有価証券報告書-第3期(平成29年4月1日-平成30年3月31日)

【提出】
2018/06/21 15:07
【資料】
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【項目】
135項目
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、アベノミクスの推進により、雇用・所得環境が改善したほか、海外経済が回復する中で、輸出や生産の持ち直しが続くとともに、個人消費や設備投資が持ち直すなど、緩やかな景気回復基調が続きました。
原油価格は、期初に1バレル51ドル台であったドバイ原油が、米国のシェールオイル増産などの影響により43ドル台まで下落しましたが、11月にOPECによる減産延長の合意やイラン反政府デモなどにより、期末は65ドル台で終えました。
為替相場は、期初は1ドル111円台から始まり、8月からの北朝鮮によるミサイル発射問題などがあったものの、12月には1ドル112円前後と安定した相場が続きました。その後、2月の日経平均株価下落の影響や米国トランプ政権への不安などから、円高基調に反転し、期末は106円台で終えました。
石油製品の国内需要は、ガソリンは燃費改善により需要が減少する一方、灯油・軽油は厳冬の影響や東京オリンピックに向けた建設需要の増加に伴い前期を上回る実績となりました。A重油・C重油に関しては燃料転換などにより需要が前期比で大幅に減少した結果、全体としては前期を下回りました。
石油化学製品は、国内需要が前期並みで推移する中で、エチレンプラントが高稼働を維持したことにより、生産は前期を上回りました。市況は国内及びアジア地域において、堅調に推移しました。
以上の結果、当期の連結経営成績は、売上高は2兆5,231億円(前期比+2,308億円)、営業利益は1,119億円(前期比+197億円)、経常利益は1,169億円(前期比+355億円)、親会社株主に帰属する当期純利益は728億円(前期比+196億円)となりました。
なお、セグメント情報につきましては、以下のとおりであります。
[石油事業]
石油事業につきましては、主に原油価格の上昇により、売上高は増加しました。また、原油価格の上昇によるたな卸資産の在庫評価の影響が売上原価を押し下げました。その結果、売上高は2兆2,927億円(前期比+1,928億円)、セグメント利益は588億円(前期比+176億円)となりました。
[石油化学事業]
石油化学事業につきましては、製品販売数量の増加及び製品市況の改善により、売上高は4,585億円(前期比+801億円)、セグメント利益は304億円(前期比+82億円)となりました。
[石油開発事業]
石油開発事業につきましては、原油販売価格の上昇等により、売上高は563億円(前期比+118億円)、セグメント利益は183億円(前期比+90億円)となりました。
当期の連結財政状態は、総資産は1兆6,909億円(前連結会計年度末比+1,652億円)、負債合計は1兆3,347億円(前連結会計年度末比+818億円)、純資産合計は3,561億円(前連結会計年度末比+833億円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は551億円となり、前連結会計年度末の残高361億円に比べ190億円増加いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、資金の増加は1,926億円であり、前連結会計年度に比べ1,450億円キャッシュ・フローが増加いたしました。これは主に、税金等調整前当期純利益を計上したことや仕入債務が増加したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、資金の減少は964億円であり、前連結会計年度に比べ156億円キャッシュ・フローが増加いたしました。これは主に、固定資産の取得による支出が減少したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、資金の減少は768億円であり、前連結会計年度に比べ864億円キャッシュ・フローが減少いたしました。これは主に、借入金の返済等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
石油事業870,675108.4
石油化学事業351,064180.0
石油開発事業13,60894.2
合計1,235,347122.0

(注)1 自家燃料は除いております。
2 委託処理分を含み、受託処理分は除いております。
3 上記の金額にセグメント間の生産高は含まれておりません。
4 上記の金額に消費税等は含まれておりません。
b受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
その他10,387114.66,753168.8

(注)上記の金額に消費税等は含まれておりません。
c販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
石油事業2,076,816108.3
石油化学事業404,221123.2
石油開発事業18,90086.3
その他23,16697.9
合計2,523,106110.1

(注)1 上記の金額にセグメント間の販売高は含まれておりません。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2016年4月1日
至 2017年3月31日)
当連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
JXTGホールディングス㈱--335,55013.3
JXホールディングス㈱304,86013.3--

※JXTGホールディングス㈱は、2017年4月1日にJXホールディングス㈱と東燃ゼネラル石油㈱が経営統合し、商号変更したものであります。
※販売実績には、JXTGホールディングス㈱と同一の企業集団に属する企業に対する販売実績を含めております。
3 上記の金額に消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2018年6月21日)現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりです。
②経営成績の分析
a売上高
売上高は、前連結会計年度に比べ、2,308億円(10.1%)増加の2兆5,231億円となりました。これは、主に原油価格上昇による影響によるものです。
b売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前連結会計年度に比べ、2,030億円(9.8%)増加し、2兆2,827億円となりました。これは、原油価格上昇が主な要因です。売上高に対する売上原価の比率は、0.2ポイント減少して、90.5%となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ、81億円(6.8%)増加し、1,285億円となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は、0.2ポイント減少して、5.1%となりました。
c営業利益
上記の結果を受け、営業利益は、前連結会計年度922億円に比べ、197億円利益が改善し、1,119億円となりました。これは、主に石油事業において製油所の高稼働および国内の需給改善したこと、石油化学事業において製品販売数量の増加と市況の改善したことによるものです。
d営業外損益
営業外損益は、前連結会計年度に比べ、157億円改善し、50億円の利益となりました。これは持分法投資損益並びに為替差損益が前連結会計年度に比べそれぞれ101億円、36億円改善したこと等が主な要因です。
e税金等調整前当期純利益
特別損益は、連結子会社コスモ石油㈱の千葉パイプライン工事等に伴う「補助金収入」30億円等を特別利益として計上する一方、特別損失として固定資産の除却・撤去に関する「固定資産処分損」82億円等を計上したことにより76億円の損失となり、前連結会計年度に比べ、47億円の悪化となりました。
結果として、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ307億円利益が増加し、1,093億円となりました。
f法人税等
法人税、住民税及び事業税は、前連結会計年度に比べ、104億円(57.0%)増加の287億円となりました。また、法人税等調整額は、前連結会計年度に比べ、41億円減少し、△35億円となりました。その結果、当連結会計年度の税金費用負担額は、前連結会計年度に比べ、63億円増加し、252億円となりました。
g非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は、主として、石油化学会社及び石油開発会社等の非支配株主に帰属する利益からなり、前連結会計年度に比べ、49億円(75.9%)増加し、113億円となりました。
h親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ、196億円増加し、728億円となりました。1株当たりの当期純利益金額は、865.80円となりました。
③流動性及び資金の源泉
a財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は6,648億円となり、前連結会計年度末に比べ1,032億円増加いたしました。これは主に原油価格の上昇に伴い受取手形及び売掛金が483億円増加したこと及びたな卸資産が220億円増加したことによるものであります。固定資産は1兆257億円となり、前連結会計年度末に比べ621億円増加いたしました。これは主に設備投資により有形固定資産が443億円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は1兆6,909億円となり、前連結会計年度末に比べ1,652億円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は8,002億円となり、前連結会計年度末に比べ1,447億円増加いたしました。これは主に原油価格上昇に伴い支払手形及び買掛金が1,039億円増加したことによるものであります。固定負債は5,346億円となり、前連結会計年度末に比べ628億円減少いたしました。これは主に長期借入金が651億円減少したことによるものであります。
この結果、負債合計は1兆3,347億円となり、前連結会計年度末に比べ818億円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は3,561億円となり、前連結会計年度末に比べ833億円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益728億円を計上したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は14.1%(前連結会計年度末は10.8%)となりました。
bキャッシュ・フロー
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローは、営業活動は税金等調整前当期純利益を計上したことなどの資金増加要因により1,926億円のプラスとなりました。投資活動は、固定資産の取得に伴う支出等により964億円のマイナスとなりました。財務活動は、借入金の返済等により768億円のマイナスとなりました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比190億円増加の551億円となりました。
なお、当社グループのキャッシュ・フローに関する指標は下記のとおりであります。
2016年3月期2017年3月期2018年3月期
自己資本比率7.7%10.8%14.1%
時価ベースの自己資本比率7.1%10.5%17.1%
キャッシュ・フロー対有利子負債比率41.1年16.2年3.6年
インタレスト・カバレッジ・レシオ1.4倍3.8倍15.6倍

(注)1 各指標は、以下の計算式によっております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
3 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しております。
4 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。