有価証券報告書-第9期(平成29年7月1日-平成30年6月30日)

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2018/09/27 13:03
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109項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、堅調な企業業績や雇用・所得環境の改善が続く中、景気は緩やかな回復基調で推移しましたが、海外経済の不確実性や金融資本市場の変動の影響など、先行き不透明な状況が続いております。
医療業界におきましては、増加し続ける国民医療費を背景に、団塊世代が75歳以上となる2025年に向けた医療環境の変化に対応するため、効率的で質の高い医療提供体制(地域包括ケアシステム)の整備が進められております。国民皆保険の制度持続と効率化の一環として見直しが進められている診療報酬の2018年度改定におきましては、全体で1.19%の引き下げとなり、医療材料につきましても0.09%の引き下げとなりました。医療費の中でも高齢化の影響による増加が著しい薬価関連につきましては1.65%の引き下げとなっている一方、医療機関の収入減少に対する調整として人件費や設備投資に回る診療報酬本体部分は0.55%の引き上げとなっております。
当社グループの属する医療機器販売業界におきましては、M&Aや業務提携等による業界再編を始めとした企業間の競争が勢いを増している中、医療機関の経営改善や効率化に貢献しうる複合的なサービスの提供が求められる状況となっております。このような経営環境の下、当社グループは「地域医療への貢献」を経営理念に掲げ、医療機器の供給をはじめとして、ITによる管理システムや物流の効率化、高度・先進医療技術や医療現場に関する情報提供など医療経営のサポートを推進することで、多様化する医療機関からのニーズに応え、高度で信頼できる医療環境の創造へ貢献することを目標としております。なかでもSPD事業の拡大に注力しており、医療材料(消耗品)の販売を通じて手術室業務支援ソフトウェア「SURGLane®」や医療材料データベース・医療材料分析サービス「meccul®」、手術室の手術用品管理を目的とした手術室情報管理システム「MORISS」の提案等、医療機関の経営改善に繋がる複合的なサービスの推進に努めました。
その結果、売上高につきましては、設備投資に伴う大型案件の減少により備品販売は前年より低調に推移したものの、新規SPD契約の獲得により医療材料(消耗品)の販売が堅調に推移したため、全体としては前期を上回ることが出来ました。利益面につきましては、備品の売上総利益率が前期より向上し、消耗品販売の増収効果もあり前期と比較し売上総利益は増加しました。販売管理費につきましては、SPD案件に係る人件費や業務委託費が増加しました。
この結果、当連結会計年度における売上高は168,135百万円(前期比3.4%増)、営業利益は960百万円(同4.4%減)、経常利益は1,435百万円(同5.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は741百万円(同14.1%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(医療機器販売事業)
医療機器販売事業における消耗品につきましては、新規獲得したSPD契約による販売増加により売上高は堅調に推移し、利益面につきましてもSPD契約を足掛かりとした販売増加による利益の獲得、販売促進リベート獲得が影響し、前期と比較して増加しました。備品につきましては、診断検査機器や手術室用の備品について一定の需要があったものの、新築移転等の大型案件が低調に推移したため、前期と比較して売上高は減少しましたが、利益率改善の取り組みにより、売上総利益につきましては前期と比較して増加しました。
この結果、売上高は164,168百万円(前期比3.4%増)、売上総利益は15,461百万円(同3.5%増)、セグメント利益(営業利益)は、4,936百万円(同5.5%増)となりました。
(介護・福祉事業)
介護・福祉事業につきましては、介護機器のレンタル事業及び備品販売が順調に推移し、前期と比較して売上高及び売上総利益が増加しました。
この結果、売上高は3,967百万円(前期比1.4%増)、売上総利益は1,655百万円(同1.6%増)、セグメント利益(営業利益)は、436百万円(同3.0%減)となりました。
(注)当社グループのセグメントは、次のとおりであります。
医療機器販売事業……(医療機器販売事業)
国内の医療機器メーカー・代理店・商社等より仕入れた医療機器(備品・消耗品)を、国内の病院等医療施設に販売しており、当社グループの基幹となる事業であります。
(医療機器の修理及びメンテナンス事業)
当社グループが病院等医療施設に販売した医療機器の修理及びアフターサービス、病院等医療施設との保守契約に基づく医療機器全般のメンテナンスを行っております。
介護・福祉事業……… 国内外の介護福祉機器メーカー・代理店・商社等より仕入れた介護福祉機器(備品・消耗品)を、国内の病院等医療施設及び介護施設並びに医療機器販売業者、一般個人に販売しております。また、介護福祉機器の一般個人へのレンタルを行っております。
② 財政状態の状況
a 資産
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末から6,297百万円増加し53,749百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末から6,042百万円増加し46,330百万円となりました。これは主に現金及び預金が1,794百万円、受取手形及び売掛金が2,490百万円、商品及び製品が606百万円、その他流動資産が1,060百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末から254百万円増加し7,419百万円となりました。これは主に有形固定資産が125百万円、無形固定資産が152百万円それぞれ減少した一方で、投資その他の資産が533百万円増加したことによるものであります。
b 負債
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末から5,462百万円増加し43,116百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末から4,629百万円増加し40,179百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金が2,338百万円、短期借入金が1,978百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末から833百万円増加し2,936百万円となりました。これは主に長期借入金が537百万円、繰延税金負債が135百万円それぞれ増加したことによるものであります。
c 純資産
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末から834百万円増加し10,633百万円となりました。これは主に利益剰余金が482百万円、その他有価証券評価差額金が350百万円それぞれ増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ1,795百万円増加し、6,837百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
a 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、722百万円の収入(前期は2,447百万円の収入)となりました。
これらの要因は主に、税金等調整前当期純利益1,344百万円、減価償却費621百万円、仕入債務の増加額2,338百万円、その他の流動負債の増加額194百万円の収入要因が、売上債権の増加額2,487百万円、たな卸資産の増加額620百万円、法人税等の支払額679百万円の支出要因を上回ったことによるものであります。
b 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,126百万円の支出(前期は307百万円の支出)となりました。
これらの要因は主に、敷金及び保証金の回収による収入48百万円の収入要因が、前払金の支出833百万円、長期前払費用の取得による支出170百万円の支出要因を下回ったことによるものであります。
c 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、2,199百万円の収入(前期は2,599百万円の支出)となりました。
これらの要因は主に、短期借入金の純増加額2,239百万円の収入要因によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
該当事項はありません。
b 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(千円)前年同期比(%)
医療機器販売事業149,404,0764.0
介護・福祉事業2,288,940△3.9
合計151,693,0173.9

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c 受注実績
該当事項はありません。
d 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
医療機器販売事業164,168,2793.4
介護・福祉事業3,967,5951.4
合計168,135,8753.4

(注) 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たり、見積りが必要な事項は、合理的な基準に基づき、会計上の見積りを行っております。
詳細につきましては、「第5[経理の状況] 1[連結財務諸表等] (1)[連結財務諸表] [注記事項](連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」をご参照ください。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績の分析
当連結会計年度の経営成績は、売上高は168,135百万円(前期比3.4%増)、営業利益は960百万円(同4.4%減)、経常利益は1,435百万円(同5.6%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は741百万円(同14.1%減)となりました。
ⅰ 売上高
医療機関の設備投資に伴う大型案件が一部の地域を除き前期より低調に推移したものの、新規SPD契約の獲得により医療材料(消耗品)の販売が堅調に推移したため、売上高は168,135百万円(前期比3.4%増)となりました。
ⅱ 営業利益
備品の売上総利益率が前年より向上したことに加え、消耗品販売の増収効果もあり前年と比較し売上総利益は増加しましたが、SPD契約に係る人件費や業務委託費の増加等により、営業利益は960百万円(前期比4.4%減)となりました。
ⅲ 経常利益
営業外収益は、仕入先からのリベートの減少等により、544百万円(前期比9.2%減)となりました。営業外費用は、持分法を適用した非連結子会社への投資損失の減少及び支払利息の減少等により、69百万円(同16.8%減)となりました。この結果、経常利益は1,435百万円(同5.6%減)となりました。
ⅳ 親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は固定資産売却益により5百万円(前期比1,492.4%増)となりました。特別損失は、減損損失が前期より8百万円減少し、61百万円となりましたが、賃貸借契約解約損31百万円の計上により、96百万円(同33.1%増)となりました。この結果、税金等調整前当期純利益は1,344百万円(同7.2%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は741百万円(同14.1%減)となりました。
b 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
c 経営戦略の現状と見通し
当社グループの属する医療機器販売業界は、政府の医療費抑制政策を受けて、地域における効率的な医療供給体制の構築に向けた病院の再編及び高額医療機器や材料価格の大幅な見直しが行われております。このような環境の下、既存エリアにおける業容拡大のみならず、M&Aによる事業基盤の拡大により更なるマーケットシェアの向上を図っております。
平成31年6月期には、㈱ミタス及びディーセンス㈱とのM&Aによる連結業績への寄与が期待されます。また、多様化する医療現場のニーズに対応するため、当社グループは、ソリューションビジネスの推進による提案力の強化やスケールメリットを活かした物流効率化等、より一層、地域医療への貢献を果たす施策に取組み、企業価値の更なる向上に努めてまいります。
d 資本の財源及び資金の流動性についての分析
ⅰ キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローにつきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
ⅱ 資金の需要
当社グループの運転資金需要の主なものは、医療機器及び医療材料の仕入のほか、全社に係る販売費及び一般管理費によるものであります。投資を目的とした資金需要は、M&A等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金につきましては、内部資金又は金融機関からの短期借入を基本としており、Ⅿ&A等による投資資金は金融機関からの長期借入を基本としております。
当連結会計年度においては、㈱ミタスの株式取得資金として、平成30年6月に金融機関からの借入により900百万円の資金調達をいたしました。
e 経営者の問題認識と今後の方針について
当社グループの属する医療機器販売業界は、政府の医療費抑制政策を受けて、地域における効率的な医療供給体制の構築に向けた病院の再編及び高額医療機器や材料価格の大幅な見直しが行われております。このような環境の下、自社拠点拡充による業容拡大のみならず、M&Aによる収益拡大を図る動きが医療機器ディーラー間で活発化し、シェア競争が激化することが予想され、更に今後はメーカーによる直販などの動向についても注視していく必要があると認識しております。これらの問題認識への対応として、当社としては医療業界の変化をチャンスと捉え、常に営業効率を意識した活動と労働環境の一層の改善により利益率の改善を図る一方で、引き続き規模の拡大を推進し、最新の医療情報の提供を通じた高付加価値商品の提案営業の強化や、プライベートブランドの展開により、業界におけるリーディングカンパニーを目指してまいります。