有価証券報告書-第12期(2023/04/01-2024/03/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当期の世界経済は、米国における堅調な個人消費を中心とする景気の回復等、一部の地域では持ち直しの動きがみられた一方、世界的な金融引締め、中国における不動産市場の停滞の影響による景気減速、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に加え、中東地域における地政学的リスクの高まりもあり、予断を許さない状況となりました。わが国においては、世界的な金融引締めや先行き不透明な中国経済等、海外景気の下振れによる景気の下押しリスクに加え、金融資本市場の変動、令和6年能登半島地震による経済への影響など、注視が必要な状況がみられたものの、日経平均株価が史上最高値を更新するなど、企業業績の回復や、雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しの動きなど、総じて緩やかな回復傾向がみられました。
アルミニウム業界においては、自動車関連の需要は前期に比べ増加したものの、アルミニウム製品の国内総需要は2期連続で前期を下回りました。また、原料となるアルミニウム地金などの原燃料価格は、前期と比べ比較的安定して推移しましたが、引き続き高い水準での推移となりました。
当期の業績は、以下のとおりです。
半導体関連の需要調整や中国における自動車関連向けの減速の影響を受けたものの、パネルシステム部門の好調やトラック架装関連での販売回復により、売上高は前期を上回りました。採算面においても、押出製品部門において米国新工場の操業安定化に時間を要している影響があったものの、パネルシステム部門の好調やトラック架装事業等における販売価格改定効果の拡大により、営業利益、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、前期を上回りました。
なお、当社子会社である日本軽金属株式会社が保有する雨畑ダムにおいて、2020年4月に国土交通省に提出した基本計画の進捗等に伴い、土砂搬出に新たな工程等を追加する必要があることが判明したことにより、堆砂対策費用を特別損失として計上しております。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。
(アルミナ・化成品、地金)
アルミナ・化成品部門におきましては、主力の水酸化アルミニウムおよびアルミナにおける耐火物向けやセラミックス向けでの販売減少の影響が大きく、売上高は前期を下回りました。一方、採算面では、販売減少の影響があったものの、販売価格改定の効果により、営業利益は前期を上回りました。
地金部門におきましては、主力の自動車向け二次合金分野において、国内は自動車生産の回復で販売量が増加し、海外は米国とタイでの販売好調が継続したことから、アルミニウム地金市況を反映した販売価格下落の影響で売上高は前期を下回ったものの、営業利益は前期を上回りました。
以上の結果、アルミナ・化成品、地金セグメントの売上高は前期比3.5%減の1,504億62百万円となりましたが、営業利益は前期比5.5%増の107億66百万円となりました。
(板、押出製品)
板製品部門におきましては、半導体製造装置向け厚板の販売低迷が継続していることに加え、アルミニウム地金市況を反映した販売価格下落の影響もあったことから、売上高は前期を下回りました。一方、採算面では、外注費などが増加したものの、販売価格改定の効果発現により、営業利益は前期を上回りました。
押出製品部門におきましては、トラック架装向けや国内自動車関連向けで販売回復が進んでいるものの、半導体製造装置向けの販売低迷や中国における自動車関連向けの販売減速などにより、売上高は前期を下回りました。採算面では、販売面の影響に加え、米国新工場の量産操業安定に時間を要していることから、営業損益は前期を下回りました。
なお、自動車関連市場の環境変化に対応し競争力向上を図るため、2023年10月1日付で当社グループの自動車部品事業(当部門の自動車関連向けのほか、熱交製品事業、素形材製品事業)を統合した「日軽金ALMO株式会社」が発足しました。
以上の結果、板、押出製品セグメントの売上高は前期比9.2%減の975億33百万円、営業損失は32百万円悪化の5億73百万円の損失となりました。
(加工製品、関連事業)
主要部門の概況は以下のとおりです。
輸送関連部門におきましては、トラック架装事業は、トラックシャシーの供給正常化による生産増で販売が回復していることから、売上高は前期を上回りました。採算面では販売回復に加え、販売価格改定、生産性向上、固定費削減などに努めた結果、営業損益は前期と比べ大幅に改善し、黒字化を見通せる水準まで回復しました。
その他の輸送関連部門について、熱交製品事業は、エアコン用コンデンサの販売において、国内の自動車向けが堅調に推移し売上高は前期を上回りました。採算面は、エアコン用コンデンサの価格改定効果もあり営業損益は前期から改善しました。素形材製品事業は、中国向けの需要は減速したものの、国内向けは自動車生産の回復に加えブレーキ関連新商品の投入により好調に推移し、売上高、営業利益はともに前期を上回りました。なお、熱交製品事業および素形材製品事業は、2023年10月1日以降、当社グループの自動車部品事業の統合により発足した「日軽金ALMO株式会社」の事業となっております。
電子材料部門におきましては、半導体をはじめとした電子部品業界の需要低迷が継続しアルミ電解コンデンサ用電極箔の販売が減少したことに加え、薬品など資材価格の高止まりの影響により、売上高、営業損益はともに前期を下回りました。
パネルシステム部門におきましては、冷凍・冷蔵分野では、低温流通倉庫向けの大型物件は前年並みで推移したものの店舗向けの小型物件が堅調に推移し、クリーンルーム分野では、半導体関連メーカー向けクリーンルームの旺盛な需要に支えられたことにより販売が増加したことから、部門全体の売上高は前期を上回りました。採算面は、材料価格の値上がりなどの影響はありましたが、クリーンルーム向けの大型物件の増販により営業利益は前期を上回りました。
景観エンジニアリング部門におきましては、道路・橋梁向けにおいて点検用足場製品の販売は伸長しましたが、アルミ高欄の需要が減少し、部門全体の売上高は前期並みとなりました。採算面は、建設資材価格上昇の影響があったものの、高付加価値商品の販売に注力したことなどから、営業利益は前期を上回りました。
炭素製品部門におきましては、主力の鉄鋼業界向けカーボンブロックの販売は減少しましたが、アルミ製錬用カソードブロックの販売が増加したことに加え、円安による押し上げ効果もあり、売上高、営業利益はともに前期を上回りました。
以上の結果、加工製品、関連事業セグメントの売上高は前期比11.3%増の1,704億26百万円、営業利益は輸送関連部門の収益改善が寄与し、前期から65億6百万円増の65億65百万円となりました。
(箔、粉末製品)
箔部門におきましては、リチウムイオン電池外装用箔は前期並の販売を確保し、医薬包材向け加工箔は販売価格改定による増収効果があったことに加え海外市場向けが堅調であったことから、部門全体の売上高、営業利益はともに前期を上回りました。
パウダー・ペースト部門におきましては、粉末製品は放熱用途の電子材アルミパウダーや窒化アルミの半導体関連での需要が下半期から回復傾向となり、ペースト製品は主力の自動車塗料向けが自動車生産の回復により海外向けを中心に販売増となったことから、部門全体の売上高、営業利益はともに前期を上回りました。
日用品部門におきましては、コンシューマー向けではハウスケア用品の販売増とアルミホイルの販売価格改定の効果により、パッケージ用品向けでは冷凍食品向けの需要好調による販売増と販売価格改定の効果により、部門全体の売上高、営業利益はともに前期を上回りました。
以上の結果、箔、粉末製品セグメントの売上高は前期比4.9%増の1,052億94百万円、営業利益は前期比271.1%増の56億34百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当期末における連結ベースの現金及び現金同等物については、前期末に比べ38億24百万円(12.2%)増加の350億87百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは380億41百万円の収入となりました。これは税金等調整前当期純利益や減価償却費などの非資金損益項目が、法人税等の支払などによる支出を上回ったことによるものです。なお、営業活動によるキャッシュ・フロー収入は前連結会計年度と比べ373億46百万円増加しておりますが、これは主に税金等調整前当期純利益が増加したことや前連結会計年度で大きく増加していた運転資金が改善したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは239億31百万円の支出となりました。これは、主として有形固定資産の取得による支出によるものです。なお、投資活動によるキャッシュ・フロー支出は前連結会計年度と比べ88億8百万円増加しておりますが、これは主に有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは110億49百万円の支出となりました。これは主として長期借入金の返済による支出によるものです。なお、財務活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度の85百万円の収入に対し、当連結会計年度は110億49百万円の支出となっておりますが、これは主に短期借入金の借入による収入が減少したことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績及び受注実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様でなく、また、受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産実績及び受注実績については、「①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメント業績に関連付けて示しております。
(b)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度において、主要な販売先として記載すべきものはありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 2023中期経営計画レビュー
当社グループにおいては、不確実性を増す事業環境に柔軟に対応するべく、昨年5月、「新生チーム日軽金への取組み」および「社会的な価値の創出に寄与する商品・ビジネスの提供」を基本方針とする中期経営計画(2023年度~2025年度)を策定し、当期は初年度として、サプライチェーン・ライフサイクル全体を通してお客様のニーズを満たし、社会課題の解決にも寄与する多様な商品・ビジネスの提供を加速させております。
具体的には、お客様のCO2削減ニーズの高まりを踏まえ、大型ウィングボデーの水平リサイクルによるリサイクルアルミニウムで実現した「グリーンボデー」をトラックボデー業界では初めて製造し、1台あたり約8トンのCO2排出量を削減(従来の大型ウィングボデーのアルミニウム材料の製造工程で排出されるCO2排出量の約80%削減)することに成功しました。さらに、国内における半導体産業の成長によるクリーンルームの需要増とCO2削減の両立に対応するべく、クリーンルーム用ノンフロン断熱不燃パネルの増産を目的とした工場建設にも着手しました。
また、カーボンニュートラル実現に向けた取組みとしては、脱炭素社会の実現に向け期待が高まるアルミニウムへのニーズにお応えするため、2030年度に2013年度比30%のCO2削減(スコープ1・2、3)を当社グループのカーボンニュートラル戦略に掲げ、昨年4月に発足した「カーボンニュートラル推進室」が中心となり、循環型サプライチェーン構築に向けた当社グループの方針・戦略の策定を進めました。
さらに、グループシナジーを創出する資源の最適配分を実現するため、当社グループの自動車部品事業を統合する会社として昨年10月に発足した「日軽金ALMO株式会社」が新商品の拡販に努めるとともに、米国新工場の操業安定化に向けた取組みを着実に進めました。
また、2021年に当社グループ会社で判明した品質等に関する不適切行為について昨年3月に策定・公表した再発防止への取組みについては、昨年4月に新設した「改革推進室」が中心となり、グループ・ガバナンス体制の再構築、内部統制機能の強化、そして、当社グループが真に持続可能な企業グループとなるための企業風土の改革にグループ一丸となって取り組みました。
② 当連結会計年度の財政状態の分析
当社グループは、より健全で強固な経営体質にすることを狙いとした中期経営計画の諸施策と並行し、財務体質改善のための有利子負債削減や自己資本の充実に注力しております。
当連結会計年度末の総資産は、期末日休日による売上債権の増加や株価の上昇に伴う投資有価証券の時価評価額の増加などにより、前連結会計年度末と比べて169億92百万円増の5,431億93百万円となりました。
負債は、長期借入金の返済による減少などにより、前連結会計年度末に比べて3億45百万円減の3,050億98百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加や、円安の進行による為替換算調整勘定の増加などにより、前連結会計年度末と比べて173億37百万円増の2,380億95百万円となりました。この結果、自己資本比率(期末純資産から非支配株主持分を控除したベース)は、前連結会計年度末の39.0%から40.7%となりました。
③ 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)概要
当連結会計年度の売上高は5,237億15百万円(前連結会計年度比 1.3%増、67億61百万円増)、営業利益は181億89百万円(同 141.3%増、106億50百万円増)、経常利益は190億33百万円(同 114.8%増、101億74百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は90億37百万円(同 25.5%増、18億34百万円増)となりました。
(b)営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度と比べ、106億50百万円増の181億89百万円となりました。営業利益のセグメント毎の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
(c)営業外収益・費用
営業外収益は、持分法による投資利益が減少したことなどにより、前連結会計年度と比べ、16億26百万円減少し、53億32百万円となりました。
営業外費用は、営業外費用に計上している事業再編費用が減少したことなどにより、前連結会計年度と比べ、11億50百万円減少し、44億88百万円となりました。
(d)特別利益・損失
特別損失は、堆砂対策費用として17億96百万円、減損損失を7億62百万円計上いたしました。減損損失の内容については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係)」に記載のとおりであります。
(e)税金費用等
当連結会計年度の税金費用(法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額)は、課税所得が増加したこと等により、前連結会計年度と比べ、12億41百万円増加し、63億32百万円となりました。
非支配株主に帰属する当期純利益は、主として子会社である日軽エムシーアルミ㈱の非支配株主に帰属する利益であり、当連結会計年度は11億6百万円となりました。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性に関する分析
(a)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ38億24百万円(12.2%)増加の350億87百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ、373億46百万円増加し、380億41百万円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が増加したことや前連結会計年度で大きく増加していた運転資金が改善したことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の151億23百万円の支出に対し、当連結会計年度は239億31百万円の支出となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の85百万円の収入に対し、110億49百万円の支出となりました。これは主に短期借入金の借入による収入が減少したことによるものです。
(b)資金需要・調達及び流動性について
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、充分な流動性の維持に留意しております。当社グループの資金需要としては、製品製造のための原料及び操業材料の購入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業活動に係る運転資金需要、製造設備の購入及び事業買収等の投資活動に係る長期資金需要があります。
当社グループは、資金調達に当たって資金の安定性強化と資金コストの低減に傾注しつつ、社債の発行や、主力銀行をはじめとする幅広い金融機関からの借り入れによる調達を行なっております。
また、流動性に関して、当社グループは金融情勢の変化等を勘案しながら、現金同等物の残高が適正になるように努めております。
当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度6億95百万円、当連結会計年度380億41百万円の収入であり、前連結会計年度に比べると約370億円増加しました。これは主に税金等調整前当期純利益が増加したことや前連結会計年度で大きく増加していた運転資金が改善したことによる影響です。2024年度以降も、営業キャッシュ・フローを安定的に創出できると考えておりますが、将来の当社グループの成長を維持するために必要な運転資金及び長期資金を調達するためには、必ずしも充分ではない可能性があることも認識しております。将来の成長を維持・加速するために必要な資金は、基本的に新商品・新規事業の創出による売上、収益の拡大を通じて営業キャッシュ・フローの増大により確保していく方針であります。
⑥ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。当社グループでは、以下に記載した会計方針及び会計上の見積りが、連結財務諸表作成に重要な影響を及ぼしていると考えております。また、会計上の見積りのうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあると識別したものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(a)貸倒引当金
当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能見込額を見積り、貸倒引当金として計上しております。将来、顧客等の財務状況悪化、経営破綻等により、顧客等の支払能力が低下したとの疑義が生じたと判断される場合には、貸倒引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
(b)資産の評価
当社グループは、棚卸資産については主として原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しておりますが、製品別・品目別に管理している受払状況から、滞留率・在庫比率等を勘案して、陳腐化等により明らかに市場価値が滅失していると判断された場合には、帳簿価額と正味売却価額との差額を評価損として計上しております。実際の市場価格が、当社グループの見積りよりも悪化した場合には、評価損の追加計上が必要となる可能性があります。
当社グループは、長期的な取引関係の維持・構築のため、一部の顧客及び金融機関等の株式を所有しており、金融商品に係る会計基準に基づいて評価しております。将来において市場価格のある株式の時価が著しく下落したとき、回復する見込みがあると認められない場合には、評価損を計上する可能性があります。一方、市場価格のない株式については、将来において投資先の業績不振等により、帳簿価額に反映されていない損失あるいは帳簿価額の回収不能が発生したと判断された場合には、評価損を計上する可能性があります。
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しており、将来において、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。
(c)繰延税金資産
当社グループは、合理的で実現可能なタックスプランニングに基づき将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を充分に検討し繰延税金資産を計上しております。
将来、実際の課税所得が減少した場合、あるいは将来の課税所得の見積り額が減少した場合には、当該会計期間において、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が発生する可能性があります。一方、実際の課税所得が増加した場合、あるいは将来の課税所得の見積り額が増加した場合には、繰延税金資産を認識することにより、当該会計期間の当期純利益を増加させる可能性があります。
(d)退職給付費用及び債務
当社グループは、従業員の退職給付費用及び債務を算出するに当たり、数理計算上で設定した基礎率(割引率、昇給率、退職率、死亡率、期待運用収益率等)は、統計数値等により合理的な見積りに基づいて採用しております。これらの見積りを含む基礎率が実際の結果と異なる場合、その影響額は数理計算上の差異として累積され、将来期間にわたって償却されるため、将来において計上される退職給付費用及び債務に影響を及ぼします。当社グループは採用している基礎率は適切であると考えておりますが、実際の結果との差異が将来の当社グループの退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。
(e)堆砂対策引当金
当社の連結子会社である日本軽金属㈱が保有する雨畑ダム(山梨県南巨摩郡早川町)上流の雨畑川の水位が2019年8月の台風10号、同年10月の台風19号などによる豪雨の影響を受け上昇したことにより、周辺地域で浸水被害が発生いたしました。現在、地域の皆さまの安全を最優先に、関係各所との連携により浸水被害を防ぐための対策を進めております。
また、国土交通省より抜本的な解決に向け、堆砂対策の計画を取りまとめ、計画的に取り組むよう指導されております。
この状況を厳粛に受け止め、日本軽金属㈱は国土交通省、山梨県及び早川町との4者で構成する雨畑地区土砂対策検討会を設立し、周辺地域における浸水被害発生に対する応急対策、及び堆積土砂の抜本対策について検討を重ね、その内容に基づき雨畑ダム堆砂対策基本計画を策定し、その実行に伴う費用等を合理的に見積っておりますが、見積りの前提として仮定した搬出計画(搬出方法や搬出先)は、必ずしもすべての内容につき実行の許認可を得られたものではなく、許認可の内容や工事方法の変更等によって見積り額が変動する可能性があります。
なお、当見積り項目は、重要な会計上の見積りとして、そのリスク内容を「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①財政状態及び経営成績の状況
当期の世界経済は、米国における堅調な個人消費を中心とする景気の回復等、一部の地域では持ち直しの動きがみられた一方、世界的な金融引締め、中国における不動産市場の停滞の影響による景気減速、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化に加え、中東地域における地政学的リスクの高まりもあり、予断を許さない状況となりました。わが国においては、世界的な金融引締めや先行き不透明な中国経済等、海外景気の下振れによる景気の下押しリスクに加え、金融資本市場の変動、令和6年能登半島地震による経済への影響など、注視が必要な状況がみられたものの、日経平均株価が史上最高値を更新するなど、企業業績の回復や、雇用・所得環境の改善による個人消費の持ち直しの動きなど、総じて緩やかな回復傾向がみられました。
アルミニウム業界においては、自動車関連の需要は前期に比べ増加したものの、アルミニウム製品の国内総需要は2期連続で前期を下回りました。また、原料となるアルミニウム地金などの原燃料価格は、前期と比べ比較的安定して推移しましたが、引き続き高い水準での推移となりました。
当期の業績は、以下のとおりです。
半導体関連の需要調整や中国における自動車関連向けの減速の影響を受けたものの、パネルシステム部門の好調やトラック架装関連での販売回復により、売上高は前期を上回りました。採算面においても、押出製品部門において米国新工場の操業安定化に時間を要している影響があったものの、パネルシステム部門の好調やトラック架装事業等における販売価格改定効果の拡大により、営業利益、経常利益および親会社株主に帰属する当期純利益は、前期を上回りました。
なお、当社子会社である日本軽金属株式会社が保有する雨畑ダムにおいて、2020年4月に国土交通省に提出した基本計画の進捗等に伴い、土砂搬出に新たな工程等を追加する必要があることが判明したことにより、堆砂対策費用を特別損失として計上しております。
連結経営成績 | ||||
(単位:百万円) | ||||
当連結会計年度 (2024年3月期) | 前連結会計年度 (2023年3月期) | 比較増減 | (△印減少) | |
売上高 | 523,715 | 516,954 | 6,761 | (1.3%) |
営業利益 | 18,189 | 7,539 | 10,650 | (141.3%) |
経常利益 | 19,033 | 8,859 | 10,174 | (114.8%) |
親会社株主に帰属する 当期純利益 | 9,037 | 7,203 | 1,834 | (25.5%) |
セグメントごとの経営成績は、次のとおりです。

アルミナ・化成品部門におきましては、主力の水酸化アルミニウムおよびアルミナにおける耐火物向けやセラミックス向けでの販売減少の影響が大きく、売上高は前期を下回りました。一方、採算面では、販売減少の影響があったものの、販売価格改定の効果により、営業利益は前期を上回りました。
地金部門におきましては、主力の自動車向け二次合金分野において、国内は自動車生産の回復で販売量が増加し、海外は米国とタイでの販売好調が継続したことから、アルミニウム地金市況を反映した販売価格下落の影響で売上高は前期を下回ったものの、営業利益は前期を上回りました。
以上の結果、アルミナ・化成品、地金セグメントの売上高は前期比3.5%減の1,504億62百万円となりましたが、営業利益は前期比5.5%増の107億66百万円となりました。

板製品部門におきましては、半導体製造装置向け厚板の販売低迷が継続していることに加え、アルミニウム地金市況を反映した販売価格下落の影響もあったことから、売上高は前期を下回りました。一方、採算面では、外注費などが増加したものの、販売価格改定の効果発現により、営業利益は前期を上回りました。
押出製品部門におきましては、トラック架装向けや国内自動車関連向けで販売回復が進んでいるものの、半導体製造装置向けの販売低迷や中国における自動車関連向けの販売減速などにより、売上高は前期を下回りました。採算面では、販売面の影響に加え、米国新工場の量産操業安定に時間を要していることから、営業損益は前期を下回りました。
なお、自動車関連市場の環境変化に対応し競争力向上を図るため、2023年10月1日付で当社グループの自動車部品事業(当部門の自動車関連向けのほか、熱交製品事業、素形材製品事業)を統合した「日軽金ALMO株式会社」が発足しました。
以上の結果、板、押出製品セグメントの売上高は前期比9.2%減の975億33百万円、営業損失は32百万円悪化の5億73百万円の損失となりました。

主要部門の概況は以下のとおりです。
輸送関連部門におきましては、トラック架装事業は、トラックシャシーの供給正常化による生産増で販売が回復していることから、売上高は前期を上回りました。採算面では販売回復に加え、販売価格改定、生産性向上、固定費削減などに努めた結果、営業損益は前期と比べ大幅に改善し、黒字化を見通せる水準まで回復しました。
その他の輸送関連部門について、熱交製品事業は、エアコン用コンデンサの販売において、国内の自動車向けが堅調に推移し売上高は前期を上回りました。採算面は、エアコン用コンデンサの価格改定効果もあり営業損益は前期から改善しました。素形材製品事業は、中国向けの需要は減速したものの、国内向けは自動車生産の回復に加えブレーキ関連新商品の投入により好調に推移し、売上高、営業利益はともに前期を上回りました。なお、熱交製品事業および素形材製品事業は、2023年10月1日以降、当社グループの自動車部品事業の統合により発足した「日軽金ALMO株式会社」の事業となっております。
電子材料部門におきましては、半導体をはじめとした電子部品業界の需要低迷が継続しアルミ電解コンデンサ用電極箔の販売が減少したことに加え、薬品など資材価格の高止まりの影響により、売上高、営業損益はともに前期を下回りました。
パネルシステム部門におきましては、冷凍・冷蔵分野では、低温流通倉庫向けの大型物件は前年並みで推移したものの店舗向けの小型物件が堅調に推移し、クリーンルーム分野では、半導体関連メーカー向けクリーンルームの旺盛な需要に支えられたことにより販売が増加したことから、部門全体の売上高は前期を上回りました。採算面は、材料価格の値上がりなどの影響はありましたが、クリーンルーム向けの大型物件の増販により営業利益は前期を上回りました。
景観エンジニアリング部門におきましては、道路・橋梁向けにおいて点検用足場製品の販売は伸長しましたが、アルミ高欄の需要が減少し、部門全体の売上高は前期並みとなりました。採算面は、建設資材価格上昇の影響があったものの、高付加価値商品の販売に注力したことなどから、営業利益は前期を上回りました。
炭素製品部門におきましては、主力の鉄鋼業界向けカーボンブロックの販売は減少しましたが、アルミ製錬用カソードブロックの販売が増加したことに加え、円安による押し上げ効果もあり、売上高、営業利益はともに前期を上回りました。
以上の結果、加工製品、関連事業セグメントの売上高は前期比11.3%増の1,704億26百万円、営業利益は輸送関連部門の収益改善が寄与し、前期から65億6百万円増の65億65百万円となりました。

箔部門におきましては、リチウムイオン電池外装用箔は前期並の販売を確保し、医薬包材向け加工箔は販売価格改定による増収効果があったことに加え海外市場向けが堅調であったことから、部門全体の売上高、営業利益はともに前期を上回りました。
パウダー・ペースト部門におきましては、粉末製品は放熱用途の電子材アルミパウダーや窒化アルミの半導体関連での需要が下半期から回復傾向となり、ペースト製品は主力の自動車塗料向けが自動車生産の回復により海外向けを中心に販売増となったことから、部門全体の売上高、営業利益はともに前期を上回りました。
日用品部門におきましては、コンシューマー向けではハウスケア用品の販売増とアルミホイルの販売価格改定の効果により、パッケージ用品向けでは冷凍食品向けの需要好調による販売増と販売価格改定の効果により、部門全体の売上高、営業利益はともに前期を上回りました。
以上の結果、箔、粉末製品セグメントの売上高は前期比4.9%増の1,052億94百万円、営業利益は前期比271.1%増の56億34百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当期末における連結ベースの現金及び現金同等物については、前期末に比べ38億24百万円(12.2%)増加の350億87百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動によるキャッシュ・フローは380億41百万円の収入となりました。これは税金等調整前当期純利益や減価償却費などの非資金損益項目が、法人税等の支払などによる支出を上回ったことによるものです。なお、営業活動によるキャッシュ・フロー収入は前連結会計年度と比べ373億46百万円増加しておりますが、これは主に税金等調整前当期純利益が増加したことや前連結会計年度で大きく増加していた運転資金が改善したことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動によるキャッシュ・フローは239億31百万円の支出となりました。これは、主として有形固定資産の取得による支出によるものです。なお、投資活動によるキャッシュ・フロー支出は前連結会計年度と比べ88億8百万円増加しておりますが、これは主に有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動によるキャッシュ・フローは110億49百万円の支出となりました。これは主として長期借入金の返済による支出によるものです。なお、財務活動によるキャッシュ・フローは前連結会計年度の85百万円の収入に対し、当連結会計年度は110億49百万円の支出となっておりますが、これは主に短期借入金の借入による収入が減少したことによるものです。
③生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績及び受注実績
当社グループの生産・販売品目は広範囲かつ多種多様であり、同種の製品であっても、その容量、構造、形式等は必ずしも一様でなく、また、受注生産形態をとらない製品も多く、セグメントごとに生産規模及び受注規模を金額あるいは数量で示すことはしておりません。
このため、生産実績及び受注実績については、「①財政状態及び経営成績の状況」におけるセグメント業績に関連付けて示しております。
(b)販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 金額(百万円) | 前連結会計年度比(%) | |
アルミナ・化成品 | 37,297 | △3.3 | |
地金 | 113,165 | △3.6 | |
アルミナ・化成品、地金 | 150,462 | △3.5 | |
板製品 | 49,154 | △10.2 | |
押出製品 | 48,379 | △8.2 | |
板、押出製品 | 97,533 | △9.2 | |
輸送関連製品 | 82,707 | 22.9 | |
その他 | 87,719 | 2.2 | |
加工製品、関連事業 | 170,426 | 11.3 | |
箔、粉末製品 | 105,294 | 4.9 | |
合計 | 523,715 | 1.3 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.当連結会計年度において、主要な販売先として記載すべきものはありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
① 2023中期経営計画レビュー
当社グループにおいては、不確実性を増す事業環境に柔軟に対応するべく、昨年5月、「新生チーム日軽金への取組み」および「社会的な価値の創出に寄与する商品・ビジネスの提供」を基本方針とする中期経営計画(2023年度~2025年度)を策定し、当期は初年度として、サプライチェーン・ライフサイクル全体を通してお客様のニーズを満たし、社会課題の解決にも寄与する多様な商品・ビジネスの提供を加速させております。
具体的には、お客様のCO2削減ニーズの高まりを踏まえ、大型ウィングボデーの水平リサイクルによるリサイクルアルミニウムで実現した「グリーンボデー」をトラックボデー業界では初めて製造し、1台あたり約8トンのCO2排出量を削減(従来の大型ウィングボデーのアルミニウム材料の製造工程で排出されるCO2排出量の約80%削減)することに成功しました。さらに、国内における半導体産業の成長によるクリーンルームの需要増とCO2削減の両立に対応するべく、クリーンルーム用ノンフロン断熱不燃パネルの増産を目的とした工場建設にも着手しました。
また、カーボンニュートラル実現に向けた取組みとしては、脱炭素社会の実現に向け期待が高まるアルミニウムへのニーズにお応えするため、2030年度に2013年度比30%のCO2削減(スコープ1・2、3)を当社グループのカーボンニュートラル戦略に掲げ、昨年4月に発足した「カーボンニュートラル推進室」が中心となり、循環型サプライチェーン構築に向けた当社グループの方針・戦略の策定を進めました。
さらに、グループシナジーを創出する資源の最適配分を実現するため、当社グループの自動車部品事業を統合する会社として昨年10月に発足した「日軽金ALMO株式会社」が新商品の拡販に努めるとともに、米国新工場の操業安定化に向けた取組みを着実に進めました。
また、2021年に当社グループ会社で判明した品質等に関する不適切行為について昨年3月に策定・公表した再発防止への取組みについては、昨年4月に新設した「改革推進室」が中心となり、グループ・ガバナンス体制の再構築、内部統制機能の強化、そして、当社グループが真に持続可能な企業グループとなるための企業風土の改革にグループ一丸となって取り組みました。
② 当連結会計年度の財政状態の分析
当社グループは、より健全で強固な経営体質にすることを狙いとした中期経営計画の諸施策と並行し、財務体質改善のための有利子負債削減や自己資本の充実に注力しております。
当連結会計年度末の総資産は、期末日休日による売上債権の増加や株価の上昇に伴う投資有価証券の時価評価額の増加などにより、前連結会計年度末と比べて169億92百万円増の5,431億93百万円となりました。
負債は、長期借入金の返済による減少などにより、前連結会計年度末に比べて3億45百万円減の3,050億98百万円となりました。
純資産は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加や、円安の進行による為替換算調整勘定の増加などにより、前連結会計年度末と比べて173億37百万円増の2,380億95百万円となりました。この結果、自己資本比率(期末純資産から非支配株主持分を控除したベース)は、前連結会計年度末の39.0%から40.7%となりました。
③ 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)概要
当連結会計年度の売上高は5,237億15百万円(前連結会計年度比 1.3%増、67億61百万円増)、営業利益は181億89百万円(同 141.3%増、106億50百万円増)、経常利益は190億33百万円(同 114.8%増、101億74百万円増)、親会社株主に帰属する当期純利益は90億37百万円(同 25.5%増、18億34百万円増)となりました。
(b)営業利益
当連結会計年度の営業利益は、前連結会計年度と比べ、106億50百万円増の181億89百万円となりました。営業利益のセグメント毎の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載しております。
(c)営業外収益・費用
営業外収益は、持分法による投資利益が減少したことなどにより、前連結会計年度と比べ、16億26百万円減少し、53億32百万円となりました。
営業外費用は、営業外費用に計上している事業再編費用が減少したことなどにより、前連結会計年度と比べ、11億50百万円減少し、44億88百万円となりました。
(d)特別利益・損失
特別損失は、堆砂対策費用として17億96百万円、減損損失を7億62百万円計上いたしました。減損損失の内容については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結損益計算書関係)」に記載のとおりであります。
(e)税金費用等
当連結会計年度の税金費用(法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計額)は、課税所得が増加したこと等により、前連結会計年度と比べ、12億41百万円増加し、63億32百万円となりました。
非支配株主に帰属する当期純利益は、主として子会社である日軽エムシーアルミ㈱の非支配株主に帰属する利益であり、当連結会計年度は11億6百万円となりました。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性に関する分析
(a)キャッシュ・フロー
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ38億24百万円(12.2%)増加の350億87百万円となりました。
営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度と比べ、373億46百万円増加し、380億41百万円の収入となりました。これは主に税金等調整前当期純利益が増加したことや前連結会計年度で大きく増加していた運転資金が改善したことによるものです。
投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の151億23百万円の支出に対し、当連結会計年度は239億31百万円の支出となりました。これは主に有形固定資産の取得による支出が増加したことによるものです。
財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度の85百万円の収入に対し、110億49百万円の支出となりました。これは主に短期借入金の借入による収入が減少したことによるものです。
(b)資金需要・調達及び流動性について
当社グループは、事業活動のための適切な資金確保、充分な流動性の維持に留意しております。当社グループの資金需要としては、製品製造のための原料及び操業材料の購入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業活動に係る運転資金需要、製造設備の購入及び事業買収等の投資活動に係る長期資金需要があります。
当社グループは、資金調達に当たって資金の安定性強化と資金コストの低減に傾注しつつ、社債の発行や、主力銀行をはじめとする幅広い金融機関からの借り入れによる調達を行なっております。
また、流動性に関して、当社グループは金融情勢の変化等を勘案しながら、現金同等物の残高が適正になるように努めております。
当社グループの営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度6億95百万円、当連結会計年度380億41百万円の収入であり、前連結会計年度に比べると約370億円増加しました。これは主に税金等調整前当期純利益が増加したことや前連結会計年度で大きく増加していた運転資金が改善したことによる影響です。2024年度以降も、営業キャッシュ・フローを安定的に創出できると考えておりますが、将来の当社グループの成長を維持するために必要な運転資金及び長期資金を調達するためには、必ずしも充分ではない可能性があることも認識しております。将来の成長を維持・加速するために必要な資金は、基本的に新商品・新規事業の創出による売上、収益の拡大を通じて営業キャッシュ・フローの増大により確保していく方針であります。
⑥ 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するに当たり重要となる会計方針については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。当社グループでは、以下に記載した会計方針及び会計上の見積りが、連結財務諸表作成に重要な影響を及ぼしていると考えております。また、会計上の見積りのうち、翌連結会計年度の連結財務諸表に重要な影響を及ぼすリスクがあると識別したものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(a)貸倒引当金
当社グループは、売上債権等の貸倒損失に備えて回収不能見込額を見積り、貸倒引当金として計上しております。将来、顧客等の財務状況悪化、経営破綻等により、顧客等の支払能力が低下したとの疑義が生じたと判断される場合には、貸倒引当金の追加計上又は貸倒損失が発生する可能性があります。
(b)資産の評価
当社グループは、棚卸資産については主として原価法(貸借対照表価額は収益性の低下に基づく簿価切下げの方法により算定)を採用しておりますが、製品別・品目別に管理している受払状況から、滞留率・在庫比率等を勘案して、陳腐化等により明らかに市場価値が滅失していると判断された場合には、帳簿価額と正味売却価額との差額を評価損として計上しております。実際の市場価格が、当社グループの見積りよりも悪化した場合には、評価損の追加計上が必要となる可能性があります。
当社グループは、長期的な取引関係の維持・構築のため、一部の顧客及び金融機関等の株式を所有しており、金融商品に係る会計基準に基づいて評価しております。将来において市場価格のある株式の時価が著しく下落したとき、回復する見込みがあると認められない場合には、評価損を計上する可能性があります。一方、市場価格のない株式については、将来において投資先の業績不振等により、帳簿価額に反映されていない損失あるいは帳簿価額の回収不能が発生したと判断された場合には、評価損を計上する可能性があります。
当社グループは、固定資産の減損に係る会計基準を適用しており、将来において、資産の収益性の低下により投資額の回収が見込めなくなった場合には、減損損失の追加計上が必要となる可能性があります。
(c)繰延税金資産
当社グループは、合理的で実現可能なタックスプランニングに基づき将来の課税所得を見積り、繰延税金資産の回収可能性を充分に検討し繰延税金資産を計上しております。
将来、実際の課税所得が減少した場合、あるいは将来の課税所得の見積り額が減少した場合には、当該会計期間において、繰延税金資産を取り崩すことにより税金費用が発生する可能性があります。一方、実際の課税所得が増加した場合、あるいは将来の課税所得の見積り額が増加した場合には、繰延税金資産を認識することにより、当該会計期間の当期純利益を増加させる可能性があります。
(d)退職給付費用及び債務
当社グループは、従業員の退職給付費用及び債務を算出するに当たり、数理計算上で設定した基礎率(割引率、昇給率、退職率、死亡率、期待運用収益率等)は、統計数値等により合理的な見積りに基づいて採用しております。これらの見積りを含む基礎率が実際の結果と異なる場合、その影響額は数理計算上の差異として累積され、将来期間にわたって償却されるため、将来において計上される退職給付費用及び債務に影響を及ぼします。当社グループは採用している基礎率は適切であると考えておりますが、実際の結果との差異が将来の当社グループの退職給付費用及び債務に影響を及ぼす可能性があります。
(e)堆砂対策引当金
当社の連結子会社である日本軽金属㈱が保有する雨畑ダム(山梨県南巨摩郡早川町)上流の雨畑川の水位が2019年8月の台風10号、同年10月の台風19号などによる豪雨の影響を受け上昇したことにより、周辺地域で浸水被害が発生いたしました。現在、地域の皆さまの安全を最優先に、関係各所との連携により浸水被害を防ぐための対策を進めております。
また、国土交通省より抜本的な解決に向け、堆砂対策の計画を取りまとめ、計画的に取り組むよう指導されております。
この状況を厳粛に受け止め、日本軽金属㈱は国土交通省、山梨県及び早川町との4者で構成する雨畑地区土砂対策検討会を設立し、周辺地域における浸水被害発生に対する応急対策、及び堆積土砂の抜本対策について検討を重ね、その内容に基づき雨畑ダム堆砂対策基本計画を策定し、その実行に伴う費用等を合理的に見積っておりますが、見積りの前提として仮定した搬出計画(搬出方法や搬出先)は、必ずしもすべての内容につき実行の許認可を得られたものではなく、許認可の内容や工事方法の変更等によって見積り額が変動する可能性があります。
なお、当見積り項目は、重要な会計上の見積りとして、そのリスク内容を「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。