有価証券報告書-第15期(2023/07/01-2024/06/30)

【提出】
2024/09/27 14:49
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161項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における当社グループを取り巻く環境は、医療機関に大きな影響を与えてきた新型コロナウイルス感染症の位置付けが感染症法上の5類感染症に移行したこともあり、医療需要の回復が見られた一方、エネルギー価格の高止まりや為替変動の影響に起因するコスト増加が続くことも懸念され、依然として先行きが不透明な状況が続いております。また、医療機関においては、本感染症の感染拡大に端を発し増加している感染対策に係るコストや物価上昇等の社会情勢により経営環境は厳しさを増しており、効果的・効率的な医療提供体制の構築が重点課題となっております。
このような経営環境のもと、当社グループは、持続可能な医療体制構築に向けて、製品の安定供給並びに顧客の課題解決に取り組むことを方針として事業活動を行っております。
当連結会計年度においては、医療需要の回復及び新規顧客獲得等の販売拡大により手術室関連製品等の販売が好調に推移いたしました。一方、新型コロナウイルスの検査に係る試薬及びPPE(個人用防護具)等の感染対策に関わる製品については需要の落ち着きに伴い販売が減少いたしました。売上総利益においては、物価上昇や円安の影響を受け、売上原価が増加したものの、増収に伴い増加しております。
販売費及び一般管理費については、主要子会社における事業規模拡大に伴う人員採用及びベースアップの実施により人件費が増加いたしました。加えて、販売拡大に伴う物流コストの増加、セキュリティ強化及び法令対応に伴うシステム関連費用の発生並びに事業譲受に伴うのれん償却費の増加により増加しております。なお、特別利益において279百万円を計上しておりますが、主たる要因は投資有価証券の売却益であります。
この結果、当連結会計年度における売上高は259,789百万円(前期比8.7%増)、営業利益は1,327百万円(同29.4%減)、経常利益は1,750百万円(同27.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,124百万円(同24.9%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
(医療機器販売事業)
医療機器販売事業につきましては、検査試薬、PPE(個人用防護具)等の新型コロナウイルス感染症に係る製品の販売は減少したものの、整形外科領域を中心に手術室関連製品の販売が拡大いたしました。また、循環器領域においても新規顧客の獲得及び症例回復により販売が拡大し、売上高及び売上総利益は前期と比較して増加いたしました。
しかし、事業規模拡大に伴う人員増加、営業拠点の移転及び開設に関する費用の発生並びに物流関連コストの増加等により販売費及び一般管理費が増加したことでセグメント利益については減少いたしました。
この結果、売上高は253,996百万円(前期比8.7%増)、売上総利益は28,853百万円(同6.2%増)、セグメント利益(営業利益)は9,186百万円(同0.7%減)となりました。
(介護・福祉事業)
介護・福祉事業につきましては、介護機器のレンタル事業及びストーマ製品の販売が好調に推移したことで、前期と比較して売上高、売上総利益及びセグメント利益は増加いたしました。
この結果、売上高は5,792百万円(前期比5.6%増)、売上総利益は2,250百万円(同4.7%増)、セグメント利益(営業利益)は436百万円(同7.8%増)となりました。
(注)当社グループのセグメントは、次のとおりであります。
医療機器販売事業……(医療機器販売事業)
国内の医療機器メーカー・代理店・商社等より仕入れた医療機器(備品・消耗品)を、国内の病院等医療施設に販売しており、当社グループの基幹となる事業であります。
(医療機器の修理及びメンテナンス事業)
当社グループが病院等医療施設に販売した医療機器の修理及びアフターサービス、病院等医療施設との保守契約に基づく医療機器全般のメンテナンスを行っております。
介護・福祉事業……… 国内外の介護福祉機器メーカー・代理店・商社等より仕入れた介護福祉機器(備品・消耗品)を、国内の病院等医療施設及び介護施設並びに医療機器販売業者、一般個人に販売しております。また、介護福祉機器の一般個人へのレンタルを行っております。
② 財政状態の状況
a 資産
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末から17,371百万円増加し114,826百万円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末から15,024百万円増加し91,252百万円となりました。これは主に現金及び預金が3,311百万円、受取手形及び売掛金が7,777百万円、未収入金が3,012百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末から2,346百万円増加し23,574百万円となりました。これは主に有形固定資産が1,058百万円、無形固定資産が782百万円それぞれ増加したことによるものであります。
b 負債
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末から16,205百万円増加し95,089百万円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末から12,783百万円増加し84,326百万円となりました。これは主に支払手形及び買掛金が7,665百万円、短期借入金が4,997百万円それぞれ増加したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末から3,421百万円増加し10,762百万円となりました。これは主に長期借入金が384百万円減少した一方で、長期前受収益が3,292百万円、役員退職慰労引当金が159百万円それぞれ増加したことによるものであります。
c 純資産
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末から1,165百万円増加し19,737百万円となりました。これは主に利益剰余金が642百万円、その他有価証券評価差額金が261百万円それぞれ増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比べ3,253百万円増加し、13,544百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
a 営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローは、1,921百万円の収入(前期は1,224百万円の収入)となりました。
これらの要因は主に、税金等調整前当期純利益1,946百万円、減価償却費1,532百万円、仕入債務の増加額6,175百万円等の収入要因が、売上債権の増加額6,711百万円、棚卸資産の増加額781百万円等の支出要因を上回ったことによるものであります。
b 投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローは、2,674百万円の支出(前期は862百万円の支出)となりました。
これらの要因は主に、投資有価証券の売却による収入358百万円等の収入要因が、有形固定資産の取得による支出1,218百万円、無形固定資産の取得による支出442百万円、長期前払費用の取得による支出551百万円、事業譲受による支出800百万円等の支出要因を下回ったことによるものであります。
c 財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローは、4,006百万円の収入(前期は862百万円の収入)となりました。
これらの要因は主に、短期借入金の純増額5,150百万円、長期借入れによる収入660百万円等の収入要因が、長期借入金の返済による支出1,251百万円、配当金の支払額482百万円等の支出要因を上回ったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
該当事項はありません。
b 仕入実績
当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称仕入高(千円)前年同期比(%)
医療機器販売事業225,944,6939.3
介護・福祉事業3,555,9936.3
合計229,500,6879.3

c 受注実績
該当事項はありません。
d 販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(千円)前年同期比(%)
医療機器販売事業253,996,8948.7
介護・福祉事業5,792,1065.6
合計259,789,0008.7

(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a 経営成績の分析
当連結会計年度の売上高は259,789百万円(前期比8.7%増)となりました。これは主に、医療機関における手術・検査症例数の増加及び整形外科を中心とした新規症例獲得に伴う手術関連製品の販売増加によるものです。また循環器領域においても新規顧客の獲得及び症例回復による販売増加も増収に寄与しております。
販売費及び一般管理費については、事業規模拡大に伴う人員採用、物流関連コストの増加及び事業譲受に伴うのれん償却費の増加により増加しております。増収に伴う売上総利益の増加に加え、メーカーからのリベートの増加も収益に寄与しているものの、販売費及び一般管理費の増加を吸収するには至らず、営業利益は1,327百万円(前期比29.4%減)、経常利益は1,750百万円(前期比27.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,124百万円(前期比24.9%減)となりました。
b 資本の財源及び資金の流動性についての分析
ⅰ キャッシュ・フロー
キャッシュ・フローにつきましては、「(1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
ⅱ 資金の需要
当社グループの運転資金需要の主なものは、医療機器及び医療材料の仕入の他、全社に係る販売費及び一般管理費によるものであります。投資を目的とした資金需要は、M&A等によるものであります。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金につきましては、内部資金又は金融機関からの短期借入れを基本としており、設備投資やM&A等による投資資金は金融機関からの長期借入れを基本としております。
c 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは長期にわたる安定的な成長を目指しており、そのためには、収益性、効率性向上による利益拡大が重要であると考えております。このような認識のもと自己資本当期純利益率(ROE)を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標とし、指標の最大化に向けて邁進してまいります。前期と比較して手術症例数が増加したこと及び新規施設における販売により手術室関連製品等の販売が好調に推移した一方、事業規模拡大に伴うコスト増加により当連結会計年度においては5.9%となりました。収益性及び資本効率を高めることで中長期的には8.0%以上を維持していくことを目標としております。
d 今後の経営方針、経営戦略について
当社グループの属する医療機器販売業界は、政府の医療費抑制政策を受けて、地域における効率的な医療供給体制の構築に向けた病院の再編及び高額医療機器や材料価格の見直しが行われております。このような環境のもと、既存エリアにおける業容拡大のみならず、M&Aによる事業基盤の拡大により更なるマーケットシェアの向上を図っております。また、販売単価が下落傾向にある中、利益を確保するために、販売価格と仕入価格の継続的な交渉、スケールメリットを活かした購買力の強化、物流体制の改善、適正な在庫管理体制、プライベートブランドの販売推進等による収益性改善に取り組んでまいります。また、SPD、「SURGELANE®」、「meccul®」等の様々なソリューションビジネスの更なる推進により、医療機関の経営改善の支援をしていくことで、地域医療の課題解決へ貢献し、当社グループの社会的価値の向上を図ってまいります。
② 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。