四半期報告書-第73期第3四半期(令和2年1月1日-令和2年3月31日)

【提出】
2020/05/15 15:46
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【項目】
35項目
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1)経営成績の状況
当第3四半期連結累計期間におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善などを背景に、景気は緩やかな回復基調であったものの、消費税率引き上げ後の消費者マインドの動向や個人消費への影響、グローバル経済の後退懸念の影響もあり、弱含みで推移いたしました。一方、世界経済は、米中の通商政策に基づく貿易摩擦や、英国のEU離脱の影響に加え、2月以降、新型コロナウイルス感染症の世界的な感染拡大により、世界経済の減速リスクが高まり、先行きはより不透明な状況で推移いたしました。今後の状況の変化により、当社グループの企業努力のみを以ってこれらを完全に排除することは困難であると認識しております。
このような混乱した情勢のなか、当社グループでは、「スマート&テクノロジーで歴史に残る社会システムを創る!」を標榜し事業を推進しており、クラウドソリューション事業とモバイル事業の2つの事業領域で事業展開を行っております。これまでに培った基盤を活かした持続的成長モデルへの移行を図るべく、安定収益の確保に加え、新領域創造に積極投資を行い、高収益事業創造に取り組んでおり、クラウドソリューション事業を成長領域として推進を強化しております。
当四半期連結会計期間においては、国および地方公共団体が示す方針および要請に従い、新型コロナウィルスの感染予防ならびに感染拡大防止措置を冷静かつ慎重に講じております。具体的には、各事業がそれぞれの統制に応じた施策の推進に努め、従業員の健康管理、時差出勤、テレワーク等在宅勤務など、当社グループの実情に照らし可能な対応を行ってまいりました。
この結果、当第3四半期連結累計期間におきましては、売上高は5,187,673千円(前年同四半期比12.1%減)となりました。費用面では、収益力向上に取組み、在庫の適正化による粗利率の確保に努めてまいりましたが、システム開発において、将来の事業拡大を見据えた開発体制の強化に伴う費用や採用コストが増加し、開発原価が増大いたしました。販管費及び一般管理費は、人件費等の増加や人材育成と職場環境の整備における先行投資により費用が増加したことなどにより、営業損失は55,115千円(前年同四半期は営業利益305,519千円)、経常損失は47,445千円(前年同四半期は経常利益323,247千円)となりました。
また、当社は、企業価値を向上させるためには一層の経営資源の選択と集中が重要であると考え、クラウドソリューション事業へのシフトを推進し、当該事業の事業拡大を行うため、2020年3月31日付で当社が運営する移動体情報通信機器の販売代理店事業を事業譲渡し、事業譲渡益1,488,477千円を特別利益に計上した結果、親会社株主に帰属する四半期純利益は883,304千円(前年同四半期比312.7%増)となりました。
なお、当第3四半期連結累計期間におけるセグメント別の経営成績は次のとおりです。
<クラウドソリューション事業>当社が成長領域として推進を強化しておりますクラウドソリューション事業においては、デジタルガバメント及びモビリティ・サービスに区分しております。
デジタルガバメントにおきましては、電子行政の実現に向けて、オープンガバメント(注1)における透明性を推進する自治体の情報発信クラウドソリューションである、“Smart L-Gov”(注2)の提供や、住民ID基盤を軸とした「参加・連携」を促すクラウドプラットフォームである“GaaS”(注3)を、デジタルガバメント(注4)の基盤として提供しております。 他方、もう一つのクラウドソリューション事業であるモビリティ・サービスにおきましては、祖業である自動車電装に端を発し、100年に一度という自動車産業の大変革期において、自動車に装着する安全支援機器の販売であるカーソリューションから、コネクティッドカー(注5)サービスである“CiEMSシリーズ”(注6)、クルマのデータ利活用を推進するプラットフォーム、ソフトウェアの提供や、さらにカーシェアリングなどクルマのサービス化を支援するプラットフォーム“Kuruma Base”(注7)の展開へと、多様なモビリティIoTを事業とするモビリティ・サービスを推進して参りました。 当第3四半期連結累計期間においては、デジタルガバメントでは、引き続き自治体の情報発信クラウドソリューションである、“Smart L-Gov”の提供が順調に推移し、ストック収益が拡大した結果、売上高は1,228,059千円(前年同四半期比9.3%増)となりました。
モビリティ・サービスでは、テレマティクスサービス(注8)をはじめとするIoT分野においては、モビリティIoTサービス“CiEMS 3G”の販売台数が大幅に伸長し、順調に契約件数を積み上げ、データの利活用を軸としたプラットフォームの提供及び受託開発がMaaS(注9)やEV(注10)の拡がりを背景に前年を大きく上回りました。また、カーシェアリングなどクルマのサービス化を支援するプラットフォーム“Kuruma Base”のサービスも開始いたしました。 他方、安全運転支援機器を取扱うカーソリューション分野においては、主要顧客の業績に影響を受けやすく、競合他社との競争激化等により市場全体の低価格志向が進む中、新型コロナウイルス感染症の影響により販売の期ずれが発生したことなどから、売上は伸び悩みました。この結果、モビリティ・サービス売上高は1,737,532千円(前年同四半期比7.6%減)となりました。
なお、連結子会社である株式会社ノースディテールの業績は、クラウドソリューション事業のセグメントに含めております。子会社における効率的なシステム開発体制の確立が遅れていることから、当初事業計画の進捗にも遅れが発生しておりますが、中長期的にシナジー効果を最大限発揮することができるように事業推進を行っております。
以上の結果、クラウドソリューション事業の売上高は2,965,591千円(前年同四半期比1.3%減)となりました。また、費用面では、収益力向上に取組み、在庫の適正化による粗利率の確保に努めてまいりましたが、システム開発において、将来の事業拡大を見据えた開発体制の強化に伴う費用や採用コストが増加し、開発原価が増大いたしました。販管費及び一般管理費は、人件費等の増加や“Kuruma Base”のサービスにおける先行投資による費用が増加したこと及び子会社取得に伴うのれん償却の増加等により、セグメント利益は128,318千円(前年同四半期比55.5%減)となりました。
<モバイル事業>モバイル事業におきましては、携帯電話が登場した初期から大阪府下において6店舗のドコモショップを運営しております。地域密着での事業を展開し、スマホ教室の充実などお客様満足度を高め、販売拡大に努めてまいりました。
当第3四半期連結累計期間においては、厳しい市場動向を反映し、新規販売台数及び手数料収入が減少いたしました。この結果、売上高は2,222,082千円(前年同四半期比23.3%減)、セグメント利益は240,649千円(前年同四半期比32.2%減)となり大幅な減収減益となりました。
なお、当該事業運営リスクの低減と事業の再構築を推進することを最優先課題と認識し、2020年3月31日付で当社が運営する移動体情報通信機器の販売代理店事業を事業譲渡いたしました。
[用語解説]
注1.オープンガバメント:透明でオープンな政府及び地方自治体を実現するための政策とその背景となる概念のことで、(1)透明性、(2)市民参加、(3)官民の連携の3つを基本原則としている。
注2.Smart L-Gov:当社が提供する、自治体・公的機関向け地域情報クラウドプラットフォームのこと。
注3.GaaS:Government as a Serviceの略で、当社が提供する、ブロックチェーン技術を用いた日本初の行政サービスをデジタル化する住民 ID 基盤。
注4.デジタルガバメント:公的手続をオンラインで行えるようにしたり、データベースの構築により情報の一元化を図るなど、公的機関側と、住民・事業者側の双方の省力化・利便性の向上などを目指すこと。
注5.コネクティッドカー:インターネットに接続され、情報を送ることも受け取ることもできる自動車のこと。
注6.CiEMSシリーズ:当社が提供する、モビリティから取得した多様なデータを分析・活用することで、交通事故の削減、渋滞の緩和、車両活用の効率化など、様々な社会課題の解決をするためのサービス。
注7.Kuruma Base:当社が提供する、クルマのコネクティッド化からサービス化までをインテグレートするプラットフォーム。
注8.テレマティクス
サービス
:テレコミュニケーション(Telecommunication=通信)とインフォマティクス(Informatics=情報工学)を用いた造語であり、一般的には自動車や輸送車両等の動態に携帯電話等の移動体通信システムを利用してサービスを提供することの総称。
注9.MaaS:Mobility as a Serviceの略で、ICTを活用して交通データをクラウド化し、自動車や自転車、バス、電車など、全ての交通手段を単なる移動手段としてではなく一つのサービスとして捉え、シームレスにつなぐ新たな移動の概念。
注10.EV:Electric Vehicleの略で、電気をエネルギー源とし、電動機を動力源として走行する電気自動車のこと。

(財政状態の分析)
①資産
当第3四半期連結会計期間末の総資産は、6,316,717千円となり、前連結会計年度末と比べ1,828,921千円増加となりました。
流動資産は3,898,082千円となり、前連結会計年度末と比べ1,816,209千円の増加となりました。その主たる要因は、事業譲渡等により商品が170,527千円減少したものの、現金及び預金が1,768,296千円、受取手形及び及び売掛金が229,536千円増加したことによるものであります。
固定資産は2,418,634千円となり、前連結会計年度末と比べ12,711千円の増加となりました。その主たる要因は、イリオスネット株式会社への移動体情報通信機器の販売代理店事業の譲渡により有形固定資産、差入保証金及び建設協力金等が192,531千円、評価損計上により投資有価証券が107,416千円減少したものの、本社事務所及び関係会社本社事務所の差入保証金が153,933千円、ソフトウェア仮勘定が90,473千円及びソフトウェアが85,609千円増加したことによるものであります。
②負債
当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、1,882,343千円となり、前連結会計年度末と比べ1,007,877千円の増加となりました。
流動負債は1,801,375千円となり、前連結会計年度末と比べ1,020,313千円の増加となりました。その主たる要因は、未払法人税等が431,083千円、短期借入金が300,000千円、未払消費税等が173,040千円及び未払金が89,808千円増加したことによるものであります。
固定負債は80,967千円となり、前連結会計年度末と比べ12,435千円の減少となりました。その主たる要因は、リース債務が12,864千円減少したことによるものであります。
③純資産
当第3四半期連結会計期間末における純資産は4,434,373千円となり、前連結会計年度末と比べ821,043千円の増加となりました。その主たる要因は、配当金の支払いにより79,240千円減少したものの、親会社株主に帰属する四半期純利益の計上により利益剰余金が883,304千円増加したことによるものであります。
(2)経営方針・経営戦略等
当社グループは、当第3四半期連結累計期間において、戦略的に重点指向するクラウドソリューション事業への経営資源の更なる集中を行うために、移動体情報通信機器の販売代理店事業を事業譲渡したことに伴い、クラウドソリューション事業とモバイル事業の2つの事業による経営戦略から、クラウドソリューション事業のみによる経営戦略へ変更しております。なお、クラウドソリューション事業における中長期的な会社の経営戦略に変更はございません。
(3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について重要な変更はありません。
(4)事業上及び財務上の対処すべき課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループの事業上及び財務上の対処すべき課題に重要な変更及び新たに生じた課題はありません。
(5)研究開発活動
該当事項はありません。
(6)従業員数
当第3四半期連結累計期間において、移動体情報通信機器の販売代理店事業の事業譲渡により、当社のモバイル事業の従業員数は、105名減少しております。
(7)主要な設備
① 新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第3四半期連結累計期間に著しい変動があった設備は次のとおりであります。
(事業譲渡)
会社名事業所名(所在地)セグメントの名称設備の内容譲渡時帳簿価額譲渡時期
建物及び構築物(千円)その他(千円)合計(千円)
㈱スマ―トバリュー大阪府堺市等6店舗モバイル事業店舗設備119,3318,400127,7322020年3月

② 前連結会計年度末において、計画中であった新設、休止、大規模改修、除却、売却等について、当第3四半期連結累計期間に著しい変動があった設備は次のとおりであります。
モバイル事業において予定しておりました、ドコモショップの改装工事計画については、移動体情報通信機器の販売代理店事業の事業譲渡に伴い、中止となっております。