有価証券報告書-第12期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

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2020/03/30 11:47
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度(2019年1月1日から2019年12月31日まで)における我が国経済は、引き続き輸出に弱さが残るものの、雇用・所得環境が着実に推移する中、各種施策の効果により、緩やかな回復基調で推移しました。一方で、通商問題を巡る動向や、中国経済の先行き、金融資本市場の変動による影響等、世界経済の動向に留意する必要があります。
このような状況の中、当社は、「あしたの流通を創造する」をブランドステートメントと掲げ、BtoBビジネスに係る仲介を行う情報流通のみならず、競争力のある付加価値を伴った商品及びサービスを提供する情報流通のための施策を推進し、社会的価値、経済的価値の更なる向上に努めております。
この結果、当連結会計年度の当社グループの売上高は、19,672,155千円(前年同期比0.9%増)、営業利益は2,525,499千円(前年同期比21.5%減)、経常利益は2,630,707千円(前年同期比20.5%減)となり、親会社株主に帰属する当期純利益は1,404,005千円(前年同期比17.8%減)となりました。
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
(四輪事業)
当事業は、中古車オークション(※1)、共有在庫市場(※2)、ライブ中継オークション(※3)、落札代行サービス(※4)及び車両検査サービス(※5)等で構成されています。
当事業と関連の深い自動車業界では、当連結会計年度の新車登録台数(※6)は、前年同期比1.5%減の519万台、中古車の登録台数(※7)は、同0.6%増の698万台、中古車オークション市場の出品台数(※8)は、同3.8%増の764万台、成約台数(※8)は、同2.1%増の488万台となりました。当社の中古車オークションでは、市場動向は堅調に推移したものの、主要な出品ターゲットである輸入車ディーラー会員からの出品や専業店からの高額車両出品が減少した事が影響し、出品台数、成約台数は前年同期を下回りました。共有在庫市場では、ディーラー系・レンタリース系のグループ間での取引台数が引き続き堅調に推移したことに加え、中古車情報誌等からの検査付連携登録車や専業店車両の登録補助、売却希望価格のメンテナンスを定期的に実施したことにより、登録台数、成約台数がそれぞれ前年同期を上回りました。また、車両検査サービスは、主に上述の中古車情報誌の認定検査が大幅に増加し、総検査台数が前年同期を大幅に上回り、サービス開始後初の年間総検査台数100万台を超えました。
この結果、当事業の売上高は(セグメント間の内部売上高を含む。)12,174,539千円(前年同期比3.0%増)、営業利益は3,754,808千円(前年同期比3.7%増)となりました。
(※1)中古車オークションとは、当社が主催するオンラインで行う会員制のリアルタイム中古車オークションのことです。
(※2)共有在庫市場とは、当社の会員ネットワークを活用し、会員が所有する中古車店頭在庫の情報を会員間で共有し取引する市場のことです。
(※3)ライブ中継オークションとは、当社が業者間取引の市場である現車オークション会場と提携し、現車オークション会場が主催するオークションを中継するサービスのことです。
(※4)落札代行サービスとは、株式会社アイオークが業者間取引の市場である現車オークション会場等に出品される中古車の落札・出品・決済・輸送の代行を行うサービスのことです。
(※5)車両検査サービスとは、株式会社AISが出品車両の検査及び車両検査技能に関する研修を行うサービスのことです。
(※6)一般社団法人日本自動車販売協会連合会統計資料より
(※7)一般社団法人日本自動車販売協会連合会統計資料及び一般社団法人全国軽自動車協会連合会の統計資料より
(※8)ユーストカー総合版+輸出相場版より
(デジタルプロダクツ事業)
当事業は、中古スマートフォン・中古PC等の中古デジタル機器のオークション及び流通に付随するサービスで構成されています。
国内スマートフォンの販売不振等の影響があったものの、4月に主要取引先との契約内容を大幅に変更したことで、流通台数は前年同期を上回りましたが、期待していた利益水準に到達できるほどの台数確保には至らず、また、国内の商品化センター移転に関連する営業費用が増加いたしました。一方、海外事業では、昨年開設した米国事業拠点のインフラ整備による費用発生や新たなビジネスの立ち上げで、本格的な事業開始に至らず、販売費及び一般管理費が先行して発生しました。
この結果、当事業の売上高は3,863,092千円(前年同期比4.4%減)、営業利益は915,074千円(前年同期比52.6%減)となりました。
(その他情報流通事業)
当事業は、ブランド品、中古バイク、花き(切花・鉢物)のオークション及び流通に付随するサービスで構成されています。
ブランド品は、新規会員獲得施策や前期に業務提携をした米国企業とのサービス連携強化により、国内外での会員数が堅調に推移し、出品数、成約数は前年同期を上回りました。中古バイクは、市場動向の厳しさが続き、オークションでは、出品台数の獲得が低調となった一方で、サブスクリプションのテストマーケティングを行い、概ね好評であったため、来期中の本格運用に向けスタートを切ることができました。花き(切花・鉢物)は、台風等の自然災害の影響により、全国的に品薄状態が続いたことで、集荷数が軟調に推移したものの、オークション成約単価が上昇し、取扱高は前年同期の水準となりました。
この結果、当事業の売上高は(セグメント間の内部売上高を含む。)2,719,728千円(前年同期比1.9%増)、営業利益は677,010千円(前年同期比7.2%増)となりました。
(その他事業)
当事業は、システム開発及び提供、通信及び運営保守サービスの提供、中古医療機器関連事業、海外事業等で構成されています。
当事業の売上高は(セグメント間の内部売上高を含む。)1,645,433千円(前年同期比9.5%減)、営業損失は328,331千円(前年同期は営業損失269,306千円)となりました。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、22,450,654千円(前連結会計年度末比5.3%増)となりました。これは主として、オークション貸勘定が950,353千円、たな卸資産が219,328千円、短期貸付金が909,747千円増加し、現金及び預金が1,788,091千円、受取手形及び売掛金が12,395千円、未収還付法人税等が193,188千円減少したことによるものであります。
固定資産は、6,873,994千円(前連結会計年度末比15.8%増)となりました。これは主として、ソフトウェアが119,573千円、投資有価証券が1,005,988千円増加し、建物及び構築物(純額)が53,857千円、その他有形固定資産(純額)が15,559千円、繰延税金資産が70,016千円、その他の投資が57,310千円減少したことによるものであります。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、8,455,736千円(前連結会計年度末比15.5%増)となりました。これは主として、買掛金が4,807千円、オークション借勘定が1,347,261千円、賞与引当金が33,146千円増加し、未払法人税等が180,110千円、ポイント引当金が6,308千円減少したことによるものであります。
固定負債は、2,535,358千円(前連結会計年度末比0.5%増)となりました。これは主として、株式給付引当金が34,840千円増加し、退職給付に係る負債が85,007千円減少したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産は、18,333,554千円(前連結会計年度末比5.3%増)となりました。これは主として、資本金が17,832千円、利益剰余金が668,807千円、その他有価証券評価差額金が85,007千円、退職給付に係る調整累計額が104,086千円、非支配株主持分が61,645千円増加し、資本剰余金が19,343千円、自己株式が7,540千円、為替換算調整勘定が5,720千円減少したことによるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,868,088千円減少し、13,761,608千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動により獲得した資金は1,426,193千円(前連結会計年度比49.9%減)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益2,529,624千円、減価償却費660,534千円、オークション借勘定の増減額1,347,261千円、法人税等の還付額233,190千円であり、支出の主な内訳は、オークション貸勘定の増減額950,353千円、たな卸資産の増減額211,045千円、未収消費税等の増減額906,810千円、法人税等の支払額1,323,478千円であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動により支出した資金は△2,600,207千円(前連結会計年度比109.7%増)となりました。収入の主な内訳は、定期預金の払戻による収入590,003千円であり、支出の主な内訳は、定期預金の預入による支出670,000千円、有形固定資産の取得による支出119,492千円、無形固定資産の取得による支出548,035千円、投資有価証券の取得による支出899,665千円、貸付けによる支出1,121,800千円であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動により支出した資金は△757,345千円(前連結会計年度比20.1%減)となりました。収入の主な内訳は、株式の発行による収入35,665千円であり、支出の主な内訳は、配当金の支払額719,729千円であります。
当社グループの事業活動のために必要な資金は、主に手元資金及び営業キャッシュ・フローの活用により調達することを基本方針としております。この方針のもと、事業活動の維持に必要な手元資金を保有し、十分な流動性を確保しているものと考えております。
当社グループの主要な資金需要は、オークション関連システム及び付帯設備の更新・拡充を目的とした設備投資等であります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
前年同期比(%)
四輪事業(千円)589,725+43.9
デジタルプロダクツ事業(千円)940,996+123.6
その他情報流通事業(千円)180,070△9.6
その他事業(千円)152,252+31.2
合計(千円)1,863,044+62.6

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.金額は、仕入価格によっております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
4.当連結会計年度においてデジタルプロダクツ事業の仕入実績に著しい変動があったのは、スマートフォンの買取が増加したことによるものであります。
c.受注実績
当社グループは、受注の規模が小さいため、受注実績は記載しておりません。
d.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
前年同期比(%)
四輪事業(千円)12,026,408+3.3
デジタルプロダクツ事業(千円)3,863,092△4.4
その他情報流通事業(千円)2,719,728+2.1
その他事業(千円)1,062,926△6.8
合計(千円)19,672,155+0.9

(注) 1.セグメント間取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先がないため、省略しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成において、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果はこれらの見積りとは異なる場合があります。
連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する分析・検討
a.経営成績
当該事項につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b.財政状態
当該事項につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
c.キャッシュ・フロー
当該事項につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。