有価証券報告書-第26期(平成31年1月1日-令和1年12月31日)

【提出】
2020/03/26 9:59
【資料】
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【項目】
125項目
(1)経営成績等の状況の概況
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善が続く等緩やかな回復基調で推移いたしました。
一方、米中貿易摩擦の長期化や中東及び朝鮮半島情勢の緊迫化、英国の欧州連合(EU)離脱問題等、海外経済の先行きへの不安もあり、国内景気の先行きは依然として不透明な状況にあります。
当社グループが属する医療・介護業界につきましては、2020年1月1日現在、65歳以上人口が3,594万人、総人口の28.5%(総務省統計局 人口推計-2020年1月報-)を占めるなど高齢化が確実に進行しており、当社グループに係るサービスの市場規模はますます拡大するものと思われます。
こうした環境の中、当社グループは、介護医療関連事業の主力サービスである「CS(ケア・サポート)セット」及び「LTセット」をより普及・拡大させるために、当連結会計年度に営業を開始した当社 静岡支店(静岡県静岡市)及び株式会社エルタスク 弘前支店 函館営業所(北海道函館市)を含めた全国20ヶ所の営業拠点において、営業活動を施設(病院及び介護老人保健施設等)に対して展開してまいりました。
これにより、当社グループにおける当連結会計年度の新規契約の施設数は262施設、契約終了施設数は40施設となり、当連結会計年度末のCSセット導入施設数とLTセット導入施設数の合計は、前連結会計年度末より222施設増加し1,362施設となりました。
この結果、当連結会計年度の売上高は21,518,666千円(前年同期比15.8%増)、営業利益は1,492,440千円(同16.7%増)、経常利益は1,501,385千円(同17.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は989,595千円(同14.3%増)となりました。
なお、当社は、2019年1月1日を効力発生日として、当社普通株式を1株につき2株の割合をもって分割いたしました。これは、投資単位当たりの金額を引き下げるとともに、株式数を増加させることにより株式の流動性を高め、投資家の皆様により投資しやすい環境を整えることを目的として実施したものであります。
また、当社は、2020年1月1日付で当社を吸収合併存続会社、当社の100%子会社である株式会社エルタスクを吸収合併消滅会社とする吸収合併を行いました。これにより、株式会社エルタスクが展開してきたLTセットをCSセットに統合するとともに、今後、CSセットの導入施設の開拓をさらに進め、全国的な営業活動・事業拡大に努めてまいります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)の残高は、前連結会計年度末に比べ414,676千円増加し、3,447,783千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により得られた資金は779,201千円(前年同期比411,825千円の収入減少)となりました。法人税等の支払いで559,654千円の資金が減少したものの、年間を通じた営業活動により1,338,820千円の資金が増加しました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は151,900千円(前年同期比24,449千円の支出減少)となりました。これは主に、投資有価証券の取得による支出70,602千円、有形固定資産の取得による支出36,659千円、無形固定資産の取得による支出33,617千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は212,625千円(前年同期比108,705千円の支出増加)となりました。これは主に株主への配当金の支払211,766千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループの事業セグメントは、介護医療関連事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(1)生産実績
当社グループは、生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
(2)受注実績
当社グループは、受注から役務提供の開始までの期間が短いため、記載を省略しております。
(3)販売実績
当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年1月1日
至 2019年12月31日)
販売高(千円)前年同期比(%)
介護医療関連事業21,518,666115.8
合計21,518,666115.8

(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、会計方針の選択・適用、資産・負債、収益・費用の金額など開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、本書「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表」に記載しておりますので、あわせてご参照ください。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 2018年2月16日)を当連結会計年度の期首から適用しており、財政状態に関する説明については、当該企業会計基準を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較・分析を行っております。
a. 経営成績等
1)財政状態
(資産)
当連結会計年度末の資産合計は、9,236,452千円となり、前連結会計年度末と比べて1,412,012千円増加しました。
このうち、流動資産は8,327,140千円となり、前連結会計年度末と比べて1,334,223千円増加しました。これは主に、貸倒引当金が73,689千円増加(引当金のため流動資産の残高は減少)したものの、現金及び預金が414,678千円、売掛金が301,777千円、未収入金が516,906千円増加したためであります。
一方、固定資産は、909,311千円となり、前連結会計年度末と比べて77,788千円増加しました。これは主に無形固定資産が43,084千円減少したものの、有形固定資産が9,375千円、投資その他の資産が111,497千円増加したためであります。
(負債)
当連結会計年度末の負債合計は、4,215,428千円となり、前連結会計年度末と比べて653,664千円増加しました。これは主に、買掛金が594,230千円増加したためであります。
(純資産)
当連結会計年度末の純資産合計は、5,021,024千円となり、前連結会計年度末に比べて758,348千円の増加となりました。自己資本比率は前連結会計年度末から比べて0.2%上昇し、54.4%となりました。
純資産合計の増加は、主に利益剰余金の増加によるものであり、株主に対する配当金の支払いにより利益剰余金が減少したものの、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が989,595千円増加しました。
2)経営成績
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、前連結会計年度に比べ15.8%増の21,518,666千円となりました。これは、当連結会計年度に営業を開始した当社静岡支店(静岡県静岡市)及び株式会社エルタスク弘前支店函館営業所(北海道函館市)を含めた全国20営業拠点から、当社グループの主力サービスであるCSセット(LTセット)を全国に普及・拡大させるために営業活動を施設(病院及び介護老人保健施設等)に対して展開した結果、本サービスを導入する施設が1,140施設から1,362施設と順調に増加したことによるものです。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、前連結会計年度に比べ16.6%増の16,045,272千円となりました。これは主に、売上高拡大に伴い商品仕入が増加したことによるものです。
この結果、当連結会計年度における売上総利益は、前連結会計年度に比べ13.4%増の5,473,394千円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ12.2%増の3,980,954千円となりました。主な増加要因は、従業員数の増加による給与手当の増加及び法定福利費の増加、請求件数等の増加に伴う通信費の増加、支払手数料の増加及び外注費の増加、新規事業所の開設(当社静岡支店、株式会社エルタスク弘前支店函館営業所)による事務用品費の増加及び地代家賃の増加であります。
この結果、当連結会計年度における営業利益は前連結会計年度に比べ16.7%増の1,492,440千円となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度の営業外損益は、遅延損害金及び助成金の受け取りや固定資産の売却、除却などにより、営業外収益13,685千円、営業外費用4,739千円となりました。
この結果、当連結会計年度における経常利益は、前連結会計年度に比べ17.1%増の1,501,385千円となりました。
(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度は、特別損益が発生しませんでした。
当連結会計年度の法人税等合計は、511,790千円となりました。
この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ14.3%増の989,595千円となりました。
3)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b. 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社は、2014年11月の東京証券取引所マザーズ市場への上場以来、前連結会計年度(2018年12月期)までの間、全国展開を図るための営業網の強化拡大に加え、社内管理体制の強化に注力するとともに、新事業開発に向けた取り組みを行ってまいりました。これにより、全国展開のための営業網の整備や社内管理体制の強化について、一定の成果を得るとともに、新規事業の検討に向けての基礎を築くことができました。
そして、当連結会計年度(2019年12月期)は「営業力強化、新事業開発、グループ力強化」を経営戦略に掲げ、さらなる成長に向けた新たな取り組みを着実に実行してまいりました。その結果、当連結会計年度は、当初計画した新規契約施設数を達成できなかったものの、売上高、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益については、当初目標を達成しました。当連結会計年度の活動状況及び経営成績等を振り返ると、当社グループとして改善すべき課題が未だ残されてはいるものの、前連結会計年度に認識した当社グループの経営課題に対し、真摯に取り組んだ結果として一定の成果を出すことができたものと評価しております。
今後は、当社グループのさらなる事業拡大に向けて、中期的にはCSセットの付加価値向上を図ることでCSセットの差別化を図るとともに、新たな収益の柱として、入院セット関連諸業務の業務受託事業など新規事業を複数展開することを中期成長戦略に掲げて活動してまいります。
c. 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要としては、人材投資、システム投資及び新規事業投資が挙げられます。
人材投資については、今後の契約施設数の増加を見据えて、引き続き、従業員の採用を計画しており、これによる人件費の増加を見込んでおります。システム投資については、規模の拡大に伴い、効率的な事業運営へ変化させるためのシステム化の推進に取り組んでまいります。また、新規事業投資については、新たな収益の柱を構築するため、新規事業の検討を積極的に進めてまいります。
上記の各資金需要に係る財源は、当面、営業キャッシュ・フローを基礎とした自己資金を考えております。
d. 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループの経営課題は、全国への営業・サービス網の整備、収益性の改善、人材の育成、システム化の促進、知名度・ブランド力の向上、顧客満足度の向上と利用料金の回収能力の向上及び感染症等の流行による当社事業の運営リスクへの対応です。
当該経営課題を解決し、さらなる事業拡大を図るため、当連結会計年度は「営業力強化、新事業開発、グループ力強化」を経営戦略に掲げて活動してまいりました。
翌連結会計年度(2020年12月期)においても、新たな経営戦略として「全国展開、新事業開発、グループ力強化」を掲げ、さらなる成長に向け、グループ一丸となって活動してまいります。
上記の経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、当社グループは「売上高営業利益率」及び「営業活動によるキャッシュ・フロー」を重要な指標として位置付けております。当連結会計年度の売上高営業利益率は6.9%と前連結会計年度と同水準を維持するとともに、営業キャッシュ・フローも順調に獲得するなど堅調に推移いたしました。引き続き、これらの指標を高めるべく取り組んでまいります。