訂正有価証券報告書-第4期(平成30年4月1日-平成31年3月31日)

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2021/11/11 16:00
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財政状態の状況については、『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当該会計基準等を遡って適用した後の数値で前連結会計年度との比較分析を行っております。
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、企業収益が高い水準にあり、設備投資が増加するとともに、雇用・所得環境の改善により個人消費の持ち直しが続くなど、緩やかな回復が続きました。
原油価格は、期初に1バレル66ドル台であったドバイ原油が、米国トランプ政権による対イラン制裁に伴うイラン産原油の供給減を背景とした需給逼迫の懸念等による不透明感に押し上げられ、84ドル台に上昇したものの、11月の対イラン制裁の一部適用除外等をきっかけに49ドル台に急落しました。その後、OPEC等による原油の減産により、期末は67ドル台で終えました。
為替相場は、期初は1ドル106円台から始まり、米国の政策金利の引き上げ等を受けておおむね1ドル109円から114円の間で推移しました。その後、世界経済の減速懸念から、一時円高に反転しましたが、期末は110円台で終えました。
石油製品の国内需要は、依然として減退傾向が続いており、軽油は前期並みに推移したものの、ガソリン・灯油・重油がそれぞれ減少した結果、燃料油全体では前期を下回りました。
石油化学製品は、アジア地域での需要の堅調な伸びに支えられ、市況は安定して推移しましたが、一部製品につきましては軟化傾向がみられました。
このような経営環境の下、当社グループは、『Oil & New 石油のすべてを。次の「エネルギー」を。』をスローガンとした当連結会計年度を初年度とする第6次連結中期経営計画の基本方針に基づき、主力事業である石油開発事業、石油事業の収益力を強化し財務基盤を確立するとともに、長期的な環境変化を見据え、再生可能エネルギー事業への積極投資や石油化学事業の競争力強化等、事業ポートフォリオの拡充に向けた取り組みを開始しました。
当連結会計年度の業績につきましては、売上高は主に石油事業における原油価格の上昇、石油開発事業における原油販売価格の上昇並びに原油販売数量の増加により2兆7,704億円(前期比+2,473億円)となりました。また、営業利益は947億円(前期比△172億円)、経常利益は967億円(前期比△202億円)となりました。
これは主に、石油開発事業において販売数量の増加があったものの、石油事業において原油価格の変動に伴うたな卸資産評価の影響を受けたことや、石油化学事業において定期整備があったことなどによるものです。
親会社株主に帰属する当期純利益は、上記の減益要因があったものの、当連結会計年度において繰延税金資産の回収可能性の見直しを実施し、531億円(前期比△197億円)となりました。
なお、セグメント情報につきましては、以下のとおりであります。
(石油事業)
石油事業につきましては、前年同期比で原油価格が上昇したことにより、売上高は2兆5,269億円(前期比+2,342億円)となりました。一方、原油価格の変動によるたな卸資産の評価損の影響等により、セグメント利益は142億円(前期比△446億円)となりました。
(石油化学事業)
石油化学事業につきましては、前年同期比で製品価格が上昇したことにより、売上高は4,586億円(前期比+1億円)となりました。一方、前年同期比では定期整備の影響により販売数量が減少したこと及び市況が悪化したことにより、セグメント利益は153億円(前期比△151億円)となりました。
(石油開発事業)
石油開発事業につきましては、前年同期比で原油価格の上昇並びに原油販売数量が増加したことにより、売上高は1,117億円(前期比+554億円)、セグメント利益は569億円(前期比+386億円)となりました。
当期の連結財政状態は、総資産は1兆7,023億円(前連結会計年度末比+140億円)、負債合計は1兆3,004億円(前連結会計年度末比△317億円)、純資産合計は4,019億円(前連結会計年度末比+458億円)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は407億円となり、前連結会計年度末の残高551億円に比べ144億円減少いたしました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、資金の増加は905億円であり、前連結会計年度に比べ1,021億円キャッシュ・フローが減少いたしました。これは主に、法人税等の支払額が増加したことや仕入債務が減少したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、資金の減少は845億円であり、前連結会計年度に比べ119億円キャッシュ・フローが増加いたしました。これは主に、固定資産の取得による支出が減少したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、資金の減少は205億円であり、前連結会計年度に比べ563億円キャッシュ・フローが増加いたしました。これは主に、転換社債型新株予約権付社債を発行したこと等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a生産実績
当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称生産高(百万円)前年同期比(%)
石油事業1,007,232115.7
石油化学事業391,403111.5
石油開発事業22,407164.7
合計1,421,043115.0

(注)1 自家燃料は除いております。
2 委託処理分を含み、受託処理分は除いております。
3 上記の金額にセグメント間の生産高は含まれておりません。
4 上記の金額に消費税等は含まれておりません。
b受注実績
当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称受注高(百万円)前年同期比(%)受注残高(百万円)前年同期比(%)
その他14,167136.411,222166.2

(注)上記の金額に消費税等は含まれておりません。
c販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称販売高(百万円)前年同期比(%)
石油事業2,293,471110.4
石油化学事業404,934100.2
石油開発事業45,149238.9
その他26,810115.7
合計2,770,365109.8

(注)1 上記の金額にセグメント間の販売高は含まれておりません。
2 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2017年4月1日
至 2018年3月31日)
当連結会計年度
(自 2018年4月1日
至 2019年3月31日)
金額(百万円)割合(%)金額(百万円)割合(%)
JXTGホールディングス㈱335,55013.3367,77013.3

※販売実績には、JXTGホールディングス㈱と同一の企業集団に属する企業に対する販売実績を含めております。
3 上記の金額に消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
文中における将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2019年6月20日)現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり採用した会計方針及びその適用方法並びに見積りの評価については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりです。
②経営成績の分析
a売上高
売上高は、前連結会計年度に比べ2,473億円増加し、2兆7,704億円となりました。これは、原油価格の上昇が主な要因です。
b売上原価、販売費及び一般管理費
売上原価は、前連結会計年度に比べ2,572億円増加し、2兆5,399億円となりました。これは、原油価格の上昇が主な要因です。売上高に対する売上原価の比率は、1.2ポイント増加して、91.7%となりました。
販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ73億円増加し、1,358億円となりました。販売費及び一般管理費の売上高に対する比率は、0.2ポイント減少して、4.9%となりました。
c営業利益
上記の結果を受け、営業利益は、前連結会計年度1,119億円に比べ172億円悪化し、947億円となりました。これは、石油開発事業において原油価格の上昇並びに2018年1月からヘイル油田がフル生産を継続したことによる原油生産数量の増加といった増益要因があった一方、石油事業における原油価格変動に伴う棚卸資産評価の影響や石油化学事業における市況悪化並びに定期整備による販売数量減少といった減益要因があったことなどによるものです。
d営業外損益
営業外損益は、前連結会計年度に比べ30億円悪化し、20億円の利益となりました。これは、為替差損益が前連結会計年度に比べ14億円改善したものの、持分法投資損益が50億円悪化したこと等が主な要因です。
e税金等調整前当期純利益
特別損益は、補助金収入55億円等を特別利益として計上する一方、特別損失として固定資産の除却・撤去に関する固定資産処分損54億円、遊休資産などに係る減損損失20億円等を計上したことにより、7億円の損失となりましたが、前連結会計年度に比べ69億円改善しました。
特別損益は改善したものの、税金等調整前当期純利益は、前連結会計年度に比べ133億円利益が減少し、960億円となりました。
f法人税等
法人税、住民税及び事業税は、前連結会計年度に比べ152億円増加し、439億円となりました。また、法人税等調整額は、前連結会計年度に比べ104億円減少し、△139億円となりました。これは主に、繰延税金資産の回収可能性の見直しを実施したこと等によるものです。その結果、当連結会計年度の税金費用負担額は、前連結会計年度に比べ47億円増加し、299億円となりました。
g非支配株主に帰属する当期純利益
非支配株主に帰属する当期純利益は、主として石油化学会社及び石油開発会社等の非支配株主に帰属する利益からなり、前連結会計年度に比べ16億円増加し、129億円となりました。
h親会社株主に帰属する当期純利益
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ197億円減少し、531億円となりました。1株当たりの当期純利益は、630.69円となりました。
なお、セグメントごとの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。
(石油事業)
需給環境の変化を背景に、石油製品販売において適正マージンを確保した一方、製油所の定修、一部不具合による装置停止、将来の定修費用の引当金計上及びたな卸資産評価等が影響し、セグメント利益は前連結会計年度に比べ446億円減少し、142億円となりました。
2019年度はIMO規制への適応や、キグナス石油㈱向けの供給開始など更なる収益機会を確実に享受すべく、堺製油所のコーカー能力増強並びに製油所の更なる安全安定稼働を実現するため、予防保全の観点から投資を進めてまいります。
(石油化学事業)
エチレン市況やベンゼン市況の下落及び工場の定修影響による販売数量減少などが影響し、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ151億円減少し、153億円となりました。
2019年度は昨年度の定修影響解消により販売数量増加を見込んでおります。
(石油開発事業)
ドバイ原油価格の上昇や2018年1月よりヘイル油田がフル生産を継続し、原油生産数量が増加したことなどの影響により、セグメント利益は、前連結会計年度に比べ386億円増加し、569億円となりました。
2019年度は、長期的な生産数量を確保するため、ヘイル油田の生産数量を抑制する見込みです。
(その他)
2017年度下期に運転開始した酒田港宮海・大浜、石狩湾新港の風力発電設備が通年で寄与したことにより、経常利益は前連結会計年度に比べ10億円増加し、61億円となりました。
2019年度は、度会2期、姫神の風力発電設備が4月に運転を開始したため、更なる増益を見込むとともに、引き続き洋上風力進出に向けた対応を進めてまいります。
③資本の財源及び資金の流動性に関する分析
a資金需要
当社グループの資金需要は主に運転資金と設備投資に関するものです。
運転資金需要は製品製造のための原材料仕入のほか、製造費、販売費及び一般管理費等によるものです。
設備投資需要は競争力強化を目的とした石油・石化製品の製造設備、原油の生産設備、発電設備等の取得や維持更新によるものです。
b財務政策
当社の経営環境において適切かつ効率的な調達をおこなっています。また、グループ金融体制を構築することで、子会社の運転資金並びに設備投資資金の調達を効率化しています。2022年度までの第6次連結中期経営計画の目標の一つに財務体質の強化を掲げ、自己資本4,000億円以上、ネットD/Eレシオ1倍台前半の早期実現を目指しております。
(特定融資枠契約)
平時における十分な流動性の確保と災害発生等の緊急時に円滑な資金調達を行うために取引金融機関と特定融資枠契約(コミットメントライン契約)を締結しています。なお、当連結会計年度末における当該契約の極度額は1,344億円です。
c財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は6,417億円となり、前連結会計年度末に比べ155億円減少いたしました。これは主に、当第4四半期連結会計期間の売上の減少に伴い受取手形及び売掛金が197億円減少したこと並びに現金及び預金が153億円減少したことによるものです。固定資産は1兆601億円となり、前連結会計年度末に比べ294億円増加いたしました。これは主に、設備投資により有形固定資産が247億円増加したことによるものであります。
この結果、総資産は1兆7,023億円となり、前連結会計年度末に比べ140億円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は7,647億円となり、前連結会計年度末に比べ354億円減少いたしました。これは主に、課税所得の減少に伴い未払法人税等が100億円減少したこと並びにその他の流動負債が114億円減少したことによるものです。固定負債は5,357億円となり、前連結会計年度末に比べ37億円増加いたしました。
この結果、負債合計は1兆3,004億円となり、前連結会計年度末に比べ317億円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は4,019億円となり、前連結会計年度末に比べ458億円増加いたしました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益531億円を計上したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は16.5%(前連結会計年度末は14.1%)となりました。
dキャッシュ・フロー
当連結会計年度の連結キャッシュ・フローは、営業活動は税金等調整前当期純利益を計上したこと等の資金増加要因により905億円のプラスとなりました。投資活動は、固定資産等の取得に伴う支出等により845億円のマイナスとなりました。財務活動は、借入金の返済等により205億円のマイナスとなりました。
以上の結果、当連結会計年度末の現金及び現金同等物の残高は、前連結会計年度末比144億円減少の407億円となりました。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー指標のトレンドは下記のとおりであります。
2016年3月期2017年3月期2018年3月期2019年3月期
自己資本比率7.7%10.8%14.1%16.5%
時価ベースの自己資本比率7.1%10.5%17.2%11.0%
キャッシュ・フロー対有利子負債比率41.1年16.2年3.6年7.7年
インタレスト・カバレッジ・レシオ1.4倍3.8倍15.6倍8.2倍

(注)1 各指標は、以下の計算式によっております。
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
2 各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
3 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数(自己株式控除後)により計算しております。
4 営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている借入金等を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
5 「『税効果会計に係る会計基準』の一部改正」(企業会計基準第28号 平成30年2月16日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、前連結会計年度に係る指標等については、当該会計基準等を遡って適用した後の指標等となっております。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、中期的な経営の方向性を第6次連結中期経営計画で示し、最終年度である2022年度における目標値を定めております。当該中期経営計画初年度の評価として、当連結会計年度における客観的指標の実績を示すとともにその達成状況を分析すると以下のとおりとなります。
親会社株主に帰属する当期純利益は531億円、自己資本は2,811億円(自己資本比率16.5%)、ネットD/Eレシオ(※)は1.98倍となりました。収益水準及び財務体質は着実に改善し、第6次連結中期経営計画は順調に進捗しております。2019年度以降、IMO規制への対応やキグナス石油㈱向けの供給開始など、更なる収益機会が存在するため、引き続き順調に進捗していくものと思われます。
(※):2015年4月1日実行のハイブリッドローン600億円について、50%を資本とみなして算出