有価証券報告書-第6期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善などにより、緩やかな回復基調で推移した。世界経済においても、米国の景気回復が継続し、中国やタイで持ち直しの動きが見られるなど、総じて緩やかに回復した。
アルミニウム業界においては、自動車・トラック向けなどの輸送分野、半導体・液晶製造装置向けなどの機械分野が堅調に推移し、アルミニウム製品の総需要は前期を上回った。また、価格面では、主要生産国の中国における減産の影響などから上昇基調で推移した。
このような環境のなか、当社グループは、中期経営計画(平成28年度~平成30年度)(以下「中計」という。)の二年目として、着実に成果を上げてきた。
中計第一の基本方針である「グループ連携による新商品・新ビジネスモデルの創出」では、お客様の視点に立ってグループ連携の強みを探求し、お客様の要望を先取りした提案を行うことによって、イノベーションの進展する分野で、付加価値の高い新商品を数多く生み出してきた。具体的には、電気自動車においては、軽量化とともに放熱が重要な課題となっていることに着目し、当社グループの設計、合金開発、加工技術などを融合したバッテリー冷却プレートの販売を開始した。このほか、リチウムイオン電池関連、半導体関連などにおいても、当社グループの特長を活かした幅広い新商品を創出した。
中計第二の基本方針である「地域別×分野別戦略による事業展開」では、地域と市場分野の組合せから経営資源を投入する分野を選別し、投資の収益性最大化に努めてきた。具体的には、国内では、環境への配慮・構造物の防火性能がより重視される傾向を受け、ノンフロン断熱不燃パネルの生産ラインを増設するとともに、半導体・液晶製造装置向けを中心に需要が旺盛な板事業においても、設備改良などで順次生産能力を高めた。海外では、中国・東南アジア以外での展開を積極的に推進しており、北米ではマーケティング拠点を設置し、事業展開の足がかりを築くとともに、インドでは、前期に設立した合弁会社が塗料向けアルミペーストの製造を開始している。
中計第三の基本方針である「企業体質強化(事業基盤強化)」のうち、課題事業の収益力向上については、板加工を行う株式会社東陽理化学研究所では、グループを挙げた支援体制のもとで良品率の改善、生産体制のさらなる合理化などを推し進め、収益が大幅に改善した。また、アルミナ事業では、原燃料価格の高騰により前期比減益となったが、品種構成の改善、製品価格改定などに努めた。さらに、海外赤字拠点の黒字化については、中国のトレーラ事業、タイのトラック事業において、新商品の投入、販売網の強化などにより、損益が改善してきている。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
(アルミナ・化成品、地金)
アルミナ・化成品部門においては、アルミナ関連では、主力製品の水酸化アルミニウムおよびアルミナにおいて、韓国向けを中心に輸出が減少したが、凝集剤向け、耐火物向けなどの国内販売が堅調に推移した。化学品関連では、有機塩化物の需要が減少した一方で、凝集剤、無機塩化物の販売が増加した。以上の結果、部門全体で前期を上回る売上となったが、原燃料価格の高騰が利益を押し下げ、収益性を重視した品種構成への転換、製品価格改定などに努めたものの、採算面では減益となった。
地金部門においては、主力の自動車向け二次合金の分野において、国内の販売量は前期並みとなったが、海外ではタイの新工場稼働に伴い販売増となり、また、アルミニウム地金市況を反映して販売価格が上昇したことから、前期を上回る売上となった。採算面では、原燃料価格の上昇に加え、価格競争も激化したため、減益となった。
以上の結果、アルミナ・化成品、地金セグメントの売上高は前期比9.1%増の1,111億円となったが、営業利益は前期比11.6%減の89億54百万円となった。
(板、押出製品)
板製品部門においては、半導体・液晶製造装置向け厚板・関連部品の旺盛な需要に加え、リチウムイオン電池向けやトラック架装向け板材、パソコン・タブレット筐体向け板加工品などで出荷が堅調に推移した。また、販売価格がアルミニウム地金市況を反映して上昇したことにより、前期を上回る売上となった。採算面においても、高付加価値品の販売比率の上昇や、板加工事業の収益が改善したことなどから、増益となった。
押出製品部門においては、自動車向けが国内で伸び悩み、海外でも一部拠点で商品搭載車種の販売不振により苦戦したが、その他の海外拠点は好調であったことに加え、トラック架装向け、産業機器・機械向け需要も高水準で推移した。また、アルミニウム地金市況を反映して販売価格が上昇したことから、前期を上回る売上となり、採算面でも増益となった。
以上の結果、板、押出製品セグメントの売上高は前期比9.0%増の1,069億55百万円、営業利益は前期比25.6%増の97億67百万円となった。
(加工製品、関連事業)
輸送関連部門のうち、トラックの架装事業においては、高い水準の国内需要が継続したことに加え、交代制勤務(2直化体制)を導入し生産能力を引き上げたことに伴い、前期を上回る売上となったが、採算面では、材料価格の上昇、2直化実施に伴う諸費用の増加により、減益となった。
エアコン用コンデンサは、主力の国内軽自動車向けにおいて、需要増加により既存商品が堅調に推移したことに加え、電気自動車向け新商品の販売も順調に拡大し、前期を大幅に上回る売上となった。
素形材製品は、国内自動車生産台数の増加により受注が堅調となり、中国向けの輸出も好調に推移したことから、前期を上回る売上となった。
電子材料部門においては、アルミ電解コンデンサ用電極箔は、工場の自動化投資の拡大や、自動車の電装化・電動化の進展により需要が増加し、前期を上回る売上となったが、採算面では、海外生産品との競争激化などにより、前期並みとなった。
パネルシステム部門においては、冷凍・冷蔵分野では、食品加工工場向けが堅調に推移するとともに、生鮮食品のネット通販拡大に伴い低温流通倉庫向けが大幅に増加した。また、クリーンルーム分野では、フラッシュメモリなど半導体関連の需要が底堅く推移し、ジェネリック医薬品関連も増加したことから、部門全体で、前期を上回る高い水準の売上となった。
炭素製品部門においては、顧客となる鉄鋼・アルミニウム製錬業界の業績回復により、主力製品の高炉・電炉用カーボンブロックやカソードなどの販売が増加した結果、前期を大幅に上回る売上となり、損益面でも大きく改善した。
以上の結果、加工製品、関連事業セグメントの売上高は前期比9.3%増の1,690億19百万円となったが、営業利益は前期比4.5%減の97億83百万円となった。
(箔、粉末製品)
箔部門においては、電解コンデンサ用高純度アルミ箔は、高付加価値品の販売が堅調に推移した。一方、一般箔においては、ICカード用アンテナ回路向け製品の販売が落ち込み、医薬包材向け加工箔の需要も伸び悩んだが、食品向け撥水性加工箔、リチウムイオン電池外装用プレーン箔の販売が好調に推移したことにより、部門全体の売上は、前期を上回った。
パウダー・ペースト部門においては、ペースト製品は、家電向け、食品包材のインキ向けの販売が減少したが、海外市場を中心に着色アルミペーストの採用が拡大するなど、主力の自動車塗料向けの販売が増加した。また、粉末製品でも、放熱基板用の窒化アルミの販売が好調に推移し、部門全体で、前期を上回る売上となった。
ソーラー部門においては、太陽電池用機能性インキは、新型製品の販売が順調に拡大したが、主力の太陽電池用バックシートにおいて、中国政府の補助金引き下げによる需要減、価格競争の激化に加え、与信が懸念される一部ユーザーへの販売を抑制したため、部門全体の売上は前期を下回った。
以上の結果、箔、粉末製品セグメントの売上高は前期比0.7%増の943億65百万円となったが、営業利益は前期比11.4%減の48億56百万円となった。
②キャッシュ・フローの状況
当期末における連結ベースの現金および現金同等物については、前期末に比べ57億69百万円(15.9%)減少の305億17百万円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは258億68百万円の収入となった。これは税金等調整前当期純利益や減価償却費などの非資金損益項目が、法人税等の支払などによる支出を上回ったことによるものである。なお、営業活動によるキャッシュ・フロー収入は前年同期と比べ106億20百万円減少しているが、これは主に売上債権が増加したことによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当期における投資活動によるキャッシュ・フローは149億48百万円の支出となった。これは、主として有形固定資産の取得による支出によるものである。なお、投資活動によるキャッシュ・フロー支出は前年同期と比べ30億61百万円増加しているが、これは主に有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当期における財務活動によるキャッシュ・フローは170億40百万円の支出となった。これは、主として借入金の返済による支出があったことによるものである。なお、財務活動によるキャッシュ・フロー支出は前年同期と比べ73億92百万円減少しているが、これは主に長期借入金の返済による支出が減少したことによるものである。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績及び受注実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様でなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。
このため、生産実績及び受注実績については、「①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメント業績に関連付けて示している。
(b)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去している。
2.当連結会計年度において、主要な販売先として記載すべきものはない。
3.上記の金額には、消費税等は含まれていない。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものである。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載している。当社グループでは、以下に記載した会計方針及び会計上の見積りが、連結財務諸表作成に重要な影響を及ぼしていると考えている。
(a)貸倒引当金
当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能見込額を見積り、貸倒引当金として計上している。将来、顧客等の財務状況悪化、経営破綻等により、顧客等の支払能力が低下したとの疑義が生じたと判断される場合には、貸倒引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性がある。
(b)資産の評価
当社グループは、たな卸資産については主として原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しているが、製品別・品目別に管理している受払状況から、滞留率・在庫比率等を勘案して、陳腐化等により明らかに市場価値が滅失していると判断された場合には、帳簿価額と正味売却価額との差額を評価損として計上している。実際の市場価格が、当社グループの見積りよりも悪化した場合には、評価損の追加計上が必要となる可能性がある。
当社グループは、長期的な取引関係の維持・構築のため、一部の顧客及び金融機関等の株式を所有しており、金融商品に係る会計基準に基づいて評価している。将来において市場価格のある株式の時価が著しく下落したとき、回復する見込みがあると認められない場合には、評価損を計上する可能性がある。一方、市場価格のない株式については、将来において投資先の業績不振等により、帳簿価額に反映されていない損失あるいは帳簿価額の回収不能が発生したと判断された場合には、評価損を計上する可能性がある。
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しており、将来において、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失の追加計上が必要となる可能性がある。
(c)繰延税金資産
当社グループは、合理的で実現可能なタックスプランニングに基づき将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を充分に検討し繰延税金資産を計上している。
将来、実際の課税所得が減少した場合、あるいは将来の課税所得の見積り額が減少した場合には、当該会計期間において、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が発生する可能性がある。一方、実際の課税所得が増加した場合、あるいは将来の課税所得の見積り額が増加した場合には、繰延税金資産を認識することにより、当該会計期間の当期純利益を増加させる可能性がある。
(d)退職給付費用及び債務
当社グループは、従業員の退職給付費用及び債務を算出するに当たり、数理計算上で設定した基礎率(割引率、昇給率、退職率、死亡率、期待運用収益率等)は、統計数値等により合理的な見積りに基づいて採用している。これらの見積りを含む基礎率が実際の結果と異なる場合、その影響額は数理計算上の差異として累積され、将来期間にわたって償却されるため、将来において計上される退職給付費用及び債務に影響を及ぼす。当社グループは採用している基礎率は適切であると考えているが、実際の結果との差異が将来の当社グループの退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性がある。
②当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ186億77百万円増加し、4,673億円となった。これは、受取手形及び売掛金が増加したことなどによるものである。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ29億79百万円増加し、2,779億78百万円となった。これは、支払手形及び買掛金が増加したことなどによるものである。有利子負債残高は、前連結会計年度末の1,498億35百万円から98億38百万円減少し、1,399億97百万円となった。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ156億98百万円増加し、1,893億22百万円となった。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加などによるものである。この結果、自己資本比率(期末純資産から非支配株主持分を控除したベース)は、前連結会計年度末の35.6%から1.6ポイント上昇し、37.2%となった。
③当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)概要
当連結会計年度の売上高は4,814億39百万円(前連結会計年度比 7.4%増、330億58百万円増)、営業利益は298億93百万円(同 1.1%減、3億32百万円減)、経常利益は295億33百万円(同 12.5%増、32億81百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は180億12百万円(同 7.7%減、15億8百万円減)となった。
(b)営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度と比べ、3億32百万円減の298億93百万円となった。これは、売上高は前期を上回ったものの、原燃料価格が上昇したこと等によるものである。営業利益のセグメント毎の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載している。
(c)営業外収益・費用
営業外収益は、持分法による投資利益が増加したことなどにより、前連結会計年度と比べ、3億54百万円増加し42億2百万円となった。
営業外費用は、為替差損が縮減したことなどにより、前連結会計年度と比べ、32億59百万円減少し45億62百万円となった。
(d)特別利益・損失
特別利益は、前連結会計年度においては、投資有価証券売却益として28億21百万円、固定資産売却益として4億9百万円計上した。当連結会計年度においては、負ののれん発生益として3億円計上した。
特別損失は、前連結会計年度においては、減損損失として11億92百万円計上した。当連結会計年度においては、和解金として20億29百万円、減損損失として9億33百万円、段階取得に係る差損として1億17百万円計上した。
(e)税金費用等
当連結会計年度の税金費用(法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額)は、課税所得が減少したこと等により、前連結会計年度と比べ、10億58百万円減少し67億51百万円となった。
非支配株主に帰属する当期純利益は、主として子会社である日本フルハーフ㈱、東陽精密機器(昆山)有限公司及び日軽エムシーアルミ㈱の非支配株主に帰属する利益であり、前連結会計年度と比べ、10億30百万円増加し当連結会計年度は19億91百万円となった。
(f)親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の195億20百万円に対して7.7%減の180億12百万円となり、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の34円58銭に対し当連結会計年度は29円09銭となり5円49銭の減少となった。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載している。
⑤資本の財源及び資金の流動性に関する分析
(a)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ57億69百万円(15.9%)減少し、305億17百万円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ、106億20百万円(29.1%)減少し、258億68百万円の収入となった。これは主に売上債権が増加したことなどによるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の118億87百万円の支出に対し、当連結会計年度は149億48百万円の支出となった。これは主に有形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の244億32百万円の支出に対し、170億40百万円の支出となった。これは、主に長期借入金の返済による支出が減少したことなどによるものである。
(b)資金需要・調達及び流動性について
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、充分な流動性の維持に留意している。当社グループの資金需要としては、製品製造のための原料及び操業材料の購入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業活動に係る運転資金需要、製造設備の購入及び事業買収等の投資活動に係る長期資金需要がある。
当社グループは、資金調達に当たって資金の安定性強化と資金コストの低減に傾注しつつ、社債の発行や、主力銀行をはじめとする幅広い金融機関からの借り入れによる調達を行なっている。
また、流動性に関して、当社グループは金融情勢の変化等を勘案しながら、現金同等物の残高が適正になるように努めている。
当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度364億88百万円、当連結会計年度258億68百万円であり、キャッシュ・フローの水準としては比較的安定していると当社グループは考えているが、将来の当社グループの成長を維持するために必要な運転資金及び長期資金を調達するためには、必ずしも充分ではない可能性があると認識している。将来の成長を維持・加速するために必要な資金は、基本的に新商品・新規事業の創出による売上、収益の拡大を通じて営業キャッシュ・フローの増大により確保していく方針である。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりである。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用・所得環境の改善などにより、緩やかな回復基調で推移した。世界経済においても、米国の景気回復が継続し、中国やタイで持ち直しの動きが見られるなど、総じて緩やかに回復した。
アルミニウム業界においては、自動車・トラック向けなどの輸送分野、半導体・液晶製造装置向けなどの機械分野が堅調に推移し、アルミニウム製品の総需要は前期を上回った。また、価格面では、主要生産国の中国における減産の影響などから上昇基調で推移した。
このような環境のなか、当社グループは、中期経営計画(平成28年度~平成30年度)(以下「中計」という。)の二年目として、着実に成果を上げてきた。
中計第一の基本方針である「グループ連携による新商品・新ビジネスモデルの創出」では、お客様の視点に立ってグループ連携の強みを探求し、お客様の要望を先取りした提案を行うことによって、イノベーションの進展する分野で、付加価値の高い新商品を数多く生み出してきた。具体的には、電気自動車においては、軽量化とともに放熱が重要な課題となっていることに着目し、当社グループの設計、合金開発、加工技術などを融合したバッテリー冷却プレートの販売を開始した。このほか、リチウムイオン電池関連、半導体関連などにおいても、当社グループの特長を活かした幅広い新商品を創出した。
中計第二の基本方針である「地域別×分野別戦略による事業展開」では、地域と市場分野の組合せから経営資源を投入する分野を選別し、投資の収益性最大化に努めてきた。具体的には、国内では、環境への配慮・構造物の防火性能がより重視される傾向を受け、ノンフロン断熱不燃パネルの生産ラインを増設するとともに、半導体・液晶製造装置向けを中心に需要が旺盛な板事業においても、設備改良などで順次生産能力を高めた。海外では、中国・東南アジア以外での展開を積極的に推進しており、北米ではマーケティング拠点を設置し、事業展開の足がかりを築くとともに、インドでは、前期に設立した合弁会社が塗料向けアルミペーストの製造を開始している。
中計第三の基本方針である「企業体質強化(事業基盤強化)」のうち、課題事業の収益力向上については、板加工を行う株式会社東陽理化学研究所では、グループを挙げた支援体制のもとで良品率の改善、生産体制のさらなる合理化などを推し進め、収益が大幅に改善した。また、アルミナ事業では、原燃料価格の高騰により前期比減益となったが、品種構成の改善、製品価格改定などに努めた。さらに、海外赤字拠点の黒字化については、中国のトレーラ事業、タイのトラック事業において、新商品の投入、販売網の強化などにより、損益が改善してきている。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりである。
(アルミナ・化成品、地金)
アルミナ・化成品部門においては、アルミナ関連では、主力製品の水酸化アルミニウムおよびアルミナにおいて、韓国向けを中心に輸出が減少したが、凝集剤向け、耐火物向けなどの国内販売が堅調に推移した。化学品関連では、有機塩化物の需要が減少した一方で、凝集剤、無機塩化物の販売が増加した。以上の結果、部門全体で前期を上回る売上となったが、原燃料価格の高騰が利益を押し下げ、収益性を重視した品種構成への転換、製品価格改定などに努めたものの、採算面では減益となった。
地金部門においては、主力の自動車向け二次合金の分野において、国内の販売量は前期並みとなったが、海外ではタイの新工場稼働に伴い販売増となり、また、アルミニウム地金市況を反映して販売価格が上昇したことから、前期を上回る売上となった。採算面では、原燃料価格の上昇に加え、価格競争も激化したため、減益となった。
以上の結果、アルミナ・化成品、地金セグメントの売上高は前期比9.1%増の1,111億円となったが、営業利益は前期比11.6%減の89億54百万円となった。
(板、押出製品)
板製品部門においては、半導体・液晶製造装置向け厚板・関連部品の旺盛な需要に加え、リチウムイオン電池向けやトラック架装向け板材、パソコン・タブレット筐体向け板加工品などで出荷が堅調に推移した。また、販売価格がアルミニウム地金市況を反映して上昇したことにより、前期を上回る売上となった。採算面においても、高付加価値品の販売比率の上昇や、板加工事業の収益が改善したことなどから、増益となった。
押出製品部門においては、自動車向けが国内で伸び悩み、海外でも一部拠点で商品搭載車種の販売不振により苦戦したが、その他の海外拠点は好調であったことに加え、トラック架装向け、産業機器・機械向け需要も高水準で推移した。また、アルミニウム地金市況を反映して販売価格が上昇したことから、前期を上回る売上となり、採算面でも増益となった。
以上の結果、板、押出製品セグメントの売上高は前期比9.0%増の1,069億55百万円、営業利益は前期比25.6%増の97億67百万円となった。
(加工製品、関連事業)
輸送関連部門のうち、トラックの架装事業においては、高い水準の国内需要が継続したことに加え、交代制勤務(2直化体制)を導入し生産能力を引き上げたことに伴い、前期を上回る売上となったが、採算面では、材料価格の上昇、2直化実施に伴う諸費用の増加により、減益となった。
エアコン用コンデンサは、主力の国内軽自動車向けにおいて、需要増加により既存商品が堅調に推移したことに加え、電気自動車向け新商品の販売も順調に拡大し、前期を大幅に上回る売上となった。
素形材製品は、国内自動車生産台数の増加により受注が堅調となり、中国向けの輸出も好調に推移したことから、前期を上回る売上となった。
電子材料部門においては、アルミ電解コンデンサ用電極箔は、工場の自動化投資の拡大や、自動車の電装化・電動化の進展により需要が増加し、前期を上回る売上となったが、採算面では、海外生産品との競争激化などにより、前期並みとなった。
パネルシステム部門においては、冷凍・冷蔵分野では、食品加工工場向けが堅調に推移するとともに、生鮮食品のネット通販拡大に伴い低温流通倉庫向けが大幅に増加した。また、クリーンルーム分野では、フラッシュメモリなど半導体関連の需要が底堅く推移し、ジェネリック医薬品関連も増加したことから、部門全体で、前期を上回る高い水準の売上となった。
炭素製品部門においては、顧客となる鉄鋼・アルミニウム製錬業界の業績回復により、主力製品の高炉・電炉用カーボンブロックやカソードなどの販売が増加した結果、前期を大幅に上回る売上となり、損益面でも大きく改善した。
以上の結果、加工製品、関連事業セグメントの売上高は前期比9.3%増の1,690億19百万円となったが、営業利益は前期比4.5%減の97億83百万円となった。
(箔、粉末製品)
箔部門においては、電解コンデンサ用高純度アルミ箔は、高付加価値品の販売が堅調に推移した。一方、一般箔においては、ICカード用アンテナ回路向け製品の販売が落ち込み、医薬包材向け加工箔の需要も伸び悩んだが、食品向け撥水性加工箔、リチウムイオン電池外装用プレーン箔の販売が好調に推移したことにより、部門全体の売上は、前期を上回った。
パウダー・ペースト部門においては、ペースト製品は、家電向け、食品包材のインキ向けの販売が減少したが、海外市場を中心に着色アルミペーストの採用が拡大するなど、主力の自動車塗料向けの販売が増加した。また、粉末製品でも、放熱基板用の窒化アルミの販売が好調に推移し、部門全体で、前期を上回る売上となった。
ソーラー部門においては、太陽電池用機能性インキは、新型製品の販売が順調に拡大したが、主力の太陽電池用バックシートにおいて、中国政府の補助金引き下げによる需要減、価格競争の激化に加え、与信が懸念される一部ユーザーへの販売を抑制したため、部門全体の売上は前期を下回った。
以上の結果、箔、粉末製品セグメントの売上高は前期比0.7%増の943億65百万円となったが、営業利益は前期比11.4%減の48億56百万円となった。
②キャッシュ・フローの状況
当期末における連結ベースの現金および現金同等物については、前期末に比べ57億69百万円(15.9%)減少の305億17百万円となった。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当期における営業活動によるキャッシュ・フローは258億68百万円の収入となった。これは税金等調整前当期純利益や減価償却費などの非資金損益項目が、法人税等の支払などによる支出を上回ったことによるものである。なお、営業活動によるキャッシュ・フロー収入は前年同期と比べ106億20百万円減少しているが、これは主に売上債権が増加したことによるものである。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当期における投資活動によるキャッシュ・フローは149億48百万円の支出となった。これは、主として有形固定資産の取得による支出によるものである。なお、投資活動によるキャッシュ・フロー支出は前年同期と比べ30億61百万円増加しているが、これは主に有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものである。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当期における財務活動によるキャッシュ・フローは170億40百万円の支出となった。これは、主として借入金の返済による支出があったことによるものである。なお、財務活動によるキャッシュ・フロー支出は前年同期と比べ73億92百万円減少しているが、これは主に長期借入金の返済による支出が減少したことによるものである。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績及び受注実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様でなく、また受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしていない。
このため、生産実績及び受注実績については、「①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメント業績に関連付けて示している。
(b)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりである。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前連結会計年度比(%) | |
アルミナ・化成品 | 33,884 | 5.0 | |
地金 | 77,216 | 11.0 | |
アルミナ・化成品、地金 | 111,100 | 9.1 | |
板製品 | 59,641 | 12.1 | |
押出製品 | 47,314 | 5.3 | |
板、押出製品 | 106,955 | 9.0 | |
輸送関連製品 | 87,185 | 12.4 | |
電子材料 | 9,602 | 8.4 | |
その他 | 72,232 | 5.8 | |
加工製品、関連事業 | 169,019 | 9.3 | |
箔、粉末製品 | 94,365 | 0.7 | |
合計 | 481,439 | 7.4 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去している。
2.当連結会計年度において、主要な販売先として記載すべきものはない。
3.上記の金額には、消費税等は含まれていない。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりである。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループ(当社及び連結子会社)が判断したものである。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成している。この連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載している。当社グループでは、以下に記載した会計方針及び会計上の見積りが、連結財務諸表作成に重要な影響を及ぼしていると考えている。
(a)貸倒引当金
当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能見込額を見積り、貸倒引当金として計上している。将来、顧客等の財務状況悪化、経営破綻等により、顧客等の支払能力が低下したとの疑義が生じたと判断される場合には、貸倒引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性がある。
(b)資産の評価
当社グループは、たな卸資産については主として原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しているが、製品別・品目別に管理している受払状況から、滞留率・在庫比率等を勘案して、陳腐化等により明らかに市場価値が滅失していると判断された場合には、帳簿価額と正味売却価額との差額を評価損として計上している。実際の市場価格が、当社グループの見積りよりも悪化した場合には、評価損の追加計上が必要となる可能性がある。
当社グループは、長期的な取引関係の維持・構築のため、一部の顧客及び金融機関等の株式を所有しており、金融商品に係る会計基準に基づいて評価している。将来において市場価格のある株式の時価が著しく下落したとき、回復する見込みがあると認められない場合には、評価損を計上する可能性がある。一方、市場価格のない株式については、将来において投資先の業績不振等により、帳簿価額に反映されていない損失あるいは帳簿価額の回収不能が発生したと判断された場合には、評価損を計上する可能性がある。
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しており、将来において、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失の追加計上が必要となる可能性がある。
(c)繰延税金資産
当社グループは、合理的で実現可能なタックスプランニングに基づき将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を充分に検討し繰延税金資産を計上している。
将来、実際の課税所得が減少した場合、あるいは将来の課税所得の見積り額が減少した場合には、当該会計期間において、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が発生する可能性がある。一方、実際の課税所得が増加した場合、あるいは将来の課税所得の見積り額が増加した場合には、繰延税金資産を認識することにより、当該会計期間の当期純利益を増加させる可能性がある。
(d)退職給付費用及び債務
当社グループは、従業員の退職給付費用及び債務を算出するに当たり、数理計算上で設定した基礎率(割引率、昇給率、退職率、死亡率、期待運用収益率等)は、統計数値等により合理的な見積りに基づいて採用している。これらの見積りを含む基礎率が実際の結果と異なる場合、その影響額は数理計算上の差異として累積され、将来期間にわたって償却されるため、将来において計上される退職給付費用及び債務に影響を及ぼす。当社グループは採用している基礎率は適切であると考えているが、実際の結果との差異が将来の当社グループの退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性がある。
②当連結会計年度の財政状態の分析
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ186億77百万円増加し、4,673億円となった。これは、受取手形及び売掛金が増加したことなどによるものである。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ29億79百万円増加し、2,779億78百万円となった。これは、支払手形及び買掛金が増加したことなどによるものである。有利子負債残高は、前連結会計年度末の1,498億35百万円から98億38百万円減少し、1,399億97百万円となった。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ156億98百万円増加し、1,893億22百万円となった。これは、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加などによるものである。この結果、自己資本比率(期末純資産から非支配株主持分を控除したベース)は、前連結会計年度末の35.6%から1.6ポイント上昇し、37.2%となった。
③当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)概要
当連結会計年度の売上高は4,814億39百万円(前連結会計年度比 7.4%増、330億58百万円増)、営業利益は298億93百万円(同 1.1%減、3億32百万円減)、経常利益は295億33百万円(同 12.5%増、32億81百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は180億12百万円(同 7.7%減、15億8百万円減)となった。
(b)営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度と比べ、3億32百万円減の298億93百万円となった。これは、売上高は前期を上回ったものの、原燃料価格が上昇したこと等によるものである。営業利益のセグメント毎の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」に記載している。
(c)営業外収益・費用
営業外収益は、持分法による投資利益が増加したことなどにより、前連結会計年度と比べ、3億54百万円増加し42億2百万円となった。
営業外費用は、為替差損が縮減したことなどにより、前連結会計年度と比べ、32億59百万円減少し45億62百万円となった。
(d)特別利益・損失
特別利益は、前連結会計年度においては、投資有価証券売却益として28億21百万円、固定資産売却益として4億9百万円計上した。当連結会計年度においては、負ののれん発生益として3億円計上した。
特別損失は、前連結会計年度においては、減損損失として11億92百万円計上した。当連結会計年度においては、和解金として20億29百万円、減損損失として9億33百万円、段階取得に係る差損として1億17百万円計上した。
(e)税金費用等
当連結会計年度の税金費用(法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額)は、課税所得が減少したこと等により、前連結会計年度と比べ、10億58百万円減少し67億51百万円となった。
非支配株主に帰属する当期純利益は、主として子会社である日本フルハーフ㈱、東陽精密機器(昆山)有限公司及び日軽エムシーアルミ㈱の非支配株主に帰属する利益であり、前連結会計年度と比べ、10億30百万円増加し当連結会計年度は19億91百万円となった。
(f)親会社株主に帰属する当期純利益
親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度の195億20百万円に対して7.7%減の180億12百万円となり、1株当たり当期純利益は、前連結会計年度の34円58銭に対し当連結会計年度は29円09銭となり5円49銭の減少となった。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載している。
⑤資本の財源及び資金の流動性に関する分析
(a)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ57億69百万円(15.9%)減少し、305億17百万円となった。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ、106億20百万円(29.1%)減少し、258億68百万円の収入となった。これは主に売上債権が増加したことなどによるものである。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の118億87百万円の支出に対し、当連結会計年度は149億48百万円の支出となった。これは主に有形固定資産の取得による支出が増加したことなどによるものである。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の244億32百万円の支出に対し、170億40百万円の支出となった。これは、主に長期借入金の返済による支出が減少したことなどによるものである。
(b)資金需要・調達及び流動性について
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、充分な流動性の維持に留意している。当社グループの資金需要としては、製品製造のための原料及び操業材料の購入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業活動に係る運転資金需要、製造設備の購入及び事業買収等の投資活動に係る長期資金需要がある。
当社グループは、資金調達に当たって資金の安定性強化と資金コストの低減に傾注しつつ、社債の発行や、主力銀行をはじめとする幅広い金融機関からの借り入れによる調達を行なっている。
また、流動性に関して、当社グループは金融情勢の変化等を勘案しながら、現金同等物の残高が適正になるように努めている。
当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度364億88百万円、当連結会計年度258億68百万円であり、キャッシュ・フローの水準としては比較的安定していると当社グループは考えているが、将来の当社グループの成長を維持するために必要な運転資金及び長期資金を調達するためには、必ずしも充分ではない可能性があると認識している。将来の成長を維持・加速するために必要な資金は、基本的に新商品・新規事業の創出による売上、収益の拡大を通じて営業キャッシュ・フローの増大により確保していく方針である。