四半期報告書-第75期第3四半期(令和4年1月1日-令和4年3月31日)

【提出】
2022/05/13 15:33
【資料】
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【項目】
38項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
なお、第1四半期連結会計期間の期首より、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を適用しております。この結果、前第3四半期連結累計期間と会計処理が異なっておりますが、重要な影響がないため経営成績に関する説明におきまして増減額及び前年同期比はそのまま比較表記しております。詳細については、「第4 経理の状況 1 四半期連結財務諸表 注記事項 (会計方針の変更)」をご参照ください。
(1)財政状態及び経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、世界的な新型コロナウイルス感染症の蔓延および国内においては2022年1月頃から第6波が押し寄せたものの、国内外の感染拡大防止策を講じる中で感染者数は減少し、まん延防止等重点措置の適用についても解除となったことから、景気全体については持ち直しの動きがみられます。しかし、ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー価格の高騰やロシアに対する各国政府の経済制裁に伴う影響等により、先行きは不透明な状況にあります。
一方、個人消費には自粛要請の強化や消費マインドの悪化により一部足踏みもみられ、今後の変異株による新型コロナウイルス感染症拡大状況やウクライナ情勢の変化による世界的な景気の下振れリスクには十分注意が必要であります。弊社のサービスセグメントにおいて、自治体を対象としたクラウドサービスを担うデジタルガバメントにおける影響は軽微であるものの、企業の営業車両を対象としたモビリティ・サービスにおいては移動の制約による影響やエネルギー価格の高騰による車両維持費の負担上昇、景気下振れによる既存顧客の解約リスクは一定程度存在している状況と思料しております。
当第3四半期連結累計期間から今後にかけての景気動向については、ウクライナ情勢の更なる悪化に伴う世界経済の下振れリスクや、今後の新型コロナウイルス感染症動向によるリスクは依然存在しております。状況によっては、当社グループの企業努力のみを以ってこれらを完全に排除することは困難であると認識しておりますが、“GaaS”(注1)や“Kuruma Base”(注2)さらに“スマートシティ”の社会実装といったwithコロナ及びデジタルソサエティに適応したサービス開発も推進しており、景気動向や新型コロナウイルス感染症の状況如何に左右されない事業モデルの構築が急務であると理解しております。
このような情勢のなか当社グループでは、「スマート&テクノロジーで歴史に残る社会システムを創る!」を標榜し事業を展開しております。
当第3四半期連結累計期間におきましては、事業全体を持続的成長モデルへ移行させていく過程の中で、昨年度よりの改善策が奏功し、前年同四半期対比では大幅に良化しております。引き続きこれまでに培った基盤技術を活かし安定収益の確保に加え、成長が見込まれる事業領域の強化や新しい軸となり得る新規事業の創出を行い、高収益事業創造に取り組んでおります。
当第3四半期連結累計期間におきましては、売上高は2,900,985千円(前年同期比16.7%増)、営業利益は23,453千円(前年同期は271,578千円の損失)、経常利益は50,188千円(前年同期は260,915千円の損失)となりました。
以上の結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は19,864千円(前年同期は176,367千円の損失)となりました。
今後も引き続きクラウドソリューション事業におけるMRR(月次経常収益)の増額と、全社的な業務効率化、さらにスマートシティなどデジタルなまちづくりの推進など、現在の事業の延長線上にある新たな事業モデルの創造を踏まえて、収益基盤の拡充に取り組んでまいります。
なお、当第3四半期連結累計期間におけるセグメント別の経営成績は、次のとおりです。
⦅デジタルガバメントセグメント⦆
デジタルガバメントセグメントにおきましては、まず「新しい公」へと続く行政デジタル化の実現に向けて、オープンガバメント(注3)において透明性を推進する自治体の情報発信クラウドソリューションである、“Smart L-Gov”(注4)の提供や、住民と自治体をオンラインでつなぎ「参加・連携」を促す“GaaS”を、デジタルガバメントの基盤として提供しております。
当第3四半期連結累計期間においては、新規案件の獲得及び既存顧客の深耕に注力し、継続的な原価低減活動等に取り組みました。自治体及び公的機関を納入先とする入札案件においては、政府の行政デジタル化に関する取組みが進められており、販売は好調に推移しております。他方2021年4月より連結子会社となりました株式会社ストークスののれん償却額などを計上した結果、セグメント売上高は1,701,231千円(前年同期比34.5%増)、セグメント利益は207,534千円(前年同期比19.5%増)となりました。
⦅モビリティ・サービスセグメント⦆
モビリティ・サービスセグメントにおきましては、祖業である自動車電装に端を発し、100年に一度という自動車産業の大変革期において、自動車に装着する安全支援機器や情報デバイスの販売であるカーソリューションから、コネクティッドカー(注5)サービスである“CiEMSシリーズ”(注6)、クルマのデータ利活用を推進するプラットフォーム提供やソフトウエア開発、さらにカーシェアリングなどクルマのサービス化を支援するプラットフォーム“Kuruma Base”の提供へと、多様なモビリティIoTを事業とするモビリティ・サービスを推進してまいりました。
特にテスラ車を活用したEVカーシェアリングのプラットフォーム提供は、今後のモビリティ・サービスにおける可能性を感じるプロダクトの提供を開始できたと考えております。
当第3四半期連結累計期間においては、企業の営業車活用が移動の制限の中で減少している影響を受けるものの、Kuruma Baseを活用したカーシェアリング分野では、所有からシェアへと自動車の所有の概念を大きく変える動向や、カーボンニュートラルの動きを踏まえたEV化の波を背景に、ソリューション強化に取り組んでおります。
また、減価償却費の減少等により売上原価が抑制され、業務効率化により販売費及び一般管理費の抑制に取り組んでおります。
以上の結果、セグメント売上高は1,199,753千円(前年同期比1.7%減)、セグメント利益は178,090千円(前年同期は72,214千円の損失)となりました。
[用語解説]
注1.GaaS:Government as a Serviceの略で、当社が提供する行政オンライン手続きに関するクラウドソリューション。
注2.Kuruma Base:当社が提供する、主にカーシェアリングや無人レンタカーなどに活用できる、クルマのコネクティッド化からサービス化までをインテグレートするプラットフォーム。
注3.オープンガバメント:透明でオープンな政府及び地方自治体を実現するための政策とその背景となる概念のことで、(1)透明性、(2)市民参加、(3)官民の連携の3つを基本原則としている。
注4.Smart L-Gov:当社が提供する、自治体・公的機関向け地域情報クラウドプラットフォームのこと。
注5.コネクティッドカー:インターネットに接続され、情報を送ることも受け取ることもできる自動車のこと。
注6.CiEMSシリーズ:当社が提供する、モビリティから取得した多様なデータを分析・活用することで、交通事故の削減、渋滞の緩和、車両活用の効率化など、様々な社会課題の解決をするためのサービス。

(財政状態の分析)
①資産
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、4,217,524千円となり、前連結会計年度末と比べ1,477,148千円の増加となりました。
流動資産は3,295,693千円となり、前連結会計年度末と比べ1,534,236千円の増加となりました。その主たる要因は、現金及び預金が1,366,805千円、受取手形、売掛金及び契約資産が375,815千円増加したものの、未収還付法人税等が199,838千円減少したことによるものであります。
固定資産は918,619千円となり、前連結会計年度末と比べ59,736千円の減少となりました。その主たる要因は、ソフトウエアが45,581千円増加したものの、ソフトウエア仮勘定が58,459千円、建物及び構築物が13,897千円、のれんが12,181千円、繰延税金資産が8,878千円減少したことによるものであります。
繰延資産は、3,211千円となり、前連結会計年度末と比べ2,648千円の増加となりました。その主たる要因は、株式交付費が2,737千円増加したことによるものであります。
②負債
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、1,754,206千円となり、前連結会計年度末と比べ1,131,744千円の増加となりました。
流動負債は1,644,369千円となり、前連結会計年度末と比べ1,153,208千円の増加となりました。その主たる要因は、短期借入金が1,043,000千円、未払消費税等が61,502千円、前受金が23,552千円、未払法人税等が20,936千円増加したことによるものであります。
固定負債は109,836千円となり、前連結会計年度末と比べ21,463千円の減少となりました。その主たる要因は、長期借入金が11,674千円、リース債務が9,133千円減少したことによるものであります。
③純資産
当第3四半期連結会計期間末における純資産は2,463,317千円となり、前連結会計年度末と比べ345,404千円の増加となりました。その主たる要因は、連結子会社である株式会社ストークスへの非支配株主への第三者割当増資により資本剰余金が90,000千円、株式会社One Bright KOBEへの第三者割当増資により資本剰余金が5,168千円及び非支配株主持分294,831千円、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が19,864千円増加したものの、配当金の支払いにより利益剰余金が80,295千円減少したことによるものであります。
(2)経営方針・経営戦略等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(3)優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(4)研究開発活動
当第3四半期連結累計期間の研究開発費の総額は5,000千円であります。
当社グループでは、公共・自治体におけるオープンガバメントの推進を軸に、自治体からの情報発信、さらに行政手続きのオンラインサービスへと、いわゆる「透明性」「参加」「連携」へと繋がるクラウドサービスを推進しております。
当社グループは“まちづくりのDX化”のためのデータマネジメント基盤を構築すると共に、スマートシティ・スーパーシティに不可欠な都市OSの提供を、マネタイズ可能な新たなサービスとして創出するための技術開発を進めております。