有価証券報告書-第76期(2022/07/01-2023/06/30)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に関する規制緩和が進み、経済社会活動の正常化や各種政策の効果による景気全体の持ち直しなど、正常化に向けた緩やかな回復が続きました。一方でウクライナ紛争の長期化をはじめとする地政学的リスクの高まりに加え、世界的な資源・原材料価格高騰や半導体不足など海外景気の下振れへの懸念があり、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響等、依然として先行き不透明な状況が続きました。
このような経営環境の下、当社グループでは、「スマート&テクノロジーで歴史に残る社会システムを創る!」をミッションとし事業を展開してまいりました。
当連結会計年度においては、前連結会計年度からの業務効率化や原価削減の徹底などの改善策を実践するとともに、クラウドソリューション事業におけるMRR(月次経常収益)の獲得を進め、持続的成長モデルへの移行と中長期的な新たな収益モデルの創造を推進してまいりました。
一方で、スマートベニューセグメントにおいては、2025年の神戸アリーナ開業以降の収益獲得に向けて準備は順調に進んでおりますが、事業立ち上げにかかる投資が先行する結果となりました。
その結果、当連結会計年度におきましては、売上高は3,873,348千円(前期比1.8%増)、営業損失は74,907千円(前期は15,083千円の損失)、経常損失は75,678千円(前期は8,228千円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は48,525千円(前期は1,080千円の利益)となりました。
今後も引き続き、クラウドソリューション事業においては継続的な規模の拡大が見込まれるSaaS市場での安定的なMRR増額や継続的な業務効率化によるコスト削減を推進するとともに、デジタルガバメント、モビリティ・サービスに続く「第3の柱」としてのスマートベニューにおいて、2025年開業予定の神戸アリーナを起点とするスマートシティへの取り組みなど、デジタルなまちづくりに資するサービス創造に注力することで、さらなる成長につながる収益モデルの創造を目指してまいります。
当連結会計年度におけるセグメント別の経営成績は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、前連結会計年度との比較・分析は、変更後の区分に基づいております。変更の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」をご参照ください。
<デジタルガバメントセグメント>デジタルガバメントセグメントにおきましては、オープンガバメントにおける透明性、参加、連携の社会実装を推進するための自治体向けCLOUD SUITEとして“ガブクラ”を提供しております。
昨今、オンライン手続など行政デジタル化の流れが活性化し、ガバメントクラウド(注1)やデジタルマーケットプレイス(注2)などの構想へとクラウドへのシフトが一段と鮮明になっております。“ガブクラ”はそうした中での「新しい公」へと続く行政デジタル化の実現に向けて、自治体の情報発信を推進するCLOUD SUITEであります。具体的にはWebサイトの作成運用を実装するCMS(注3)である“SMART L-Gov”、住民と自治体をオンラインで繋ぎ「参加・連携」を促す“GaaS”(注4)、自治体スマートエリア向けデータ利用基盤(都市OS)である“Open-gov Platform”の3つのプラットフォームによって構成されており、当該“ガブクラ”を通じて持続的なまちづくりを推進しております。
当連結会計年度においてデジタルガバメントでは、新規案件の獲得及び既存顧客の深耕に注力し、継続的な原価低減活動等に取り組みました。自治体及び公的機関を納入先とする入札案件においては、政府の行政デジタル化に関する取り組みが進められ、販売は好調に推移しました。さらにアライアンス先企業と連携して、公募調達に頼らない行政デジタル化サービスの開発にも取り組み始めております。
以上の結果、セグメント売上高は1,948,978千円(前期比9.0%増)、セグメント利益は406,901千円(前期比28.1%増)となりました。
<モビリティ・サービスセグメント>モビリティ・サービスセグメントは、祖業である自動車電装に端を発し、100年に一度という自動車産業の大変革期において、自動車に装着する安全支援機器や情報デバイスの販売であるカーソリューションから、コネクティッドカーサービスである“CiEMSシリーズ”(注5)やクルマのデータ利活用を推進するプラットフォーム、ソフトウエア、さらにカーシェアリングなどクルマのサービス化を支援するプラットフォーム“Kuruma Base”(注6)の提供へと、多様なモビリティIoTを事業とするモビリティ・サービスを推進してまいりました。
当連結会計年度においては、企業の営業車活用が移動の制限の中で減少している影響を受けたものの、貨物車等の商用車マーケットやモビリティ領域の既存大手事業者の革新的なモビリティ・サービスの開発に当社プラットフォームを採用頂くなど案件拡大に取り組みました。また、収益性向上に向け原価低減や業務効率化などを実行したことにより、前期に比べ大幅な増益につながりました。
以上の結果、セグメント売上高は1,555,345千円(前期比0.1%減)、セグメント利益は288,212千円(前期比23.6%増)となりました。
<スマートベニューセグメント>スマートベニューセグメントでは、2025年4月開業の神戸アリーナを軸として、政府が成長産業として位置付けるスタジアム・アリーナ改革やスマートべニューという概念に則り、新たな市場の創造を目指しております。さらに収益的にもデジタルガバメント、モビリティ・サービスに続く3本目の柱として当社グループの成長を支える存在になるよう準備を進めております。
当連結会計年度においては、中長期的な収益の獲得を見据え、2025年の開業に向けた環境整備を順調に推進しましたが、協賛獲得などが遅れ、投資が先行している中で減収減益となりました。
以上の結果、セグメント売上高は369,025千円(前期比19.9%減)、セグメント損失は268,216千円(前期は89,497千円の損失)となりました。
各事業の売上構成は、以下のとおりです。
(単位:千円、%)
[用語解説]
②財政状態の状況
a.資産
当連結会計年度末の総資産は、3,866,115千円となり、前連結会計年度末と比べ254,540千円の減少となりました。
流動資産は3,016,404千円となり、前連結会計年度末と比べ162,876千円の減少となりました。その主たる要因は、現金及び預金が224,395千円減少したことによるものであります。
固定資産は844,115千円となり、前連結会計年度末と比べ94,353千円の減少となりました。その主たる要因は、ソフトウエアが56,509千円、建物及び構築物が18,530千円、のれんが16,242千円減少したことによるものであります。
繰延資産は5,595千円となり、前連結会計年度末と比べ2,689千円の増加となりました。その主たる要因は、株式交付費が2,807千円増加したことによるものであります。
b.負債
当連結会計年度末における負債合計は、1,424,941千円となり、前連結会計年度末と比べ244,462千円の減少となりました。
流動負債は1,116,449千円となり、前連結会計年度末と比べ161,944千円の減少となりました。その主たる要因は、短期借入金が139,440千円、1年内返済予定の長期借入金11,674千円、未払法人税等が18,210千円減少したことによるものであります。
固定負債は308,492千円となり、前連結会計年度末と比べ82,517千円の減少となりました。その主たる要因は、長期借入金が79,440千円減少したことによるものであります。
c.純資産
当連結会計年度末における純資産は2,441,173千円となり、前連結会計年度末と比べ10,078千円の減少となりました。その主たる要因は、配当金の支払いにより80,314千円及び親会社株主に帰属する当期純損失48,525千円の計上により利益剰余金が138,377千円減少し、自己株式の取得を50,331千円実施したものの、ウイングアーク1st株式会社への第三者割当増資により資本金が85,490千円及び資本剰余金が85,490千円増加したことによるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ224,395千円減少し、1,239,306千円となりました。
当連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は、次のとおりであります。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動の結果、減少した資金は21,083千円(前期は596,735千円の資金の増加)となりました。これは主に、減価償却費130,354千円、のれん償却額16,242千円、預り金の増加額65,597千円等の資金の増加と、税金等調整前当期純損失75,889千円、売上債権及び契約資産の増加額48,948千円、未払消費税等の減少額79,791千円、法人税等の支払額18,702千円等の資金の減少によるものであります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動の結果、減少した資金は54,713千円(前期は1,175,706千円の資金の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出16,890千円、無形固定資産の取得による支出35,828千円等の資金の減少によるものであります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動の結果、減少した資金は148,598千円(前期は、1,271,990千円の資金の増加)となりました。これは主に、株式の発行による収入167,532千円、非支配株主からの払込みによる収入49,582千円等の資金の増加と、短期借入金の純増減額139,440千円、長期借入金の返済による支出91,114千円、自己株式の取得による支出50,331千円、配当金の支払額80,384千円等の資金の減少によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っていないため、生産実績の記載を省略しております。
b.仕入実績
仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
c.受注実績
当社グループは、受注から納品までの期間が短く、販売実績が受注と概ね同じであるため、受注実績の記載を省略しております。
d.販売実績
販売実績をセグメントごと、またサービス区分ごとに示すと、次のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照ください。
b.経営成績の分析
(売上高、売上総利益及び営業利益)
当連結会計年度における売上高は3,873,348千円(前期比1.8%増)となりました。
デジタルガバメントセグメントにおきましては、オープンガバメントにおける透明性、参加、連携の社会実装を推進するための自治体向けCLOUD SUITEとして“ガブクラ”を提供しております。
昨今、オンライン手続など行政デジタル化の流れが活性化し、ガバメントクラウドやデジタルマーケットプレイスなどの構想へとクラウドへのシフトが一段と鮮明になっております。“ガブクラ”はそうした中での「新しい公」へと続く行政デジタル化の実現に向けて、自治体の情報発信を推進するCLOUD SUITEです。具体的にはWebサイトの作成運用を実装するCMSである“SMART L-Gov”、住民と自治体をオンラインで繋ぎ「参加・連携」を促す“GaaS”、自治体スマートエリア向けデータ利用基盤(都市OS)である“Open-gov Platform”の3つのプラットフォームによって構成されており、当該“ガブクラ”を通じて持続的なまちづくりを推進しております。
当連結会計年度においてデジタルガバメントでは、新規案件の獲得及び既存顧客の深耕に注力し、継続的な原価低減活動等に取り組みました。自治体及び公的機関を納入先とする入札案件においては、政府の行政デジタル化に関する取り組みが進められ、販売は好調に推移しました。さらにアライアンス先企業と連携して、公募調達に頼らない行政デジタル化サービスの開発にも取り組み始めております。
以上の結果、セグメント売上高は1,948,978千円(前期比9.0%増)、セグメント利益は406,901千円(前期比28.1%増)となりました。
モビリティ・サービスセグメントは、祖業である自動車電装に端を発し、100年に一度という自動車産業の大変革期において、自動車に装着する安全支援機器や情報デバイスの販売であるカーソリューションから、コネクティッドカーサービスである“CiEMSシリーズ”やクルマのデータ利活用を推進するプラットフォーム、ソフトウエア、さらにカーシェアリングなどクルマのサービス化を支援するプラットフォーム“Kuruma Base”の提供へと、多様なモビリティIoTを事業とするモビリティ・サービスを推進してまいりました。
当連結会計年度においては、企業の営業車活用が移動の制限の中で減少している影響を受けたものの、貨物車等の商用車マーケットやモビリティ領域の既存大手事業者の革新的なモビリティ・サービスの開発に当社プラットフォームを採用頂くなど案件拡大に取り組みました。また、収益性向上に向け原価低減や業務効率化などを実行したことにより、前期に比べ大幅な増益につながりました。
以上の結果、セグメント売上高は1,555,345千円(前期比0.1%減)、セグメント利益は288,212千円(前期比23.6%増)となりました。
スマートベニューセグメントでは、2025年4月開業の神戸アリーナを軸として、政府が成長産業として位置付けるスタジアム・アリーナ改革やスマートべニューという概念に則り、新たな市場の創造を目指しております。さらに収益的にもデジタルガバメント、モビリティ・サービスに続く3本目の柱として当社グループの成長を支える存在になるよう準備を進めております。
当連結会計年度においては、中長期的な収益の獲得を見据え、2025年の開業に向けた環境整備を順調に推進しましたが、協賛獲得などが遅れ、投資が先行している中で減収減益となりました。
以上の結果、セグメント売上高は369,025千円(前期比19.9%減)、セグメント損失は268,216千円(前期は89,497千円の損失)となりました。
売上原価は2,589,025千円(前期比2.8%増)となりました。主たる要因は、デジタルガバメントの売上高増加に伴う外注費等の増加によるものであります。
この結果、当連結会計年度の売上総利益は1,284,323千円(前期比0.2%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、営業活動の拡大や、企業の成長に合わせた組織強化に伴う人件費等の増加等により、1,359,230千円(前期比4.4%増)となりました。
この結果、当連結会計年度の営業損失は74,907千円(前期は15,083千円の損失)となりました。
(営業外損益及び経常損失)
営業外収益は、助成金収入を3,461千円、違約金収入を3,807千円計上しましたが、助成金収入が前期より23,672千円減少した影響等により8,514千円(前期比73.9%減)となりました。
営業外費用は、支払利息7,493千円、株式交付費償却1,499千円を計上しましたが、前期発生した和解金1,500千円の影響等により9,285千円(前期比0.8%減)となりました。
この結果、当連結会計年度の経常損失は75,678千円(前期は8,228千円の利益)となりました。
(法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等合計(法人税等調整額を含む)を35,240千円、非支配株主に帰属する当期純損失62,605千円を計上しました。その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は48,525千円(前期は1,080千円の利益)となりました。
c.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
d.経営者の問題認識と今後の方針
当社グループは、「スマート&テクノロジーで歴史に残る社会システムを創る!」を標榜しており、クラウドソリューション事業のさらなる拡大および月額固定収入の増額等収益基盤の拡充に取り組んでまいります。そのための経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
② 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2024年6月期から2026年6月期までの「第3次中期経営計画(ローリング版)」において2026年6月期の連結営業利益目標を503百万円として掲げております。2024年6月期におきましては、連結営業利益目標を23百万円としております。
③ キャッシュ・フロー状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローに関する分析
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループにおける資金需要の主なものは、子会社への出資金、仕入代金、外注費等の製造原価、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金及び設備投資資金であります。当社グループの資金の源泉は、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び増資による資金調達と金融機関からの借入による資金調達となります。
また、手元流動性資金(現金及び預金残高)は、一定額を保持する方針であり、資金の流動性は十分に確保できていると考えております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産及び負債の数値、収益及び費用の数値に影響を与える見積りを必要としております。当該見積りについては、過去の実績値や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき行っておりますが、見積りについては不確実性が存在するため、実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたり用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は、次のとおりであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に関する規制緩和が進み、経済社会活動の正常化や各種政策の効果による景気全体の持ち直しなど、正常化に向けた緩やかな回復が続きました。一方でウクライナ紛争の長期化をはじめとする地政学的リスクの高まりに加え、世界的な資源・原材料価格高騰や半導体不足など海外景気の下振れへの懸念があり、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響等、依然として先行き不透明な状況が続きました。
このような経営環境の下、当社グループでは、「スマート&テクノロジーで歴史に残る社会システムを創る!」をミッションとし事業を展開してまいりました。
当連結会計年度においては、前連結会計年度からの業務効率化や原価削減の徹底などの改善策を実践するとともに、クラウドソリューション事業におけるMRR(月次経常収益)の獲得を進め、持続的成長モデルへの移行と中長期的な新たな収益モデルの創造を推進してまいりました。
一方で、スマートベニューセグメントにおいては、2025年の神戸アリーナ開業以降の収益獲得に向けて準備は順調に進んでおりますが、事業立ち上げにかかる投資が先行する結果となりました。
その結果、当連結会計年度におきましては、売上高は3,873,348千円(前期比1.8%増)、営業損失は74,907千円(前期は15,083千円の損失)、経常損失は75,678千円(前期は8,228千円の利益)、親会社株主に帰属する当期純損失は48,525千円(前期は1,080千円の利益)となりました。
今後も引き続き、クラウドソリューション事業においては継続的な規模の拡大が見込まれるSaaS市場での安定的なMRR増額や継続的な業務効率化によるコスト削減を推進するとともに、デジタルガバメント、モビリティ・サービスに続く「第3の柱」としてのスマートベニューにおいて、2025年開業予定の神戸アリーナを起点とするスマートシティへの取り組みなど、デジタルなまちづくりに資するサービス創造に注力することで、さらなる成長につながる収益モデルの創造を目指してまいります。
当連結会計年度におけるセグメント別の経営成績は、次のとおりであります。なお、当連結会計年度より、報告セグメントとして記載する事業セグメントを変更しており、前連結会計年度との比較・分析は、変更後の区分に基づいております。変更の詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 (セグメント情報等)」をご参照ください。
<デジタルガバメントセグメント>デジタルガバメントセグメントにおきましては、オープンガバメントにおける透明性、参加、連携の社会実装を推進するための自治体向けCLOUD SUITEとして“ガブクラ”を提供しております。
昨今、オンライン手続など行政デジタル化の流れが活性化し、ガバメントクラウド(注1)やデジタルマーケットプレイス(注2)などの構想へとクラウドへのシフトが一段と鮮明になっております。“ガブクラ”はそうした中での「新しい公」へと続く行政デジタル化の実現に向けて、自治体の情報発信を推進するCLOUD SUITEであります。具体的にはWebサイトの作成運用を実装するCMS(注3)である“SMART L-Gov”、住民と自治体をオンラインで繋ぎ「参加・連携」を促す“GaaS”(注4)、自治体スマートエリア向けデータ利用基盤(都市OS)である“Open-gov Platform”の3つのプラットフォームによって構成されており、当該“ガブクラ”を通じて持続的なまちづくりを推進しております。
当連結会計年度においてデジタルガバメントでは、新規案件の獲得及び既存顧客の深耕に注力し、継続的な原価低減活動等に取り組みました。自治体及び公的機関を納入先とする入札案件においては、政府の行政デジタル化に関する取り組みが進められ、販売は好調に推移しました。さらにアライアンス先企業と連携して、公募調達に頼らない行政デジタル化サービスの開発にも取り組み始めております。
以上の結果、セグメント売上高は1,948,978千円(前期比9.0%増)、セグメント利益は406,901千円(前期比28.1%増)となりました。
<モビリティ・サービスセグメント>モビリティ・サービスセグメントは、祖業である自動車電装に端を発し、100年に一度という自動車産業の大変革期において、自動車に装着する安全支援機器や情報デバイスの販売であるカーソリューションから、コネクティッドカーサービスである“CiEMSシリーズ”(注5)やクルマのデータ利活用を推進するプラットフォーム、ソフトウエア、さらにカーシェアリングなどクルマのサービス化を支援するプラットフォーム“Kuruma Base”(注6)の提供へと、多様なモビリティIoTを事業とするモビリティ・サービスを推進してまいりました。
当連結会計年度においては、企業の営業車活用が移動の制限の中で減少している影響を受けたものの、貨物車等の商用車マーケットやモビリティ領域の既存大手事業者の革新的なモビリティ・サービスの開発に当社プラットフォームを採用頂くなど案件拡大に取り組みました。また、収益性向上に向け原価低減や業務効率化などを実行したことにより、前期に比べ大幅な増益につながりました。
以上の結果、セグメント売上高は1,555,345千円(前期比0.1%減)、セグメント利益は288,212千円(前期比23.6%増)となりました。
<スマートベニューセグメント>スマートベニューセグメントでは、2025年4月開業の神戸アリーナを軸として、政府が成長産業として位置付けるスタジアム・アリーナ改革やスマートべニューという概念に則り、新たな市場の創造を目指しております。さらに収益的にもデジタルガバメント、モビリティ・サービスに続く3本目の柱として当社グループの成長を支える存在になるよう準備を進めております。
当連結会計年度においては、中長期的な収益の獲得を見据え、2025年の開業に向けた環境整備を順調に推進しましたが、協賛獲得などが遅れ、投資が先行している中で減収減益となりました。
以上の結果、セグメント売上高は369,025千円(前期比19.9%減)、セグメント損失は268,216千円(前期は89,497千円の損失)となりました。
各事業の売上構成は、以下のとおりです。
(単位:千円、%)
セグメントの名称 | 2022年6月期 | 2023年6月期(当期) | 対前期 増減率 | ||
売上高 | 構成比 | 売上高 | 構成比 | ||
デジタルガバメント | 1,788,409 | 47.0 | 1,948,978 | 50.3 | 9.0 |
モビリティ・サービス | 1,556,174 | 40.9 | 1,555,345 | 40.2 | △0.1 |
スマートベニュー | 460,790 | 12.1 | 369,025 | 9.5 | △19.9 |
合計 | 3,805,373 | 100.0 | 3,873,348 | 100.0 | 1.8 |
[用語解説]
注1. | ガバメントクラウド | : | 国の全ての行政機関(中央省庁・独立行政法人など)や地方自治体が共同で行政システムをクラウドサービスとして利用できるようにした「IT基盤」のこと。 |
注2. | デジタルマーケットプレイス | : | 複数のベンダーやサービスを一律の要件で登録し、登録されているサービス・企業について、行政機関が、入札等不要で簡易的に調達できる仕組みのこと。 |
注3. | CMS | : | Contents Management Systemの略で、Webサイトのコンテンツを構成するテキストや画像、デザイン・レイアウト情報(テンプレート)などを一元的に保存・管理するシステムのこと。 |
注4. | GaaS | Government as a Serviceの略で、当社が提供する行政サービスをデジタル化するオンライン手続きのサービス。 | |
注5. | CiEMSシリーズ | : | 当社が提供する、モビリティから取得した多様なデータを分析・活用することで、交通事故の削減、渋滞の緩和、車両活用の効率化など、様々な社会課題の解決をするためのサービス。 |
注6. | Kuruma Base | : | 当社が提供する、クルマのコネクティッド化からサービス化までをインテグレートするプラットフォーム。 |
②財政状態の状況
a.資産
当連結会計年度末の総資産は、3,866,115千円となり、前連結会計年度末と比べ254,540千円の減少となりました。
流動資産は3,016,404千円となり、前連結会計年度末と比べ162,876千円の減少となりました。その主たる要因は、現金及び預金が224,395千円減少したことによるものであります。
固定資産は844,115千円となり、前連結会計年度末と比べ94,353千円の減少となりました。その主たる要因は、ソフトウエアが56,509千円、建物及び構築物が18,530千円、のれんが16,242千円減少したことによるものであります。
繰延資産は5,595千円となり、前連結会計年度末と比べ2,689千円の増加となりました。その主たる要因は、株式交付費が2,807千円増加したことによるものであります。
b.負債
当連結会計年度末における負債合計は、1,424,941千円となり、前連結会計年度末と比べ244,462千円の減少となりました。
流動負債は1,116,449千円となり、前連結会計年度末と比べ161,944千円の減少となりました。その主たる要因は、短期借入金が139,440千円、1年内返済予定の長期借入金11,674千円、未払法人税等が18,210千円減少したことによるものであります。
固定負債は308,492千円となり、前連結会計年度末と比べ82,517千円の減少となりました。その主たる要因は、長期借入金が79,440千円減少したことによるものであります。
c.純資産
当連結会計年度末における純資産は2,441,173千円となり、前連結会計年度末と比べ10,078千円の減少となりました。その主たる要因は、配当金の支払いにより80,314千円及び親会社株主に帰属する当期純損失48,525千円の計上により利益剰余金が138,377千円減少し、自己株式の取得を50,331千円実施したものの、ウイングアーク1st株式会社への第三者割当増資により資本金が85,490千円及び資本剰余金が85,490千円増加したことによるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比べ224,395千円減少し、1,239,306千円となりました。
当連結会計期間における各キャッシュ・フローの状況と主な要因は、次のとおりであります。
[営業活動によるキャッシュ・フロー]
営業活動の結果、減少した資金は21,083千円(前期は596,735千円の資金の増加)となりました。これは主に、減価償却費130,354千円、のれん償却額16,242千円、預り金の増加額65,597千円等の資金の増加と、税金等調整前当期純損失75,889千円、売上債権及び契約資産の増加額48,948千円、未払消費税等の減少額79,791千円、法人税等の支払額18,702千円等の資金の減少によるものであります。
[投資活動によるキャッシュ・フロー]
投資活動の結果、減少した資金は54,713千円(前期は1,175,706千円の資金の減少)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出16,890千円、無形固定資産の取得による支出35,828千円等の資金の減少によるものであります。
[財務活動によるキャッシュ・フロー]
財務活動の結果、減少した資金は148,598千円(前期は、1,271,990千円の資金の増加)となりました。これは主に、株式の発行による収入167,532千円、非支配株主からの払込みによる収入49,582千円等の資金の増加と、短期借入金の純増減額139,440千円、長期借入金の返済による支出91,114千円、自己株式の取得による支出50,331千円、配当金の支払額80,384千円等の資金の減少によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っていないため、生産実績の記載を省略しております。
b.仕入実績
仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 仕入高(千円) | 前期比(%) |
デジタルガバメント | 4,279 | △10.4 |
モビリティ・サービス | 386,740 | 4.1 |
スマートベニュー | 14,027 | 36.3 |
合計 | 405,046 | 4.8 |
c.受注実績
当社グループは、受注から納品までの期間が短く、販売実績が受注と概ね同じであるため、受注実績の記載を省略しております。
d.販売実績
販売実績をセグメントごと、またサービス区分ごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 販売高(千円) | 前期比(%) |
デジタルガバメント | 1,948,978 | 9.0 |
モビリティ・サービス | 1,555,345 | △0.1 |
スマートベニュー | 369,025 | △19.9 |
合計 | 3,873,348 | 1.8 |
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 当連結会計年度の財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」をご参照ください。
b.経営成績の分析
(売上高、売上総利益及び営業利益)
当連結会計年度における売上高は3,873,348千円(前期比1.8%増)となりました。
デジタルガバメントセグメントにおきましては、オープンガバメントにおける透明性、参加、連携の社会実装を推進するための自治体向けCLOUD SUITEとして“ガブクラ”を提供しております。
昨今、オンライン手続など行政デジタル化の流れが活性化し、ガバメントクラウドやデジタルマーケットプレイスなどの構想へとクラウドへのシフトが一段と鮮明になっております。“ガブクラ”はそうした中での「新しい公」へと続く行政デジタル化の実現に向けて、自治体の情報発信を推進するCLOUD SUITEです。具体的にはWebサイトの作成運用を実装するCMSである“SMART L-Gov”、住民と自治体をオンラインで繋ぎ「参加・連携」を促す“GaaS”、自治体スマートエリア向けデータ利用基盤(都市OS)である“Open-gov Platform”の3つのプラットフォームによって構成されており、当該“ガブクラ”を通じて持続的なまちづくりを推進しております。
当連結会計年度においてデジタルガバメントでは、新規案件の獲得及び既存顧客の深耕に注力し、継続的な原価低減活動等に取り組みました。自治体及び公的機関を納入先とする入札案件においては、政府の行政デジタル化に関する取り組みが進められ、販売は好調に推移しました。さらにアライアンス先企業と連携して、公募調達に頼らない行政デジタル化サービスの開発にも取り組み始めております。
以上の結果、セグメント売上高は1,948,978千円(前期比9.0%増)、セグメント利益は406,901千円(前期比28.1%増)となりました。
モビリティ・サービスセグメントは、祖業である自動車電装に端を発し、100年に一度という自動車産業の大変革期において、自動車に装着する安全支援機器や情報デバイスの販売であるカーソリューションから、コネクティッドカーサービスである“CiEMSシリーズ”やクルマのデータ利活用を推進するプラットフォーム、ソフトウエア、さらにカーシェアリングなどクルマのサービス化を支援するプラットフォーム“Kuruma Base”の提供へと、多様なモビリティIoTを事業とするモビリティ・サービスを推進してまいりました。
当連結会計年度においては、企業の営業車活用が移動の制限の中で減少している影響を受けたものの、貨物車等の商用車マーケットやモビリティ領域の既存大手事業者の革新的なモビリティ・サービスの開発に当社プラットフォームを採用頂くなど案件拡大に取り組みました。また、収益性向上に向け原価低減や業務効率化などを実行したことにより、前期に比べ大幅な増益につながりました。
以上の結果、セグメント売上高は1,555,345千円(前期比0.1%減)、セグメント利益は288,212千円(前期比23.6%増)となりました。
スマートベニューセグメントでは、2025年4月開業の神戸アリーナを軸として、政府が成長産業として位置付けるスタジアム・アリーナ改革やスマートべニューという概念に則り、新たな市場の創造を目指しております。さらに収益的にもデジタルガバメント、モビリティ・サービスに続く3本目の柱として当社グループの成長を支える存在になるよう準備を進めております。
当連結会計年度においては、中長期的な収益の獲得を見据え、2025年の開業に向けた環境整備を順調に推進しましたが、協賛獲得などが遅れ、投資が先行している中で減収減益となりました。
以上の結果、セグメント売上高は369,025千円(前期比19.9%減)、セグメント損失は268,216千円(前期は89,497千円の損失)となりました。
売上原価は2,589,025千円(前期比2.8%増)となりました。主たる要因は、デジタルガバメントの売上高増加に伴う外注費等の増加によるものであります。
この結果、当連結会計年度の売上総利益は1,284,323千円(前期比0.2%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、営業活動の拡大や、企業の成長に合わせた組織強化に伴う人件費等の増加等により、1,359,230千円(前期比4.4%増)となりました。
この結果、当連結会計年度の営業損失は74,907千円(前期は15,083千円の損失)となりました。
(営業外損益及び経常損失)
営業外収益は、助成金収入を3,461千円、違約金収入を3,807千円計上しましたが、助成金収入が前期より23,672千円減少した影響等により8,514千円(前期比73.9%減)となりました。
営業外費用は、支払利息7,493千円、株式交付費償却1,499千円を計上しましたが、前期発生した和解金1,500千円の影響等により9,285千円(前期比0.8%減)となりました。
この結果、当連結会計年度の経常損失は75,678千円(前期は8,228千円の利益)となりました。
(法人税等及び親会社株主に帰属する当期純利益)
法人税等合計(法人税等調整額を含む)を35,240千円、非支配株主に帰属する当期純損失62,605千円を計上しました。その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は48,525千円(前期は1,080千円の利益)となりました。
c.経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載しております。
d.経営者の問題認識と今後の方針
当社グループは、「スマート&テクノロジーで歴史に残る社会システムを創る!」を標榜しており、クラウドソリューション事業のさらなる拡大および月額固定収入の増額等収益基盤の拡充に取り組んでまいります。そのための経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
② 経営方針・経営戦略等又は経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、2024年6月期から2026年6月期までの「第3次中期経営計画(ローリング版)」において2026年6月期の連結営業利益目標を503百万円として掲げております。2024年6月期におきましては、連結営業利益目標を23百万円としております。
③ キャッシュ・フロー状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローに関する分析
「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照下さい。
b.資本の財源及び資金の流動性
当社グループにおける資金需要の主なものは、子会社への出資金、仕入代金、外注費等の製造原価、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金及び設備投資資金であります。当社グループの資金の源泉は、主として営業活動によるキャッシュ・フロー及び増資による資金調達と金融機関からの借入による資金調達となります。
また、手元流動性資金(現金及び預金残高)は、一定額を保持する方針であり、資金の流動性は十分に確保できていると考えております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、決算日における資産及び負債の数値、収益及び費用の数値に影響を与える見積りを必要としております。当該見積りについては、過去の実績値や状況を踏まえ、合理的と判断される前提に基づき行っておりますが、見積りについては不確実性が存在するため、実際の結果と異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表の作成にあたり用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。