有価証券報告書-第20期(平成31年4月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/06/23 15:00
【資料】
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【項目】
120項目
(1) 経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当事業年度における我が国の経済は、政府による各種経済政策を背景に緩やかな回復基調が続いたものの、米中貿易摩擦の長期化、消費税増税により先行き不透明な状況で推移しました。さらに第4四半期には、新型コロナウイルスの感染拡大が世界経済に及ぼす影響が日に日に高まり、予断を許さない状況となっております。
出版業界においては、2019年(1月~12月期)の紙の出版市場が前年比4.3%減の1兆2,360億円となった一方で、電子出版市場が同23.9%増の3,072億円となり、紙と電子を合算した出版市場が2014年の電子出版統計開始以来、同0.2%増の1兆5,432億円と初めて前年比プラスに転じました。当社が主力と位置付ける電子コミックの推定販売額は同29.5%増の2,593億円となり、大きく伸長しております(出所:公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所「出版月報」2020年1月号)。
当社は、このような事業環境のもと、2016年6月に資本業務提携したヤフーとの事業連携を積極的に推進しております。電子書籍事業においては、2019年6月には旧サービス「eBookJapan」における電子書籍販売を終了し、当社とヤフーが協力して運営する電子書籍販売サービス「ebookjapan」への統合を完了しました。また、グループシナジーの強化に注力し、Yahoo! JAPANサービス及びグループ各サービスとの連携施策を強化促進、PayPayと連携した大型キャンペーンを実施したほか、新規ユーザー獲得のための広告宣伝、既存ユーザー向けの販促活動等を積極的に推進してまいりました。また、クロスメディア事業でも、「PayPayモール」にて紙書籍のオンライン販売を本格始動するなど、Yahoo! JAPANサービス及びグループ各サービスとの連携を積極的に推進しました。
以上の取り組みを行った結果、当事業年度における当社業績は、売上高21,281,385千円(前期比43.9%増)、営業利益793,282千円(前期比36.1%増)、経常利益795,257千円(前期比34.1%増)、当期純利益544,811千円(前期比228.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。
電子書籍事業
当事業年度における電子書籍事業は、当社とヤフーが協力して運営する電子書籍販売サービス「ebookjapan」への統合を完了させ、Yahoo! JAPANトップページと連携したユーザー獲得施策、Yahoo!プレミアム会員向けのポイントキャンペーンを拡充したほか、ソフトバンクグループ株式会社、ソフトバンク株式会社及びヤフーの3社が共同出資するPayPay株式会社のスマートフォン決済サービス「PayPay」と連携した大型キャンペーンを展開するなど、グループシナジーの強化によるユーザー獲得に努めました。また出版社と連携し、著名作品を期間限定で読み放題とする企画や、ポイントキャンペーン等を行い、販促企画による新規ユーザー獲得及び既存ユーザー満足度を高める施策を行いました。さらにサービス品質向上を図るためのプロダクト改善など、成長市場におけるシェアの拡大を目指して、積極的な投資を推進してまいりました。
以上の結果から、当事業年度の電子書籍事業の売上高は、16,236,126千円(前期比55.7%増)となりました。
クロスメディア事業
当事業年度におけるクロスメディア事業は、2019年10月にヤフーが新たに開始した「PayPayモール」にオンライン書店を出店し、新規ユーザーの獲得に努めたほか、引き続き自社およびヤフーグループの諸サービスとの連携を積極的に推進し、既存ユーザーのシェアを拡大し、2019年においても、「Yahoo! ショッピング(本、雑誌、コミック部門)」の年間ベストストアを受賞しております。
以上の結果、当事業年度のクロスメディア事業の売上高は、5,045,258千円(前期比15.7%増)となりました。
当事業年度末における総資産は、8,971,857千円(前事業年度末比1,768,859千円増)となりました。
総資産の内訳は、流動資産が7,550,991千円(同1,846,173千円増)、固定資産が1,420,865千円(同77,314千円減)であります。流動資産増加の主たる要因は、現金及び預金が826,773千円、売掛金が703,795千円増加したことによるものです。固定資産減少の主たる要因は、ソフトウエアが26,360千円減少したことによるものです。
当事業年度末における負債合計は、5,171,348千円(同1,368,392千円増)となりました。主たる要因は、買掛金が982,046千円、未払金が192,610千円増加したことによるものです。
当事業年度末における純資産合計は、3,800,508千円(同400,467千円増)となりました。主たる要因は、利益剰余金が544,811千円増加したことによるものです。
② キャッシュ・フローの状況の概要
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、4,406,876千円となりました。
営業活動の結果得た資金は1,252,083千円(前事業年度は1,814,068千円の獲得)となりました。この主な資金増加要因としては仕入債務の増加額982,046千円、税引前当期純利益の計上795,577千円、減価償却費183,847千円によるものであります。これに対して主な資金減少要因としては売上債権の増加額703,795千円によるものであります。
投資活動の結果使用した資金は220,192千円(前事業年度は929,061千円の使用)となりました。これは主に無形固定資産の取得による支出が224,288千円によるものであります。
財務活動の結果使用した資金は205,033千円(前事業年度は22,350千円の使用)となりました。これは主に自己株式の取得による支出200,233千円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.受注実績
当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称当事業年度
(自 2019年4月1日
至 2020年3月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)
電子書籍事業16,236,126155.7
クロスメディア事業5,045,258115.7
合計21,281,385143.9

(注)1 セグメント間取引につきましては、相殺消去しております。
2 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先前事業年度当事業年度
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
ヤフー株式会社1,976,71113.4

3 上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当事業年度の売上高は21,281,385千円、経常利益は795,257千円、当期純利益は544,811千円となりました。
当社は、2016年6月に資本業務提携したヤフーとの事業連携を積極的に推進し、サービスを飛躍的に発展させることで、「電子コミック国内取扱高No.1」を達成することを中期ビジョンに掲げております。当事業年度は、上記中期方針に基づき、2019年6月には旧サービス「eBookJapan」における電子書籍販売を終了し、当社とヤフーが協力して運営する電子書籍販売サービス「ebookjapan」への統合を完了、新サービス「ebookjapan」の利用拡大に努めました。スマートフォン決済サービス「PayPay」と連携した大型キャンペーンを実施するなど、Yahoo! JAPANサービス及びグループ各サービスとの連携施策を強化したほか、新規ユーザー獲得のための広告宣伝、既存ユーザー向けの販促活動等を積極的に推進してまいりました。また、クロスメディア事業でも、「PayPayモール」にて紙書籍のオンライン販売を本格始動するなど、Yahoo! JAPANサービス及びグループ各サービスとの連携を積極的に推進しました。
電子書籍市場は、今後も大きな市場成長が期待されている一方で競合各社による激しい競争が続いておりますが、当事業年度においては、そうした事業環境変化に機敏に対応し、将来の優位性確保に向けて一定の取り組みを実施することができました。今後もヤフーとの連携を強め、迅速な意思決定と強い執行体制により、「電子コミック国内取扱高No.1」に向けて継続的な事業成長を実現してまいります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容及び資本の財源及び資金の流動性について
当事業年度における営業活動によるキャッシュ・フローは、主に税引前当期純利益の計上により1,252,083千円の獲得(前事業年度は1,814,068千円の獲得)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、主に無形固定資産の取得により220,192千円の使用(前事業年度は929,061千円の使用)となりました。また財務活動によるキャッシュ・フローは、主に自己株式の取得により205,033千円の使用(前事業年度は22,350千円の使用)となりました。
以上の結果、現金及び現金同等物の期末残高は、4,406,876千円となりました。
当社の事業活動における運転資金需要な主なものは、商品仕入等の原価、人件費、広告宣伝費等の販売費及び一般管理費であります。また、設備投資資金需要の主なものは、当社サービスにかかるソフトウエア開発費用やサーバー構築費用であります。なお、当事業年度における主な資金需要は、事業の通常運営のために使用する資金、当社サービスにかかるソフトウエアであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達については、金融機関からの長期借入金を基本としております。
なお、当事業年度末現在における有利子負債残高は60,000千円となっております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。なお、現時点では新型コロナウイルス感染症の拡大に伴う、当社の業績に大きな影響はございませんが、今後の事業に対する影響につきましては、注視してまいります。財務諸表作成にあたり用いた会計上の見積り及び過程のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a.固定資産の減損
当社は、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損損失の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。
b.繰延税金資産
当社は、繰延税金資産について、将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。