-SS技術(分子バーコード技術を用いて高感度かつ正確な分子数測定が可能となる超低頻度変異DNAの検出技術)により、高感度に複数遺伝子を一括解析可能なリキッドバイオプシー検査サービスを研究用検査として提供しております。希少変異検出の独自特許技術及び薬事試験を通して培ったノウハウ、クリニカルシークエンスグレードでの精度管理・レポートシステムを活用し、リキッドバイオプシー分野での研究推進・医療現場での遺伝子解析の普及促進に貢献してまいります。
その他の検査メニューとして、遺伝子解析を用いた関節リウマチの薬剤効果予測検査、うつ病を含む精神疾患の診断技術の開発も積極的に進めております。また、乳癌手術後の再発リスクを測定し情報を提供するMammaPrintのサービスを病院・クリニック向けに展開しております。
当事業年度の診断事業はEGFRリキッドの事業体制の構築及び肺がんコンパクトパネルの申請と乳がんの分子診断を行うBluePrintに向けた準備に多くの経営資源を集中させたため、売上高は7百万円(前年同期比9.7%)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費)
売上原価は、前事業年度272百万円から13百万円減少し258百万円、販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ25百万円増加して238百万円となりました。
(営業損失)
前事業年度は営業損失123百万円であったのに対し、当事業年度は営業損失172百万円と営業損失額は48百万円増加いたしました。
(営業外収益)
営業外収益は前事業年度、当事業年度とも0百万円でした。
(営業外費用)
前事業年度は新株予約権発行費などが5百万円ありましたが、当事業年度は増資に伴う株式交付費などが2百万円ありました。
(経常損失)
前事業年度は経常損失128百万円であったのに対し、当事業年度の経常損失は174百万円となりました。
(特別利益)
前事業年度は固定資産売却益が0百万円ありましたが、当事業年度は助成金収入が2百万円、新株予約権戻入益が1百万円ありました。
(特別損失)
前事業年度はありませんでしたが、当事業年度は固定資産除却損が0百万円ありました。
(当期純損失)
前事業年度は当期純損失128百万円であったのに対し、当事業年度は、当期純損失172百万円となりました。
なお、当事業年度の経営成績をふまえて、次事業年度におきましては以下の取組みを実施し、350百万円の売上確保を目指してまいります。
研究受託事業
・当社のノウハウを活用した提案型研究受託の営業強化
・検体の受領からデータ解析まで、顧客ニーズに応じた一気通貫の大型案件の受注確保
・試薬や受託等の外部企業との連携強化
・新サービスメニュー開発によるメニューの差別化
診断事業
・肺がんコンパクトパネルの薬事承認・公的医療保険適用による事業化
・EGFRリキッドの公的医療保険適用による事業化
・新規診断検査メニューの開発
取組みの詳細は、上記「第2 事業の状況 2 事業等のリスク(8) 提出企業が将来にわたって事業を継続するとの前提に重要な疑義を生じさせるような事象又は状況その他提出会社の経営に重要な影響を及ぼす事象を解消し、又は改善するための対応策」をご参照ください。
② 財政状態
当事業年度末における総資産の残高は、前事業年度末に比べ277百万円増加し1,020百万円となりました。当事業年度における各項目の状況とそれらの要因は次のとおりです。
(流動資産)
流動資産は、前事業年度末に比べて292百万円増加し、824百万円となりました。これは、現金及び預金が318百万円増加しましたが、受取手形及び売掛金が16百万円、たな卸資産が6百万円それぞれ減少したことなどによるものです。
(固定資産)
固定資産は、前事業年度末に比べて15百万円減少し、196百万円となりました。これは、有形固定資産が7百万円、投資その他の資産が48百万円それぞれ減少し、将来の事業化に資する無形固定資産であるソフトウェア制作による費用45百万円の増加及び減価償却費5百万円の減少などによるものです。
(流動負債)
流動負債は、前事業年度末に比べて微減し、81百万円となりました。
(固定負債)
当事業年度末における固定負債の残高は8百万円であり、前事業年度末に比べ増加はしておりますが、その増加額は軽微なものであります。
(純資産)
純資産は、前事業年度末に比べて277百万円増加し930百万円となりました。これは、新株予約権の行使による株式発行に伴う資本金及び資本準備金の増加452百万円及び当期純損失172百万円の計上による利益剰余金の減少などによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物の期末残高は前事業年度末に比べ318百万円増加し620百万円となりました。その主な要因は、税引前当期純損失による減少171百万円のほか、前払費用の減少45百万円、有形・無形固定資産の取得による支出51百万円、新株予約権の行使による株式の発行による収入445百万円などによるものです。当事業年度における各項目の状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、前事業年度では259百万円の支出となったのに対し、当事業年度は76百万円の支出となりました。主な要因は、収入では売上債権の減少16百万円、減価償却費21百万円及びたな卸資産の減少6百万円、研究施設及び事務所の2020年1月から2022年12月までの賃借料(3年分)の前払いなどによる前払費用の減少45百万円、支出では税引前当期純損失171百万円、未払費用の減少5百万円などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローでは、前事業年度95百万円の支出に対し、当事業年度は51百万円の支出となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出8百万円、無形固定資産の取得による支出42百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローでは、前事業年度1百万円の支出に対し、当事業年度は445百万円の収入となりました。主な要因は、当社が研究開発を推進するための資金調達を目的として発行した新株予約権の行使による株式の発行による収入445百万円によるものです。
なお、新株予約権発行により調達した資金は当初の予定通り主に肺がんコンパクトパネルの開発およびその後の事業化のための準備費用に使用しております。
④ 重要な会計上の見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
(2)生産、受注及び販売の状況
①生産実績
当事業年度における生産実績を示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(千円)前年同期比(%)
研究受託事業317,141112.6
診断事業
合計317,14189.7

(注) 1 金額は、販売価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 診断事業は当事業年度の売上高が仕入れ商品のみであったため、生産高はありません。
②仕入実績
当事業年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(千円)前年同期比(%)
研究受託事業106,992104.3
診断事業5,37624.3
合計112,36890.1

(注) 1 金額は、仕入価格によっております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
③ 受注実績
当事業年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(千円)前年同期比(%)受注残高(千円)前年同期比(%)
研究受託事業327,538124.029,405212.5
診断事業(注3)8,57055.01,210
合計336,108120.230,615221.2

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 当事業年度は前事業年度よりも研究受託事業で次世代シークエンス受託解析サービスの受注が大きく伸び、受注高では前年同期比124.0%、受注残高では前年同期比215.7%となりました。
④ 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
研究受託事業317,141110.8
診断事業7,3609.7
合計324,50189.7

(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりです。
相手先前事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
当事業年度
(自 2020年4月1日
至 2021年3月31日)
販売高(千円)割合(%)販売高(千円)割合(%)
地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪国際がんセンター51,44214.2
岩井化学薬品㈱36,62810.145,61214.2
田辺三菱製薬㈱38,51310.632,31810.1

3 地方独立行政法人大阪府立病院機構 大阪国際がんセンターの当事業年度については、販売高の割合が10%未満であったため記載しておりません。
4 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。

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