有価証券報告書-第31期(2024/01/01-2024/12/31)

【提出】
2025/03/24 11:35
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139項目
(1)経営成績等の状況の概況
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
a. 経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、経済活動の正常化や雇用・所得環境の改善、各種政策の効果により、経済活動は緩やかな回復基調が続きました。一方で、景気の先行きについては、不安定な世界情勢や為替相場の影響による資源価格やエネルギー価格の高騰、物価の上昇など、下振れリスクが大きく存在し、依然として不透明な状況が継続しております。
当社グループが属する医療・介護業界につきましては、2025年1月1日現在、65歳以上人口が3,621万人、総人口の29.3%(総務省統計局 人口推計-2025年1月報-)を占めるなど高齢化が確実に進行しており、当社グループに係るサービスの市場規模はますます拡大するものと思われます。
こうした環境の中、当社グループは、介護医療関連事業の主力サービスである「CS(ケア・サポート)セット」をより普及・拡大させるために、当連結会計年度に営業を開始した郡山支店(福島県郡山市)を含めた全国29ヶ所の本支店及び営業所から、営業活動を施設(病院及び介護老人保健施設等)に対して展開してまいりました。
これにより、当社グループにおける当連結会計年度の新規契約の施設数は350施設、解約施設数は100施設となり、当連結会計年度末のCSセット導入施設数は、前連結会計年度末より250施設増加し2,570施設となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は47,513,703千円(前期比14.7%増)となりましたが、施設への投入時に費用処理を行っているオリジナル患者衣「lifte」の投入額の増加、企業結合により発生した取得関連費用、エムスリー株式会社により実施された当社の普通株式に対する公開買付けに伴う関連費用や為替差損の発生などの影響もあり、営業利益は3,577,737千円(同2.4%減)、経常利益は3,544,987千円(同3.7%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は2,354,670千円(同6.5%減)となりました。
なお、当連結会計年度において実施されたエムスリー株式会社による当社の普通株式に対する公開買付けにより、エムスリー株式会社が当社の親会社となりました。当社グループといたしましては、エムスリーグループとのシナジーにより、さらなる事業規模の拡大を推進し、中長期的な企業価値の向上を目指してまいります。
b. 財政状態
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、21,605,967千円となり、前連結会計年度末と比べて2,612,729千円増加しました。
このうち、流動資産は16,872,798千円となり、前連結会計年度末と比べて1,365,978千円増加しました。これは主に、未収入金が1,279,102千円減少したものの、現金及び預金が1,360,835千円、売掛金及び契約資産が835,989千円、商品が171,928千円、貯蔵品が221,252千円増加したためであります。
一方、固定資産は、4,733,168千円となり、前連結会計年度末と比べて1,246,750千円増加しました。これは主に、のれんが813,938千円、投資有価証券が387,421千円増加したためであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、9,104,116千円となり、前連結会計年度末と比べて925,241千円増加しました。このうち、流動負債は8,918,601千円と前連結会計年度末と比べて829,937千円の増加となりました。これは主に、買掛金が795,287千円増加したためであります。
固定負債は、185,514千円と前連結会計年度末と比べて95,303千円の増加となりました。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、12,501,850千円となり、前連結会計年度末に比べて1,687,488千円の増加となりました。自己資本比率は前連結会計年度末から比べて1.0%上昇し、57.9%となりました。
純資産合計の増加は、主に利益剰余金の増加によるものであり、株主に対する配当金の支払い787,787千円が生じたものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上2,354,670千円により利益剰余金が1,566,883千円増加したためであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ1,360,834千円増加し、6,825,105千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果得られた資金は4,500,060千円(前期比2,719,278千円の収入増加)となりました。法人税等の支払いで1,282,565千円の資金が減少したものの、年間を通じた営業活動により5,783,759千円の資金が増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は2,233,510千円(前期比572,353千円の支出増加)となりました。これは主に、連結の範囲の変更に伴う子会社株式の取得による支出867,236千円、有形固定資産の取得による支出876,286千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は849,533千円(前期比182,446千円の支出増加)となりました。これは主に株主への配当金の支払788,137千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(1)生産実績
当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
(2)受注実績
当社グループは、受注から役務提供の開始までの期間が短いため、記載を省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2024年1月1日
至 2024年12月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)
介護医療関連事業47,243,915114.1
その他269,788-
合計47,513,703114.7

(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は次のとおりであります。
a. 財政状態
(資産・負債)
当社の資産、負債の大部分を占める現金及び預金、売掛金、未収入金、貸倒引当金、買掛金の年度別残高推移は以下のとおりとなっております。
(単位:千円)
回次第27期第28期第29期第30期第31期
決算年月2020年12月2021年12月2022年12月2023年12月2024年12月
売掛金3,279,4133,891,2044,246,7024,947,8685,783,858
未収入金1,765,4971,957,4162,858,0683,673,8832,394,780
貸倒引当金△441,059△486,903△478,813△593,924△670,269
小計4,603,8515,361,7176,625,9578,027,8277,508,369
買掛金4,157,9464,868,4935,567,9796,427,4377,222,724
差引445,904493,2231,057,9781,600,390285,644
現金及び預金4,497,6775,632,0516,036,0235,488,5636,849,398
合計4,943,5826,125,2757,094,0027,088,9537,135,042

当社の主力サービスであるCSセットを導入する施設が順調に増加するとともに、利用者数が増加していることを背景に、売掛金、買掛金の各期末残高も増加傾向となっております。一方で請求回収業務の運用改善を行い、未収入金の回収サイトの短縮が図られ、未収入金の期末残高は減少しました。
当連結会計年度は投資有価証券の取得、企業結合により発生した取得関連費用、エムスリー株式会社により実施された当社の普通株式に対する公開買付けに伴う関連費用がありましたが、請求回収業務の運用改善を継続することで、現金及び預金は増加し、営業キャッシュ・フローは増加傾向にあります。このことから、当社グループのキャッシュ・フロー獲得能力は年々、向上しているものと考えております。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、12,501,850千円となり、前連結会計年度末に比べて1,687,488千円の増加となりました。自己資本比率は前連結会計年度末から比べて1.0%上昇し、57.9%となりました。
また、自己資本利益率は、前連結会計年度に比べて5.2%低下し、20.2%となりました。
b. 経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ14.7%増の47,513,703千円となりました。これは、当連結会計年度に営業を開始した郡山支店(福島県郡山市)を含めた全国29ヶ所の本支店及び営業所から、当社グループの主力サービスであるCSセットを全国に普及・拡大させるために営業活動を施設(病院及び介護老人保健施設等)に対して展開した結果、本サービスを導入する施設が2,320施設から2,570施設と順調に増加したことによるものです。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度に比べ16.2%増の36,796,725千円となりました。
当連結会計年度における売上総利益率は、前連結会計年度に比べて0.9%低下し、22.6%となりました。
この結果、当連結会計年度における売上総利益は前連結会計年度に比べ9.9%増の10,716,978千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ17.3%増の7,139,240千円となりました。企業結合により発生した取得関連費用、エムスリー株式会社により実施された当社の普通株式に対する公開買付けに伴う関連費用などの増加要因により、販管費率は前連結会計年度に比べ0.3%上昇し、15.0%となりました。
この結果、当連結会計年度における営業利益率は前連結会計年度に比べ1.3%低下し、7.5%となり、当連結会計年度における営業利益は前連結会計年度に比べ2.4%減の3,577,737千円となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度の営業外損益は、営業外収益51,824千円、営業外費用84,574千円となりました。
この結果、当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度に比べ3.7%減の3,544,987千円となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度は、特別損益が発生しませんでした。
当連結会計年度の法人税等合計は、1,190,316千円となりました。
この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ6.5%減の2,354,670千円となりました。
c. 経営戦略の現状と見通し
当連結会計年度は、2025年12月期を最終年度とする第6次中期経営計画期間の2年目であります。
国内事業につきましては、前中期経営計画期間において開始した各種の取り組みをさらに推進し、CSセット事業の付加価値向上と競争力強化を図り、さらなる事業規模の拡大を図ってまいりました。
また、海外事業については、投資先企業とのより一層の関係強化を図るとともに、積極的な成長投資を検討しております。
今後も当社グループのさらなる事業拡大に向けて、各種取り組みをさらに進化させるとともに、新たな収益の柱も継続して検討を行ってまいります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a. キャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b. 資本の源泉及び資金の流動性に係る情報
当社グループの主な資金需要としては、人材投資、システム投資及び新規事業投資が挙げられます。
人材投資については、今後の契約施設数の増加を見据えて、引き続き、従業員の採用を計画しており、これによる人件費の増加を見込んでおります。システム投資については、規模の拡大に伴い、効率的な事業運営へ変化させるためのシステム化の推進に取り組んでまいります。また、新規事業投資については、新たな収益の柱を構築するため、新規事業の検討を積極的に進めてまいります。
上記の各資金需要に係る財源は、当面、営業キャッシュ・フローを基礎とした自己資金を考えております。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、採用している重要な会計方針は、本書「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しておりますので、あわせてご参照ください。
当社グループの連結財務諸表の作成においては、経営者による会計方針の選択や適用、資産・負債、収益・費用の報告及び開示に影響を与える見積りを行う必要があります。その見積りは、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づく合理的と考えられる様々な要因を考慮して行っておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りとは異なる場合があります。