四半期報告書-第8期第3四半期(令和1年10月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/02/10 14:38
【資料】
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【項目】
36項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものである。
1.財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間における世界経済は、米中貿易摩擦による中国経済の減速など先行き不透明な状況が継続している。わが国経済も電機・電子関連や自動車分野などで輸出や生産の力強さを欠いており、設備投資の抑制や在庫調整といった慎重な動きが続いている。
当社グループにおいても半導体関連および自動車の需要減少により板製品部門や押出製品部門、二次合金分野で販売量が減少したほか、パネルシステム部門などでも販売量が前年同期を下回った。
当社グループの当第3四半期連結累計期間の業績については、売上高は前年同期の3,784億2百万円に比べ287億51百万円(7.6%)減の3,496億51百万円となり、営業利益は前年同期の232億57百万円から52億17百万円(22.4%)減の180億40百万円、経常利益は前年同期の236億96百万円から58億22百万円(24.6%)減の178億74百万円となった。また、親会社株主に帰属する四半期純利益については、前年同期の160億2百万円から43億12百万円(26.9%)減の116億90百万円となった。
当社グループでは、①新商品・新ビジネスの創出、②成長に向けた資源投入、③経営基盤強化を基本方針とし、2020年3月期を初年度とする3ヵ年の中期経営計画をスタートさせ、持続的成長と中長期的な企業価値向上を図っている。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
(アルミナ・化成品、地金)
アルミナ・化成品部門においては、化学品関連において、凝集剤や有機塩化物の販売が増加したが、主力の水酸化アルミニウムおよびアルミナ関連製品において、耐火物向け及び半導体関連での需要が落ち込んでいることから、部門全体の売上高は前年同期を下回った。採算面では高付加価値品の販売が堅調であったことと原料価格の高騰が一段落したことにより、前年同期に比べ増益となった。
地金部門においては、主力の自動車向け二次合金の分野において、北米の需要は堅調であるものの、国内および中国・タイにおける販売量が減少したことに加え、中国製の汎用合金流入の影響もあり、部門全体の販売量は前年同期を下回り、採算面でも前年同期に比べ減益となった。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間のアルミナ・化成品、地金セグメントの売上高は前年同期の903億48百万円に比べ120億9百万円(13.3%)減の783億39百万円となったが、営業利益は前年同期の82億18百万円から8億87百万円(10.8%)増の91億5百万円となった。
(板、押出製品)
板製品部門においては、半導体・液晶製造装置向けの厚板や環境対応車向け部材、パソコン筐体向け部材の販売量が減少したことにより、売上高は前年同期を下回り、採算面では販売量の減少に加え、アルミニウム地金価格を反映した販売価格下落の影響もあり、前年同期に比べ減益となった。
押出製品部門においては、半導体製造装置向けや自動車関連での販売量が減少したことにより売上高は前年同期を下回り、採算面では販売量の減少に加え、アルミニウム地金価格を反映した販売価格下落の影響もあり、前年同期に比べ減益となった。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の板、押出製品セグメントの売上高は前年同期の817億68百万円に比べ41億3百万円(5.0%)減の776億65百万円、営業利益は前年同期の59億70百万円から31億72百万円(53.1%)減の27億98百万円となった。
(加工製品、関連事業)
輸送関連部門においては、トラック架装事業は、小型トラック向けの販売が排ガス規制に伴う駆け込み需要の終了で反動減となった影響もあり、売上高は前年同期を下回った。採算面では販売量が減少したものの、生産性向上の効果と材料価格下落の影響により、前年同期に比べ増益となった。
パネルシステム部門においては、クリーンルーム分野では電子部品工場向けや医薬・バイオ向け需要が堅調に推移したが、冷凍・冷蔵分野では食品加工工場向け物件の減少により、売上高は前年同期を下回った。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の加工製品、関連事業セグメントの売上高は前年同期の1,335億65百万円に比べ83億76百万円(6.3%)減の1,251億89百万円、営業利益は前年同期の76億28百万円から14億69百万円(19.3%)減の61億59百万円となった。
(箔、粉末製品)
箔部門においては、リチウムイオン電池外装用箔や正極材用箔は、スマートフォン向けやパソコン向けで販売量が減少したが、車載向けの販売量増加で補うことで前年同期を上回った。しかしながら、コンデンサ用箔などで電子部品やハイテク製品の需要減少の影響を受け、部門全体での売上高は前年同期を下回った。
パウダー・ペースト部門においては、ペースト製品は、グラビア印刷用などの高付加価値品インキの販売は堅調だったが、主力の自動車塗料向けやタバコ包装向けなどでの販売量減少により、前年同期を下回った。粉末製品は、主力の放熱用途の電子材アルミパウダーや窒化アルミニウムの販売量減少により、前年同期を下回った。
ソーラー部門においては、太陽電池用バックシートは中国政府の太陽光発電設備導入に関する支援策見直しや価格競争により販売量が減少し、太陽電池用機能性インキの販売も競合他社の参入により競争が激化したこともあり、部門全体での売上高は前年同期を下回った。
以上の結果、当第3四半期連結累計期間の箔、粉末製品セグメントの売上高は前年同期の727億21百万円に比べ42億63百万円(5.9%)減の684億58百万円、営業利益は前年同期の39億69百万円から13億円(32.8%)減の26億69百万円となった。
財政状態については、当第3四半期連結会計期間末の総資産は、受取手形及び売掛金の減少などにより、前連結会計年度末と比べて23億64百万円減の4,789億39百万円となった。
負債は、支払手形及び買掛金の減少などにより、前連結会計年度末と比べて88億31百万円減の2,697億37百万円となった。
純資産は、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上による利益剰余金の増加などにより、前連結会計年度末と比べて64億67百万円増の2,092億2百万円となった。
なお、自己資本比率は前連結会計年度末の39.0%から40.4%となった。
2.経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はない。
3.事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題について、重要な変更はない。なお、当社は財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりである。
(1)基本方針の内容
当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者の在り方としては、当社を支える様々なステークホルダーとの信頼関係を十分に理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を中長期的に確保し、向上させる者でなければならないと考える。
したがって、当社は、特定の者又はグループ(特定の者又はグループを以下「買付者」という。)による、当社の財務及び事業の方針の決定を支配することを目的とする当社株式の大規模な買付行為や買付提案であっても、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを一概に否定するものではない。また、株式上場会社として当社株式の自由な売買が認められている以上、買付者の大規模な買付行為に応じて当社株式を売却するか否かは、最終的には株主の判断に委ねられるべきものである。
しかしながら、株式の大規模な買付行為や買付提案の中には、その目的等から見て企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を強要するおそれのあるもの、対象会社の取締役会や株主が買付行為や買付提案の内容等について検討し、あるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するために合理的に必要十分な時間や情報を提供しないもの、買付条件等が対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に照らして著しく不十分又は不適当であるもの、対象会社の企業価値の維持・増大に必要不可欠なステークホルダーとの関係を破壊する意図のあるものなど、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくない。
上記の例を含め、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を損なうおそれが認められる場合には、当該買付者を当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者としては適切でないと判断すべきであると考える。
(2)基本方針の実現に資する特別な取組み
当社グループは、「アルミとアルミ関連素材の用途開発を永遠に続けることによって、人々の暮らしの向上と地球環境の保護に貢献していく」という日軽金グループの使命(経営理念)のもと、「アルミニウム」というユニークで優れた特性を有する素材の可能性を開拓することによって、企業価値の持続的向上に努めてきた。
当社グループの事業を大きな川にたとえると、アルミナ・化成品の製造が最も上流の工程となり、次いでアルミ合金地金の製造が続く。さらにアルミを素材として、アルミ板、アルミ押出製品から、箔・粉末製品、輸送関連製品などの各種加工製品に至るまで、広範な領域において事業展開している。
当社グループでは、グループ全体として持続的に発展し、企業価値の向上を図るためには、経営と執行の分離をより徹底させた連結経営体制への変革が必要と判断し、2012年10月1日付で純粋持株会社としてグループ全体を統括する当社を設立し、2016年4月を起点とする3ヵ年の中期経営計画(以下「前中計」という。)では、その基本方針である「グループ連携による新商品・新ビジネスモデルの創出」「地域別×分野別戦略による事業展開」「企業体質強化(事業基盤強化)」に基づき連結収益の最大化と財務基盤の強化に向けた数々の施策を実行し、その結果、当初設定した前中計の経営目標を概ね達成した。
そして、2019年4月には2019年度から2021年度までの3ヵ年の新たな中期経営計画がスタートした。この新たな中期経営計画では、収益力の向上及び財務基盤の改善に一定の成果を上げた前中計の取り組みを強化・継続するとともに、積極的に資金・人財等の経営資源を投入し、「異次元の素材メーカー」として、さらなる成長を目指すべく、以下の3つの基本方針を掲げている。
① 新商品・新ビジネスの創出
当社グループにおいては、グループ各社がアルミニウムに関する広範な事業領域で事業展開を行っており、ものづくりに加え、設計、施工、サービスからアフターメンテナンスに至るまでの総合力を有している。この総合力を活かし、グループ各社に加え、サプライヤーをも含めた連携の強みを徹底的に追求することによって、市場のニーズに的確に対応した競争優位性のある新商品・新ビジネスを生み出し、これを既存の顧客にとどまらず、すべての顧客に提供していく。具体的には、環境対応車関連商品、リチウムイオン電池関連商品、医療用・医薬関連商品、トラック架装事業などにおけるサービス事業、国土強靭化に貢献する橋梁関連商品などに注力していく。
② 成長に向けた資源投入
足元の当社グループの状況を鑑み、さらなる成長を目指し、より積極的に資源投入していく。「小さく生んで大きく育てる」を基本原則に、市場動向を見極めたうえで、当社グループの強みを活かせる分野・地域へ攻めの投資を実行する。具体的には、国内では環境対応関連商品の設備投資やパネルシステム部門のエンジニアリング開発センターの建設などを計画している。さらに、海外では北米及びインドでの自動車分野における製造・販売拠点の設立、中国での環境対応車関連の設備投資などを計画している。
また、攻めの投資を実行するために、それぞれのビジネスに応じた俊敏な組織運営を行い、適宜、外部資源の活用を図っていく。
③ 経営基盤強化
「安全がすべてに優先する」という考えのもと、健康で安全な職場づくりとゼロ災害を目指すとともに、コンプライアンスや品質遵守の重要性についてもグループ内外を問わず全従業員に再徹底し、円滑な事業活動を行っていく。
人財は事業運営の基盤であることから、柔軟な働き方、職場環境の改善に積極的に取り組むことにより人財育成・確保に努める。また、人財多様化のさらなる推進、働き方改革などを通じて、従業員一人ひとりが仕事に責任と誇りを持ち、伸び伸びと自分の力を発揮できるように取り組んでいく。
啓発・教育にとどまらず、安全・環境対策や省人・省力化などにも積極的に資源投入することにより持続的な成長、社会との共生を図っていく。
当社グループは、以上の基本方針に基づくアクションプランに果敢に取り組み、今後もグループ一丸となり総力を挙げて、企業価値ひいては株主共同の利益の向上に邁進する所存である。
(3)不適切な者による支配の防止に関する取組み
当社では、上記(2)に述べた中期経営計画の基本方針に基づくアクションプランに果敢に取り組むとともに、機関投資家とのエンゲージメント(対話)の強化などにも努め、今後とも企業価値ひいては株主共同の利益の向上に邁進する所存である。当社株式の大規模買付行為を行おうとする者に対しては、大規模買付行為の是非を株主が適切に判断するために必要かつ十分な情報の提供を求め、あわせて取締役会の意見等を開示し、株主が検討する時間と情報の確保に努める等、金融商品取引法、会社法その他関係法令に基づき、適切な措置を講じていく。
(4)当社の取組みが基本方針に沿い、当社の企業価値ひいては株主共同の利益に合致し、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないこと
上記(2)及び(3)に述べた取組みは、当社の企業価値を継続的かつ持続的に向上させるための具体的な方策として策定されたものであり、上記(1)に述べた基本方針及び株主共同の利益に沿うものであり、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではないと判断している。
4.研究開発活動
当第3四半期連結累計期間における当社グループ全体の研究開発費の金額は4,782百万円である。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はない。