有価証券報告書-第18期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、入手可能な情報に基づいて当社グループが判断したものです。
(セグメントの変更について)
従来、インターネットを活用した医療関連会社マーケティング支援等の事業を「医療ポータル」セグメント、リアルの人材を活用した営業・マーケティング業務等のオペレーション受託事業を「営業プラットフォーム」セグメント、電子カルテ等の開発販売事業を「診療プラットフォーム」セグメントとしておりましたが、インターネットとリアルオペレーションを融合したマーケティング支援事業の展開が進んでいることから、当連結会計年度より、経営資源の配分の決定及び業績評価を行う単位を変更し、当該セグメントを統合した「メディカルプラットフォーム」セグメントに区分しました。なお、従来、報告セグメントに含まれない「その他」に含めていた医療用医薬品専門の広告代理店事業等も「メディカルプラットフォーム」セグメントに含めています。
また、従来「医療ポータル」セグメントに含めていたキャリア事業については、事業規模の拡大に伴い、経営資源の配分の決定及び業績評価を行う単位を変更し、「キャリアソリューション」セグメントに区分しました。
さらに、報告セグメントに含まれない事業セグメントを「その他」から「その他エマージング事業群」に名称を変更しています。
(1) 経営成績の概況
国内においては、医師会員25万人以上が利用する医療従事者専門サイト「m3.com」を中心に様々なサービスの展開をしています。
メディカルプラットフォームにおいては、「m3.com」のプラットフォーム上で会員医師が主体的、継続的に高頻度で情報を受け取れる「MR君」ファミリーの各種サービスに加え、会員医療従事者を対象とした調査サービス、会員へ医療情報以外のライフサポート情報を提供する「QOL君」等の一般企業向けマーケティング支援サービス等、顧客の意図や用途により選べるサービスメニューを提供しています。さらに、次世代MR「メディカルマーケター」の提供、医療系広告代理店等の事業を、グループ各社を通じて展開しています。また、2017年11月には医療機器の販売、コンサルティングを行うコスモテック株式会社と株式会社ジャメックスを子会社化しました。
エビデンスソリューションでは、治験に参加する施設・対象患者を発見する治験支援サービス「治験君」を核に、大規模臨床研究支援サービス、治験業務の支援を行うCRO、治験実施医療機関において治験業務全般の管理・運営を支援するSMO等の事業を、グループ各社を通じて提供しています。
キャリアソリューションでは、エムスリーキャリア株式会社において、医師、薬剤師向けの求人求職支援サービスの展開を進めています。
さらに、一般の方々からの健康や疾病に関する質問に「m3.com」登録医師が回答する「AskDoctors」(http://www.AskDoctors.jp/)等のコンシューマ向けサービスに加え、医療福祉系国家試験の対策等の事業を行う株式会社テコムにおいてもサービス展開を進めています。
海外においては、米国で、医療従事者向けウェブサイト「MDLinx」を運営し、この会員基盤を活かした製薬会社向けサービスの展開を行っている他、医師向けの転職支援サービスも拡大しています。2018年2月には治験支援会社Wake Research Holdings, LLCの持分権を取得し、治験事業に参入しました。欧州では、英国で約20万人の医師会員を擁する医師向けウェブサイト「Doctors.net.uk」において製薬会社向けサービスの展開を進める他、フランス、ドイツ、スペインでVidal Groupを通じて医薬品情報データベースの提供を行っています。中国では、医療従事者向けウェブサイトに登録する医師会員数は200万人を超え、順調に拡大しています。インドにおいても合弁事業を開始しています。
また、日本、米国、欧州、中国、韓国をはじめ、当社グループが世界中で運営する医療従事者向けウェブサイト及び医師パネルに登録する医師は合計で400万人を超えており、医師パネルを活用したグローバルな調査サービスの提供も行っています。
当連結会計年度の業績は、以下の通りです。
(当期の業績) (単位:百万円)
(セグメントの業績) (単位:百万円)
① メディカルプラットフォーム
「MR君」ファミリー等の製薬会社向けのマーケティング支援サービスや、医療系広告代理店サービス等の進展により、メディカルプラットフォームセグメントの売上収益は、34,306百万円(前期比21.6%増)となりました。
売上原価と販売費及び一般管理費の総額は、業容拡大に伴う人件費増加等の要因を中心に、19,431百万円(前期比39.6%増)となりました。
以上の結果、メディカルプラットフォームのセグメント利益は15,477百万円(前期比6.9%増)となりました。
② エビデンスソリューション
CRO事業での治験プロジェクトは順調に進展したものの、株式会社Integrated Development Associatesが連結子会社から外れたこと等によりセグメントの売上収益は22,084百万円(前期比1.0%減)となりました。一方で、オペレーションの効率化が進んだことにより収益性が高まり、セグメント利益は5,532百万円(前期比4.2%増)となりました。治験プロジェクトの需要は引き続き旺盛で受注は順調に推移しています(セグメント合計では270億円程度のビジネス規模に達する)。
③ キャリアソリューション
転職者数の増加により業容が拡大し、キャリアソリューションセグメントの売上収益は、10,880百万円(前期比26.1%増)となりました。
また、人員の採用等、成長のための先行投資による人件費の増加を吸収し、セグメント利益は2,871百万円(前期比14.7%増)となりました。
④ 海外
米英において調査サービスが拡大したことに加え、Vidal Groupの拡大により、海外セグメントの売上収益は22,425百万円(前期比37.3%増)となりました。米国を中心とした収益性の改善もあり、セグメント利益は2,980百万円(前期比88.4%増)となりました。
⑤ その他エマージング事業群
売上収益は6,903百万円(前期比52.5%増)となりました。新規に立ち上げた事業への先行投資等を吸収し、その他エマージング事業群の利益は1,697百万円(前期比15.6%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上収益は94,471百万円(前期比20.9%増)、営業利益は29,713百万円(前期比18.6%増)、税引前当期利益は29,700百万円(前期比19.0%増)、当期利益は20,783百万円(前期比22.7%増)となりました。
(2) 財政状態の概況
資産合計は、前連結会計年度末比20,895百万円増の116,441百万円となりました。流動資産については、業容拡大及び新規連結子会社の増加等に伴い営業債権及びその他の債権が6,448百万円増加したこと、また現金及び現金同等物が3,636百万円増加したこと等により、前連結会計年度末比11,784百万円増の53,596百万円となりました。非流動資産については、Wake Research Holdings, LLCの持分権取得を始めとした新規連結子会社の増加等によりのれんが5,648百万円増加したこと等により、前連結会計年度末比9,111百万円増の62,845百万円となりました。
負債合計は、前連結会計年度末比5,237百万円増の31,274百万円となりました。流動負債については、新規連結子会社の増加等に伴い営業債務及びその他の債務が2,983百万円増加したこと等により、前連結会計年度末比4,010百万円増の24,555百万円となりました。非流動負債は、繰延税金負債が360百万円増加したこと等により、前連結会計年度末比1,227百万円増の6,718百万円となりました。
資本合計は、前連結会計年度末比15,658百万円増の85,167百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益19,684百万円を計上した一方、剰余金配当3,238百万円を行ったこと等により、利益剰余金が16,446百万円増加したこと等によります。
(3) キャッシュ・フローの概況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度残高より3,636百万円増加し、23,732百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、15,913百万円の収入(前期比642百万円の収入減)となりました。収入の主な内訳は、税引前当期利益29,700百万円であり、支出の主な内訳は法人所得税の支払額8,795百万円です。事業拡大に伴い法人所得税の支払額が前期比1,889百万円増加しています。
投資活動によるキャッシュ・フローは、7,281百万円の支出(前期比7,209百万円の支出減)となりました。収入の主な内訳は、売却可能金融資産の売却による収入2,346百万円であり、支出の主な内訳は、Wake Research Holdings, LLCの持分権取得等の連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出8,196百万円です。
財務活動によるキャッシュ・フローは、4,761百万円の支出(前期比865百万円の支出増)となりました。主に、親会社の株主への配当金の支払3,238百万円が発生しています。
(4) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当社グループは、製品の生産を行っていないため、記載すべき事項はありません。
② 受注実績
当社グループは、実績に応じて売上が計上される契約がほとんどであり、受注時に受注金額を確定することが困難な状況であるため、記載を省略しています。
③ 販売実績
セグメント別の当連結会計年度における販売実績は、次の通りです。
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、前連結会計年度及び当連結会計年度における各販売先への当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しています。
(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、2015年3月期よりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たって、連結決算日における財政状態及び報告期間における経営成績に影響を与える見積り、予測を必要としています。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続してこの見積り、予測の評価を実施しています。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 重要な会計上の見積り及び判断方針」に記載の通りです。
② 当連結会計年度の経営成績に関する認識及び分析・検討内容
メディカルプラットフォームセグメントにおいては、MR君ファミリー等の製薬会社向けのマーケティング支援サービスや、医療系広告代理店サービス等の進展により、業績は、期初の見通し通り順調に推移し、増収増益となりました。
エビデンスソリューションセグメントにおいては、期初の見通しでは増収増益を見込んでおりましたが、減収増益となりました。CRO事業での治験プロジェクトは順調に進展したももの、株式会社Integrated Development Associatesが連結子会社から外れたこと等により減収となる一方で、オペレーションの効率化が進んだことにより収益性が高まり増益を確保しました。
キャリアソリューションセグメントにおいては、転職者数の増加により業容が拡大し、期初の見通し通り順調に推移し、増収増益となりました。
海外セグメントにおいては、米英において調査サービスが拡大したことに加え、Vidal Groupの拡大と米国を中心とした収益性の改善により、海外セグメント業績は期初の見通し通り順調に推移し、増収増益となりました。
以上の結果、当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は19,684百万円(前期比23.0%増)となり、期初の見通しを上回りました。これに伴い1株当たり当期利益も60.79円(前期比23.0%増)となりました。また、営業キャッシュ・フローも順調に推移しています。
(ご参考)2018年3月期の連結業績比較 (単位:百万円)
③ 資金の源泉と流動性についての分析
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益29,700百万円を計上したことを主な要因に、15,913百万円の収入となりました。また、Wake Research Holdings, LLCの持分権取得等により、投資活動によるキャッシュ・フローは7,281百万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により4,761百万円の支出となりました。これらの結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より3,636百万円増加し、23,732百万円となりました。
当社はこの資金により、今後更に経営基盤を強化し、新たな事業展開に備えるための新規投資や出資等による支出に、機動的に対応していきます。
余剰資金の運用については、市場リスクや与信リスクを極めて限定的なものにする保守的な運用を行う方針としており、規模、期間を勘案した適切な手段による資金運用を行っています。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因、今後の方針等について
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りです。また、経営方針・経営戦略等については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りです。
(6) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下の通りです。
(のれん)
のれんは、日本基準ではその効果の及ぶ期間で定額償却していますが、IFRSでは償却せずに毎期減損テストを行います。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べてのれん償却費(販売費及び一般管理費)が、前連結会計年度1,362百万円、当連結会計年度1,730百万円それぞれ減少しています。
(セグメントの変更について)
従来、インターネットを活用した医療関連会社マーケティング支援等の事業を「医療ポータル」セグメント、リアルの人材を活用した営業・マーケティング業務等のオペレーション受託事業を「営業プラットフォーム」セグメント、電子カルテ等の開発販売事業を「診療プラットフォーム」セグメントとしておりましたが、インターネットとリアルオペレーションを融合したマーケティング支援事業の展開が進んでいることから、当連結会計年度より、経営資源の配分の決定及び業績評価を行う単位を変更し、当該セグメントを統合した「メディカルプラットフォーム」セグメントに区分しました。なお、従来、報告セグメントに含まれない「その他」に含めていた医療用医薬品専門の広告代理店事業等も「メディカルプラットフォーム」セグメントに含めています。
また、従来「医療ポータル」セグメントに含めていたキャリア事業については、事業規模の拡大に伴い、経営資源の配分の決定及び業績評価を行う単位を変更し、「キャリアソリューション」セグメントに区分しました。
さらに、報告セグメントに含まれない事業セグメントを「その他」から「その他エマージング事業群」に名称を変更しています。
(1) 経営成績の概況
国内においては、医師会員25万人以上が利用する医療従事者専門サイト「m3.com」を中心に様々なサービスの展開をしています。
メディカルプラットフォームにおいては、「m3.com」のプラットフォーム上で会員医師が主体的、継続的に高頻度で情報を受け取れる「MR君」ファミリーの各種サービスに加え、会員医療従事者を対象とした調査サービス、会員へ医療情報以外のライフサポート情報を提供する「QOL君」等の一般企業向けマーケティング支援サービス等、顧客の意図や用途により選べるサービスメニューを提供しています。さらに、次世代MR「メディカルマーケター」の提供、医療系広告代理店等の事業を、グループ各社を通じて展開しています。また、2017年11月には医療機器の販売、コンサルティングを行うコスモテック株式会社と株式会社ジャメックスを子会社化しました。
エビデンスソリューションでは、治験に参加する施設・対象患者を発見する治験支援サービス「治験君」を核に、大規模臨床研究支援サービス、治験業務の支援を行うCRO、治験実施医療機関において治験業務全般の管理・運営を支援するSMO等の事業を、グループ各社を通じて提供しています。
キャリアソリューションでは、エムスリーキャリア株式会社において、医師、薬剤師向けの求人求職支援サービスの展開を進めています。
さらに、一般の方々からの健康や疾病に関する質問に「m3.com」登録医師が回答する「AskDoctors」(http://www.AskDoctors.jp/)等のコンシューマ向けサービスに加え、医療福祉系国家試験の対策等の事業を行う株式会社テコムにおいてもサービス展開を進めています。
海外においては、米国で、医療従事者向けウェブサイト「MDLinx」を運営し、この会員基盤を活かした製薬会社向けサービスの展開を行っている他、医師向けの転職支援サービスも拡大しています。2018年2月には治験支援会社Wake Research Holdings, LLCの持分権を取得し、治験事業に参入しました。欧州では、英国で約20万人の医師会員を擁する医師向けウェブサイト「Doctors.net.uk」において製薬会社向けサービスの展開を進める他、フランス、ドイツ、スペインでVidal Groupを通じて医薬品情報データベースの提供を行っています。中国では、医療従事者向けウェブサイトに登録する医師会員数は200万人を超え、順調に拡大しています。インドにおいても合弁事業を開始しています。
また、日本、米国、欧州、中国、韓国をはじめ、当社グループが世界中で運営する医療従事者向けウェブサイト及び医師パネルに登録する医師は合計で400万人を超えており、医師パネルを活用したグローバルな調査サービスの提供も行っています。
当連結会計年度の業績は、以下の通りです。
(当期の業績) (単位:百万円)
2017年3月期 (自 2016年4月1日 至 2017年3月31日) | 2018年3月期 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 比較増減 | ||
売上収益 | 78,143 | 94,471 | +16,328 | +20.9% |
営業利益 | 25,050 | 29,713 | +4,663 | +18.6% |
税引前当期利益 | 24,959 | 29,700 | +4,741 | +19.0% |
当期利益 | 16,938 | 20,783 | +3,844 | +22.7% |
(セグメントの業績) (単位:百万円)
2017年3月期 (自 2016年4月1日 至 2017年3月31日) | 2018年3月期 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 比較増減 | |||
メディカル プラットフォーム | セグメント売上収益 | 28,223 | 34,306 | +6,083 | +21.6% |
セグメント利益 | 14,475 | 15,477 | +1,002 | +6.9% | |
エビデンス ソリューション | セグメント売上収益 | 22,313 | 22,084 | △228 | △1.0% |
セグメント利益 | 5,307 | 5,532 | +225 | +4.2% | |
キャリアソリューション | セグメント売上収益 | 8,631 | 10,880 | +2,249 | +26.1% |
セグメント利益 | 2,503 | 2,871 | +369 | +14.7% | |
海外 | セグメント売上収益 | 16,338 | 22,425 | +6,087 | +37.3% |
セグメント利益 | 1,582 | 2,980 | +1,398 | +88.4% | |
その他エマージング事業群 | セグメント売上収益 | 4,525 | 6,903 | +2,378 | +52.5% |
セグメント利益 | 1,468 | 1,697 | +229 | +15.6% | |
調整額 | セグメント売上収益 | (1,886) | (2,126) | - | - |
セグメント利益 | (285) | 1,156 | - | - | |
合計 | 売上収益 | 78,143 | 94,471 | +16,328 | +20.9% |
営業利益 | 25,050 | 29,713 | +4,663 | +18.6% |
① メディカルプラットフォーム
「MR君」ファミリー等の製薬会社向けのマーケティング支援サービスや、医療系広告代理店サービス等の進展により、メディカルプラットフォームセグメントの売上収益は、34,306百万円(前期比21.6%増)となりました。
売上原価と販売費及び一般管理費の総額は、業容拡大に伴う人件費増加等の要因を中心に、19,431百万円(前期比39.6%増)となりました。
以上の結果、メディカルプラットフォームのセグメント利益は15,477百万円(前期比6.9%増)となりました。
② エビデンスソリューション
CRO事業での治験プロジェクトは順調に進展したものの、株式会社Integrated Development Associatesが連結子会社から外れたこと等によりセグメントの売上収益は22,084百万円(前期比1.0%減)となりました。一方で、オペレーションの効率化が進んだことにより収益性が高まり、セグメント利益は5,532百万円(前期比4.2%増)となりました。治験プロジェクトの需要は引き続き旺盛で受注は順調に推移しています(セグメント合計では270億円程度のビジネス規模に達する)。
③ キャリアソリューション
転職者数の増加により業容が拡大し、キャリアソリューションセグメントの売上収益は、10,880百万円(前期比26.1%増)となりました。
また、人員の採用等、成長のための先行投資による人件費の増加を吸収し、セグメント利益は2,871百万円(前期比14.7%増)となりました。
④ 海外
米英において調査サービスが拡大したことに加え、Vidal Groupの拡大により、海外セグメントの売上収益は22,425百万円(前期比37.3%増)となりました。米国を中心とした収益性の改善もあり、セグメント利益は2,980百万円(前期比88.4%増)となりました。
⑤ その他エマージング事業群
売上収益は6,903百万円(前期比52.5%増)となりました。新規に立ち上げた事業への先行投資等を吸収し、その他エマージング事業群の利益は1,697百万円(前期比15.6%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上収益は94,471百万円(前期比20.9%増)、営業利益は29,713百万円(前期比18.6%増)、税引前当期利益は29,700百万円(前期比19.0%増)、当期利益は20,783百万円(前期比22.7%増)となりました。
(2) 財政状態の概況
資産合計は、前連結会計年度末比20,895百万円増の116,441百万円となりました。流動資産については、業容拡大及び新規連結子会社の増加等に伴い営業債権及びその他の債権が6,448百万円増加したこと、また現金及び現金同等物が3,636百万円増加したこと等により、前連結会計年度末比11,784百万円増の53,596百万円となりました。非流動資産については、Wake Research Holdings, LLCの持分権取得を始めとした新規連結子会社の増加等によりのれんが5,648百万円増加したこと等により、前連結会計年度末比9,111百万円増の62,845百万円となりました。
負債合計は、前連結会計年度末比5,237百万円増の31,274百万円となりました。流動負債については、新規連結子会社の増加等に伴い営業債務及びその他の債務が2,983百万円増加したこと等により、前連結会計年度末比4,010百万円増の24,555百万円となりました。非流動負債は、繰延税金負債が360百万円増加したこと等により、前連結会計年度末比1,227百万円増の6,718百万円となりました。
資本合計は、前連結会計年度末比15,658百万円増の85,167百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益19,684百万円を計上した一方、剰余金配当3,238百万円を行ったこと等により、利益剰余金が16,446百万円増加したこと等によります。
(3) キャッシュ・フローの概況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度残高より3,636百万円増加し、23,732百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、15,913百万円の収入(前期比642百万円の収入減)となりました。収入の主な内訳は、税引前当期利益29,700百万円であり、支出の主な内訳は法人所得税の支払額8,795百万円です。事業拡大に伴い法人所得税の支払額が前期比1,889百万円増加しています。
投資活動によるキャッシュ・フローは、7,281百万円の支出(前期比7,209百万円の支出減)となりました。収入の主な内訳は、売却可能金融資産の売却による収入2,346百万円であり、支出の主な内訳は、Wake Research Holdings, LLCの持分権取得等の連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出8,196百万円です。
財務活動によるキャッシュ・フローは、4,761百万円の支出(前期比865百万円の支出増)となりました。主に、親会社の株主への配当金の支払3,238百万円が発生しています。
(4) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当社グループは、製品の生産を行っていないため、記載すべき事項はありません。
② 受注実績
当社グループは、実績に応じて売上が計上される契約がほとんどであり、受注時に受注金額を確定することが困難な状況であるため、記載を省略しています。
③ 販売実績
セグメント別の当連結会計年度における販売実績は、次の通りです。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 前年同期比(%) | |
メディカルプラットフォーム | (百万円) | 32,313 | +22.4 |
エビデンスソリューション | (百万円) | 22,021 | △1.2 |
キャリアソリューション | (百万円) | 10,869 | +25.9 |
海外 | (百万円) | 22,407 | +37.3 |
報告セグメント計 | (百万円) | 87,609 | +18.9 |
その他エマージング事業群 | (百万円) | 6,863 | +53.1 |
合計 | (百万円) | 94,471 | +20.9 |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、前連結会計年度及び当連結会計年度における各販売先への当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しています。
(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、2015年3月期よりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たって、連結決算日における財政状態及び報告期間における経営成績に影響を与える見積り、予測を必要としています。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続してこの見積り、予測の評価を実施しています。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 重要な会計上の見積り及び判断方針」に記載の通りです。
② 当連結会計年度の経営成績に関する認識及び分析・検討内容
メディカルプラットフォームセグメントにおいては、MR君ファミリー等の製薬会社向けのマーケティング支援サービスや、医療系広告代理店サービス等の進展により、業績は、期初の見通し通り順調に推移し、増収増益となりました。
エビデンスソリューションセグメントにおいては、期初の見通しでは増収増益を見込んでおりましたが、減収増益となりました。CRO事業での治験プロジェクトは順調に進展したももの、株式会社Integrated Development Associatesが連結子会社から外れたこと等により減収となる一方で、オペレーションの効率化が進んだことにより収益性が高まり増益を確保しました。
キャリアソリューションセグメントにおいては、転職者数の増加により業容が拡大し、期初の見通し通り順調に推移し、増収増益となりました。
海外セグメントにおいては、米英において調査サービスが拡大したことに加え、Vidal Groupの拡大と米国を中心とした収益性の改善により、海外セグメント業績は期初の見通し通り順調に推移し、増収増益となりました。
以上の結果、当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は19,684百万円(前期比23.0%増)となり、期初の見通しを上回りました。これに伴い1株当たり当期利益も60.79円(前期比23.0%増)となりました。また、営業キャッシュ・フローも順調に推移しています。
(ご参考)2018年3月期の連結業績比較 (単位:百万円)
2018年3月期 (計画) | 2018年3月期 (実績) | 計画比 | |
売上収益 | 90,000 | 94,471 | +4,471 |
営業利益 | 29,000 | 29,713 | +713 |
税引前当期利益 | 29,000 | 29,700 | +700 |
当期利益 | 19,500 | 20,783 | +1,283 |
親会社の所有者に帰属する当期利益 | 18,500 | 19,684 | +1,184 |
③ 資金の源泉と流動性についての分析
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益29,700百万円を計上したことを主な要因に、15,913百万円の収入となりました。また、Wake Research Holdings, LLCの持分権取得等により、投資活動によるキャッシュ・フローは7,281百万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により4,761百万円の支出となりました。これらの結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より3,636百万円増加し、23,732百万円となりました。
当社はこの資金により、今後更に経営基盤を強化し、新たな事業展開に備えるための新規投資や出資等による支出に、機動的に対応していきます。
余剰資金の運用については、市場リスクや与信リスクを極めて限定的なものにする保守的な運用を行う方針としており、規模、期間を勘案した適切な手段による資金運用を行っています。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因、今後の方針等について
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りです。また、経営方針・経営戦略等については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りです。
(6) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下の通りです。
(のれん)
のれんは、日本基準ではその効果の及ぶ期間で定額償却していますが、IFRSでは償却せずに毎期減損テストを行います。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べてのれん償却費(販売費及び一般管理費)が、前連結会計年度1,362百万円、当連結会計年度1,730百万円それぞれ減少しています。