訂正有価証券報告書-第11期(令和1年7月1日-令和2年6月30日)

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2021/08/18 15:30
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(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における日本国内の経済環境は、雇用・所得環境に引き続き改善が見られ、緩やかな回復基調で推移しましたが、米国をはじめとする政策の変更、貿易摩擦の拡大等の世界経済の減速懸念に加え、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大による経済への影響は大きく、先行き不透明な状況が継続しております。
医療業界におきましては、本年4月の診療報酬改定において医療従事者の働き方改革の推進として、地域における救急医療提供体制の充実、医師等の長時間労働の改善等が重点課題として盛り込まれており、中長期的には質の高い医療の実現と同時に効率的で持続可能な社会保障制度の運用を目指すこととされています。一方で、各医療機関においては新型コロナウイルスの治療対応のため、感染防止対策の整備・強化を迫られる中、患者の受診抑制、緊急性の低い手術の延期等により、医療経営に大きな影響を及ぼしております。
当社グループの属する医療機器販売業界におきましては、診療報酬改定による医療材料の販売価格下落の影響が強まる一方で、医療機関の経営改善や効率化に貢献しうる複合的なサービスの提供が求められる状況となっており、こうした背景からM&Aや業務提携等による事業の拡大や強化を目指す動きが活発化しております。
このような経営環境の下、当社グループは第3四半期より、新型コロナウイルス感染拡大に伴い、医療機関の医療体制維持のため不足する製品の調達と供給を優先し、全社員で感染拡大防止に努めていくことを方針として事業活動に取り組んでおります。新型コロナウイルス感染拡大による手術症例の減少の影響が出ているものの、全体としては症例数が増加したことで手術室関連の消耗品販売が増加しました。また、2019年10月の消費税増税に伴う駆け込み需要の影響があったことに加え、当第4四半期より㈱アクティブメディカルとの経営統合による業績への寄与もあり、売上高及び売上総利益は増加となりました。なお、㈱アクティブメディカルの株式取得にかかるのれんについて、取得時の前提条件に変化が生じたことから、のれんの再評価を行った結果、137百万円の減損損失を計上しております。
この結果、当連結会計年度における売上高は210,388百万円(前期比6.4%増)、営業利益は1,100百万円(同25.7%増)、経常利益は1,598百万円(同11.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は951百万円(前年同期は親会社株主に帰属する当期純損失70百万円)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(医療機器販売事業)
医療機器販売事業における消耗品につきましては、第3四半期において新型コロナウイルス感染拡大による手術症例の減少の影響があったものの、全体としては症例の増加及び新規獲得したSPD契約による販売増加及び㈱アクティブメディカルとの経営統合も寄与し、売上高及び売上総利益は前期と比較して増加しました。備品につきましては、消費増税前の医療機関における予算執行の前倒しにより、内視鏡システム、画像診断装置、超音波診断装置等の他、放射線機器等の高額備品の販売も増加しました。
この結果、売上高は205,389百万円(前期比6.5%増)、売上総利益は20,362百万円(同11.7%増)、セグメント利益(営業利益)は6,805百万円(同13.7%増)となりました。
(介護・福祉事業)
介護・福祉事業につきましては、介護機器のレンタル事業及び、備品販売が好調に推移し、前期と比較して売上高は増加したものの、㈱ケアフォースにおいて、販売可能性の低い商品の廃棄損を計上した影響により売上総利益率は低下しました。
この結果、売上高は4,998百万円(前期比4.3%増)、売上総利益は1,909百万円(同1.1%増)、セグメント利益(営業利益)は、543百万円(同0.2%減)となりました。
(注)当社グループのセグメントは、次のとおりであります。
医療機器販売事業……(医療機器販売事業)
国内の医療機器メーカー・代理店・商社等より仕入れた医療機器(備品・消耗品)を、国内の病院等医療施設に販売しており、当社グループの基幹となる事業であります。
(医療機器の修理及びメンテナンス事業)
当社グループが病院等医療施設に販売した医療機器の修理及びアフターサービス、病院等医療施設との保守契約に基づく医療機器全般のメンテナンスを行っております。
介護・福祉事業……… 国内外の介護福祉機器メーカー・代理店・商社等より仕入れた介護福祉機器(備品・消耗品)を、国内の病院等医療施設及び介護施設並びに医療機器販売業者、一般個人に販売しております。また、介護福祉機器の一般個人へのレンタルを行っております。
② 財政状態の状況
a 資産
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末から7,969百万円増加し69,970百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末から4,742百万円増加し57,041百万円となりました。これは主に現金及び預金が2,144百万円、受取手形及び売掛金が1,395百万円、商品及び製品が931百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末から3,226百万円増加し12,929百万円となりました。これは有形固定資産が312百万円、無形固定資産が1,488百万円、投資その他の資産が1,425百万円それぞれ増加したことによるものであります。
b 負債
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末から6,780百万円増加し56,097百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末から3,484百万円増加し49,799百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金が1,337百万円、短期借入金が1,157百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末から3,295百万円増加し6,298百万円となりました。これは主に長期借入金が2,797百万円、繰延税金負債が297百万円それぞれ増加したことによるものであります。
c 純資産
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末から1,188百万円増加し13,873百万円となりました。これは主に資本剰余金が695百万円減少した一方で、利益剰余金が1,342百万円、その他有価証券評価差額金が513百万円それぞれ増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ2,095百万円増加し、新規連結に伴う現金及び現金同等物の増加額95百万円と合わせて、8,450百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
a 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,169百万円の収入(前期は1,084百万円の支出)となりました。
これらの要因は主に、税金等調整前当期純利益1,334百万円、減価償却費674百万円、売上債権の減少額2,307百万円等の収入要因が、仕入債務の減少額2,321百万円、たな卸資産の増加額746百万円等の支出要因を上回ったことによるものであります。
b 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、138百万円の収入(前期は1,702百万円の収入)となりました。
これらの要因は主に、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による収入792百万円、貸付金の回収による収入351百万円等の収入要因が、有形固定資産の取得による支出472百万円、無形固定資産の取得による支出499百万円等の支出要因を上回ったことによるものであります。
c 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、787百万円の収入(前期は1,313百万円の支出)となりました。
これらの要因は主に、長期借入による収入1,900百万円等の収入要因が、長期借入金の返済による支出877百万円等の支出要因を上回ったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
該当事項はありません。
b 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(千円)前年同期比(%)
医療機器販売事業185,858,2445.7
介護・福祉事業3,030,8314.0
合計188,889,0755.7

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c 受注実績
該当事項はありません。
d 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
医療機器販売事業205,389,2786.5
介護・福祉事業4,998,8374.3
合計210,388,1166.4

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は210,388百万円(前期比6.4%増)となりました。これは主に、主要子会社における増収に加え、㈱アクティブメディカルの経営統合によるものであります。
新型コロナウイルス感染症の拡大による営業活動の自粛等の影響から、一部のコストは抑制に繋がったものの、事業規模拡大に伴い人件費やその他の販売費及び一般管理費は増加しております。売上高の増加に伴うメーカーからのリベートの増加も寄与し、売上総利益が増加となったことで、営業利益は1,100百万円(前期比25.7%増)、経常利益は1,598百万円(前期比11.3%増)となりました。
㈱アクティブメディカルの株式取得にかかるのれんの減損損失及び関係会社株式評価損等により、特別損失266百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は951百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失70百万円)となりました。
b 資本の財源及び資金の流動性についての分析
ⅰ キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローにつきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
ⅱ 資金の需要
当社グループの運転資金需要の主なものは、医療機器及び医療材料の仕入のほか、全社に係る販売費及び一般管理費によるものであります。投資を目的とした資金需要は、M&A等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金につきましては、内部資金又は金融機関からの短期借入を基本としており、M&A等による投資資金は金融機関からの長期借入を基本としております。
c 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは長期にわたる安定的な成長を目指しており、そのためには、収益性、効率性向上による利益拡大が重要であると考えております。このような認識のもと自己資本当期純利益率(ROE)を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標とし、指標の最大化に向けて邁進してまいります。当連結会計年度は7.2%となりましたが、中長期的には8.0%以上を目標としております。
d 今後の経営方針、経営戦略について
当社グループの属する医療機器販売業界は、政府の医療費抑制政策を受けて、地域における効率的な医療供給体制の構築に向けた病院の再編及び高額医療機器や材料価格の見直しが行われております。このような環境の下、既存エリアにおける業容拡大のみならず、M&Aによる事業基盤の拡大により更なるマーケットシェアの向上を図っております。また、販売単価が下落傾向にある中、利益を確保するために、販売価格と仕入価格の継続的な交渉、スケールメリットを活かした購買力の強化、物流体制の改善、適正な在庫管理体制、プライベートブランドの販売推進に取り組んでまいります。また「SURGELANE」や「MORISS」等の様々なソリューションビジネスの更なる推進により、医療機関の効率的な運営体制の支援を図っていくことで、地域医療の課題解決へ貢献し、当社グループの社会的価値の向上を図ってまいります。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループでは、新型コロナウイルス感染症の感染拡大による影響は、翌連結会計年度の第2四半期以降徐々に回復していくものの、翌連結会計年度中まで続くことを前提に、会計上の見積りをおこなっております。
なお、上記前提は不確実性が高く、当該感染症の影響が、想定以上に長期化あるいは深刻化した場合には、翌連結会計年度以降の当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に重要な影響を及ぼす可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますが、特に次の重要な会計方針が連結財務諸表作成における重要な見積りの判断に大きな影響を及ぼすと考えております。
a 繰延税金資産
当社グループは、繰延税金資産の回収可能性の評価に際し、将来の課税所得を合理的に見積っています。将来、実際の課税所得が減少した場合、あるいは将来の課税所得の見積り額が減少した場合には、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が発生する可能性があります。一方、実際の課税所得が増加した場合、あるいは将来の課税所得の見積り額が増加した場合には、繰延税金資産を計上することにより、税金費用が減少する可能性があります。
b 固定資産の減損(のれんを含む)
当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローを見積り、その総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、減損損失として計上しております。将来キャッシュ・フローの見積りにあたっては、事業計画をもとに最新の事業環境に関する情報等を反映しているほか、必要に応じて外部専門家による評価を活用しております。
減損損失の認識及び測定に当たっては、慎重に検討をおこなっておりますが、将来の予測不能な事業環境の著しい悪化等により見直しが必要となった場合、減損損失が発生する可能性があります。
c 関係会社株式
当社グループは、関係会社株式について、実質価額が取得原価に比べて50%程度以上低下した場合には、事業計画をもとに実質価額の回復可能性を検討しておりますが、将来の予測不能な事業環境の著しい悪化等により見直しが必要となった場合、回復可能性がないと判断され、関係会社株式評価損が発生する可能性があります。