有価証券報告書-第93期(令和3年4月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/06/23 9:35
【資料】
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【項目】
156項目
以下の記載における将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
1 経営の基本方針
新型コロナウイルス感染症に端を発する社会情勢の変化だけでなく、人口減少や環境問題など社会的な課題を意識した経営の重要性が近年益々高まっております。当金庫としても新たな時代に相応しい組織風土・企業文化を形成し、改めて私たちの存在意義や大切にすべき考え方を共有するために、全役職員がその策定に参画し、2022年3月に企業理念の見直しを行いました。
今回制定した企業理念が当金庫の全役職員に浸透し、ステークホルダーからの信頼と共感が得られるよう取り組みを継続していくことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
○新・企業理念

2 経営環境
2021年度のわが国経済をみますと、総じて緩やかな回復基調を辿ったものの、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響を受けました。年度末にかけても、2022年初頃からの国内感染者の急増や、経済活動の停滞に伴う世界的な供給制約などを背景とした資源価格の高騰、2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻などから、先行きの不透明感が強まりました。
個人消費は、秋口から年末にかけては、行動制限の解除による外食・旅行等のサービス消費の回復などにより持ち直しの動きがみられましたが、2022年初頃からの新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う行動制限などにより再び弱い動きとなりました。
中小企業についても、当金庫の「商工中金景況調査」では、2021年10月調査にて景況判断指数が持ち直したものの、2022年2月調査では新型コロナウイルス感染症の拡大や燃料・原材料価格の高騰に伴い、同指数が再び大幅な悪化超になりました。
金融面につきましては、短期金利は日本銀行が金融緩和方針を堅持したことから低位で推移した一方、長期金利は米国金融政策が引き締め方向に転換するなど、総じて海外金利が上昇する中、年度末にかけてやや上昇しました。円の対ドル相場は日米金利差の拡大を受け、円安が進みました。日経平均株価は年度初から概ね3万円弱の水準での一進一退が続いたのち、ウクライナ情勢緊迫化やこれに伴う資源価格の一段の高騰を背景に、2022年3月初めには一時2万5千円前後まで下落する場面もみられました。
3 対処すべき課題と経営戦略
<新・中期経営計画(2022~2024年度)の基本方針>人口減少などの構造要因や低金利環境の長期化等により、当金庫を含む国内金融機関の収益には下押し圧力がかかっており、その中でも安定的な収益を確保していくためには、お取引先との対話を通じた課題・ニーズの共有および踏み込んだ支援に伴う、付加価値の高いソリューションの提供を一層加速させていく必要があります。
こうした課題に対処しつつ、当金庫が実現していきたい、これからの社会の姿の実現に向け、2022年3月に制定した「企業の未来を支えていく。日本を変化につよくする。」というパーパスを基軸に、2022年度から2024年度までの3年間を計画期間とする中期経営計画を策定いたしました。
新たな中期経営計画では、中長期的に中小企業が直面する多種多様な経営課題を踏まえ、「商工中金経営改革プログラム」で培ったビジネスモデルを強化し、より踏み込んだ企業支援に取り組むことで、変化につよい企業経営をともに実現していくとともに、商工中金自身の持続可能なビジネスモデルの実現を目指してまいります。
⦅中期経営計画に基づく主要な施策⦆
(1)サービスのシフト
中小企業が抱える経営課題が多様化・複雑化する中、ますますニーズが強くなっていく、情報サービス、人財サービス、高度金融サービスという3つの分野に注力し、課題解決に向けて取り組むお取引先に対して様々な経営リソースを提供してまいります。
情報サービスは、財務診断やESG診断、中小企業従業員の幸福度を可視化する幸せデザインサーベイ、CO2排出量可視化サービスといったツールを活用してお取引先と課題を共有する診断サービスと、お取引先の課題解決に向けた計画策定や実行支援を行うコンサルティング・本業支援について、取組みを強化してまいります。
人財サービスは、課題解決に取り組むにあたって必要となる、お取引先を内部から支える経営人材、専門人材の確保に貢献するべく、提携先とのビジネスマッチングや、当金庫の専門的な人的リソースを活用した人材提供に取り組んでまいります。
高度金融サービスは、複雑化・高度化する経営課題に対応し、大型の資金調達や適切なリスクコントロールを実現するストラクチャードファイナンス等への取組みを強化してまいります。また、メザニンファイナンスを含む投資業務の取組みを強化し、財務内容が大きく毀損したお取引先の財務健全化ニーズや、事業承継等における株式引受けニーズに対応してまいります。

(2)差別化分野の確立
経済危機や災害時のセーフティネット機能の発揮や、日々の資金繰り支援、事業性評価に基づく本業支援に加え、お取引先のライフステージごとの経営課題に着目し、「スタートアップ支援」、「サステナブル経営支援」、「事業再生支援」の3つの領域を「差別化分野」として取組みを強化してまいります。
「スタートアップ支援」は、イノベーションを促進し地域活性化を図るうえで社会的にも重要な機能であり、スタートアップ特有の課題を踏まえた一気通貫のサポートに取り組んでまいります。
「サステナブル経営支援」については、気候変動リスクへの対応に取り組むお取引先への支援や、従業員エンゲージメントの向上に取り組むお取引先、災害対策等を進めるお取引先、ガバナンスを強化しようとするお取引先等への支援を推進してまいります。
「事業再生支援」は、専門性向上と対応力の底上げにより、財務や収支に課題を抱えるお取引先の経営改善・再生に向けた取組みの支援を強化してまいります。

(3)当金庫自身の企業変革
パーパス・ミッションを基軸として、多くの新しいチャレンジを育むべく、「Well-being・D&I」、「お客さま本位の業務運営」、「デジタルトランスフォーメーション」の3つの主要なテーマに基づき、企業体質や組織風土改革を進めてまいります。

<新型コロナウイルス感染症への対応>新型コロナウイルス感染症の影響の大きさに鑑み、危機対応業務の指定金融機関として、2020年8月から取扱いを開始いたしました資本性劣後ローンを含めて、制度を的確に運用しつつ、影響を受けられた中小企業の皆さまに懇切・丁寧かつ個別の実情に応じた迅速な対応を行ってまいります。
<その他の取組み>上記の取組みを持続的なものとするため、未来志向の業務改革と合理化に努めてまいります。WEBやスマートフォンアプリ等の非対面チャネルを効果的に活用し、顧客利便性を確保しながら、店舗機能の本部集中化等による店舗運営コストの低減と持続可能な調達方法の確立に取り組んでまいります。また、既存システムの効果的な代替を着実に進めるとともに、デジタル技術を活用し、お取引先との対話に充てる時間を増やすことで、本業支援への取組みを強化してまいります。
また、ビジネスモデルを支える屋台骨としてのコンプライアンス意識の定着化や内部管理態勢の強化に引き続き取り組むとともに、職員の能力を最大限に発揮できる人事制度の構築、ダイバーシティの推進やインクルージョンの浸透にも取り組み、新たな中期経営計画で目指すビジネスモデルの実現に向けて邁進してまいります。
<目標とする経営指標(単体)>
経営指標2024年度(中期経営計画最終年度)目標
業務純益500億円程度
純利益250億円程度
ROA0.2%程度
ROE2%台後半
総自己資本比率12%以上
OHR60%程度

4 持続可能な社会の実現に向けた取組み
<基本的考え方>当金庫は、中小企業や中小企業組合の取組みを支援すること、また、自身でも取組みを進めていくことにより、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
2022年3月に、環境や人権に対する基本的考え方や方針である「サステナビリティ基本規程」を定めました。同規程では、当金庫の組織・役職員の取組みの基本的な視点として、"SPEED"の視点(※1)を設定し、具体的な目的と行動を定めております。
(※1)当金庫が独自に定めた、組織・役職員における、サステナビリティに対する取組みの基本的な視点。Sustainability、Productivity、Empathy、Ecology、Digitalの頭文字をとったもの。

<気候変動リスクへの対応>特に、サステナビリティに関する課題の中でも「気候変動リスクへの対応」は、多くのお取引先中小企業に影響を与える重要な課題で、当金庫における経営のトップリスクの一つと認識しております。
近年、異常気象による被害が甚大化しており、持続可能な社会の実現に向けて、世界各国で気候変動に対応していく動きが広がっております。
当金庫は、お取引先中小企業の取組みを支援すること、また、自身でも取組みを進めていくことにより、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
当金庫はTCFD(※2)の提言に賛同しております。気候変動に対する取組みの情報開示の重要性を認識しており、TCFDの推奨する形での情報(ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標)の開示に取り組んでまいります。なお、詳細情報は、TCFDレポートをご覧ください。(https://www.shokochukin.co.jp/share/library/tcfd/)
(※2)TCFD…Task Force on Climate Related Financial Disclosures(気候関連財務情報開示タスクフォース)
⦅ガバナンス⦆
気候変動に関する機会とリスクの識別、評価及び管理に関する事項は、社長執行役員を議長とする経営会議において定期的に議論しております。また、逐次、取締役会に報告しております。(2021年度は、それぞれで四半期に1~2回程度実施)
サステナビリティ基本規程では、気候変動を含む社会の重要課題を解決し、持続可能な社会の実現に向けて積極的な役割を果たす旨について定めました。
事業活動を通じて、重点的かつ効果的に貢献する社会の重要な課題(マテリアリティ)(※3)を特定しました。
(※3)マテリアリティ

⦅戦略⦆
気候変動を含む社会的課題の解決に向けた取組みを推進してまいります。気候変動が当金庫の経営にもたらす機会とリスクに関して、定性的・定量的なシナリオ分析を行ってまいります。具体的には、気候変動に起因する近年の自然災害を踏まえた物理的リスクや、低炭素社会への移行に伴う気候変動政策や技術革新等により生じる移行リスク及び機会の影響の分析に努めてまいります。
"SPEED"の視点をもった事業性評価を起点に、お取引先中小企業とは気候変動リスクをともに乗り越えるための対話を行い、必要な取組みの実行支援を行うことで、持続可能な社会の実現に貢献してまいります。
⦅リスク管理⦆
「気候変動リスクへの対応」を経営のトップリスクの一つと認識しております。中小企業の金融円滑化を目的とする金融機関として、お取引先中小企業とは"SPEED"の視点をもった建設的な対話と相互理解に努め、情報の把握と提供を継続的に行います。その過程で確認した環境・社会に対し負の影響を及ぼす可能性が高い事業との取引は、「環境又は社会に配慮した取組の方針」(※4)に沿って対応してまいります。
気候変動に起因するリスク(物理的リスク・移行リスク)を適切に認識したうえで、これに対応したリスク管理態勢の構築に取り組んでまいります。
(※4)投融資等に対する基本的考え方(「環境又は社会に配慮した取組の方針」)
当金庫は、中小企業の金融円滑化を目的とした金融機関であります。この目的を常に意識し、国内法令及び国際規範と整合した倫理的な取引を行うため、お客さまの取り巻く環境の変化や事業活動について確認と働きかけを行い、環境や社会課題の解決に向けて取り組んでまいります。
「環境又は社会に配慮した取組の方針」
当金庫としては、確認の結果、環境・社会に対し負の影響を及ぼす可能性が高い事業との取引については、取組方針を定め、それに従って対応をしてまいります。
具体的には、環境・社会に対し、重大な負の影響を及ぼす可能性がある以下の3つ(非人道兵器の製造を行っている事業、児童労働・強制労働を行っている事業、生態系維持・世界遺産保護等の観点から問題がある事業)については、取引を行いません。
1.非人道兵器の製造を行っている事業
クラスター弾は非人道的な兵器として国際社会から認知されております。また、核兵器、生物・化学兵器、対人地雷は、クラスター弾同様に人道上の問題が大きいと認識しております。こうした認識のもと、これら非人道兵器の製造行為に対する投融資等の取引は行いません。
2.児童労働・強制労働を行っている事業
当金庫は世界人権宣言をはじめとする国際規範を尊重しております。責任ある企業活動を促進し、国際社会を含む社会全体の人権保護に貢献していく観点から、特に、搾取的労働慣行には加担すべきではないと認識しております。こうした認識のもと、児童労働・強制労働を行っている事業に対する投融資等は行いません。
3.生態系維持・世界遺産保護等の観点から問題がある事業
複雑で多様な生態系が支え合い、食料や水、気候の安定等の恵みがもたらされております。生態系を支える生物多様性に配慮し、自然環境等の維持・保全に努めていくことが重要と認識しております。こうした認識のもと、以下に該当する事業については投融資等を行いません。
・ラムサール条約指定湿地に負の影響を与える事業
・ユネスコ指定の世界遺産に負の影響を与える事業
・ワシントン条約(国内法では種の保存法)に違反する事業
なお、環境・社会に対し負の影響度がある「石炭火力発電事業」「森林伐採事業」「パーム油農園開発事業」については、事業内容について十分な確認と対話や働きかけを行い、その結果をもとに、対応を検討してまいります。
⦅指標と目標⦆
国内事業所におけるガスや電力等の使用量を基に算出した2020年度のCO2排出量は10,939トンで、2013年度比28%削減しています(省エネ法の定期報告書における商工中金のScope1(直接)、Scope2(間接)のCO2排出量を対象にしております)。当該CO2排出量の削減目標として、2030年度に2013年度比50%削減を目指しております。
2022年3月末時点の、当金庫の貸出金に占める炭素関連資産の割合は0.3%であります。TCFD提言の推奨する定義等を踏まえ、エネルギーセクター及びユーティリティセクター向け貸出のうち、水道事業を除く業種への貸出を炭素関連資産と認識しております。炭素関連資産の認識方法については、各種ガイドライン等を参考に、随時見直しを行ってまいります。

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