有価証券報告書-第19期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)
文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、入手可能な情報に基づいて当社グループが判断したものです。
(1) 経営成績の概況
国内においては、医師会員27万人以上が利用する医療従事者専門サイト「m3.com」を中心に様々なサービスの展開をしています。
メディカルプラットフォームにおいては、「m3.com」のプラットフォーム上で会員医師が主体的、継続的に高頻度で情報を受け取れる「MR君」ファミリーの各種サービスに加え、会員医療従事者を対象とした調査サービス、会員へ医療情報以外のライフサポート情報を提供する「QOL君」等の一般企業向けマーケティング支援サービス等、顧客の意図や用途により選べるサービスメニューを提供しています。また、次世代MR「メディカルマーケター」の提供、医療系広告代理店等の事業を、グループ各社を通じて展開しています。
エビデンスソリューションでは、治験に参加する施設・対象患者を発見する治験支援サービス「治験君」を核に、大規模臨床研究支援サービス、治験業務の支援を行うCRO、治験実施医療機関において治験業務全般の管理・運営を支援するSMO等の事業を、グループ各社を通じて展開しています。
キャリアソリューションでは、エムスリーキャリア株式会社において、医師、薬剤師向けの求人求職支援サービスの展開を進めています。
さらに、一般の方々からの健康や疾病に関する質問に「m3.com」登録医師が回答する「AskDoctors」(http://www.AskDoctors.jp/)や医療福祉系国家試験の対策等の事業を行う株式会社テコムに加え、LINE株式会社と設立したオンライン医療事業を目的とした持分法適用関連会社「LINE ヘルスケア株式会社」においてもサービス展開を進めています。
2019年4月には株式会社NTTドコモと企業の健康経営をサポートする新会社「株式会社empheal」を設立し、持分法適用関連会社としました。
海外においては、米国で、医療従事者向けウェブサイト「MDLinx」を運営し、この会員基盤を活かした製薬会社向けサービスの他、医師向けの転職支援サービスや治験支援サービスも展開しています。欧州では、英国で医師向けウェブサイト「Doctors.net.uk」において製薬会社向けサービスの展開を進める他、フランス、ドイツ、スペインでVidal Groupを通じて医薬品情報データベースの提供を行っています。中国では、医療従事者向けウェブサイトに登録する医師会員数は250万人を超え、順調に拡大しています。インドにおいても合弁事業を開始しています。
また、日本、米国、欧州、中国、韓国をはじめ、当社グループが世界中で運営する医療従事者向けウェブサイト及び医師パネルに登録する医師は合計で500万人を超えており、医師パネルを活用したグローバルな調査サービスの提供も行っています。
当連結会計年度の業績は、以下の通りです。
(当期の業績) (単位:百万円)
※ 2019年3月期より、IFRS第9号(金融商品)の規定を適用しており、2018年3月期に遡って修正再表示を行っています。
(セグメントの業績) (単位:百万円)
※ 2019年3月期より、IFRS第9号(金融商品)の規定を適用しており、2018年3月期に遡って修正再表示を行っています。
① メディカルプラットフォーム
既存の各サービスが拡大したことに加え、グループ会社の新規連結の効果もあり、メディカルプラットフォームセグメントの売上収益は、41,248百万円(前期比20.2%増)となりました。
AI事業等の先端医療分野の取り組みや製薬・医療機器企業向け営業チームの強化等、将来の成長に向けた積極的な先行投資を行った一方で、大型プロジェクトの完了に伴う収益が計上されたことから、メディカルプラットフォームのセグメント利益は15,391百万円(前期比0.2%増)となりました。
② エビデンスソリューション
株式会社Integrated Development Associatesが連結子会社から外れたものの、CRO事業での治験プロジェクトは順調に進展し、セグメントの売上収益は22,633百万円(前期比2.5%増)となりました。また、オペレーションの効率化が進んだことにより収益性が高まり、セグメント利益は5,985百万円(前期比8.2%増)となりました。治験プロジェクトの需要は引き続き旺盛で受注は順調に推移しています(セグメント合計では260億円程度のビジネス規模に達する)。
③ キャリアソリューション
転職者数の増加により業容が拡大し、キャリアソリューションセグメントの売上収益は、13,710百万円(前期比26.0%増)となりました。
人員の採用等、成長のための先行投資による人件費の増加を吸収し、セグメント利益は3,847百万円(前期比34.0%増)となりました。
④ 海外
米国の治験支援会社M3 Wake Research, Inc.の新規連結の影響により、海外セグメントの売上収益は25,124百万円(前期比12.0%増)、セグメント利益は3,638百万円(前期比22.1%増)となりました。
⑤ その他エマージング事業群
売上収益は12,692百万円(前期比83.9%増)となりました。新規に立ち上げた事業への先行投資等を吸収して増益になったことに加え、グループ会社の再編成に伴う一時的な利益が出たことにより、その他エマージング事業群の利益は2,484百万円(前期比46.4%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上収益は113,059百万円(前期比19.7%増)、営業利益は30,800百万円(前期比12.1%増)、税引前当期利益は30,942百万円(前期比12.6%増)、当期利益は21,346百万円(前期比11.0%増)となりました。
(2) 財政状態の概況
資産合計は、前連結会計年度末比20,865百万円増の137,306百万円となりました。流動資産については、現金及び現金同等物が3,806百万円増加したこと、また業容拡大及び新規連結子会社の増加等に伴い営業債権及びその他の債権が3,412百万円増加したこと等により、前連結会計年度末比10,390百万円増の63,986百万円となりました。非流動資産については、新規連結子会社の増加等によりのれんが6,124百万円増加したこと、また公正価値で測定する金融資産が3,927百万円増加したこと等により、前連結会計年度末比10,475百万円増の73,320百万円となりました。
負債合計は、前連結会計年度末比3,756百万円増の35,030百万円となりました。流動負債については、新規連結子会社の増加等に伴い営業債務及びその他の債務が1,885百万円増加したこと等により、前連結会計年度末比3,444百万円増の27,999百万円となりました。非流動負債は、前連結会計年度末比313百万円増の7,031百万円となりました。
資本合計は、前連結会計年度末比17,108百万円増の102,276百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益19,577百万円を計上した一方、剰余金配当3,563百万円を行ったこと等により、利益剰余金が16,016百万円増加したこと等によります。なお、当連結会計年度において、資本準備金から資本金へ2,000百万円を組み入れています。この影響等により、資本金が2,055百万円増加し、資本剰余金が1,958百万円減少しています。
(3) キャッシュ・フローの概況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度残高より3,806百万円増加し、27,538百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、17,749百万円の収入(前期比1,836百万円の収入増)となりました。収入の主な内訳は、税引前当期利益30,942百万円であり、支出の主な内訳は法人所得税の支払額8,714百万円です。
投資活動によるキャッシュ・フローは、8,783百万円の支出(前期比1,502百万円の支出増)となりました。主に新規連結子会社の増加に伴う、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出4,614百万円が発生しています。
財務活動によるキャッシュ・フローは、5,008百万円の支出(前期比246百万円の支出増)となりました。主に、親会社の株主への配当金の支払3,353百万円が発生しています。
(4) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当社グループは、製品の生産を行っていないため、記載すべき事項はありません。
② 受注実績
当社グループは、実績に応じて売上が計上される契約がほとんどであり、受注時に受注金額を確定することが困難な状況であるため、記載を省略しています。
③ 販売実績
セグメント別の当連結会計年度における販売実績は、次の通りです。
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、前連結会計年度及び当連結会計年度における各販売先への当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しています。
(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、2015年3月期よりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たって、連結決算日における財政状態及び報告期間における経営成績に影響を与える見積り、予測を必要としています。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続してこの見積り、予測の評価を実施しています。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 5 重要な会計上の見積り及び判断方針」に記載の通りです。
② 当連結会計年度の経営成績に関する認識及び分析・検討内容
メディカルプラットフォームセグメントにおいては、AI事業等の先端医療分野の取り組みや製薬・医療機器企業向け営業チームの強化等、将来の成長に向けた積極的な先行投資を行ったものの、既存の各サービスが拡大したことに加え、グループ会社の新規連結の効果、大型プロジェクトの完了に伴う収益計上が要因となり、業績は増収増益となりました。
エビデンスソリューションセグメントにおいては、CRO事業での治験プロジェクトは順調に進展し、また、オペレーションの効率化が進んだことにより収益性が高まり、業績は増収増益となりました。
キャリアソリューションセグメントにおいては、転職者数の増加により業容が拡大し、業績は増収増益となりました。
海外セグメントにおいては、主に米国の治験支援会社M3 Wake Research, Inc.の新規連結の影響により業績は増収増益となりました。
以上の結果、当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は19,577百万円(前期比8.0%増)となりました。これに伴い1株当たり当期利益も30.22円(前期比8.0%増)となりました。また、営業キャッシュ・フローも順調に推移しています。
(ご参考)2019年3月期の連結業績比較 (単位:百万円)
③ 資金の源泉と流動性についての分析
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益30,942百万円を計上したことを主な要因に、17,749百万円の収入となりました。また、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出等により、投資活動によるキャッシュ・フローは8,783百万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により5,008百万円の支出となりました。これらの結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より3,806百万円増加し、27,538百万円となりました。
当社はこの資金により、今後更に経営基盤を強化し、新たな事業展開に備えるための新規投資や出資等による支出に、機動的に対応していきます。
余剰資金の運用については、市場リスクや与信リスクを極めて限定的なものにする保守的な運用を行う方針としており、規模、期間を勘案した適切な手段による資金運用を行っています。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因、今後の方針等について
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りです。また、経営方針・経営戦略等については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りです。
(6) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下の通りです。
(のれん)
のれんは、日本基準ではその効果の及ぶ期間で定額償却していますが、IFRSでは償却せずに毎期減損テストを行います。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べてのれん償却費(販売費及び一般管理費)が、前連結会計年度1,730百万円、当連結会計年度2,085百万円それぞれ減少しています。
(1) 経営成績の概況
国内においては、医師会員27万人以上が利用する医療従事者専門サイト「m3.com」を中心に様々なサービスの展開をしています。
メディカルプラットフォームにおいては、「m3.com」のプラットフォーム上で会員医師が主体的、継続的に高頻度で情報を受け取れる「MR君」ファミリーの各種サービスに加え、会員医療従事者を対象とした調査サービス、会員へ医療情報以外のライフサポート情報を提供する「QOL君」等の一般企業向けマーケティング支援サービス等、顧客の意図や用途により選べるサービスメニューを提供しています。また、次世代MR「メディカルマーケター」の提供、医療系広告代理店等の事業を、グループ各社を通じて展開しています。
エビデンスソリューションでは、治験に参加する施設・対象患者を発見する治験支援サービス「治験君」を核に、大規模臨床研究支援サービス、治験業務の支援を行うCRO、治験実施医療機関において治験業務全般の管理・運営を支援するSMO等の事業を、グループ各社を通じて展開しています。
キャリアソリューションでは、エムスリーキャリア株式会社において、医師、薬剤師向けの求人求職支援サービスの展開を進めています。
さらに、一般の方々からの健康や疾病に関する質問に「m3.com」登録医師が回答する「AskDoctors」(http://www.AskDoctors.jp/)や医療福祉系国家試験の対策等の事業を行う株式会社テコムに加え、LINE株式会社と設立したオンライン医療事業を目的とした持分法適用関連会社「LINE ヘルスケア株式会社」においてもサービス展開を進めています。
2019年4月には株式会社NTTドコモと企業の健康経営をサポートする新会社「株式会社empheal」を設立し、持分法適用関連会社としました。
海外においては、米国で、医療従事者向けウェブサイト「MDLinx」を運営し、この会員基盤を活かした製薬会社向けサービスの他、医師向けの転職支援サービスや治験支援サービスも展開しています。欧州では、英国で医師向けウェブサイト「Doctors.net.uk」において製薬会社向けサービスの展開を進める他、フランス、ドイツ、スペインでVidal Groupを通じて医薬品情報データベースの提供を行っています。中国では、医療従事者向けウェブサイトに登録する医師会員数は250万人を超え、順調に拡大しています。インドにおいても合弁事業を開始しています。
また、日本、米国、欧州、中国、韓国をはじめ、当社グループが世界中で運営する医療従事者向けウェブサイト及び医師パネルに登録する医師は合計で500万人を超えており、医師パネルを活用したグローバルな調査サービスの提供も行っています。
当連結会計年度の業績は、以下の通りです。
(当期の業績) (単位:百万円)
2018年3月期 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 2019年3月期 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 比較増減 | ||
売上収益 | 94,471 | 113,059 | +18,588 | +19.7% |
営業利益 | 27,486 | 30,800 | +3,314 | +12.1% |
税引前当期利益 | 27,472 | 30,942 | +3,469 | +12.6% |
当期利益 | 19,225 | 21,346 | +2,121 | +11.0% |
※ 2019年3月期より、IFRS第9号(金融商品)の規定を適用しており、2018年3月期に遡って修正再表示を行っています。
(セグメントの業績) (単位:百万円)
2018年3月期 (自 2017年4月1日 至 2018年3月31日) | 2019年3月期 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 比較増減 | |||
メディカル プラットフォーム | セグメント売上収益 | 34,306 | 41,248 | +6,942 | +20.2% |
セグメント利益 | 15,366 | 15,391 | +25 | +0.2% | |
エビデンス ソリューション | セグメント売上収益 | 22,084 | 22,633 | +548 | +2.5% |
セグメント利益 | 5,532 | 5,985 | +452 | +8.2% | |
キャリアソリューション | セグメント売上収益 | 10,880 | 13,710 | +2,830 | +26.0% |
セグメント利益 | 2,871 | 3,847 | +976 | +34.0% | |
海外 | セグメント売上収益 | 22,425 | 25,124 | +2,699 | +12.0% |
セグメント利益 | 2,980 | 3,638 | +658 | +22.1% | |
その他エマージング事業群 | セグメント売上収益 | 6,903 | 12,692 | +5,789 | +83.9% |
セグメント利益 | 1,697 | 2,484 | +787 | +46.4% | |
調整額 | セグメント売上収益 | (2,126) | (2,347) | - | - |
セグメント利益 | (961) | (562) | - | - | |
企業結合に伴う再測定による利益 | - | 17 | +17 | - | |
合計 | 売上収益 | 94,471 | 113,059 | +18,588 | +19.7% |
営業利益 | 27,486 | 30,800 | +3,314 | +12.1% |
※ 2019年3月期より、IFRS第9号(金融商品)の規定を適用しており、2018年3月期に遡って修正再表示を行っています。
① メディカルプラットフォーム
既存の各サービスが拡大したことに加え、グループ会社の新規連結の効果もあり、メディカルプラットフォームセグメントの売上収益は、41,248百万円(前期比20.2%増)となりました。
AI事業等の先端医療分野の取り組みや製薬・医療機器企業向け営業チームの強化等、将来の成長に向けた積極的な先行投資を行った一方で、大型プロジェクトの完了に伴う収益が計上されたことから、メディカルプラットフォームのセグメント利益は15,391百万円(前期比0.2%増)となりました。
② エビデンスソリューション
株式会社Integrated Development Associatesが連結子会社から外れたものの、CRO事業での治験プロジェクトは順調に進展し、セグメントの売上収益は22,633百万円(前期比2.5%増)となりました。また、オペレーションの効率化が進んだことにより収益性が高まり、セグメント利益は5,985百万円(前期比8.2%増)となりました。治験プロジェクトの需要は引き続き旺盛で受注は順調に推移しています(セグメント合計では260億円程度のビジネス規模に達する)。
③ キャリアソリューション
転職者数の増加により業容が拡大し、キャリアソリューションセグメントの売上収益は、13,710百万円(前期比26.0%増)となりました。
人員の採用等、成長のための先行投資による人件費の増加を吸収し、セグメント利益は3,847百万円(前期比34.0%増)となりました。
④ 海外
米国の治験支援会社M3 Wake Research, Inc.の新規連結の影響により、海外セグメントの売上収益は25,124百万円(前期比12.0%増)、セグメント利益は3,638百万円(前期比22.1%増)となりました。
⑤ その他エマージング事業群
売上収益は12,692百万円(前期比83.9%増)となりました。新規に立ち上げた事業への先行投資等を吸収して増益になったことに加え、グループ会社の再編成に伴う一時的な利益が出たことにより、その他エマージング事業群の利益は2,484百万円(前期比46.4%増)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における当社グループの売上収益は113,059百万円(前期比19.7%増)、営業利益は30,800百万円(前期比12.1%増)、税引前当期利益は30,942百万円(前期比12.6%増)、当期利益は21,346百万円(前期比11.0%増)となりました。
(2) 財政状態の概況
資産合計は、前連結会計年度末比20,865百万円増の137,306百万円となりました。流動資産については、現金及び現金同等物が3,806百万円増加したこと、また業容拡大及び新規連結子会社の増加等に伴い営業債権及びその他の債権が3,412百万円増加したこと等により、前連結会計年度末比10,390百万円増の63,986百万円となりました。非流動資産については、新規連結子会社の増加等によりのれんが6,124百万円増加したこと、また公正価値で測定する金融資産が3,927百万円増加したこと等により、前連結会計年度末比10,475百万円増の73,320百万円となりました。
負債合計は、前連結会計年度末比3,756百万円増の35,030百万円となりました。流動負債については、新規連結子会社の増加等に伴い営業債務及びその他の債務が1,885百万円増加したこと等により、前連結会計年度末比3,444百万円増の27,999百万円となりました。非流動負債は、前連結会計年度末比313百万円増の7,031百万円となりました。
資本合計は、前連結会計年度末比17,108百万円増の102,276百万円となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益19,577百万円を計上した一方、剰余金配当3,563百万円を行ったこと等により、利益剰余金が16,016百万円増加したこと等によります。なお、当連結会計年度において、資本準備金から資本金へ2,000百万円を組み入れています。この影響等により、資本金が2,055百万円増加し、資本剰余金が1,958百万円減少しています。
(3) キャッシュ・フローの概況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度残高より3,806百万円増加し、27,538百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、17,749百万円の収入(前期比1,836百万円の収入増)となりました。収入の主な内訳は、税引前当期利益30,942百万円であり、支出の主な内訳は法人所得税の支払額8,714百万円です。
投資活動によるキャッシュ・フローは、8,783百万円の支出(前期比1,502百万円の支出増)となりました。主に新規連結子会社の増加に伴う、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出4,614百万円が発生しています。
財務活動によるキャッシュ・フローは、5,008百万円の支出(前期比246百万円の支出増)となりました。主に、親会社の株主への配当金の支払3,353百万円が発生しています。
(4) 生産、受注及び販売の状況
① 生産実績
当社グループは、製品の生産を行っていないため、記載すべき事項はありません。
② 受注実績
当社グループは、実績に応じて売上が計上される契約がほとんどであり、受注時に受注金額を確定することが困難な状況であるため、記載を省略しています。
③ 販売実績
セグメント別の当連結会計年度における販売実績は、次の通りです。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2018年4月1日 至 2019年3月31日) | 前年同期比(%) | |
メディカルプラットフォーム | (百万円) | 39,041 | +20.8% |
エビデンスソリューション | (百万円) | 22,576 | +2.5% |
キャリアソリューション | (百万円) | 13,692 | +26.0% |
海外 | (百万円) | 25,106 | +12.0% |
報告セグメント計 | (百万円) | 100,415 | +14.6% |
その他エマージング事業群 | (百万円) | 12,644 | +84.3% |
合計 | (百万円) | 113,059 | +19.7% |
(注)1 セグメント間の取引については相殺消去しています。
2 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
3 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、前連結会計年度及び当連結会計年度における各販売先への当該割合が100分の10未満のため、記載を省略しています。
(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、2015年3月期よりIFRSに準拠して作成しています。この連結財務諸表の作成に当たって、連結決算日における財政状態及び報告期間における経営成績に影響を与える見積り、予測を必要としています。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき、継続してこの見積り、予測の評価を実施しています。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 5 重要な会計上の見積り及び判断方針」に記載の通りです。
② 当連結会計年度の経営成績に関する認識及び分析・検討内容
メディカルプラットフォームセグメントにおいては、AI事業等の先端医療分野の取り組みや製薬・医療機器企業向け営業チームの強化等、将来の成長に向けた積極的な先行投資を行ったものの、既存の各サービスが拡大したことに加え、グループ会社の新規連結の効果、大型プロジェクトの完了に伴う収益計上が要因となり、業績は増収増益となりました。
エビデンスソリューションセグメントにおいては、CRO事業での治験プロジェクトは順調に進展し、また、オペレーションの効率化が進んだことにより収益性が高まり、業績は増収増益となりました。
キャリアソリューションセグメントにおいては、転職者数の増加により業容が拡大し、業績は増収増益となりました。
海外セグメントにおいては、主に米国の治験支援会社M3 Wake Research, Inc.の新規連結の影響により業績は増収増益となりました。
以上の結果、当連結会計年度における親会社の所有者に帰属する当期利益は19,577百万円(前期比8.0%増)となりました。これに伴い1株当たり当期利益も30.22円(前期比8.0%増)となりました。また、営業キャッシュ・フローも順調に推移しています。
(ご参考)2019年3月期の連結業績比較 (単位:百万円)
2019年3月期 (計画) | 2019年3月期 (実績) | 計画比 | |
売上収益 | 113,350 | 113,059 | △291 |
営業利益 | 31,720 | 30,800 | △920 |
税引前当期利益 | 31,700 | 30,942 | △758 |
当期利益 | 22,220 | 21,346 | △874 |
親会社の所有者に帰属する当期利益 | 20,960 | 19,577 | △1,383 |
③ 資金の源泉と流動性についての分析
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、税引前当期利益30,942百万円を計上したことを主な要因に、17,749百万円の収入となりました。また、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出等により、投資活動によるキャッシュ・フローは8,783百万円の支出となりました。財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払等により5,008百万円の支出となりました。これらの結果、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末より3,806百万円増加し、27,538百万円となりました。
当社はこの資金により、今後更に経営基盤を強化し、新たな事業展開に備えるための新規投資や出資等による支出に、機動的に対応していきます。
余剰資金の運用については、市場リスクや与信リスクを極めて限定的なものにする保守的な運用を行う方針としており、規模、期間を勘案した適切な手段による資金運用を行っています。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因、今後の方針等について
経営成績に重要な影響を与える要因については「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載の通りです。また、経営方針・経営戦略等については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の通りです。
(6) 経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と連結財務諸表規則(第7章及び第8章を除く。以下「日本基準」という。)により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項は、以下の通りです。
(のれん)
のれんは、日本基準ではその効果の及ぶ期間で定額償却していますが、IFRSでは償却せずに毎期減損テストを行います。
この影響により、IFRSでは日本基準に比べてのれん償却費(販売費及び一般管理費)が、前連結会計年度1,730百万円、当連結会計年度2,085百万円それぞれ減少しています。