四半期報告書-第12期第3四半期(平成27年10月1日-平成27年12月31日)

【提出】
2016/02/12 15:32
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23項目

財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析

文中の将来に関する事項は、当第3四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものです。
(1) 業績の状況
安倍首相は、平成28年1月22日に第190回国会の施政方針演説にて、平成27年9月に一億総活躍への挑戦の一つとして提唱した「介護離職ゼロ」の実現を改めて強調するとともに、日本を「世界で最もイノベーションに適した国」としてゆく決意を表明しました。その際に、国内外の研究機関・大学・企業のオープンな連携からダイナミックなイノベーションが生まれた事例として、当社および筑波大学が連携して開発したHAL®が「夢のロボットスーツ」として取り上げられました。当社グループは、このような外的環境のもとで、革新的サイバニクス技術を駆使することにより、『重介護ゼロ®社会』の実現と、医療・介護福祉・作業支援分野にフォーカスした「人支援産業」という新産業の創出を目指し、研究開発及び事業展開をさらに加速して進めています。
当第3四半期連結会計期間において、医療分野では、HAL®医療用(下肢タイプ)について、平成27年11月25日に神経・筋難病疾患に対する「新医療機器」として厚生労働省より日本における製造販売承認を取得し、平成27年12月3日にHAL®医療用(下肢タイプ)を用いた治療への保険適用希望書を厚生労働省に提出しました。平成28年4月の保険収載に向けて、厚生労働省と中医協総会において保険償還価格の検討が進行中です。欧州においては、既に医療機器認証を取得し、ドイツで治療サービス事業を展開しています。ドイツではHAL®医療用(下肢タイプ)を利用した治療に公的労災保険が適用されていますが、新たに公的医療保険への適用拡大を目指し、平成27年10月27日、InEK(病院医療報酬制度協会)に対して、急性期から回復期に相当する期間のすべての対麻痺患者に対する診療報酬に関する申請を提出しました。また、平成27年10月30日にはG-BA(ドイツ連邦合同委員会)に対して、急性期から回復期に相当する期間を終えたすべての対麻痺患者に対する診療報酬に関する申請を提出しました。米国においては、FDA(米国食品医薬品局)に対して医療機器の承認申請を行っており、平成27年度中の承認取得を目指しています。HAL®医療用(下肢タイプ)は、平成27年12月末時点で、治験用も含め国内外あわせて111台が稼働中です。
介護福祉の分野においては、HAL®福祉用等の下肢タイプは、日本国内の福祉施設や病院等で運用され、平成27年12月末時点で476台が稼働中です。またHAL®自立支援用(単関節タイプ)も臨床研究を目的として日本国内での病院を中心に導入が進み、平成27年12月末時点で129台が稼働中です。また、介護離職に悩む介護施設での労働環境改善を目的としたHAL®介護支援用(腰タイプ)は、平成27年12月末時点で256台が稼働中です。
作業支援の分野においては、少子高齢化による労働人口の減少を背景に深刻な人手不足が発生している物流倉庫業や建設業や各種工場での労務環境改善による労働力確保を目的としたHAL®作業支援用(腰タイプ)は、下期においても順調に増加して平成27年12月末時点において172台が稼働中です。また、クリーンロボットおよび搬送ロボットは、平成27年12月末時点において羽田空港などで14台が稼働中です。
また当社は、平成27年12月25日に、茨城県と県有地取得の仮契約を締結しました。サイバニクスの未来技術と共生する街「サイバニックシティ」の実現に向け、先進的生活支援ロボット等の研究開発から社会実装までを一体として事業推進してまいります。
当第3四半期連結累計期間の売上高は、主に前期に製品化した新製品の売上増加により889,683千円(前年同期比154.7%増加)を計上しました。売上原価は新製品の量産による原価低減と、子会社のサービス原価の改善が寄与し285,496千円(同5.3%増加)に留まった結果、売上総利益は604,187千円(同673.2%増加)と大幅に増加し、売上総利益率も45.5%改善しました。
研究開発費は新製品開発の継続及び許認可関連費用の増加により586,672千円(前年同期比16.6%増加)を計上し、その他の販売費及び一般管理費は主に租税公課、人件費や直接販売費の増加により879,428千円(同15.3%増加)を計上しましたが、売上総利益の大幅な増加もあり、営業損失は861,914千円(前年同期は営業損失1,187,891千円)と大幅に改善しました。また、助成金収入の減少により営業外収益が388,781千円に留まった結果、経常損失は582,215千円(前年同期は経常損失709,577千円)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する四半期純損失は582,740千円(前年同期は親会社株主に帰属する四半期純損失718,891千円)となりました。
(2) 財政状態の分析
① 資産
当第3四半期連結会計期間末における資産合計は前連結会計年度末に比べて、480,387千円減少し47,808,665千円となりました。これは、主として安全性・流動性を重視しつつ合同運用金銭信託とコマーシャルペーパーへの効率的な運用に努めた結果、有価証券が9,001,450千円増加したものの、現金及び預金が10,373,525千円減少したことによるものです。
② 負債
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は前連結会計年度末に比べて、98,207千円増加し20,609,961千円となりました。これは、主としてその他の流動負債が118,083千円増加したことによるものです。
③ 純資産
当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は前連結会計年度末に比べて、578,594千円減少し27,198,704千円となりました。これは、主として親会社株主に帰属する四半期純損失582,740千円を計上したことによるものです。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は586,672千円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。