有価証券報告書-第33期(2024/03/01-2025/02/28)

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2025/05/30 15:30
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(1)経営成績等の業績の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、円安に伴う物価上昇等の影響があるものの、インバウンド需要の回復や雇用・所得環境が改善する下で、緩やかな回復が続きました。一方で欧米における高い金利水準の継続に伴う影響や、中国経済の先行き懸念等による海外景気の下振れリスク、通商政策などアメリカの今後の政策動向、中東地域をめぐる情勢等、先行きは十分注意をする必要がある状況が続いております。
当社グループは、戦略PRサービスを起点とした最先端のコミュニケーション手法によりシンプルかつスピーディにモノを広めるという考えを基軸とし、従来の広告予算より低価格でサービスを提供していることに加え、様々な産業セクターへ継続取引を基本としたリテナーサービスを提供しており、特定産業に偏らない収益基盤づくりに努めていることから、景況感の悪化による業績への影響は軽微であり、今後もこの傾向が継続するものと考えております。
広告業界においては、株式会社電通が2025年2月に発表した「2024年日本の広告費」によると、2024年(1~12 月)の日本の総広告費は7兆6,730億円(前年比4.9%増)と好調な企業収益や消費意欲の活発化、世界的なイベント、インバウンド需要の高まりなどに支えられ、3年連続で過去最高を更新しました。その中でも、インターネット広告費は3兆6,517億円(同9.6%増)と社会のデジタル化を背景に継続して成長し、広告市場全体を牽引しました。
このような市場環境のもと、当社グループは、顧客の「いいモノを世の中に広める」ためのマーケティング戦略をワンストップで総合的にサポートする「FAST COMPANY」として、当社グループが有する既存顧客を中心にサービスを展開しました。また、前期までにM&A等で拡充を図ってきたデジタルマーケティング領域を中心としたサービスの販 売を強化いたしました。
また、英国の広告業界向け専門メディア「Provoke Media」による企業業績をもとにした世界のPR会社ランキング 「GLOBAL TOP 250 PR AGENCY RANKING2024」において、世界6位に選出され、アジアでは引き続き1位となりまし た。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は59,254百万円(前年同期比0.1%増)、営業利益は8,029百万円(前年同期比15.7%増)、経常利益は7,655百万円(前年同期比11.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,195百万円(前年同期比10.5%減)となりました。
セグメント業績は、次のとおりであります。
なお、2024年9月17日に公表いたしました「当社完全子会社間の合併に関するお知らせ」に記載のとおり、株式会社イニシャルを存続会社とし、株式会社Starbankおよび株式会社INFLUENCER BANKを消滅会社として吸収合併することに伴い、第2四半期連結会計期間より、株式会社INFLUENCER BANKを「ダイレクトマーケティング事業」から「PR・広告事業」に変更して計上しております。以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。
・PR・広告事業
PR・広告事業においては、コンサルティングを基本とする戦略PRサービスを起点としながら、タクシーの車内に設置するタブレットを活用したIoTサイネージやSNSなどを活用したデジタルマーケティングを駆使し、顧客に合ったコミュニケーション戦略をワンストップで提供しております。
モノの広め方がよりデジタルに移行し、当社の掲げる「FAST COMPANY」という戦略に時代が適合してきたことに加え、前期に積極的に行ったデジタルマーケティング領域のM&A等によりサービスの拡充を図り、これまで以上に顧客のコミュニケーション戦略を総合的にサポートできる体制を構築できました。当連結会計年度においては、2023年10月に実施した子会社の株式譲渡による影響や、他社商材の売上を取り込まない自社完結型のSNS運用などに代表されるオンライン施策の増加等により減収になりましたが、昨年度の一過性の費用計上の反動等で引き続き増益となりました。
以上の結果、PR・広告事業における売上高は32,493百万円(前年同期比6.1%減)、営業利益は3,636百万円(同39.2%増)となりました。
・プレスリリース配信事業
株式会社PR TIMESが手掛けるプレスリリース配信事業においては、プレスリリース配信サイト「PR TIMES」をはじめとした多数のWebサイトにプレスリリースを配信・掲載しており、社会インフラとして多くの企業に活用され、2025年2月には利用企業社数が108,000社を突破し、過去最高の売上高を更新しました。また、期初の計画通り、地方企業による「PR TIMES」の利用促進や新規事業への広告投下を実施しました。
以上の結果、プレスリリース配信事業における売上高は8,003百万円(前年同期比17.1%増)、営業利益は1,877百万円(同7.5%増)となりました。
・ダイレクトマーケティング事業
株式会社ビタブリッドジャパン等が手掛けるダイレクトマーケティング事業においては、第1四半期連結会計期間 において他社発の紅麹原料によるサプリメント健康被害問題に端を発した機能性表示食品に対する消費者心理の変化を念頭に、新規顧客獲得効率を踏まえた販促投資の縮小を実施したことで、想定の売上増による利益増が確保できずに減益となりました。一方で、第2四半期連結会計期間中盤以降より同問題は解消しており、販促投資を加速した結果、過去最高の売上高となりました。
以上の結果、ダイレクトマーケティング事業における売上高は13,520百万円(前年同期比5.3%増)、営業利益は747百万円(前年同期比35.4%減)となりました。
・HR事業
株式会社あしたのチームにおいては、販売戦略の見直しや営業人員の強化を行いつつ、機能改善を企図した開発等 を強化したものの、当連結会計年度中には課題を残す形となりましたが、129百万円の営業利益を計上しました。
動画を活用した採用プラットフォーム「JOBTV」においては、収益基盤の構築に向け、新卒・転職ともに登録者数の増加を図るための広告費や採用プラットフォームの機能改善に向けた開発費を投下しました。また、JOBTVの収益拡大を目的として、2024年3月には採用支援及び採用広告企画事業を展開する株式会社FINDAWAYを連結子会社化した こと等により、前期から赤字幅が134百万円縮小し、55百万円の営業損失となりました。
以上の結果、HR事業における売上高は2,977百万円(前年同期比6.8%増)、営業利益は74百万円(前年同期比23.3%減)となりました。
・投資事業
投資事業においては、一部の投資先において評価損を計上しましたが、下期に保有株式を一部売却したことにより、過去最高の営業利益を更新しました。
また、出資先に対してPRおよびIRもあわせたサポートを提供しており、その結果として、株式会社ハッチ・ワ ークが2024年3月26日に東京証券取引所グロース市場へ、株式会社ROXXが2024年9月25日に東京証券取引所グロース 市場への上場を果たしました。
以上の結果、投資事業における売上高は2,540百万円(前年同期比3.3%増)、営業利益は1,694百万円(前年同期比27.8%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は17,125百万円と、前連結会計年度末に比較して1,305百万円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は5,675百万円となりました(前連結会計年度比27.4%増)。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上7,290百万円、前払金の減少額1,016百万円などによる資金の増加、法人税等の支払額3,036百万円などによる資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により支出した資金は1,478百万円となりました(前連結会計年度は1,146百万円の支出)。これは主に、有形固定資産の取得による支出360百万円、無形固定資産の取得による支出670百万円、出資金の払込による支出231百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出271百万円などの資金の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は2,901百万円となりました(前連結会計年度は882百万円の支出)。これは主に、長期借入れによる収入645百万円などの資金の増加、及び長期借入金の返済による支出2,040百万円、配当金の支払額1,359百万円などの資金の減少によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの主たる業務は、PR・広告事業であるため、生産に該当する事項はありません。
b.受注実績
当社グループの主たる業務であるPR・広告事業は、提供するサービスの性格上、受注の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
事業の名称当連結会計年度
(自 2024年3月1日
至 2025年2月28日)
前年同期比(%)
PR・広告事業(百万円)32,36693.9
プレスリリース配信事業(百万円)7,879117.5
ダイレクトマーケティング事業
(百万円)
13,518105.5
HR事業(百万円)2,949106.2
投資事業(百万円)2,540103.3
合 計(百万円)59,254100.1

(注) セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ739百万円減少し、42,881百万円となりました。
流動資産におきましては、当連結会計年度末残高は32,346百万円と前連結会計年度末に比べ900百万円の減少となりました。これは、現金及び預金が1,305百万円、受取手形、売掛金及び契約資産が528百万円、流動資産その他に含まれている未収入金が1,147百万円増加した一方で、営業投資有価証券が3,017百万円、流動資産その他に含まれている前払金が1,038百万円減少したことが主な要因となります。
固定資産におきましては、当連結会計年度末残高は10,534百万円と前連結会計年度末に比べ161百万円の増加となりました。これは、のれんが657百万円減少した一方で、ソフトウエアが517百万円、繰延税金資産が481百万円増加したことが主な要因となります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ2,101百万円減少し、21,544百万円となりました。
流動負債におきましては、当連結会計年度末残高は14,265百万円と前連結会計年度末に比べ592百万円の増加となりました。これは、未払法人税等が355百万円減少した一方で、短期借入金が312百万円、未払金が483百万円、流動負債その他に含まれている未払費用が198百万円増加したことが主な要因となります。
固定負債におきましては、当連結会計年度末残高は7,278百万円と前連結会計年度末に比べ2,693百万円の減少となりました。これは、長期借入金が1,524百万円、リース債務が231百万円、繰延税金負債が661百万円、固定負債その他に含まれている長期未払金が228百万円減少したことが主な要因となります。
b.経営成績の分析
(営業利益の状況)
営業利益の詳細につきましては、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の業績の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(経常利益の状況)
貸倒引当金繰入額を196百万円計上している一方で、営業利益が前連結会計年度に比べ1,089百万円増加しております。
これらを主な要因として、経常利益は前連結会計年度に比べ784百万円増加の7,655百万円(前連結会計年度比11.4%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益の状況)
法人税等合計を2,490百万円、非支配株主に帰属する当期純利益を605百万円計上しております。
これを主な要因として、親会社株主に帰属する当期純利益は、4,195百万円(前連結会計年度比10.5%減)となりました。
当社グループは、現時点においても成長途上であると認識しており、営業基盤の拡大による企業価値の継続的拡大を目指していることから、営業基盤の指標として営業利益を重視しております。
当連結会計年度における営業利益は前連結会計年度に比べ1,089百万円増加し8,029百万円(前連結会計年度比15.7%増)となりました。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の業績の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループにおける主な資金需要は、運転資金及びベンチャー投資事業における投資資金となります。運転資金としては、主に人件費及び広告宣伝費等の販売費及び一般管理費の支払となります。これらの資金につきましては、内部資金、金融機関から借入及び社債により調達しております。当連結会計年度における現金及び預金は17,125百万円、短期借入金は2,351百万円、長期借入金(一年内返済予定を含む)は8,127百万円となっております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。