有価証券報告書-第27期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、拡大する世界経済を背景にその恩恵が徐々に広がるとともに、政府・日銀による継続的な経済対策や金融政策の効果から企業収益や雇用情勢の改善をはじめとした景気回復基調で推移しました。一方で地政学的リスクの拡大や、海外の政治・経済動向の不確実性による影響など、景気の先行きについては不透明な状況が続いております。
介護業界におきましては、国内の高齢化がさらに進み、介護サービスの需要は高まっているもののサービスを担う人材の十分な確保が難しく、引き続き介護事業者の大きな経営課題になっております。また、平成30年度の介護報酬と診療報酬の同時改定によって、介護業界を取り巻く環境は依然厳しい状況が続くと想定されます。
このような状況の下、当社グループは、当期を中長期的な成長に向けた投資の一年と位置付け、国内外において当社グループの「介護からエンゼルケアまで」一貫したサービスを提供するためのさらなる基盤の構築を図ってまいりました。
当連結会計年度においては、国内事業では将来の展開を意識した利益確保と事業所の新設及び統合を中心とした強固なドミナントエリアの形成を推進してまいりました。
また、海外事業では、中国上海市に設立した完全子会社の「上海福原護理服務有限公司」(以下、「上海福原」と記載)のエンゼルケアサービスにおいて、平成29年5月に上海市閔行区殯儀館(以下、殯儀館を「葬儀場」と記載)、平成29年9月には上海市奉賢区葬儀場にて、葬儀場内でのエンゼルケアサービスの提供を開始いたしました。上海市には15ヶ所の国営葬儀場が存在しますが、現状では1つの葬儀場に1つのエンゼルケア事業者しか入れないことから、現在、「上海福原」がサービスを提供している3拠点での実績を着実に積み上げ、スピーディーに他の国営葬儀場へのサービス導入を図り、シェアの拡大を図ってまいります。
平成29年8月には中国北京市に当社の特定子会社である「北京福原順欣養老管理有限公司」を中国企業との合弁会社として設立いたしました。「上海福原」と同様に、北京市においても日本式介護の普及を図るべく、介護事業とエンゼルケア事業を推進してまいります。
また、平成30年1月には中国上海市に「上海保原健康管理諮詢有限公司」を中国企業と合弁で設立いたしました。現地の合弁相手である「保集健康ホールディングス」が保有する養老院の経営コンサルティング及び運営指導を行い、今後、同グループが積極的に開発・取得する介護施設を中心にサービスの拡大を図ってまいります。
さらに新規事業として、平成29年4月に人材事業会社である「株式会社ケアサービスヒューマンキャピタル」を国内の完全子会社として設立いたしました。介護業界全体の課題であり差別化要因でもある介護人材の採用と育成に向けて、ケアサービスグループ全体の採用力の向上とともに、次期から開始する人材紹介業の立ち上げ準備を進めてまいりました。
既存事業は堅調に推移いたしましたが、国内外の子会社、関連会社等への新規投資を行ったことにより、販売費及び一般管理費が増加いたしました。また、特別損失として、平成29年10月に開設した複合型介護施設への移設及び次期に予定している事業所の統廃合に伴う固定資産除却損、減損損失及び事業所閉鎖損失を計上しております。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は8,611百万円(前年同期比2.1%増)、営業利益は235百万円(前年同期比0.6%増)、経常利益は232百万円(前年同期比19.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は118百万円(前年同期比23.9%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分を変更しており、前連結会計年度との比較・分析は変更後の区分に基づいて記載しております。
(介護事業)
当事業におきましては、当社グループの特色である東京23区を中心としたドミナント戦略を継続して推進し、引き続き既存事業所の稼働率向上を図ってまいりました。
平成29年6月に東京都北区に「訪問入浴コトニア赤羽」 を新たに開設し、東京都大田区においては事業を休止していたショートステイを「通い」、「宿泊」、「訪問」 を組み合わせた地域密着型の介護サービスである「小規模多機能型居宅介護西蒲田」として平成29年10月にリニューアルオープンいたしました。また、同じく平成29年10月に東京都世田谷区弦巻にデイサービス、訪問入浴、居宅介護支援が入居した複合型在宅介護施設を移転開設し、平成30年3月に東京都足立区島根に「居宅支援西新井」を移転いたしました。
前期に行った事業所の統廃合により一部のサービスにおいて売上は減少いたしましたが、主力であるデイサービスの稼働率が向上し、事業所の統廃合による合理化及び人員配置の最適化による経費圧縮により、前年比で増収増益となりました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は6,149百万円(前年同期比1.4%増)営業利益は731百万円(前年同期比16.1%増)となりました。
(エンゼルケア事業)
当事業におきましては、平成29年7月に「エンゼルケア立川事業所」、平成29年11月に山形県東置賜郡に「エンゼルケア米沢事業所」を新たに開設いたしました。主力のエンゼルケアサービスの施行件数は前年同期比で増加し、増収増益となりました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は1,908百万円(前年同期比8.0%増)、営業利益は431百万円(前年同期比9.3%増)となりました。
(サービス付き高齢者向け住宅事業)
当事業におきましては、地域に根差した営業展開と入居者の獲得を続けておりますが、前年同期と比べて、 新規入居者の獲得数が減少し、入居率が低下いたしました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は554百万円(前年同期比7.8%減)、営業利益は3百万円(前年同期比90.6%減)となりました。
財政状態は、次のとおりであります。
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末より162百万円増加し、2,973百万円となりました。
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は、2,202百万円(前連結会計年度末2,058百万円)となり、144百万円増加しました。現金及び預金の増加90百万円、売掛金の増加26百万円が主な要因であります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産の残高は、770百万円(前連結会計年度末752百万円)となり、17百万円増加しました。建物の増加6百万円、敷金及び保証金の増加4百万円が主な要因であります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は、1,191百万円(前連結会計年度末1,009百万円)となり、181百万円増加しました。未払金の増加147百万円が主な要因であります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債の残高は、383百万円(前連結会計年度末479百万円)となり、96百万円減少しました。長期借入金の減少71百万円が主な要因であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は、1,398百万円(前連結会計年度末1,321百万円)となり、76百万円増加しました。配当金25百万円、親会社株主に帰属する当期純利益118百万円、為替換算調整勘定の減少3百万円、非支配株主持分の減少12百万円が主な要因であります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較して90百万円増加し、736百万円(前連結会計年度末比14.0%増)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、得られた資金は、305百万円(前年同期は247百万円の獲得)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益219百万円、減価償却費116百万円、未払金の増減額の増加85百万円に対し、法人税等の支払額113百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、使用した資金は、63百万円(前年同期は49百万円の使用)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出31百万円、無形固定資産の取得による支出19百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、使用した資金は、146百万円(前年同期は201百万円の使用)となりました。これは、主に長期借入れによる収入200百万円に対し、長期借入金の返済による支出275百万円、並びにリース債務の返済による支出40百万円、配当金の支払額25百万円によるものです。
③ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
該当事項はありません。
b. 受注実績
該当事項はありません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
| セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | 前年同期比(%) |
| 介護事業(千円) | 6,149,132 | +1.4 |
| エンゼルケア事業(千円) | 1,908,494 | +8.0 |
| サービス付き高齢者向け住宅事業(千円) | 554,237 | △7.8 |
| 合計(千円) | 8,611,864 | +2.1 |
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
| 相手先 | 前連結会計年度 (自 平成28年4月1日 至 平成29年3月31日) | 当連結会計年度 (自 平成29年4月1日 至 平成30年3月31日) | ||
| 金額(千円) | 割合(%) | 金額(千円) | 割合(%) | |
| 東京都国民健康保険団体連合会 | 4,959,599 | 58.8 | 5,047,683 | 58.6 |
2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計方針は「(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載の通りであります。この連結財務諸表の作成に当たりまして、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(経営成績)
当社グループの当連結会計年度の経営成績は、平成29年5月15日付公表予想値との比較で、以下のとおりとなりました。
売上高は、予想値8,712百万円に対して実績値8,611百万円と100百万円(1.2%)の未達となりました。これはエンゼルケア事業の超過達成29百万円、介護事業の未達76百万円、サービス付高齢者向け住宅事業の未達54百万円によるものです。介護事業は冬季におけるインフルエンザの流行による利用者の減少が予想を上回ったこと等により、また、サービス付高齢者向け住宅事業は周辺施設との競争の激化により新規入居者の獲得が予想を下回ったことにより未達となっております。なお、サービス付高齢者向け住宅事業については、医療依存度の高い高齢者を受入れられるよう、24時間看護師を常駐させる体制を構築し、次年度以降の業績回復を図っております。
利益面については、売上高の未達による影響を補うため、経費削減に努めましたが、成長分野である国内外の関係会社等への新規投資を行ったことにより、営業利益が予想値240百万円に対して実績値235百万円と4百万円(1.9%)の未達、経常利益が予想値222百万円に対して実績値232百万円と9百万円(4.4%)の超過達成、親会社株主に帰属する当期純利益が予想値140百万円に対して実績値118百万円と21百万円(15.3%)の未達となりました。
なお、経営成績に重要な影響を与える要因は「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりとなっておりますが、特に近年は「(5)人材の確保について」に記載のリスクが顕在化しつつあります。しかしながら、当社グループでは、人材事業子会社である「株式会社ケアサービスヒューマンキャピタル」を設立し、介護業界全体の課題であり差別化要因である介護人材の採用と育成に向けて、当社グループ全体の採用力の向上を進めております。また、「(3)競合について」に記載のとおり、新規参入事業者の増加等により、国内の競争は激化しておりますが、当社グループは経済成長が著しく少子高齢化が進行する中国に進出する等、新たな市場開拓を進めております。
(資本の財源及び資金の流動性についての分析)
当連結会計年度のキャッシュフローの状況は、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」 に記載のとおりであります。
なお、当社グループは、施設の出店に際しては賃借によることを原則としており、重要な資本的支出の予定はないため、当面の設備投資、成長分野への投資並びに株主還元等は自己資金で対応する予定であります。