訂正有価証券報告書-第28期(平成31年3月1日-令和2年2月29日)
(1)経営成績等の業績の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善が続く中、緩やかな回復基調が継続しているものの、米中貿易摩擦や欧州の政治リスクなどの不安定な国際情勢から、先行き不透明な状況が続きました。さらに年明けには全世界で新型コロナウイルスが感染拡大し、国内外の経済活動において先行き不透明な状況にありました。
広告業界においては、株式会社電通が2020年3月に発表した「2019年日本の広告費」によると、2019年(1~12月)の日本の総広告費は6兆9,381億円(前年比6.2%増)と8年連続の増加となりました。その中でも、インターネット広告費が2兆1,048億円(同19.7%増)と6年連続の二桁成長となり初めて2兆円を超え、テレビメディア広告費を超える結果となりました。
このような市場環境のもと、当社グループは、顧客の「いいモノを世の中に広める」ためのマーケティング戦略をワンストップで総合的にサポートする「FAST COMPANY」として、デジタルサービスを中心に実効性の高い新たなサービスの強化を進め、当社グループが有する既存顧客を中心に積極的に展開しました。
新たなサービスの一つとして2019年4月から開始した、タクシーの車内に設置するタブレットを活用したIoTサイネージサービスにおいては、広告出稿が好調に推移しております。タクシーサイネージ事業のノウハウを活かし、2019年12月には新たにDOOH(Digital Out of Home:デジタル屋外広告)事業に参入し、屋外大型ビジョンで最も人気の高い渋谷の2ビジョンにてサービス提供を開始しております。また、2020年2月にはスマホ充電器のシェアリングサービス「ChargeSPOT」を展開する株式会社INFORICHと提携し、「ChargeSPOT」を活用したデジタルサイネージサービスの提供を開始しております。さらに、時代の先を見据えたサービスを提供すべく、2020年3月には株式会社インティメート・マージャーとプライバシーテック領域における事業を展開するPriv Tech(プライブテック)株式会社を設立し、個人データ等の利用同意管理プラットフォーム(Consent Management Platform:CMP)「Trust360」を企業向けに提供しております。
一方、当社グループが近年積極的に推し進めたM&A及び投資活動に関連して、M&A等により取得した子会社の一部事業の業績が想定を下回る結果となったことから、当該事業に関して特別損失としてのれんの減損損失を計上することになりました。また、投資活動において、一部の投資先にて投資有価証券評価損を計上しましたが、保有株式の売却により投資有価証券売却益が生じ、結果として業績に大きく貢献しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は36,821百万円(前連結会計年度比24.0%増)、営業利益は2,891百万円(同12.3%増)、経常利益は3,322百万円(同21.3%増)、親会社株主に帰属する当期純損失は199百万円(前年同期は2,421百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
なお、当社グループが取り組むインベストメントベンチャー活動(ベンチャー企業等への出資)に関連して、出資先に対してPR及びIRをあわせたサポートを提供しており、その結果として、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドが2019年3月19日に、ブランディングテクノロジー株式会社が2019年6月21日に、株式会社インフォネットが2019年6月25日に、AI CROSS株式会社が2019年10月8日に、株式会社ウィルズが2019年12月17日に、株式会社BuySell Technologiesが2019年12月18日に、さらに株式会社サイバーセキュリティクラウドが2020年3月26日に、いずれも東京証券取引所マザーズ市場への上場を果たしました。
セグメント業績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分変更を行っており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。また、セグメントの名称を「ニュースリリース配信事業」より「プレスリリース配信事業」に変更しております。
・PR事業
PR事業においては、主にコンサルティングを基本とする戦略PRサービスを提供しております。当社グループは、コンサルティング等を通じてPRサービスとあわせてデジタル領域等の新しいサービスを展開するとともに、積極的に人員を増強し、グループ全体としての成長を図りましたが、新規事業への投資及び管理体制の強化などにより販管費が増加したこと、制作部隊を抱える一部の子会社の収益性が低下したことにより、営業利益については前年同期比で減益となりました。
以上の結果、PR事業全体では、売上高は17,930百万円(前年同期比7.4%増)、営業利益は1,855百万円(前年同期比12.5%減)となりました。
・プレスリリース配信事業
株式会社PR TIMESが手掛けるプレスリリース配信事業においては、プレスリリース配信サイト「PR TIMES」をはじめとした多数のWebサイトにプレスリリースを配信・掲載し、2020年2月には利用企業社数が36,000社を突破しました。
以上の結果、プレスリリース配信事業における売上高は2,891百万円(前年同期比26.5%増)、営業利益は560百万円(前年同期比8.1%増)となりました。
・ビデオリリース配信事業
株式会社NewsTVが手掛けるビデオリリース配信事業は、「広告・マーケティング業界にビデオリリースという商習慣を創る」というビジョンを掲げ、直販及び代理店販売のいずれについても積極的な営業活動を展開しながら、動画配信システムの機能強化、人員の採用や広告宣伝活動を積極的に推し進めるなどさらなる成長を達成するための事業基盤の強化に取り組んだ結果、前年同期比で増収増益となりました。
以上の結果、ビデオリリース配信事業における売上高は1,873百万円(前年同期比13.8%増)、営業利益は326百万円(前年同期比2.0%増)となりました。
・ダイレクトマーケティング事業
株式会社ビタブリッドジャパン等が手掛けるダイレクトマーケティング事業においては、効果的かつ効率的な広告宣伝活動を実行したことで株式会社ビタブリッドジャパンが取扱う主力商品「ビタブリッドC」の販売が年間を通して好調に推移したことから、前年同期比で増収増益となりました。
以上の結果、ダイレクトマーケティング事業における売上高は8,537百万円(前年同期比31.0%増)、営業利益は557百万円(前年同期比21.6%増)となりました。
・メディア事業
株式会社スマートメディア等が手掛けるメディア事業は、前期の上期に生じた検索エンジンの表示順位変更等による業績不振からの立て直しを進め、オウンドメディア構築サービス等の強みを有する分野に注力しておりました。その取り組みの効果が表れ、当第4四半期連結会計期間においては、四半期黒字化を達成しました。
以上の結果、メディア事業における売上高は935百万円(前年同期比20.0%減)、営業損失は223百万円(前年同期は271百万円の営業損失)となりました。
・HR事業
当社は、2018年7月に企業の人事評価制度の導入や運用を支援する人事関連クラウドサービスを展開する株式会社あしたのチームを子会社化しました。同社が手掛けるHR事業は、政府が推進する働き方改革による後押しもあって将来的な成長が期待される分野ではあるものの、第3四半期連結累計期間においては、過去の拡大戦略からの立て直しをはかるために、当社グループ会社としての体制の整備のほか、不採算拠点の閉鎖、広告宣伝費や販売促進費の削減等のリストラクチャリングに取り組みました。
以上の結果、HR事業における売上高は3,685百万円(前年同期比89.7%増)、営業損失は686百万円(前年同期は544百万円の営業損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は7,884百万円と、前連結会計年度末に比較して1,846百万円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は2,868百万円となりました(前連結会計年度比263.2%増)。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上2,210百万円、減価償却費の計上361百万円、のれん償却額の計上513百万円、投資有価証券評価損の計上1,279百万円、減損損失の計上1,030百万円、営業投資有価証券の減少額378百万円による増加、及び投資有価証券売却益の計上2,020百万円、売上債権の増加額677百万円、法人税等の支払額1,770百万円による減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により得られた資金は2,260百万円となりました(前連結会計年度は4,915百万円の支出)。これは主に、投資有価証券の売却による収入2,802百万円、貸付金の回収による収入1,077百万円、及び無形固定資産の取得による支出283百万円、貸付けによる支出660百万円、投資有価証券の取得による支出462百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は3,273百万円となりました(前連結会計年度は5,857百万円の収入)。これは主に、社債の発行による収入880百万円、株式の発行による収入593百万円、及び短期借入金の純減額2,564百万円、長期借入金の返済による支出1,590百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの主たる業務は、PR事業であるため、生産に該当する事項はありません。
b.受注実績
当社グループの主たる業務であるPR事業は、提供するサービスの性格上、受注の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度より、従来、「PR事業」に含まれていた株式会社スマートメディア及びラグル株式会社は「メディア事業」、株式会社ニューステクノロジーは「その他」に含めております。
また、「その他」に区分していた株式会社あしたのチーム及びその子会社4社は「HR事業」としております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確定性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。当社グループの採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 4.会計方針に関する事項」をご参照ください。
なお、以下の事象については、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと認識しております。
イ のれん
のれんについては、その効果の及ぶ期間を見積り、その期間にわたり均等償却することとしております。その資産性について、事業又は連結子会社の業績及び事業計画等を検討し、将来において当初見積もられた収益の獲得が見込まれなくなった場合には、のれんの減損処理を行う可能性があります。
ロ 投資有価証券の評価
時価のある有価証券については、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合に、回復可能性がある場合を除き減損処理を行っております。また、時価のない有価証券については期末の実質価額が取得原価に比べて50%以上下落した場合に回復可能性がある場合を除き減損処理を行っております。
ハ 繰延税金資産
当社グループは、会計上の資産及び負債と課税所得計算上の資産及び負債の額との一時差異が生じた場合において税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産については、将来減算一時差異の解消時期をスケジューリングし、翌期以降の事業計画に基づき課税所得を見積ることで、その回収可能性を判断することとしております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(営業利益の状況)
営業利益の詳細につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の業績の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(経常利益の状況)
インベストメントベンチャー事業における投資有価証券の売却により投資有価証券売却益2,020百万円を計上する一方で、著しい価値の下落が生じている投資有価証券について投資有価証券評価損1,279百万円を計上しております。また、投資事業組合への出資に関連し投資事業組合運用益を41百万円、投資事業組合運用損98百万円をそれぞれ計上しております。
これらを主な要因として、経常利益は前連結会計年度に比べ583百万円増加の3,322百万円(前連結会計年度比21.3%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益の状況)
特別損失として、関連する事業又は連結子会社について、当初予定していた収益が見込めなくなったため、減損損失1,030百万円を計上しております。
これを主な要因として、親会社株主に帰属する当期純損失は199百万円(前連結会計年度は2,421百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
③財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,172百万円減少し、23,606百万円となりました。
流動資産におきましては、当連結会計年度末残高は16,131百万円と前連結会計年度末に比べ1,693百万円の増加となりました。これは、営業投資有価証券が357百万円減少した一方で、現金及び預金が1,826百万円、受取手形及び売掛金が673百万円増加したことが主な要因となります。
固定資産におきましては、当連結会計年度末残高は7,474百万円と前連結会計年度末に比べ2,866百万円の減少となりました。これは、有形固定資産が440百万円増加した一方で、のれんが1,454百万円、投資有価証券が2,359百万円減少したことが主な要因となります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ1,050百万円減少し、13,439百万円となりました。
流動負債におきましては、当連結会計年度末残高は9,713百万円と前連結会計年度末に比べ523百万円の減少となりました。これは、未払法人税等が380百万円、1年内償還予定の社債が188百万円、リース債務が150百万円増加した一方で、短期借入金が2,565百万円減少したことが主な要因となります。
固定負債におきましては、当連結会計年度末残高は3,726百万円と前連結会計年度末に比べ527百万円の減少となりました。これは、社債が588百万円増加した一方で、長期借入金が1,156百万円減少したことが主な要因となります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ122百万円減少し、10,166百万円となりました。これは、資本金が299百万円、資本剰余金が165百万円増加した一方で、その他有価証券評価差額金が425百万円、利益剰余金が207百万円減少したことが主な要因となります。
④資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の業績の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループにおける主な資金需要は、運転資金及びベンチャー投資事業における投資資金となります。運転資金としては、主に人件費及び広告宣伝費等の販売費及び一般管理費の支払となります。これらの資金につきましては、内部資金、金融機関から借入及び社債により調達しております。当連結会計年度における現金及び預金は7,889百万円、短期借入金は1,500百万円、長期借入金(一年内返済予定を含む)は3,473百万円となっております。
⑤経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、現時点においても成長途上であると認識しており、営業基盤の拡大による企業価値の継続的拡大を目指していることから、営業基盤の指標として営業利益を重視しておりますが、当社グループが取り組むインベストメントベンチャー事業に関連して経常利益もあわせて重要な経営指標と位置づけております。
当連結会計年度における営業利益は前連結会計年度に比べ315百万円増加し2,891百万円(前連結会計年度比12.3%増)、また、経常利益は前連結会計年度に比べ583百万円増加し3,322百万円(同21.3%増)となりました。引き続き、これら経営指標の達成に向けて取り組んでまいります。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善が続く中、緩やかな回復基調が継続しているものの、米中貿易摩擦や欧州の政治リスクなどの不安定な国際情勢から、先行き不透明な状況が続きました。さらに年明けには全世界で新型コロナウイルスが感染拡大し、国内外の経済活動において先行き不透明な状況にありました。
広告業界においては、株式会社電通が2020年3月に発表した「2019年日本の広告費」によると、2019年(1~12月)の日本の総広告費は6兆9,381億円(前年比6.2%増)と8年連続の増加となりました。その中でも、インターネット広告費が2兆1,048億円(同19.7%増)と6年連続の二桁成長となり初めて2兆円を超え、テレビメディア広告費を超える結果となりました。
このような市場環境のもと、当社グループは、顧客の「いいモノを世の中に広める」ためのマーケティング戦略をワンストップで総合的にサポートする「FAST COMPANY」として、デジタルサービスを中心に実効性の高い新たなサービスの強化を進め、当社グループが有する既存顧客を中心に積極的に展開しました。
新たなサービスの一つとして2019年4月から開始した、タクシーの車内に設置するタブレットを活用したIoTサイネージサービスにおいては、広告出稿が好調に推移しております。タクシーサイネージ事業のノウハウを活かし、2019年12月には新たにDOOH(Digital Out of Home:デジタル屋外広告)事業に参入し、屋外大型ビジョンで最も人気の高い渋谷の2ビジョンにてサービス提供を開始しております。また、2020年2月にはスマホ充電器のシェアリングサービス「ChargeSPOT」を展開する株式会社INFORICHと提携し、「ChargeSPOT」を活用したデジタルサイネージサービスの提供を開始しております。さらに、時代の先を見据えたサービスを提供すべく、2020年3月には株式会社インティメート・マージャーとプライバシーテック領域における事業を展開するPriv Tech(プライブテック)株式会社を設立し、個人データ等の利用同意管理プラットフォーム(Consent Management Platform:CMP)「Trust360」を企業向けに提供しております。
一方、当社グループが近年積極的に推し進めたM&A及び投資活動に関連して、M&A等により取得した子会社の一部事業の業績が想定を下回る結果となったことから、当該事業に関して特別損失としてのれんの減損損失を計上することになりました。また、投資活動において、一部の投資先にて投資有価証券評価損を計上しましたが、保有株式の売却により投資有価証券売却益が生じ、結果として業績に大きく貢献しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は36,821百万円(前連結会計年度比24.0%増)、営業利益は2,891百万円(同12.3%増)、経常利益は3,322百万円(同21.3%増)、親会社株主に帰属する当期純損失は199百万円(前年同期は2,421百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
なお、当社グループが取り組むインベストメントベンチャー活動(ベンチャー企業等への出資)に関連して、出資先に対してPR及びIRをあわせたサポートを提供しており、その結果として、株式会社ミンカブ・ジ・インフォノイドが2019年3月19日に、ブランディングテクノロジー株式会社が2019年6月21日に、株式会社インフォネットが2019年6月25日に、AI CROSS株式会社が2019年10月8日に、株式会社ウィルズが2019年12月17日に、株式会社BuySell Technologiesが2019年12月18日に、さらに株式会社サイバーセキュリティクラウドが2020年3月26日に、いずれも東京証券取引所マザーズ市場への上場を果たしました。
セグメント業績は、次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、報告セグメントの区分変更を行っており、以下の前年同期比較については、前年同期の数値を変更後のセグメント区分に組み替えた数値で比較しております。また、セグメントの名称を「ニュースリリース配信事業」より「プレスリリース配信事業」に変更しております。
・PR事業
PR事業においては、主にコンサルティングを基本とする戦略PRサービスを提供しております。当社グループは、コンサルティング等を通じてPRサービスとあわせてデジタル領域等の新しいサービスを展開するとともに、積極的に人員を増強し、グループ全体としての成長を図りましたが、新規事業への投資及び管理体制の強化などにより販管費が増加したこと、制作部隊を抱える一部の子会社の収益性が低下したことにより、営業利益については前年同期比で減益となりました。
以上の結果、PR事業全体では、売上高は17,930百万円(前年同期比7.4%増)、営業利益は1,855百万円(前年同期比12.5%減)となりました。
・プレスリリース配信事業
株式会社PR TIMESが手掛けるプレスリリース配信事業においては、プレスリリース配信サイト「PR TIMES」をはじめとした多数のWebサイトにプレスリリースを配信・掲載し、2020年2月には利用企業社数が36,000社を突破しました。
以上の結果、プレスリリース配信事業における売上高は2,891百万円(前年同期比26.5%増)、営業利益は560百万円(前年同期比8.1%増)となりました。
・ビデオリリース配信事業
株式会社NewsTVが手掛けるビデオリリース配信事業は、「広告・マーケティング業界にビデオリリースという商習慣を創る」というビジョンを掲げ、直販及び代理店販売のいずれについても積極的な営業活動を展開しながら、動画配信システムの機能強化、人員の採用や広告宣伝活動を積極的に推し進めるなどさらなる成長を達成するための事業基盤の強化に取り組んだ結果、前年同期比で増収増益となりました。
以上の結果、ビデオリリース配信事業における売上高は1,873百万円(前年同期比13.8%増)、営業利益は326百万円(前年同期比2.0%増)となりました。
・ダイレクトマーケティング事業
株式会社ビタブリッドジャパン等が手掛けるダイレクトマーケティング事業においては、効果的かつ効率的な広告宣伝活動を実行したことで株式会社ビタブリッドジャパンが取扱う主力商品「ビタブリッドC」の販売が年間を通して好調に推移したことから、前年同期比で増収増益となりました。
以上の結果、ダイレクトマーケティング事業における売上高は8,537百万円(前年同期比31.0%増)、営業利益は557百万円(前年同期比21.6%増)となりました。
・メディア事業
株式会社スマートメディア等が手掛けるメディア事業は、前期の上期に生じた検索エンジンの表示順位変更等による業績不振からの立て直しを進め、オウンドメディア構築サービス等の強みを有する分野に注力しておりました。その取り組みの効果が表れ、当第4四半期連結会計期間においては、四半期黒字化を達成しました。
以上の結果、メディア事業における売上高は935百万円(前年同期比20.0%減)、営業損失は223百万円(前年同期は271百万円の営業損失)となりました。
・HR事業
当社は、2018年7月に企業の人事評価制度の導入や運用を支援する人事関連クラウドサービスを展開する株式会社あしたのチームを子会社化しました。同社が手掛けるHR事業は、政府が推進する働き方改革による後押しもあって将来的な成長が期待される分野ではあるものの、第3四半期連結累計期間においては、過去の拡大戦略からの立て直しをはかるために、当社グループ会社としての体制の整備のほか、不採算拠点の閉鎖、広告宣伝費や販売促進費の削減等のリストラクチャリングに取り組みました。
以上の結果、HR事業における売上高は3,685百万円(前年同期比89.7%増)、営業損失は686百万円(前年同期は544百万円の営業損失)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は7,884百万円と、前連結会計年度末に比較して1,846百万円の増加となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は2,868百万円となりました(前連結会計年度比263.2%増)。これは主に、税金等調整前当期純利益の計上2,210百万円、減価償却費の計上361百万円、のれん償却額の計上513百万円、投資有価証券評価損の計上1,279百万円、減損損失の計上1,030百万円、営業投資有価証券の減少額378百万円による増加、及び投資有価証券売却益の計上2,020百万円、売上債権の増加額677百万円、法人税等の支払額1,770百万円による減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により得られた資金は2,260百万円となりました(前連結会計年度は4,915百万円の支出)。これは主に、投資有価証券の売却による収入2,802百万円、貸付金の回収による収入1,077百万円、及び無形固定資産の取得による支出283百万円、貸付けによる支出660百万円、投資有価証券の取得による支出462百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により支出した資金は3,273百万円となりました(前連結会計年度は5,857百万円の収入)。これは主に、社債の発行による収入880百万円、株式の発行による収入593百万円、及び短期借入金の純減額2,564百万円、長期借入金の返済による支出1,590百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループの主たる業務は、PR事業であるため、生産に該当する事項はありません。
b.受注実績
当社グループの主たる業務であるPR事業は、提供するサービスの性格上、受注の記載に馴染まないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
事業の名称 | 当連結会計年度 (自 2019年3月1日 至 2020年2月29日) | 前年同期比(%) |
PR事業(千円) | 17,647,661 | 106.6 |
プレスリリース配信事業(千円) | 2,713,698 | 129.3 |
ビデオリリース配信事業(千円) | 1,572,728 | 114.5 |
ダイレクトマーケティング事業(千円) | 8,508,840 | 130.5 |
メディア事業(千円) | 682,169 | 66.3 |
HR事業(千円) | 3,683,843 | 190.0 |
報告セグメント計(千円) | 34,808,941 | 117.9 |
その他(千円) | 2,012,582 | 1,141.2 |
合 計(千円) | 36,821,523 | 124.0 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度より、従来、「PR事業」に含まれていた株式会社スマートメディア及びラグル株式会社は「メディア事業」、株式会社ニューステクノロジーは「その他」に含めております。
また、「その他」に区分していた株式会社あしたのチーム及びその子会社4社は「HR事業」としております。
3.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたって、経営者により、一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されています。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りには不確定性が伴うため、実際の結果は、これらと異なることがあります。当社グループの採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 4.会計方針に関する事項」をご参照ください。
なお、以下の事象については、当社グループの連結財務諸表の作成において使用される当社の重要な判断と見積りに大きな影響を及ぼすと認識しております。
イ のれん
のれんについては、その効果の及ぶ期間を見積り、その期間にわたり均等償却することとしております。その資産性について、事業又は連結子会社の業績及び事業計画等を検討し、将来において当初見積もられた収益の獲得が見込まれなくなった場合には、のれんの減損処理を行う可能性があります。
ロ 投資有価証券の評価
時価のある有価証券については、期末における時価が取得原価に比べ50%以上下落した場合に、回復可能性がある場合を除き減損処理を行っております。また、時価のない有価証券については期末の実質価額が取得原価に比べて50%以上下落した場合に回復可能性がある場合を除き減損処理を行っております。
ハ 繰延税金資産
当社グループは、会計上の資産及び負債と課税所得計算上の資産及び負債の額との一時差異が生じた場合において税効果会計を適用し、繰延税金資産及び繰延税金負債を計上しております。繰延税金資産については、将来減算一時差異の解消時期をスケジューリングし、翌期以降の事業計画に基づき課税所得を見積ることで、その回収可能性を判断することとしております。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(営業利益の状況)
営業利益の詳細につきましては、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の業績の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
(経常利益の状況)
インベストメントベンチャー事業における投資有価証券の売却により投資有価証券売却益2,020百万円を計上する一方で、著しい価値の下落が生じている投資有価証券について投資有価証券評価損1,279百万円を計上しております。また、投資事業組合への出資に関連し投資事業組合運用益を41百万円、投資事業組合運用損98百万円をそれぞれ計上しております。
これらを主な要因として、経常利益は前連結会計年度に比べ583百万円増加の3,322百万円(前連結会計年度比21.3%増)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益の状況)
特別損失として、関連する事業又は連結子会社について、当初予定していた収益が見込めなくなったため、減損損失1,030百万円を計上しております。
これを主な要因として、親会社株主に帰属する当期純損失は199百万円(前連結会計年度は2,421百万円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
③財政状態の分析
(資産の部)
当連結会計年度末における総資産は、前連結会計年度末に比べ1,172百万円減少し、23,606百万円となりました。
流動資産におきましては、当連結会計年度末残高は16,131百万円と前連結会計年度末に比べ1,693百万円の増加となりました。これは、営業投資有価証券が357百万円減少した一方で、現金及び預金が1,826百万円、受取手形及び売掛金が673百万円増加したことが主な要因となります。
固定資産におきましては、当連結会計年度末残高は7,474百万円と前連結会計年度末に比べ2,866百万円の減少となりました。これは、有形固定資産が440百万円増加した一方で、のれんが1,454百万円、投資有価証券が2,359百万円減少したことが主な要因となります。
(負債の部)
当連結会計年度末における負債は、前連結会計年度末に比べ1,050百万円減少し、13,439百万円となりました。
流動負債におきましては、当連結会計年度末残高は9,713百万円と前連結会計年度末に比べ523百万円の減少となりました。これは、未払法人税等が380百万円、1年内償還予定の社債が188百万円、リース債務が150百万円増加した一方で、短期借入金が2,565百万円減少したことが主な要因となります。
固定負債におきましては、当連結会計年度末残高は3,726百万円と前連結会計年度末に比べ527百万円の減少となりました。これは、社債が588百万円増加した一方で、長期借入金が1,156百万円減少したことが主な要因となります。
(純資産の部)
当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ122百万円減少し、10,166百万円となりました。これは、資本金が299百万円、資本剰余金が165百万円増加した一方で、その他有価証券評価差額金が425百万円、利益剰余金が207百万円減少したことが主な要因となります。
④資本の財源及び資金の流動性
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況については、「3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の業績の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループにおける主な資金需要は、運転資金及びベンチャー投資事業における投資資金となります。運転資金としては、主に人件費及び広告宣伝費等の販売費及び一般管理費の支払となります。これらの資金につきましては、内部資金、金融機関から借入及び社債により調達しております。当連結会計年度における現金及び預金は7,889百万円、短期借入金は1,500百万円、長期借入金(一年内返済予定を含む)は3,473百万円となっております。
⑤経営方針・経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、現時点においても成長途上であると認識しており、営業基盤の拡大による企業価値の継続的拡大を目指していることから、営業基盤の指標として営業利益を重視しておりますが、当社グループが取り組むインベストメントベンチャー事業に関連して経常利益もあわせて重要な経営指標と位置づけております。
当連結会計年度における営業利益は前連結会計年度に比べ315百万円増加し2,891百万円(前連結会計年度比12.3%増)、また、経常利益は前連結会計年度に比べ583百万円増加し3,322百万円(同21.3%増)となりました。引き続き、これら経営指標の達成に向けて取り組んでまいります。