四半期報告書-第29期第1四半期(令和2年3月1日-令和2年5月31日)

【提出】
2020/07/15 15:34
【資料】
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【項目】
45項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1)財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績
当第1四半期連結累計期間(2020年3月1日~2020年5月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染拡大防止に伴う緊急事態宣言発令を機に、外出自粛や各自治体からの営業自粛要請等により個人消費が急速に減少する等、経済活動が大幅に落ち込み、非常に厳しい状況が続きました。また、当該宣言解除後も、回復に向けた動きは鈍く、将来の見通しについては極めて不透明な状況が続いております。
このような市場環境のもと、当社グループは、顧客の「いいモノを世の中に広める」ためのマーケティング戦略をワンストップで総合的にサポートする「FAST COMPANY」として、デジタルサービスを中心に実効性の高いサービスの強化を進め、当社グループが有する既存顧客を中心に積極的に展開しました。
さらに、顧客の「いいモノを世の中に広める」ためのマーケティング戦略をサポートする新しいサービス分野にも積極的に取り組み、時代の先を見据えたサービスを提供すべく、2020年3月には株式会社インティメート・マージャーとプライバシーテック領域における事業を展開するPriv Tech(プライブテック)株式会社を設立し、個人データ等の利用同意管理プラットフォーム(Consent Management Platform:CMP)「Trust360」を企業向けに提供しております。2020年4月にはこれまで提供してきたデジタルサイネージサービスの知識やノウハウを活かし、東京を中心とした高級ヘアサロン専門のサイネージ・メディア「THE TOKYO SALON VISION COVER」を提供しております。2020年5月にはPR事業で展開しているリスクマネジメント領域の幅を広げるべく、サイバーセキュリティ事業に参入し、B to Bソリューションの第一弾として、従業員のセキュリティ意識を見える化する診断サービス「Risk Find」を提供しております。
また、近年成長著しいダイレクトマーケティング事業において、緊急事態宣言発令に伴う外出自粛による巣ごもり需要の高まりと新規顧客の獲得効率を踏まえ、当第1四半期連結会計期間にて戦略的に多額の広告予算を投下したことで計画以上の新規顧客を獲得することができました。一方、当社グループが近年M&A等により取得した事業分野のうちHR(Human Resource:人事)事業においては、事業体制の整備と最適化に取り組んだ結果、前第3四半期および第4四半期連結会計期間にて黒字化を達成するなど一定の成果が見えておりましたが、緊急事態宣言発令に伴う経済活動の自粛により、決裁者等との商談件数が減少し、当第1四半期連結会計期間では受注数が大きく減少しました。
以上の結果、当第1四半期連結累計期間の売上高は8,862百万円(前年同期比2.7%増)、営業損失は137百万円(前年同四半期は397百万円の営業利益)、経常損失は118百万円(前年同四半期は266百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失は284百万円(前年同四半期は301百万円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。
なお、当社グループがインベストメントベンチャー事業として行うベンチャー企業等への出資活動において、出資先に対してPRおよびIRもあわせたサポートを提供し、その結果として、株式会社サイバーセキュリティクラウドが2020年3月26日に、株式会社Branding Engineerが2020年7月7日に、いずれも東京証券取引所マザーズ市場への上場を果たしました。
セグメント業績は、次のとおりであります。
なお、当第1四半期連結会計期間より、報告セグメントの構成の見直しを行っており、以下の前年同期比較に関わる数値は、前年同期の数値について今回の見直しを反映させたうえで比較しております。また、当第1四半期連結会計期間より、セグメントの名称を「PR事業」より「PR・広告事業」に変更しております。
・PR・広告事業
PR・広告事業においては、主にコンサルティングを基本とする戦略PRサービスの提供およびタクシーの車内に設置するタブレットを活用したIoTサイネージサービスによる広告販売を提供しております。緊急事態宣言の発令を機に、企業のマーケティング活動が自粛になる上、外出が制限されたことによりタクシーサイネージへの広告出稿が減少するなど、PR・広告事業は新型コロナウイルスの影響を大きく受けましたが、コロナ禍でも、企業ニーズを踏まえコンサルティング等を通じてPRサービスやオンラインを活用したPRイベント、さらにはSNSを活用したライブコマースを支援するなどデジタル領域等の新しいサービスを積極的に展開し、グループ全体としての成長を図りました。
以上の結果、PR・広告事業セグメントとしては営業黒字を確保したものの減収減益となり、売上高は3,994百万円(前年同期比12.9%減)、営業利益は215百万円(同60.1%減)となりました。
・プレスリリース配信事業
株式会社PR TIMESが手掛けるプレスリリース配信事業においては、プレスリリース配信サイト「PR TIMES」をはじめとした多数のWebサイトにプレスリリースを配信・掲載しており、このコロナ禍でも社会インフラとして多くの企業に活用され、過去最高の売上高および営業利益を更新した上、2020年6月には利用企業社数が40,000社を突破しました。
以上の結果、プレスリリース配信事業における売上高は819百万円(前年同期比21.4%増)、営業利益は277百万円(同38.3%増)となりました。
・ビデオリリース配信事業
株式会社NewsTVが手掛けるビデオリリース配信事業は、「広告・マーケティング業界にビデオリリースという商習慣を創る」というビジョンを掲げ、このコロナ禍でも、顧客ニーズに応えるべく素早くオンライン対応を図るなどして積極的な営業活動を展開しましたが、緊急事態宣言の発令を機に、企業のマーケティング活動が自粛し、企業の広告出稿意欲が減少したことにより、前年同期比で減収減益となりました。
以上の結果、ビデオリリース配信事業における売上高は351百万円(前年同期比18.6%減)、営業損失は30百万円(前年同四半期は70百万円の営業利益)となりました。
・ダイレクトマーケティング事業
株式会社ビタブリッドジャパン等が手掛けるダイレクトマーケティング事業においては、コロナ禍による巣ごもり需要の高まりと新規顧客の獲得効率を踏まえ、年度を通して収益および利益の最大化を図るため、期初から戦略的に前倒しで多額の広告予算を投下したことにより、計画以上の新規顧客を獲得することができた結果、過去最高の売上高を記録しましたが、多額の広告予算を投下したことで一時的に減益となりました。なお、当連結会計年度の業績においては、期待される広告投下による効果と効果的なマーケティングによる販売施策により順調に推移してくものと考えております。
以上の結果、ダイレクトマーケティング事業における売上高は2,771百万円(前年同期比30.6%増)、営業損失は509百万円(前年同四半期は175百万円の営業利益)となりました。
・メディア事業
株式会社スマートメディアが手掛けるメディア事業は、検索エンジンの表示順位変更等による外部要因に影響されない事業構造に転換するため、オウンドメディア構築サービス等の強みを有する分野に注力したこと、前連結会計年度に生じたのれんの減損損失により、当連結会計年度からのれんの償却費負担がなくなったことから、前第4四半期連結会計期間に続き、当第1四半期連結会計期間においても黒字化を達成しました。
以上の結果、メディア事業における売上高は211百万円(前年同期比17.0%減)、営業利益は24百万円(前年同四半期は39百万円の営業損失)となりました。
・HR事業
株式会社あしたのチームが手掛けるHR事業は、企業の人事評価制度の導入や運用を支援する人事関連クラウドサービスを提供しており、政府が推進する働き方改革による後押しもあって将来的な成長が期待される分野である上、事業体制の整備と最適化に取り組んだ結果、前第3四半期および第4四半期連結会計期間にて黒字化を達成するなど一定の成果が見えておりましたが、緊急事態宣言発令に伴う経済活動の自粛により、決裁者等との商談件数が減少したため、当第1四半期連結会計期間においては、受注数が大きく減少しました。
以上の結果、HR事業における売上高は630百万円(前年同期比18.1%減)、営業損失は346百万円(前年同四半期は545百万円の営業損失)となりました。
・ファンド事業
株式会社100キャピタルが手掛けるファンド事業は、100キャピタル第1号投資事業有限責任組合で保有している株式の一部売却により、売却益が売上高および営業利益の増加に大きく寄与しました。
以上の結果、ファンド事業における売上高は291百万円(前年同期比858.8%増)、営業利益は237百万円(前年同四半期は7百万円の営業損失)となりました。
②財政状態の分析
(資産の部)
当第1四半期連結会計期間末における総資産は前連結会計年度末に比べ9,829百万円増加し35,131百万円となりました。
流動資産におきまして当第1四半期連結会計期間末残高は、18,691百万円と前連結会計年度末に比べ2,034百万円の増加となりました。これは、受取手形及び売掛金が1,734百万円減少した一方で、現金及び預金が3,399百万円増加したことが主な要因となります。
固定資産におきまして当第1四半期連結会計期間末残高は、16,439百万円と前連結会計年度末に比べ7,794百万円の増加となりました。これは、のれんが111百万円減少した一方で、投資有価証券が7,705百万円、繰延税金資産が184百万円増加したことが主な要因となります。
(負債の部)
当第1四半期連結会計期間末における負債は前連結会計年度末に比べ4,899百万円増加し17,701百万円となりました。
流動負債におきまして当第1四半期連結会計期間末残高は、11,697百万円と前連結会計年度末に比べ2,620百万円の増加となりました。これは、未払法人税等が1,035百万円、買掛金が319百万円、賞与引当金が264百万円減少した一方で、短期借入金が4,349百万円増加したことが主な要因となります。
固定負債におきまして当第1四半期連結会計期間末残高は、6,003百万円と前連結会計年度末に比べ2,279百万円の増加となりました。これは、繰延税金負債が2,348百万円増加したことが主な要因となります。
(純資産の部)
純資産におきまして当第1四半期連結会計期間末残高は、17,430百万円と前連結会計年度末に比べ4,929百万円の増加となりました。これは、利益剰余金が284百万円減少した一方で、その他有価証券評価差額金が5,335百万円増加したことが主な要因となります。
(2)経営方針・経営戦略等
当第1四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(3)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
該当事項はありません。
(5)資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループにおける主な資金需要は、運転資金及びベンチャー投資事業における投資資金となります。運転資金としては、主に人件費及び広告宣伝費等の販売費及び一般管理費の支払となります。これらの資金につきましては、内部資金、金融機関から借入及び社債により調達しております。当期末における現金及び預金は11,289百万円、短期借入金は5,849百万円、長期借入金(1年内返済予定を含む)は3,592百万円、社債(1年内償還予定を含む)は743百万円となっております。