四半期報告書-第7期第3四半期(平成30年10月1日-平成30年12月31日)
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものである。
1.財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、企業収益や雇用情勢の改善等を背景に緩やかに回復した。世界経済においても、米国での着実な景気回復などを中心に緩やかな回復が続いているが、米国政権の通商政策に基づく貿易摩擦問題の動向など、景気の先行きは不透明な状況が継続している。
幅広い需要分野を持つわが国アルミ業界においては、アルミ製品の需要は缶材などの食料品関連が減少したが、リチウムイオン電池向けなどが増加しており、総じて堅調に推移した。
このような経済環境のもと、当社グループにおいては、アルミナ・化成品、二次合金、パネルシステム部門などが堅調に推移しており、半導体関連などで弱い動きがあるものの、全体としては堅調に推移した。
当社グループの当第3四半期連結累計期間の業績については、売上高は前年同期の3,557億56百万円に比べ226億46百万円(6.4%)増の3,784億2百万円となり、営業利益は前年同期の232億81百万円から24百万円(0.1%)減の232億57百万円、経常利益は前年同期の231億45百万円から5億51百万円(2.4%)増の236億96百万円となった。また、親会社株主に帰属する四半期純利益については、前年同期の149億11百万円から10億91百万円(7.3%)増の160億2百万円となった。
なお、当社グループでは、平成29年3月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画をスタートさせ、①グループ連携による新商品・新ビジネスモデルの創出、②地域別×分野別戦略による事業展開、③企業体質強化(事業基盤強化)を基本方針とし、グループ連携を強化することで、連結収益の最大化を図っている。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
(アルミナ・化成品、地金)
アルミナ・化成品部門においては、主力の水酸化アルミニウムおよびアルミナ関連製品において、凝集剤向け、耐火物向けなどの販売が好調に推移し、化学品関連では、有機塩化物の販売が減少したものの、凝集剤、無機塩化物の販売が増加したことにより部門全体の売上高は前年同期を上回った。採算面では販売量の増加に加え、高付加価値化の進展や製品価格改定の効果により、前年同期に比べ増益となった。
地金部門においては、主力の自動車向け二次合金の分野において、国内の販売増に加え、海外でもタイを中心に好調に推移し、全体の販売量は前年同期を上回った。採算面では、販売量の増加に加え、タイの第2工場の本格稼働による生産性改善などで前年同期に比べ増益となった。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間のアルミナ・化成品、地金セグメントの売上高は前年同期の817億58百万円に比べ85億90百万円(10.5%)増の903億48百万円、営業利益は前年同期の73億6百万円から9億12百万円(12.5%)増の82億18百万円となった。
(板、押出製品)
板製品部門においては、半導体・液晶製造装置向けの厚板や加工部品、パソコン・タブレット筐体向けの板加工品などの販売量が減少したことにより、売上高は前年同期を下回った。採算面でも販売量の減少に加え、原燃料価格の上昇による影響などで、前年同期に比べ減益となった。
押出製品部門においては、主力であるトラック架装向けの販売が弱含みで推移したものの、中国での自動車部品関連が堅調であったことなどにより、売上高は前年同期を上回った。採算面では原燃料価格の上昇による影響などもあったが、前年同期並みとなった。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の板、押出製品セグメントの売上高は前年同期の800億50百万円に比べ17億18百万円(2.1%)増の817億68百万円となったが、営業利益は前年同期の75億83百万円から16億13百万円(21.3%)減の59億70百万円となった。
(加工製品、関連事業)
輸送関連部門においては、トラック架装事業は販売台数が増加したものの、主に小型トラック向けの増加であったこともあり、売上高は前年同期並みとなった。採算面では材料価格の上昇などにより減益となった。
パネルシステム部門においては、冷凍・冷蔵分野では食品加工工場などの低温物流施設で好調な需要が継続し、クリーンルーム分野においても医薬・バイオ向けの需要が堅調に推移し、売上高は前年同期を上回った。
土木・建築などインフラ向けのアルミ加工製品などを扱う景観エンジニアリング部門においては、平成30年9月末に株式会社住軽日軽エンジニアリングを子会社化したことにより、売上高、営業利益が増加している。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の加工製品、関連事業セグメントの売上高は前年同期の1,223億80百万円に比べ111億85百万円(9.1%)増の1,335億65百万円、営業利益は前年同期の65億35百万円から10億93百万円(16.7%)増の76億28百万円となった。
(箔、粉末製品)
箔部門においては、リチウムイオン電池外装用箔や正極材用箔の販売量が増加し、部門全体での売上高は前年同期を上回った。
パウダー・ペースト部門においては、ペースト製品は輸出向け、粉末製品は放熱基板用の窒化アルミなどの販売が堅調に推移した。
ソーラー部門においては、太陽電池用機能性インキの販売は堅調に推移しているものの、太陽電池用バックシートは中国政府の太陽光発電設備導入に関する支援策見直しの影響や価格競争の激化などによる販売量の減少で、売上高は前年同期を下回った。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の箔、粉末製品セグメントの売上高は前年同期の715億68百万円に比べ11億53百万円(1.6%)増の727億21百万円となったが、営業利益は前年同期の42億3百万円から2億34百万円(5.6%)減の39億69百万円となった。
財政状態については、当第3四半期連結会計期間末の総資産は、たな卸資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末と比べて61億64百万円増の4,733億63百万円となった。
負債は、その他流動負債の減少などにより、前連結会計年度末に比べて26億22百万円減の2,752億55百万円となった。
純資産合計は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末と比べて87億86百万円増の1,981億8百万円となった。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末の37.2%から38.8%となった。
2.経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はない。
3.事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更はない。なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりである。
(1)基本方針の内容
当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方としては、当社を支える様々なステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考える。
したがって、当社は、特定の者又はグループ(特定の者又はグループを以下「買付者」という。)による、当社の財務及び事業の方針の決定を支配することを目的とする当社株式の大規模な買付行為や買付提案であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではない。また、株式上場会社として当社株式の自由な売買が認められている以上、買付者の大規模な買付行為に応じて当社株式を売却するか否かは、最終的には株主の判断に委ねられるべきものである。
しかしながら、株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、その目的等から見て企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を強要するおそれのあるもの、対象会社の取締役会や株主が買付行為や買付提案の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するために合理的に必要十分な時間や情報を提供しないもの、買付条件等が対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に照らして著しく不十分又は不適当であるもの、対象会社の企業価値の維持・増大に必要不可欠なステークホルダーとの関係を破壊する意図のあるものなど、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくない。
上記の例を含め、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうおそれが認められる場合には、当該買付者を当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切でないと判断すべきであると考える。
(2)基本方針の実現に資する特別な取組み
当社グループは、「アルミとアルミ関連素材の用途開発を永遠に続けることによって、人々の暮らしの向上と地球環境の保護に貢献していく」という日軽金グループの使命(経営理念)のもと、「アルミニウム」というユニークで優れた特性を有する素材の可能性を開拓することによって、企業価値の持続的向上に努めてきた。
当社グループの事業を大きな川にたとえると、アルミナ・化成品の製造が最も上流の工程となり、次いでアルミ合金地金の製造が続く。さらにアルミを素材として、アルミ板、アルミ押出製品から、箔・粉末製品、輸送関連製品などの各種加工製品に至るまで、広範な領域において事業展開している。
当社グループでは、グループ全体として持続的に発展し、企業価値の向上を図るためには、経営と執行の分離をより徹底させた連結経営体制への変革が必要と判断し、平成24年10月1日付で純粋持株会社としてグループ全体を統括する当社を設立するとともに、平成25年4月を起点とする3ヵ年の中期経営計画(以下「前中計」という。)では、その基本方針である「地域別×分野別戦略による事業展開」「新商品・新ビジネスによる成長ドライバー創出」「企業体質強化」に基づき連結収益の最大化に向けた数々の施策を実行し、その結果、当初設定した前中計の経営目標を概ね達成した。
そして、平成28年4月には平成28年度から平成30年度までの3ヵ年の新たな中期経営計画がスタートした。この新たな中期経営計画では、前中計で定めていた目標値を達成する原動力となったアルミニウム素材に関する深い洞察力、経験に裏打ちされた加工開発、サービス力等を当社グループの最大の強みと認識し、さらにチーム日軽金として、こうした強みを一段と強化することにより、他社の追随を許さない「異次元の素材メーカー」としての地位を確固たるものにすべく、以下の基本方針を掲げている。
① グループ連携による新商品・新ビジネスモデルの創出
当社グループは、アルミニウムに関する広範な事業領域を有しており、グループ連携による横断的・複眼的視点で顧客のニーズを汲み上げ、付加価値を生むための知恵を結集させることによって、ものづくりだけに止まらず、設計、施工、サービス、メンテナンスからビジネスコンセプトに至るまでの総合力で競争優位性を持った新商品・新ビジネスを創り上げ、グループの成長を目指していく。
当社グループは、グループ連携の強みを徹底的に探究することで、複合的で差別性のある利益率の高い新商品・新ビジネスモデルを創出し、専業化・大規模化の潮流とは一線を画した、付加価値の高度化によって、比類なき価値創造力・競争力を有する企業集団としての姿をさらに追求していく。
② 地域別×分野別戦略による事業展開
経営資源を投入する分野を地域と市場分野の組合せから選別し、投資の収益性を最大化させることに加え、海外展開では、これまでの中国・東南アジアを中心とした事業展開から、その他アジア地域・北米地域まで視野に入れた展開を積極的に推進し、真にグローバル企業と呼ばれるに値する企業体への変革を図る。
また、地域と市場分野の多種多様な組合せに機動的・効率的に対応できるよう、グループ各社・各部門の垣根を取り払い、ビジネスに即して自由自在に集合・離散できる柔軟で俊敏な組織設計を行い、これを運用していく。
③ 企業体質強化(事業基盤強化)
上記基本方針の実現に不可欠な「グループ連携の視点でビジネス創生できる人財」を育むための教育制度を拡充するとともに、国内・海外、グループ会社・各部門間の人財の流動性を高め、人財の国際化・多様化を推進していく。
また、グループ間の協業等を通じ、高付加価値品の開発、海外への販路開拓、成長市場への販売強化等を推し進め、化成品事業、板事業等の収益向上を図るとともに、新規に海外進出した拠点の収益安定化にも努めていく。
当社グループは、以上の基本方針に基づくアクションプランに果敢に取り組み、今後もグループ一丸となり総力を挙げて、企業価値ひいては株主共同の利益の向上に邁進する所存である。
(3)不適切な者による支配の防止に関する取組み
当社では、上記(1)に述べた基本方針に照らして、不適切な者により当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みとして、平成28年5月13日開催の当社取締役会において「当社株式の大規模買付行為への対応策(買収防衛策)」(以下「本プラン」という。)への更新につき株主に承認を求めることを決議し、平成28年6月24日開催の第4回定時株主総会において、株主の承認を得た。また、当社は本プランへの更新に伴い、特別委員会を設置し、特別委員会の委員として、林良一、早野利人及び安井洸治の3氏が選任され、就任している。
本プランの概要は以下のとおりである。
① 本プランの対象となる当社株式の買付
本プランの対象となる当社株式の買付とは、特定株主グループ(当社株券等の保有者及びその共同保有者、又は買付等を行う者及びその特別関係者)の議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為(いずれについても事前に当社取締役会が同意し、かつ公表したものを除き、また市場取引、公開買付等の具体的な買付方法の如何を問わない。以下、かかる買付行為を「大規模買付行為」といい、かかる買付行為を行う者を「大規模買付者」という。)とする。
② 特別委員会の設置
本プランにおいて当社が設定した大規模買付行為を行う際の情報提供等に関するルール(以下「大規模買付ルール」という。)が遵守されたか否か、あるいは大規模買付ルールが遵守された場合でも、当該大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうものであることを理由として対抗措置をとるか否かについては、後記(3)④に定義する株主意思確認総会の決議等がある場合にはそれに従うことを条件として当社取締役会が最終的な判断を行うが、本プランを適正に運用し、当社取締役会によって恣意的な判断がなされることを防止し、その判断の合理性・公正性を担保するため、特別委員会規程を定めるとともに、特別委員会を設置する。特別委員会の委員は3名以上とし、公正で中立的な判断を可能とするため、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外取締役、社外監査役又は社外有識者のいずれかに該当する者の中から当社取締役会が選任する。当社取締役会は、対抗措置を発動するか否かを判断するに先立ち、特別委員会に対し対抗措置の発動の是非について必ず諮問することとし、特別委員会は当社の企業価値ひいては株主共同の利益の向上の観点から大規模買付行為について慎重に評価・検討のうえで、当社取締役会に対し対抗措置を発動することができる状態にあるか否かについての勧告を行うものとする。当社取締役会は、特別委員会の勧告を最大限尊重したうえで対抗措置の発動について決定することとする。特別委員会の勧告内容については、その概要を適宜公表することとする。
③ 大規模買付ルールの概要
大規模買付者が大規模買付行為を行おうとする場合には、事前に大規模買付ルールに従う旨の法的拘束力を有する誓約文言など、一定の事項を記載した意向表明書を提出するものとする。当社取締役会は、意向表明書を受領した日の翌日から起算して10営業日以内に、大規模買付者に対して、大規模買付行為に関する情報として当社取締役会への提出を求める事項(以下「評価必要情報」という。)について記載した書面(以下「評価必要情報リスト」という。)を交付し、大規模買付者には、評価必要情報リストの記載に従った評価必要情報の提出を求める。当社取締役会は、大規模買付者が当社取締役会に対し評価必要情報の提供を完了した後、対価を現金(円貨)のみとする公開買付による当社全株式の買付の場合は最長60日間又はその他の大規模買付行為の場合は最長90日間の取締役会評価期間を設定する。取締役会評価期間中、当社取締役会は、必要に応じて独立した第三者である外部専門家等の助言を受けながら、提供された評価必要情報を十分に評価・検討するとともに、特別委員会への諮問を必ず行いその勧告を最大限尊重したうえで、当社取締役会としての意見を慎重にとりまとめ、公表する。また、必要に応じ、大規模買付者との間で大規模買付行為に関する条件改善について交渉することや、当社取締役会として株主へ代替案を提示することもある。
④ 大規模買付行為がなされた場合の対応方針
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合には、具体的な買付方法の如何にかかわらず、当社取締役会は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を守ることを目的として、新株予約権の無償割当等、会社法その他の法律及び当社定款が認める対抗措置をとることにより大規模買付行為に対抗する場合がある。なお、大規模買付ルールを遵守したか否かを判断するにあたっては、大規模買付者側の事情をも合理的な範囲で十分勘案し、少なくとも評価必要情報の一部が提出されないことのみをもって大規模買付ルールを遵守しないと認定することはしないものとする。
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合には、当社取締役会は、仮に当該大規模買付行為に反対であったとしても、当該買付提案についての反対意見を表明したり、代替案を提示することにより、株主を説得するに留め、原則として当該大規模買付行為に対する対抗措置はとらない。大規模買付者の買付提案に応じるか否かは、株主において、当該買付提案及び当社が提示する当該買付提案に対する意見、代替案等を考慮のうえ、判断することになる。
ただし、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当該大規模買付行為が、当社に回復し難い損害をもたらすなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと当社取締役会が判断し、かつ対抗措置を発動することが相当であると認められる場合には、例外的に当社取締役会は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を守ることを目的として必要かつ相当な範囲で、新株予約権の無償割当等の対抗措置の発動を決定することができるものとする。
当社取締役会は、対抗措置の発動の是非について判断を行う場合は特別委員会への諮問を必ず行うとともにその勧告を最大限尊重し、対抗措置の必要性、相当性等を十分検討したうえで対抗措置発動又は不発動等に関する会社法上の機関としての決議を行うものとする。
なお、当社取締役会は、特別委員会が対抗措置の発動について勧告を行い、発動の決議について株主の意思を確認するための株主総会(以下「株主意思確認総会」という。)の開催を要請する場合には、株主が本プランによる対抗措置を発動することの可否を十分に検討するための期間(以下「株主検討期間」という。)として最長60日間の期間を設定し、当該株主検討期間中に株主意思確認総会を開催することがある。ただし、当社取締役会は、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合においては、大規模買付行為が以下の(ⅰ)から(ⅴ)のいずれかに該当するとして特別委員会から対抗措置を発動すべき旨の勧告を受けた場合を除き、対抗措置を発動する場合には、株主検討期間を設定し、株主意思確認総会を必ず開催するものとする。
(ⅰ)真に当社グループの経営に参加する意思がないにもかかわらず、ただ株価をつり上げて高値で当社の関係者に引き取らせる目的で当社株式の買収を行っていると判断される場合(いわゆるグリーンメーラーである場合)
(ⅱ)当社グループの経営を一時的に支配して当社グループの事業経営上必要な知的財産権、ノウハウ、企業秘密情報、主要取引先や顧客等を大規模買付者やそのグループ会社等に移譲させるなど、いわゆる焦土化経営を行う目的で当社株式の買収を行っていると判断される場合
(ⅲ)当社グループの経営を支配した後に、当社グループの資産を大規模買付者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する予定で当社株式の買収を行っていると判断される場合
(ⅳ)当社グループの経営を一時的に支配して当社グループの事業に当面関係していない不動産、有価証券など高額資産等を売却等処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるかあるいは一時的高配当による株価の急上昇の機会を狙って当社株式の高値売り抜けをする目的で当社株式の買収を行っていると判断される場合
(ⅴ)大規模買付者の提案する当社株式の買付方法が、いわゆる強圧的二段階買収(最初の買付で当社株式の全部の買付を勧誘することなく、二段階目の買収条件を不利に設定し、あるいは明確にしないで、公開買付等による株式の買付を行うことをいう。)等の、株主の判断の機会又は自由を制約し、事実上、株主に当社株式の売却を強要するおそれがあると判断される場合
株主意思確認総会において対抗措置の発動又は不発動について決議等がなされた場合、当社取締役会は、当該株主意思確認総会の決議等に従うものとする。したがって、当該株主意思確認総会において対抗措置を発動することを否決する決議等がなされた場合には、当社取締役会は対抗措置を発動しない。
⑤ 本プランの有効期限
本プランの有効期限は、平成31年(2019年)6月30日までに開催される第7回定時株主総会の終結の時までとする。
(4)本プランが基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないこと
① 買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
本プランは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足している。
また、経済産業省に設置された企業価値研究会が平成20年6月30日に発表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」及び東京証券取引所が平成27年6月1日に公表した「コーポレートガバナンス・コード」の「原則1-5いわゆる買収防衛策」の内容も踏まえたものとなっている。
② 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって継続されていること
本プランは、当社株式に対する大規模買付行為がなされた際に、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保したり、株主のために買付者と交渉を行うこと等を可能とすることで、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって継続したものである。
本プランは、株主の承認を得て発効したものであり、株主が望めば本プランの廃止も可能であることは、本プランが株主共同の利益を損なわないことを担保していると考えられる。
また、当社取締役は当社の定款において、その任期は1年と定められている。したがって、毎年の当社定時株主総会における取締役の選任議案に関する議決権の行使を通じても、本プランに関する株主の意向を反映することが可能となっている。
③ 当社取締役会の恣意的判断の排除
大規模買付行為に関して当社取締役会が評価・検討、取締役会としての意見の取りまとめ、代替案の提示、もしくは大規模買付者との交渉を行い、又は対抗措置を発動する際には、独立した第三者である外部専門家の助言を得るとともに、当社の業務執行を行う経営陣から独立している委員で構成される特別委員会への諮問を必ず行い、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされている。
また、その勧告内容の概要については株主に公表することとされており、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に適うように本プランの透明な運用を担保するための手続きも確保されている。
さらに、当社取締役会が対抗措置の発動を決議する場合には、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合、又は大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合において大規模買付行為が上記(3)④の(ⅰ)から(ⅴ)のいずれかに該当するとして特別委員会から対抗措置を発動すべき旨の勧告を受けた場合を除き、株主意思確認総会を必ず開催し、株主意思確認総会において対抗措置の発動又は不発動について決議等がなされた場合、当社取締役会は、当該株主意思確認総会の決議等に従うものとされており、対抗措置の発動に際して当社取締役会の恣意的判断を排除するための手続きが確保されている。
④ デッドハンド型やスロー・ハンド型の買収防衛策ではないこと
本プランは、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会によりいつでも廃止することができるものとされており、当社の株式を大量に買い付けようとする者が、自己の指名する取締役を当社株主総会で選任し、かかる取締役で構成される取締役会により、本プランを廃止することが可能である。
したがって、本プランは、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではない。
また、当社の取締役任期は1年のため、本プランは、スロー・ハンド型買収防衛策(取締役の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間がかかる買収防衛策)でもない。
4.研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費の金額は43億28百万円である。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はない。
1.財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、企業収益や雇用情勢の改善等を背景に緩やかに回復した。世界経済においても、米国での着実な景気回復などを中心に緩やかな回復が続いているが、米国政権の通商政策に基づく貿易摩擦問題の動向など、景気の先行きは不透明な状況が継続している。
幅広い需要分野を持つわが国アルミ業界においては、アルミ製品の需要は缶材などの食料品関連が減少したが、リチウムイオン電池向けなどが増加しており、総じて堅調に推移した。
このような経済環境のもと、当社グループにおいては、アルミナ・化成品、二次合金、パネルシステム部門などが堅調に推移しており、半導体関連などで弱い動きがあるものの、全体としては堅調に推移した。
当社グループの当第3四半期連結累計期間の業績については、売上高は前年同期の3,557億56百万円に比べ226億46百万円(6.4%)増の3,784億2百万円となり、営業利益は前年同期の232億81百万円から24百万円(0.1%)減の232億57百万円、経常利益は前年同期の231億45百万円から5億51百万円(2.4%)増の236億96百万円となった。また、親会社株主に帰属する四半期純利益については、前年同期の149億11百万円から10億91百万円(7.3%)増の160億2百万円となった。
なお、当社グループでは、平成29年3月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画をスタートさせ、①グループ連携による新商品・新ビジネスモデルの創出、②地域別×分野別戦略による事業展開、③企業体質強化(事業基盤強化)を基本方針とし、グループ連携を強化することで、連結収益の最大化を図っている。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
(アルミナ・化成品、地金)
アルミナ・化成品部門においては、主力の水酸化アルミニウムおよびアルミナ関連製品において、凝集剤向け、耐火物向けなどの販売が好調に推移し、化学品関連では、有機塩化物の販売が減少したものの、凝集剤、無機塩化物の販売が増加したことにより部門全体の売上高は前年同期を上回った。採算面では販売量の増加に加え、高付加価値化の進展や製品価格改定の効果により、前年同期に比べ増益となった。
地金部門においては、主力の自動車向け二次合金の分野において、国内の販売増に加え、海外でもタイを中心に好調に推移し、全体の販売量は前年同期を上回った。採算面では、販売量の増加に加え、タイの第2工場の本格稼働による生産性改善などで前年同期に比べ増益となった。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間のアルミナ・化成品、地金セグメントの売上高は前年同期の817億58百万円に比べ85億90百万円(10.5%)増の903億48百万円、営業利益は前年同期の73億6百万円から9億12百万円(12.5%)増の82億18百万円となった。
(板、押出製品)
板製品部門においては、半導体・液晶製造装置向けの厚板や加工部品、パソコン・タブレット筐体向けの板加工品などの販売量が減少したことにより、売上高は前年同期を下回った。採算面でも販売量の減少に加え、原燃料価格の上昇による影響などで、前年同期に比べ減益となった。
押出製品部門においては、主力であるトラック架装向けの販売が弱含みで推移したものの、中国での自動車部品関連が堅調であったことなどにより、売上高は前年同期を上回った。採算面では原燃料価格の上昇による影響などもあったが、前年同期並みとなった。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の板、押出製品セグメントの売上高は前年同期の800億50百万円に比べ17億18百万円(2.1%)増の817億68百万円となったが、営業利益は前年同期の75億83百万円から16億13百万円(21.3%)減の59億70百万円となった。
(加工製品、関連事業)
輸送関連部門においては、トラック架装事業は販売台数が増加したものの、主に小型トラック向けの増加であったこともあり、売上高は前年同期並みとなった。採算面では材料価格の上昇などにより減益となった。
パネルシステム部門においては、冷凍・冷蔵分野では食品加工工場などの低温物流施設で好調な需要が継続し、クリーンルーム分野においても医薬・バイオ向けの需要が堅調に推移し、売上高は前年同期を上回った。
土木・建築などインフラ向けのアルミ加工製品などを扱う景観エンジニアリング部門においては、平成30年9月末に株式会社住軽日軽エンジニアリングを子会社化したことにより、売上高、営業利益が増加している。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の加工製品、関連事業セグメントの売上高は前年同期の1,223億80百万円に比べ111億85百万円(9.1%)増の1,335億65百万円、営業利益は前年同期の65億35百万円から10億93百万円(16.7%)増の76億28百万円となった。
(箔、粉末製品)
箔部門においては、リチウムイオン電池外装用箔や正極材用箔の販売量が増加し、部門全体での売上高は前年同期を上回った。
パウダー・ペースト部門においては、ペースト製品は輸出向け、粉末製品は放熱基板用の窒化アルミなどの販売が堅調に推移した。
ソーラー部門においては、太陽電池用機能性インキの販売は堅調に推移しているものの、太陽電池用バックシートは中国政府の太陽光発電設備導入に関する支援策見直しの影響や価格競争の激化などによる販売量の減少で、売上高は前年同期を下回った。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の箔、粉末製品セグメントの売上高は前年同期の715億68百万円に比べ11億53百万円(1.6%)増の727億21百万円となったが、営業利益は前年同期の42億3百万円から2億34百万円(5.6%)減の39億69百万円となった。
財政状態については、当第3四半期連結会計期間末の総資産は、たな卸資産が増加したことなどにより、前連結会計年度末と比べて61億64百万円増の4,733億63百万円となった。
負債は、その他流動負債の減少などにより、前連結会計年度末に比べて26億22百万円減の2,752億55百万円となった。
純資産合計は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末と比べて87億86百万円増の1,981億8百万円となった。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末の37.2%から38.8%となった。
2.経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はない。
3.事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更はない。なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりである。
(1)基本方針の内容
当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方としては、当社を支える様々なステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考える。
したがって、当社は、特定の者又はグループ(特定の者又はグループを以下「買付者」という。)による、当社の財務及び事業の方針の決定を支配することを目的とする当社株式の大規模な買付行為や買付提案であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではない。また、株式上場会社として当社株式の自由な売買が認められている以上、買付者の大規模な買付行為に応じて当社株式を売却するか否かは、最終的には株主の判断に委ねられるべきものである。
しかしながら、株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、その目的等から見て企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を強要するおそれのあるもの、対象会社の取締役会や株主が買付行為や買付提案の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するために合理的に必要十分な時間や情報を提供しないもの、買付条件等が対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に照らして著しく不十分又は不適当であるもの、対象会社の企業価値の維持・増大に必要不可欠なステークホルダーとの関係を破壊する意図のあるものなど、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくない。
上記の例を含め、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうおそれが認められる場合には、当該買付者を当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切でないと判断すべきであると考える。
(2)基本方針の実現に資する特別な取組み
当社グループは、「アルミとアルミ関連素材の用途開発を永遠に続けることによって、人々の暮らしの向上と地球環境の保護に貢献していく」という日軽金グループの使命(経営理念)のもと、「アルミニウム」というユニークで優れた特性を有する素材の可能性を開拓することによって、企業価値の持続的向上に努めてきた。
当社グループの事業を大きな川にたとえると、アルミナ・化成品の製造が最も上流の工程となり、次いでアルミ合金地金の製造が続く。さらにアルミを素材として、アルミ板、アルミ押出製品から、箔・粉末製品、輸送関連製品などの各種加工製品に至るまで、広範な領域において事業展開している。
当社グループでは、グループ全体として持続的に発展し、企業価値の向上を図るためには、経営と執行の分離をより徹底させた連結経営体制への変革が必要と判断し、平成24年10月1日付で純粋持株会社としてグループ全体を統括する当社を設立するとともに、平成25年4月を起点とする3ヵ年の中期経営計画(以下「前中計」という。)では、その基本方針である「地域別×分野別戦略による事業展開」「新商品・新ビジネスによる成長ドライバー創出」「企業体質強化」に基づき連結収益の最大化に向けた数々の施策を実行し、その結果、当初設定した前中計の経営目標を概ね達成した。
そして、平成28年4月には平成28年度から平成30年度までの3ヵ年の新たな中期経営計画がスタートした。この新たな中期経営計画では、前中計で定めていた目標値を達成する原動力となったアルミニウム素材に関する深い洞察力、経験に裏打ちされた加工開発、サービス力等を当社グループの最大の強みと認識し、さらにチーム日軽金として、こうした強みを一段と強化することにより、他社の追随を許さない「異次元の素材メーカー」としての地位を確固たるものにすべく、以下の基本方針を掲げている。
① グループ連携による新商品・新ビジネスモデルの創出
当社グループは、アルミニウムに関する広範な事業領域を有しており、グループ連携による横断的・複眼的視点で顧客のニーズを汲み上げ、付加価値を生むための知恵を結集させることによって、ものづくりだけに止まらず、設計、施工、サービス、メンテナンスからビジネスコンセプトに至るまでの総合力で競争優位性を持った新商品・新ビジネスを創り上げ、グループの成長を目指していく。
当社グループは、グループ連携の強みを徹底的に探究することで、複合的で差別性のある利益率の高い新商品・新ビジネスモデルを創出し、専業化・大規模化の潮流とは一線を画した、付加価値の高度化によって、比類なき価値創造力・競争力を有する企業集団としての姿をさらに追求していく。
② 地域別×分野別戦略による事業展開
経営資源を投入する分野を地域と市場分野の組合せから選別し、投資の収益性を最大化させることに加え、海外展開では、これまでの中国・東南アジアを中心とした事業展開から、その他アジア地域・北米地域まで視野に入れた展開を積極的に推進し、真にグローバル企業と呼ばれるに値する企業体への変革を図る。
また、地域と市場分野の多種多様な組合せに機動的・効率的に対応できるよう、グループ各社・各部門の垣根を取り払い、ビジネスに即して自由自在に集合・離散できる柔軟で俊敏な組織設計を行い、これを運用していく。
③ 企業体質強化(事業基盤強化)
上記基本方針の実現に不可欠な「グループ連携の視点でビジネス創生できる人財」を育むための教育制度を拡充するとともに、国内・海外、グループ会社・各部門間の人財の流動性を高め、人財の国際化・多様化を推進していく。
また、グループ間の協業等を通じ、高付加価値品の開発、海外への販路開拓、成長市場への販売強化等を推し進め、化成品事業、板事業等の収益向上を図るとともに、新規に海外進出した拠点の収益安定化にも努めていく。
当社グループは、以上の基本方針に基づくアクションプランに果敢に取り組み、今後もグループ一丸となり総力を挙げて、企業価値ひいては株主共同の利益の向上に邁進する所存である。
(3)不適切な者による支配の防止に関する取組み
当社では、上記(1)に述べた基本方針に照らして、不適切な者により当社の財務及び事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みとして、平成28年5月13日開催の当社取締役会において「当社株式の大規模買付行為への対応策(買収防衛策)」(以下「本プラン」という。)への更新につき株主に承認を求めることを決議し、平成28年6月24日開催の第4回定時株主総会において、株主の承認を得た。また、当社は本プランへの更新に伴い、特別委員会を設置し、特別委員会の委員として、林良一、早野利人及び安井洸治の3氏が選任され、就任している。
本プランの概要は以下のとおりである。
① 本プランの対象となる当社株式の買付
本プランの対象となる当社株式の買付とは、特定株主グループ(当社株券等の保有者及びその共同保有者、又は買付等を行う者及びその特別関係者)の議決権割合を20%以上とすることを目的とする当社株券等の買付行為、又は結果として特定株主グループの議決権割合が20%以上となる当社株券等の買付行為(いずれについても事前に当社取締役会が同意し、かつ公表したものを除き、また市場取引、公開買付等の具体的な買付方法の如何を問わない。以下、かかる買付行為を「大規模買付行為」といい、かかる買付行為を行う者を「大規模買付者」という。)とする。
② 特別委員会の設置
本プランにおいて当社が設定した大規模買付行為を行う際の情報提供等に関するルール(以下「大規模買付ルール」という。)が遵守されたか否か、あるいは大規模買付ルールが遵守された場合でも、当該大規模買付行為が当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうものであることを理由として対抗措置をとるか否かについては、後記(3)④に定義する株主意思確認総会の決議等がある場合にはそれに従うことを条件として当社取締役会が最終的な判断を行うが、本プランを適正に運用し、当社取締役会によって恣意的な判断がなされることを防止し、その判断の合理性・公正性を担保するため、特別委員会規程を定めるとともに、特別委員会を設置する。特別委員会の委員は3名以上とし、公正で中立的な判断を可能とするため、当社の業務執行を行う経営陣から独立している社外取締役、社外監査役又は社外有識者のいずれかに該当する者の中から当社取締役会が選任する。当社取締役会は、対抗措置を発動するか否かを判断するに先立ち、特別委員会に対し対抗措置の発動の是非について必ず諮問することとし、特別委員会は当社の企業価値ひいては株主共同の利益の向上の観点から大規模買付行為について慎重に評価・検討のうえで、当社取締役会に対し対抗措置を発動することができる状態にあるか否かについての勧告を行うものとする。当社取締役会は、特別委員会の勧告を最大限尊重したうえで対抗措置の発動について決定することとする。特別委員会の勧告内容については、その概要を適宜公表することとする。
③ 大規模買付ルールの概要
大規模買付者が大規模買付行為を行おうとする場合には、事前に大規模買付ルールに従う旨の法的拘束力を有する誓約文言など、一定の事項を記載した意向表明書を提出するものとする。当社取締役会は、意向表明書を受領した日の翌日から起算して10営業日以内に、大規模買付者に対して、大規模買付行為に関する情報として当社取締役会への提出を求める事項(以下「評価必要情報」という。)について記載した書面(以下「評価必要情報リスト」という。)を交付し、大規模買付者には、評価必要情報リストの記載に従った評価必要情報の提出を求める。当社取締役会は、大規模買付者が当社取締役会に対し評価必要情報の提供を完了した後、対価を現金(円貨)のみとする公開買付による当社全株式の買付の場合は最長60日間又はその他の大規模買付行為の場合は最長90日間の取締役会評価期間を設定する。取締役会評価期間中、当社取締役会は、必要に応じて独立した第三者である外部専門家等の助言を受けながら、提供された評価必要情報を十分に評価・検討するとともに、特別委員会への諮問を必ず行いその勧告を最大限尊重したうえで、当社取締役会としての意見を慎重にとりまとめ、公表する。また、必要に応じ、大規模買付者との間で大規模買付行為に関する条件改善について交渉することや、当社取締役会として株主へ代替案を提示することもある。
④ 大規模買付行為がなされた場合の対応方針
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合には、具体的な買付方法の如何にかかわらず、当社取締役会は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を守ることを目的として、新株予約権の無償割当等、会社法その他の法律及び当社定款が認める対抗措置をとることにより大規模買付行為に対抗する場合がある。なお、大規模買付ルールを遵守したか否かを判断するにあたっては、大規模買付者側の事情をも合理的な範囲で十分勘案し、少なくとも評価必要情報の一部が提出されないことのみをもって大規模買付ルールを遵守しないと認定することはしないものとする。
大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合には、当社取締役会は、仮に当該大規模買付行為に反対であったとしても、当該買付提案についての反対意見を表明したり、代替案を提示することにより、株主を説得するに留め、原則として当該大規模買付行為に対する対抗措置はとらない。大規模買付者の買付提案に応じるか否かは、株主において、当該買付提案及び当社が提示する当該買付提案に対する意見、代替案等を考慮のうえ、判断することになる。
ただし、大規模買付ルールが遵守されている場合であっても、当該大規模買付行為が、当社に回復し難い損害をもたらすなど、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を著しく損なうと当社取締役会が判断し、かつ対抗措置を発動することが相当であると認められる場合には、例外的に当社取締役会は、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を守ることを目的として必要かつ相当な範囲で、新株予約権の無償割当等の対抗措置の発動を決定することができるものとする。
当社取締役会は、対抗措置の発動の是非について判断を行う場合は特別委員会への諮問を必ず行うとともにその勧告を最大限尊重し、対抗措置の必要性、相当性等を十分検討したうえで対抗措置発動又は不発動等に関する会社法上の機関としての決議を行うものとする。
なお、当社取締役会は、特別委員会が対抗措置の発動について勧告を行い、発動の決議について株主の意思を確認するための株主総会(以下「株主意思確認総会」という。)の開催を要請する場合には、株主が本プランによる対抗措置を発動することの可否を十分に検討するための期間(以下「株主検討期間」という。)として最長60日間の期間を設定し、当該株主検討期間中に株主意思確認総会を開催することがある。ただし、当社取締役会は、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合においては、大規模買付行為が以下の(ⅰ)から(ⅴ)のいずれかに該当するとして特別委員会から対抗措置を発動すべき旨の勧告を受けた場合を除き、対抗措置を発動する場合には、株主検討期間を設定し、株主意思確認総会を必ず開催するものとする。
(ⅰ)真に当社グループの経営に参加する意思がないにもかかわらず、ただ株価をつり上げて高値で当社の関係者に引き取らせる目的で当社株式の買収を行っていると判断される場合(いわゆるグリーンメーラーである場合)
(ⅱ)当社グループの経営を一時的に支配して当社グループの事業経営上必要な知的財産権、ノウハウ、企業秘密情報、主要取引先や顧客等を大規模買付者やそのグループ会社等に移譲させるなど、いわゆる焦土化経営を行う目的で当社株式の買収を行っていると判断される場合
(ⅲ)当社グループの経営を支配した後に、当社グループの資産を大規模買付者やそのグループ会社等の債務の担保や弁済原資として流用する予定で当社株式の買収を行っていると判断される場合
(ⅳ)当社グループの経営を一時的に支配して当社グループの事業に当面関係していない不動産、有価証券など高額資産等を売却等処分させ、その処分利益をもって一時的な高配当をさせるかあるいは一時的高配当による株価の急上昇の機会を狙って当社株式の高値売り抜けをする目的で当社株式の買収を行っていると判断される場合
(ⅴ)大規模買付者の提案する当社株式の買付方法が、いわゆる強圧的二段階買収(最初の買付で当社株式の全部の買付を勧誘することなく、二段階目の買収条件を不利に設定し、あるいは明確にしないで、公開買付等による株式の買付を行うことをいう。)等の、株主の判断の機会又は自由を制約し、事実上、株主に当社株式の売却を強要するおそれがあると判断される場合
株主意思確認総会において対抗措置の発動又は不発動について決議等がなされた場合、当社取締役会は、当該株主意思確認総会の決議等に従うものとする。したがって、当該株主意思確認総会において対抗措置を発動することを否決する決議等がなされた場合には、当社取締役会は対抗措置を発動しない。
⑤ 本プランの有効期限
本プランの有効期限は、平成31年(2019年)6月30日までに開催される第7回定時株主総会の終結の時までとする。
(4)本プランが基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないこと
① 買収防衛策に関する指針の要件を充足していること
本プランは、経済産業省及び法務省が平成17年5月27日に発表した「企業価値・株主共同の利益の確保又は向上のための買収防衛策に関する指針」の定める三原則(企業価値・株主共同の利益の確保・向上の原則、事前開示・株主意思の原則、必要性・相当性確保の原則)を充足している。
また、経済産業省に設置された企業価値研究会が平成20年6月30日に発表した報告書「近時の諸環境の変化を踏まえた買収防衛策の在り方」及び東京証券取引所が平成27年6月1日に公表した「コーポレートガバナンス・コード」の「原則1-5いわゆる買収防衛策」の内容も踏まえたものとなっている。
② 株主共同の利益の確保・向上の目的をもって継続されていること
本プランは、当社株式に対する大規模買付行為がなされた際に、当該大規模買付行為に応じるべきか否かを株主が判断し、あるいは当社取締役会が代替案を提案するために必要な情報や時間を確保したり、株主のために買付者と交渉を行うこと等を可能とすることで、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保し、向上させるという目的をもって継続したものである。
本プランは、株主の承認を得て発効したものであり、株主が望めば本プランの廃止も可能であることは、本プランが株主共同の利益を損なわないことを担保していると考えられる。
また、当社取締役は当社の定款において、その任期は1年と定められている。したがって、毎年の当社定時株主総会における取締役の選任議案に関する議決権の行使を通じても、本プランに関する株主の意向を反映することが可能となっている。
③ 当社取締役会の恣意的判断の排除
大規模買付行為に関して当社取締役会が評価・検討、取締役会としての意見の取りまとめ、代替案の提示、もしくは大規模買付者との交渉を行い、又は対抗措置を発動する際には、独立した第三者である外部専門家の助言を得るとともに、当社の業務執行を行う経営陣から独立している委員で構成される特別委員会への諮問を必ず行い、同委員会の勧告を最大限尊重するものとされている。
また、その勧告内容の概要については株主に公表することとされており、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に適うように本プランの透明な運用を担保するための手続きも確保されている。
さらに、当社取締役会が対抗措置の発動を決議する場合には、大規模買付者が大規模買付ルールを遵守しなかった場合、又は大規模買付者が大規模買付ルールを遵守した場合において大規模買付行為が上記(3)④の(ⅰ)から(ⅴ)のいずれかに該当するとして特別委員会から対抗措置を発動すべき旨の勧告を受けた場合を除き、株主意思確認総会を必ず開催し、株主意思確認総会において対抗措置の発動又は不発動について決議等がなされた場合、当社取締役会は、当該株主意思確認総会の決議等に従うものとされており、対抗措置の発動に際して当社取締役会の恣意的判断を排除するための手続きが確保されている。
④ デッドハンド型やスロー・ハンド型の買収防衛策ではないこと
本プランは、当社の株主総会で選任された取締役で構成される取締役会によりいつでも廃止することができるものとされており、当社の株式を大量に買い付けようとする者が、自己の指名する取締役を当社株主総会で選任し、かかる取締役で構成される取締役会により、本プランを廃止することが可能である。
したがって、本プランは、デッドハンド型買収防衛策(取締役会の構成員の過半数を交替させてもなお、発動を阻止できない買収防衛策)ではない。
また、当社の取締役任期は1年のため、本プランは、スロー・ハンド型買収防衛策(取締役の交替を一度に行うことができないため、その発動を阻止するのに時間がかかる買収防衛策)でもない。
4.研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費の金額は43億28百万円である。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はない。