有価証券報告書-第10期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

【提出】
2019/06/28 10:49
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151項目
当社グループの主たる事業である医薬品卸売業界におきましては、国の医療費抑制策により2018年4月の薬価改定で平均7.48%の薬価基準の引下げが行われました。今後も薬剤費の抑制政策は継続されることが予想されます。
このような中、当社グループは2017年3月期から2019年3月期までの3年間にわたる第3次中期経営計画の最終年度となりました。第3次中期経営計画では、10年後に目指す姿としての長期ビジョンに、「医療・介護を支える商品やサービスを戦略的に提供することにより、地域・コミュニティのヘルスケアになくてはならない存在となる」ことを掲げ、当該長期ビジョンの下、第3次中期経営計画の中期ビジョンとしては、「1.ジェネリック医薬品80%時代においても、利益を創出できる体制を構築する」「2.医介連携ビジネスの基盤を整備し、地域のヘルスケアに深耕する」の2つを定めました。さらに、当該中期ビジョンを実現するため、4つの基本方針「1.効果的・効率的グループ経営の実践によるグループ総合力の発揮」「2.常に生活者視点を重視したエリアマーケティングの推進と更なる深耕」「3.ヘルスケア・コーディネーターの育成・定着」「4.医療・介護分野でのソリューションカンパニーの実現」に取り組んでまいりました。
2018年5月に、㈱ケーエスケーにおいて兵庫物流センター(神戸市西区井吹台東町)が稼働いたしました。更なる物流の効率化やサービスの向上を目指してまいります。また、兵庫物流センターの稼働に伴い、支店の集約を行うなど更なる効率化を図っております。
2018年7月には、当社グループの薬局事業の再編を行い、薬局事業の事業価値増大に取り組んでおります。
また、2018年9月には、今後の再生細胞薬の普及にいち早く対応すべく、当社を含めた5社(株式会社サンバイオ(コード番号:4592 東証マザーズ、代表取締役社長:森敬太、本社:東京都中央区。以下、「サンバイオ」)、株式会社ケアネット(コード番号:2150 東証マザーズ、代表取締役社長:藤井勝博、本社:東京都千代田区)、株式会社メディカルインキュベータジャパン(代表取締役社長:桂淳、本社:東京都港区)、株式会社アステム(代表取締役社長:吉村次生、本社:大分県大分市))で、再生細胞薬の適正使用・普及、安定流通のあり方を共同研究することを決定しました。当社では、この共同研究の強固な協力体制を確保すべく、サンバイオとの間で資本業務提携を締結しました。当社グループ内におきましても、再生医療の専門性を高めるため、再生医療リエゾン(※1)の展開を進めてまいります。
当連結会計年度の業績につきましては、売上高559,712百万円(前年同期比99.0%)、営業利益2,821百万円(前年同期比118.3%)、経常利益6,909百万円(前年同期比110.1%)、親会社株主に帰属する当期純利益5,084百万円(前年同期比113.8%)となりました。
※1 リエゾン:特定の疾患や医療分野の専門的な知識を有し、顧客視点で情報等を提供できる卸のMS(マーケティング・スペシャリスト、医薬品卸の営業担当者)
セグメントの業績を示すと、次のとおりであります。
① 医薬品卸売事業
医薬品卸売事業におきましては、予てよりカテゴリーチェンジによる長期収載品の販売減少が続いておりましたが、2018年4月の診療報酬改定におきましても、更なるジェネリック医薬品使用促進策が打ち出され、当連結累計期間におきましても長期収載品の販売減少が続いております。そのような状況の中、当社は新薬創出・適応外薬解消等促進加算制度の対象品や新製品(特許品)に注力してまいりました。また、医薬品卸売業界全体で取り組んでいる流通改善の1つである単品単価交渉の推進にも注力してまいりました。さらに、在宅ケアやがん医療など領域別の専門性を強化した領域別リエゾンの設置、32名のMSが「福祉用具専門相談員」の資格を取得して福祉用具の販売・レンタル事業の強化、かかりつけ薬局・健康サポート薬局づくりの支援を行う「Meronサポート」(※2)の展開など、医療・介護分野での幅広い事業活動を行ってまいりました。結果、売上高は、531,400百万円(前年同期比99.0%)、セグメント利益(営業利益)は、2,639百万円(前年同期比127.3%)となりました。
※2 Meronサポート:「Meron」は、当社グループが提供する薬局ポータルサイトを中心としたカスタマーサポートで、地域の生活者をかかりつけ薬局にマッチングさせるプラットフォームのこと。「Meronサポート」は、各種簡易検査・測定機器等をレンタルし、薬局のイベント開催を支援する「Meron」のサービスの一つ。
MeronホームページURL:https://meron-net.shop/
② その他事業
その他事業におきましては、農薬事業や診療報酬改定の影響を受けた調剤薬局事業が不調だったため、売上高は、28,312百万円(前年同期比98.5%)、セグメント利益は、118百万円(前年同期比49.9%)となりました。
(2) 財政状態
当連結会計年度末の資産は、前連結会計年度末から8,851百万円増加し、329,747百万円となりました。内訳は、流動資産212,083百万円、固定資産117,663百万円であります。
流動資産の主な内訳は、現金及び預金43,248百万円、受取手形及び売掛金122,148百万円、たな卸資産30,746百万円、未収入金15,267百万円であります。なお前連結会計年度末に比べ、現金及び預金が14,960百万円、たな卸資産が1,208百万円増加したこと等により、流動資産が15,724百万円増加しております。
固定資産の内訳は、有形固定資産44,852百万円、無形固定資産5,791百万円、投資その他の資産67,019百万円であります。なお前連結会計年度末に比べ、投資有価証券が4,935百万円、器具備品が1,557百万円減少したこと等により、固定資産が6,873百万円減少しております。
負債は、前連結会計年度末から10,510百万円増加し、232,959百万円となりました。内訳は、流動負債198,893百万円、固定負債34,065百万円であります。
流動負債の主な内訳は、支払手形及び買掛金189,554百万円、賞与引当金1,582百万円であります。なお前連結会計年度末に比べ、支払手形及び買掛金が11,694百万円、未払法人税等が306百万円増加したこと等により、流動負債が12,609百万円増加しております。
固定負債の主な内訳は、転換社債型新株予約権付社債10,012百万円、長期借入金4,800百万円、繰延税金負債9,881百万円及び退職給付に係る負債6,800百万円であります。なお前連結会計年度末に比べ、繰延税金負債が2,085百万円、負ののれんが736百万円減少したこと等により、固定負債が2,099百万円減少しております。
純資産は、前連結会計年度末から1,658百万円減少し、96,788百万円となりました。主な要因は、その他有価証券評価差額金5,191百万円の減少、親会社株主に帰属する当期純利益5,084百万円の計上、配当金の支払1,129百万円等によるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、39,242百万円(前連結会計年度末は24,781百万円)となりました。
①営業活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において、営業活動による資金の増加は18,229百万円(前連結会計年度は16,783百万円の増加)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益7,688百万円(前連結会計年度は6,492百万円)の計上、仕入債務の増加額11,694百万円(前連結会計年度は7,163百万円の増加)等の増加要因によるものであります。
②投資活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において、投資活動による資金の減少は3,359百万円(前連結会計年度は8,201百万円の減少)となりました。これは主として、投資有価証券の取得による支出3,393百万円(前連結会計年度は708百万円)等の減少要因によるものであります。
③財務活動によるキャッシュ・フロー
当連結会計年度において、財務活動による資金の減少は408百万円(前連結会計年度は4,119百万円の減少)となりました。これは主として、セール・アンド・リースバックによる収入1,544百万円等の増加要因及び配当金の支払額1,127百万円(前連結会計年度は1,128百万円)等の減少要因によるものであります。
④資本の財源及び資金の流動性に係る情報
「第一部 企業情報 第3 設備の状況 3設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおり、㈱バイタルネットにおいて支店設備の老朽化及び狭隘化への対応のため、郡山支店の移転・新築に900百万円の投資を予定しております。投資資金は全て自己資金を充当する予定であります。
(4) 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況を表示しております。この連結財務諸表の作成に際し、連結会計年度末における財政状態、並びに連結会計年度における経営成績の金額に影響を与える事象については見積りを行う場合があります。見積りについては、過去の実績や状況及び様々な要因に基づき判断を行い、合理的と考えられる方法によって見積りを行っております。将来における実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、見積りと異なる場合があります。
主な事象は、貸倒懸念債権等特定の債権については個別に回収可能性を検討し、回収不能見込額を貸倒引当金に計上しております。投資有価証券については、回復可能性等を考慮して必要と認められた額について減損処理を行っております。固定資産については、回収可能価額まで減額し減損処理を行っております。貸借対照表に計上されている繰延税金資産については、将来の課税所得を見積もり、回収可能と判断しております。賞与引当金は、支給見込額に基づき計上しております。退職給付費用及び退職給付債務は、前提条件となる割引率及び期待運用収益率を国債の市場利回り等の経済状況を勘案して決定しております。
(5) 生産、受注及び販売の状況
① 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年度比(%)
医薬品卸売事業500,30798.97
その他事業21,77199.76
合計522,07999.00

(注) 1.金額は、仕入価格によっております。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
② 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称金額(百万円)前年度比(%)
医薬品卸売事業531,40098.99
その他事業28,31298.48
合計559,71298.96

(注) 1.金額は、販売価格によっております。
2.セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.主な相手先別の販売実績の総販売実績に対する割合が10%以上に該当するものはありません。
4.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。