有価証券報告書-第9期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/20 10:11
【資料】
PDFをみる
【項目】
59項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、個人消費の伸びは低いものの、輸出の回復や国内需要の持ち直しを背景に、緩やかな回復を続けました。一方、円高の進行や米国の保護主義政策などにより、経済全体の先行きは不透明な状況です。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ42,508百万円増加し、131,484百万円となりました。これは主に、現金及び現金同等物が13,341百万円、営業債権及びその他の債権が21,415百万円、棚卸資産が5,110百万円増加したことによるものです。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ22,900百万円増加し、67,049百万円となりました。これは主に、借入金が18,200百万円増加したことによるものです。
資本につきましては、64,435百万円となり、前連結会計年度末に比べ19,607百万円増加いたしました。これは主に、資本金3,309百万円、資本剰余金4,254百万円の増加、当期包括利益9,576百万円に加え、純資産の部から控除される自己株式が4,984百万円減少したことによるものであります。
b.経営成績
当連結会計年度における、当社グループの各事業セグメントの状況は以下のとおりでした。
貴金属事業セグメント
エレクトロニクス分野では、金の回収量が前年同期比で増加しました。デンタル分野では、金およびパラジウムの回収量が前年同期比で同水準でした。宝飾分野では、金およびプラチナの回収量が前年同期比で増加しました。触媒分野では、パラジウムおよびプラチナの回収量が前年同期比で増加しました。北米精錬分野では、金の入荷量が前年同期比で増加し、銀の入荷量が前年同期比で減少しました。貴金属の平均価格は、金とパラジウムが前年同期比で上昇し、銀とプラチナが前年同期比で下落しました。
環境保全事業セグメント
国内の廃棄物排出量は総じて減少傾向にあるものの、排出事業者の適正処理ニーズに対してグループ各社の連携や各社が持つ幅広いネットワークにより、新規顧客開拓・案件獲得に注力した結果、売上収益および営業利益は前年同期を上回りました。
ライフ&ヘルス事業セグメント
健康機器事業については、大型マッサージチェアの新製品発売や通販向け各種マッサージチェア等の拡販に注力した結果、売上収益は前年同期比で増加しました。また、消防設備や放射空調事業は、首都圏を中心とした建設需要が高い水準にあり、引き続き堅調に推移しました。
以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上収益115,797百万円(前年同期比8,969百万円増、8.4%増)、営業利益13,791百万円(前年同期比11,752百万円増、576.6%増)、税引前利益13,410百万円(前年同期比11,658百万円増、665.6%増)、当期利益9,453百万円(前年同期は当期損失1,086百万円)、親会社の所有者に帰属する当期利益9,416百万円(前年同期は親会社の所有者に帰属する当期損失1,213百万円)となりました。セグメント別の売上収益は、貴金属事業が74,593百万円(前年同期比7,598百万円増、11.3%増)、環境保全事業が16,235百万円(前年同期比292百万円増、1.8%増)、ライフ&ヘルス事業が25,036百万円(前年同期比1,068百万円増、4.5%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より13,341百万円増加し、当連結会計年度末には24,140百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローは次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は13,397百万円(前連結会計年度は3,319百万円の獲得)となりました。
これは主に、税引前利益13,410百万円(前年同期比665.6%増)、減価償却費及び償却費2,267百万円(前年同期比3.1%減)、営業債権及びその他の債権の増加21,421百万円(前年同期比2,065.2%増)、棚卸資産の増加5,112百万円(前年同期比125.1%増)、及び法人所得税の支払3,243百万円(前年同期比44.9%減)によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は2,829百万円(前年同期比15.9%増)となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出2,762百万円(前年同期比3.2%増)によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は29,776百万円(前連結会計年度は6,630百万円の使用)となりました。
これは主に、長短借入金の純増加額19,822百万円(前連結会計年度は4,636百万円の減少)、新株発行による収入6,619百万円及び自己株式の売却による収入6,252百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様ではなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため生産、受注の実績については、「① 財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメントの業績に関連付けて示しております。
販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年同期比(%)
貴金属事業74,593111.3
環境保全事業16,168101.9
ライフ&ヘルス事業25,035104.5
合計115,797108.4

(注)1.最近2連結会計年度の主要な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
相手先前連結会計年度
(自 2016年4月1日
至 2017年3月31日)
当連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
田中貴金属工業㈱13,21212.412,47810.8
三菱商事RtMジャパン㈱12,33711.511,1589.6

3.上記金額には消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中の将来に関する事項は、当該有価証券報告書提出日(2018年6月20日)現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定により国際会計基準に基づき作成されており、財政状態及び経営成績に関する以下の分析が行われております。
当社経営陣は、連結財務諸表の作成に際し、決算日における資産・負債の報告数値及び偶発資産・負債の開示並びに報告期間における収入・費用の報告数値に影響を与える見積りを行っております。具体的には、貸倒引当金、投資の減損等が該当しますが、いずれも適正に見積っております。
② 当連結会計年度の経営成績の分析
当連結会計年度の売上収益は115,797百万円(前年同期比8.4%増)、営業利益は13,791百万円(前年同期比576.6%増)、税引前利益は13,410百万円(前年同期比665.6%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は9,416百万円(前年同期は親会社の所有者に帰属する当期損失1,213百万円)となりました。
当社グループの全ての会社と全ての事業単位の業績で黒字を計上しました。その結果、当社が経営効率化の指標としている株主資本当期純利益率(ROE)は17.3%となりました。
なお、セグメント別の分析につきましては、(1) 経営成績等の状況の概要に記載のとおりであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループは貴金属事業において、貴金属及び希少金属を扱っており、貴金属相場及び為替相場の変動による影響を受ける可能性があります。なお、取扱製品を多様化すること等により、リスク軽減に努めております。
④ 戦略的現状と見通し
貴金属事業においては、世間一般の資源循環ニーズの高まりにより、自らの役割の重要性を認識し、新たな事業機会の活用、新規顧客の開拓を通して、引き続き成長性の確保と収益性の向上に努めております。
環境保全事業においては、多様な産業廃棄物の適正処理が求められる市場において、アサヒホールディングスグループとして顧客ニーズに幅広く対応できる「ワン・ストップ」体制を志向し、顧客からの信頼をますます高めつつ、高付加価値の事業展開を推進しております。
ライフ&ヘルス事業においては、「快適な生活と健康を維持する機器及び設備等の提供」をテーマにこの分野へ積極的に投資するとともに人材育成を図り、新たな安定した収益基盤を形成します。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保及び適切な流動性の維持を図るにあたり、営業活動で得られた資金により設備投資の資金をまかなうことを基本方針としています。主なキャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
当連結会計年度において営業活動の結果使用した資金は13,397百万円となりました。
これは主に、税引前利益13,410百万円と減価償却費及び償却費2,267百万円、営業債権及びその他の債権の増加額、棚卸資産の増加額及び法人所得税の支払額によるものであります。
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は2,829百万円となりました。
これは主に、有形固定資産の取得による支出2,762百万円等によるものであります。
当連結会計年度において財務活動の結果獲得した資金は29,776百万円となりました。
これは主に、長短借入金の純増加額19,822百万円、新株発行による収入6,619百万円及び自己株式の売却による収入6,252百万円によるものであります。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は24,140百万円となり、前連結会計年度末より13,341百万円増加しました。
当社グループは、現金及び現金同等物、その他の流動性資産の水準から、十分な流動性を確保していると考えておりますが、この資金を効率的な拡大再生産に振り向けていくことが経営課題であると認識しております。
なお、当社グループは、現在取引している金融機関と良好な関係を築いております。
(3)経営成績等の状況の概要に係る主要な項目における差異に関する情報
IFRSにより作成した連結財務諸表における主要な項目と日本基準により作成した場合の連結財務諸表におけるこれらに相当する項目との差異に関する事項
(のれんの償却)
日本基準においては、のれんを規則的に償却しておりましたが、IFRSでは移行日以降の償却を停止しております。この影響により、当連結会計年度にて、IFRSでは日本基準に比べて、販売費及び一般管理費が603百万円減少しております。