有価証券報告書-第18期(2025/05/01-2026/04/30)

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2026/07/23 15:28
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文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
Ⅰ 経営成績等の状況の概要
(1)財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における我が国の経済状況は、所得・雇用環境の改善が続く中、各種政策の効果もあって、緩やかな回復基調が続いているものの、日銀の金融政策正常化に伴う政策金利の引き上げによる借入コストの上昇や為替変動のリスクを注視する必要があり、また、欧米における金利動向、中東情勢及びエネルギー価格の変動が国内景気に及ぼすリスクが見られる等、先行きが不透明な状況が続いております。
その一方で、情報サービス業界においては、技術革新のスピードが更に加速しており、少子高齢化・生産年齢人口の減少等を受け、デジタル技術を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)に関する投資が引き続き拡大を続けています。特に、AI市場においては、2023年のOpenAI社による「GPT-3.5」「GPT-4.0」のリリース、そして2025年の「GPT-5.0」のリリースに端を発した生成AIブームは、実証実験フェーズから本格導入フェーズへと移行しており、各産業におけるAIトランスフォーメーション(以下「AIX」という。)に関する投資が一層加速しております。また、AI市場の進化として、AIエージェント技術の台頭が顕著となっており、単なる対話型AIから、自律的に判断・実行するAIエージェントへと進化することで、業務の自動化・効率化が飛躍的に進展しております。LLM(Large Language Model:大規模言語モデル)の性能向上に加え、RAG(Retrieval-Augmented Generation)技術やマルチモーダルAIの実用化、プライベートLLMの需要拡大等、AI技術は次のステージへと移行しております。
なお、当社グループでは、AIXとは、AIを社会に浸透させることにより、その力を通じて既存の業務プロセスやビジネスモデル等を含めて社会全体に抜本的な変革を起こすこと、と捉えており、LLMを含むAIが当たり前のように社会全体に浸透していく中で、主にBPO市場において、AIを業務ツールとして断片的に使うのではなく、より根本的な価値創造・人とAIの共創がテーマとなる世界が到来しております。
また、セキュリティ市場においても、生成AIを悪用したサイバー攻撃の高度化やサプライチェーンを狙った攻撃、一般企業・病院等を狙うランサムウェア被害(身代金要求型ウイルス)が増加しており、また、企業によるクラウドサービスの利用やDX化・AI導入の推進、AIガバナンス体制の構築ニーズ等もあって、セキュリティ対策は必然となっております。
このような環境の中で、当社グループは、HEROZ3.0として「AI BPaaS」を掲げ、単なるSaaSツール提供会社にとどまらず、生成AI・AIエージェント等を駆使し、大幅に自動化されたWorkというかたちで価値提供を行い、社会全体にAIXを起こしていくことを目指しております。当連結会計年度においては、グループ全体のプロダクトにおけるAIエージェント機能の実装を積極的に推進しており、顧客の業務効率化に大きく貢献しております。「Meta Agent」(課題分解、ゴール設定、解決策探索・実行までを完全自律的に遂行し、業務全体を再構築できる自律型AIエージェント)の実現を目指し、「AI Agent2.0」として社会全体への価値提供・事業成長に繋げてまいりたいと考えております。
加えて、当社のグループ会社であるVOIQ株式会社(以下「VOIQ社」という。)は、前期にbizy株式会社の展開するセールス支援事業等の譲り受けを行い、当連結会計年度を通じて、VOIQ社がグループ全体におけるインサイドセールスの機能を担うとともに、セールス領域・コンタクトセンター領域において、当社グループのAI関連技術を活用し、各種課題の解決を推し進めてまいりました。これらの活動を通じて、当社及び関係会社においてインサイドセールス機能として定着しており、商談件数の増加・営業効率の向上に大きく貢献しております。
そのほか、当連結会計年度におけるトピックとして、2026年2月に、資金移動業に係る電子決済手段の発行等を手掛けるJPYC株式会社(以下「JPYC社」という。)との間で業務提携契約を締結するとともに、同社が実施する第三者割当増資を引き受けました。本提携を通じて、JPYC社におけるAIXの推進や、AIシステムの開発・導入支援に向けた協議を進めてまいります。
また、当連結会計年度においては、「AI BPaaS」戦略のさらなる加速と、グループポートフォリオの最適化を企図した、以下の重要な経営判断を実行いたしました。
①バリオセキュア株式会社の完全子会社化(株式交換による経営統合の決定)
当社は、2026年4月14日開催の取締役会において、当社の連結子会社であるバリオセキュア株式会社(東京証券取引所スタンダード市場、コード:4494。以下「バリオセキュア」という。)を株式交換完全子会社、当社を株式交換完全親会社とする株式交換(以下「本株式交換」という。)の実施を決議し、同日、両社間で株式交換契約を締結いたしました。本株式交換は、当社においては会社法第796条第2項に基づく簡易株式交換の手続により株主総会の承認を経ずに、また、バリオセキュアにおいては2026年5月27日開催の定時株主総会において承認を得ており、2026年6月30日を効力発生日として実施いたします。これに伴い、バリオセキュアの普通株式は2026年6月26日付で東京証券取引所スタンダード市場において上場廃止となっております。
両社は、2022年9月の資本業務提携以降、営業面・技術面・コーポレート機能における各種協業を推進してまいりましたが、親子上場下では利益相反への配慮が必要であり、HEROZ ASKとの営業連携、AI技術を活用した新規プロダクト開発、共同購買や共通ガバナンス基盤確立によるコスト削減等、本来期待されるシナジーを十分に発揮することが困難な状況にありました。本経営統合により、グループ戦略機能を持つ持株会社のもとでの一体運営、AIエージェント開発・営業面での本格的な協業、共通インフラ活用による間接部門の効率化等を通じて、AI Security事業を含むHEROZグループ全体としての企業価値最大化を図ってまいります。
②AKMコンサルティング株式会社の子会社化
当社は、2026年4月20日開催の取締役会において、AKMコンサルティング株式会社(以下「AKMコンサルティング」という。)の発行済株式の70.0%を取得し子会社化することを決議し、2026年5月1日付で同社を当社の連結子会社といたしました。AKMコンサルティングは、スタートアップ企業向けに経理・人事等のバックオフィスBPOサービスを提供しており、創業から短期間で急成長を遂げ、業界水準を大きく超える高利益率と深いドメインナレッジを有しております。今後のBPO領域は、人による代行からAIエージェントによる業務代行へ急速にシフトしていくと見込まれる中、同社が有するバックオフィス領域の専門知識と当社のAI技術を融合させることで、BPO業務の圧倒的な効率化を実現するとともに、業界に先駆けた次世代の「AI BPaaSプロダクト」の共同開発を推進してまいります。なお、本件は2026年5月1日付での連結子会社化であり、当連結会計年度の連結業績への影響はありません。
③株式会社ストラテジットの株式譲渡
当社は、2026年4月20日開催の取締役会において、当社の連結子会社である株式会社ストラテジット(以下「ストラテジット」という。現 GMO AIコネクト株式会社)の保有全株式(議決権所有割合94.36%)をGMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社へ譲渡することを決議し、2026年4月30日付で譲渡を実行いたしました。ストラテジットはiPaaS「JOINT iPaaS for SaaS」等を展開し、企業のDX化を推進してまいりましたが、ストラテジットのさらなる成長と企業価値向上のためには、電子認証・印鑑事業やクラウドインフラ事業等を展開し、インターネットインフラとDX支援に強みを持つ同社グループへ参画することが最適であるとの経営判断に至ったものであります。本株式譲渡に伴い、当連結会計年度において関係会社株式売却益311,135千円を特別利益として計上しております。当社グループとしては、本譲渡により得られた経営資源を、AIエージェント・AI BPaaS領域への重点投下に振り向け、グループポートフォリオの最適化と中核事業の成長加速を図ってまいります。
なお、当連結会計期間より、「AI/DX事業」のセグメントについて、名称を「AIX事業」に変更しております。セグメント別の経営成績の概況は以下の通りです。
(ⅰ)AIX事業
AIX事業は、当社グループに蓄積されたAI・SaaS関連技術、ドメインナレッジ、データ等を活用し、AI関連ソリューションの提供により各企業・業界のAIX推進を目指すセグメントとなります。当セグメントは、主に「BtoCサービス」と「BtoBサービス」に分類されます。
当連結会計年度において、当社グループのAIX事業については、AIエージェント機能の実装による競争力強化、稼働案件数・引き合いの増加や大型案件の獲得等により、収益が拡大しております。
BtoC領域については、もともと市場において有している圧倒的なネットワーク外部性に加え、将棋への継続的な注目度により、「将棋ウォーズ」「棋神アナリティクス」「棋神ラーニング」ともに安定した収益を上げました。2025年2月にリリースした「スプリントモード」は、将棋の中終盤戦の白熱した局面から始まる短時間で緊迫感のある対局を楽しめるモードとして、ユーザの皆様から高い評価をいただいており、対局数の増加、プレミアムユーザー数の増加に大きく寄与いたしました。また、前期にリリースした「シーズンパス」も好調に推移し、ユーザの皆様に継続的にお楽しみいただけるコンテンツとして定着しております。当連結会計年度においては、棋神戦ヨーロッパ大会、OKAMURAグランドチャンピオンシップ、「たんぽぽ杯」等のイベントを実施しており、将棋ウォーズのMAU(Monthly Active User)や対局数は引き続き増加いたしました。日本将棋連盟との連携も継続して強化しており、各種イベントやコラボレーション企画を通じて、将棋文化の普及・発展に貢献しております。また、2026年6月には、AIが実戦棋譜からユーザーの棋力に合わせた詰将棋を抽出する1対1対戦型の新モード「詰めバト」をリリースし、将棋ウォーズ11周年を機に新たな将棋体験の提供を開始しております。
BtoB領域については、LLMを含むAIやITに関する投資が実証実験フェーズから本格導入フェーズへと移行する中、案件数・引き合いの増加や大型案件の獲得等もあり、収益が拡大しております。VOIQ社のインサイドセールス領域での貢献もあり、商談件数は前期比で大幅に増加しているほか、稼働案件数も増加いたしました。
当セグメントにおいて、LLMの活用・AIエージェント機能の実装は事業戦略の中核となるテーマであります。2024年5月に本リリースした、生成AIを活用したエンタープライズ向けAIアシスタントSaaS「HEROZ ASK」については、利用企業数・ID数ともに順調に増加しており、2025年10月にARR1億円、2026年4月にはARR2億円を突破いたしました。この間、継続的な機能拡張を実施しており、UI・デザインの改善、シングルサインオン・IP制限機能等の各種セキュリティ機能の追加に加え、RAG機能の実装やAIエージェント機能の強化(エージェントビルダー、MCP連携、複数データソース参照等)、さらには最新の大規模言語モデルである「GPT-5.5」「Claude Opus 4.8」「Gemini 3.5 Flash」への対応等、顧客ニーズに合わせて高速で開発を進めてまいりました。当連結会計年度においては、資料作成業務を自動化する「スライドAI」の正式版提供開始(エージェント対応)、調査業務を高度化する「Deep Research」「Deep Research Pro」の提供、「議事録AI」機能の大幅アップデート(話者分離機能、複数音声からの議事録作成、アップロード上限の1GBへの拡張)、ならびに「コードインタープリター」「画像生成(GPT Image 2、Gemini 3 Pro Image等の複数モデル対応)」「データソース説明の自動生成」「BOX連携」「Googleカレンダー連携」「音声入力機能」「利用状況ダッシュボード」といった新機能を順次リリースいたしました。「AI 人工知能EXPO」をはじめとする各種展示会への出展や、デジタルマーケティング・コンテンツマーケティングの強化等を行い認知向上に努めており、導入企業からは業務効率化の成果について高い評価をいただいております。
「HEROZ ASK」のほか、「AIさくらさん」サービスや、ストラテジットが提供する「JOINT iPaaS for SaaS」についても、当期を通じて売上拡大が継続いたしました。なお、ストラテジットについては前述のとおり、2026年4月30日付で当社グループから譲渡しております。また、当社グループでは、企業のAIガバナンス体制構築支援や、プライベートLLM環境の構築等、AI導入における企業の課題に対するコンサルティング・実装支援にも注力しており、AI市場の成熟に伴う多様なニーズに対応してまいります。
(ⅱ)AI Security事業
AI Security事業は、グループ会社であるバリオセキュアが提供するインターネットセキュリティ関連の事業となります。
同社は、従来のゲートウェイセキュリティに加え、エンドポイントセキュリティ対策としてサイバー攻撃の兆候を検知するVarioマネージドEDR、増加するランサムウェア被害(身代金要求型ウイルス)から企業の情報資産を守るデータバックアップサービス(VDaP)、社内の通信機器の状況を運用監視し、通信環境を脆弱性から守るマネージドLAN/WIFI等の各種サービスにより、増大する脅威に対して多層防御により安心、安全なビジネス環境の構築を支援してまいりました。
前期にリリースした、クラウドからオフィス環境まで対応した、中堅・中小企業の規模に合ったゼロトラストセキュリティサービス「Vario Ultimate Zero」は、主力サービスとして順調に拡販が進んでおり、最新のサイバー攻撃を検知・防御可能なセキュリティの担保はもちろん、クラウドからオンプレまで対応可能な柔軟性を兼ね備えており、また、シングルサインオンにも対応しているなど、運用保守の省力化も考慮されたサービスとして、お客様から高い評価をいただいております。また、生成AIを悪用したサイバー攻撃の増加やAI導入に伴うセキュリティリスクへの対応として、AI活用環境におけるセキュリティ対策の強化にも取り組んでおります。
また、同社は、2024年2月期から2026年2月期にかけて、中期経営方針のもと「マネージドサービスの対応領域拡大・競争力強化」「成長セキュリティ市場への参入」「既存販売網と異なる新規営業体制の強化」を掲げ、人材の獲得、サービス企画・事業開発の強化、ソフトウェア開発等の事業投資を行う計画を公表し、実現に向けての取り組みを行ってまいりました。これらの取り組みにより、ストック型の積み上げと低解約率に支えられ、セキュリティBPOサービスの売上収益は安定的に推移いたしました。なお、本株式交換の決定を踏まえ、当社との共同購買、AIエージェントを活用したサービス自動応答化、HEROZのAI技術を活用した新規プロダクト開発等のシナジー実現に向けた具体的な検討を加速しております。
費用面に関しては、コーポレート機能については適切なコストコントロールを進めておりますが、事業・サービス拡大に伴う人材採用強化による人件費等の増加、新規プロダクト(HEROZ ASK等)への先行投資、本株式交換に係るアドバイザリー費用やAKMコンサルティング取得関連費用等のM&A関連費用の発生等により、売上原価・販売費及び一般管理費は前期比で増加しております。また、暗号資産の時価変動等により、営業外費用として暗号資産評価損を計上しているほか、ストラテジット株式譲渡に伴う関係会社株式売却益を特別利益として計上しております。
また、特別損失として減損損失3,368千円を計上したほか、主にグループ会社に関して繰延税金資産を新たに計上したこと等により、連結全体での法人税等調整額(△は利益)は減少し△99,249千円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は6,424,647千円(前期比8.3%増)となり、EBITDA(注)1,025,711千円(前期比29.2%増)、営業利益523,119千円(前期比70.7%増)、経常利益408,330千円(前期比78.9%増)、親会社株主に帰属する当期純利益376,028千円(前期は177,709千円の損失)となりました。
(注)EBITDA(営業利益+減価償却費+敷金償却+のれん償却額+株式報酬費用+棚卸資産評価損)
なお、当社グループの当連結会計年度におけるセグメント別の損益状況については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。
当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末に比べ352,139千円増加し、8,499,807千円となりました。これは主に、株式会社ストラテジットの株式譲渡に伴う連結除外があったものの、現金及び預金の増加215,954千円、売掛金の増加102,134千円、暗号資産の増加70,756千円があったこと等によります。
負債につきましては、前連結会計年度末に比べ303,062千円減少し、2,643,168千円となりました。これは主に、短期借入金の増加150,000千円があったものの、長期借入金の減少539,568千円、1年内返済予定の長期借入金の減少15,984千円があったこと等によります。
純資産につきましては、前連結会計年度末に比べ655,201千円増加し、5,856,639千円となりました。これは主に、利益剰余金の増加376,091千円、非支配株主持分の増加237,350千円があったこと等によります。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、期首より221,195千円増加し、3,367,019千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において営業活動の結果得られた資金は、647,991千円(前期は219,035千円の収入)であります。
この主な要因は、税金等調整前当期純利益699,310千円、減価償却費277,552千円、のれん償却額170,244千円、売上債権の増加161,117千円、暗号資産の増加70,756千円があったこと等によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において投資活動の結果使用した資金は、21,237千円(前期は479,275千円の使用)であります。
この主な要因は、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入364,692千円があった一方で、無形固定資産の取得による支出195,162千円、有形固定資産の取得による支出81,728千円、投資有価証券の取得による支出49,993千円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において財務活動の結果使用した資金は、405,558千円(前期は664,630千円の収入)であります。
この主な要因は短期借入れによる収入150,000千円があった一方で、長期借入金の返済による支出555,552千円等によるものであります。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 生産実績
提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
② 受注実績
提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績は次のとおりであります。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2025年5月1日
至 2026年4月30日)
金額(千円)前年同期比(%)
AIX事業3,581,992109.8
AI Security事業2,842,655106.6
合計6,424,647108.3

(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先前連結会計年度
(自 2024年5月1日
至 2025年4月30日)
当連結会計年度
(自 2025年5月1日
至 2026年4月30日)
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
株式会社USEN ICT Solutions868,70614.61,007,85515.7
Apple Inc.658,54311.1659,50010.3

Ⅱ 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(1)重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債および収益・費用の報告金額および開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。
① のれんの評価
のれんについては、内訳は下記の通りであり、いずれも取得時点での対象会社の将来の事業計画等に基づいて超過収益力を検討し、計上しております。
・901,352千円 2022年9月に、バリオセキュア株式会社を連結子会社化した際に発生したもの
・218,057千円 2023年11月に、株式会社エーアイスクエアを連結子会社化した際に発生したもの
・642,345千円 2024年3月に、株式会社ティファナ・ドットコムを連結子会社化した際に発生したもの、及
び、条件付取得対価の内容に基づき追加的に認識したもの
・28,000千円 2024年8月に、VOIQ株式会社がbizy株式会社からセールス支援事業等を譲り受けたことに伴
い発生した営業権を、連結上ののれんとして認識したもの
のれんの減損判定については、グループ会社における継続した営業損失の発生、経営環境の著しい悪化、事業計画からの大幅な乖離等の有無をもとに減損の兆候の有無を検討しています。減損の兆候を識別した場合には、のれんの残存償却期間に対応する期間における割引前将来キャッシュ・フローを事業計画に基づいて算定し、帳簿価額と比較して減損損失の認識の要否を判定しています。減損損失の認識が必要と判定された場合、当該のれんについては、回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として認識しています。
なお、当連結会計年度においては、減損の兆候はなく、減損損失は認識しておりません。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討していますが、グループ会社の事業計画や経営環境の変化等によって影響を受ける可能性があり、実際の業績が見積りと異なる場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。
② その他の固定資産の評価
当社グループでは、のれんの他にも、有形固定資産、ソフトウエアなどの固定資産を保有しており、当連結会計年度末時点において、連結貸借対照表において有形固定資産を157,682千円、無形固定資産(のれんを除く)を607,831千円計上しております。
その他の固定資産の減損判定にあたっては、定期的に各資産グループについての減損の兆候の判定を行い、減損の兆候がある場合には、その回収可能価額を見積もっております。回収可能価額の見積りには、当該資産グループから得られると見込まれる将来キャッシュ・フローを使用しております。将来キャッシュ・フローの予測は、将来の市場動向や事業活動の状況等を勘案して策定しておりますが、将来キャッシュ・フローの予測が変更され、回収不能と判断される場合、減損損失を計上する可能性があります。減損損失計上の判定に使用する事業計画の策定及び回収可能価額の算定等においては、当該資産グループに紐づく売上高・費用見込みや設備投資予定額、将来キャッシュ・フローの不確実性等を考慮した割引率が主要な仮定となっており、過去及び直近の実績や経営環境等を勘案して決定しております。
減損の兆候の把握、減損損失の認識及び測定に当たっては慎重に検討していますが、事業計画や経営環境の変化等によって影響を受ける可能性があり、実際の業績が見積りと異なる場合、翌連結会計年度の連結財務諸表において重要な影響を与える可能性があります。
当社グループとしては、各グループ会社との情報交換・連携を緊密にするとともに、グループ会社における業績状況・事業環境等を定期的にモニタリングし、これらのリスクに対応してまいります。
③ 繰延税金資産の回収可能性
繰延税金資産については、将来事業年度の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を判断した上で繰延税金資産を計上しています。今後の経営環境の変化等によっては、翌事業年度において、当該将来事業年度の課税所得の見積り及び繰延税金資産の計上額が変動する可能性があります。
④ 関係会社株式の評価
市場価格のある株式等は、その時価が著しく下落した時は、回復する見込みがあると認められる場合を除き、当該時価をもって貸借対照表価額とし、評価差額を当事業年度の損失として認識しております。
また非上場の関係会社に対する投資等、市場価格のない株式等は取得価額をもって貸借対照表価額としていますが、当該株式の発行会社の財政状態の悪化により実質価額が著しく低下した時には、回復可能性が十分な論拠によって裏付けられている場合を除いて、相当の減額を行い、評価差額を当事業年度の損失として認識しております。
関係会社株式の評価等に関する判断は、関係会社の事業計画の達成状況や将来の事業計画等に基づいて判定しており、今後、関係会社の業績悪化、事業計画や市場環境の変化等により、見積りの内容に変化が生じた場合には、翌事業年度の計算書類において、関係会社株式の評価に重要な影響を及ぼす可能性があります。
そのほか、貸倒引当金、賞与引当金、株主優待引当金の計上基準については、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおり計上を行っております。いずれも過去の実績に基づき算定しており、会計上の見積りの重要性は低く、当社の経営成績等に与える影響は軽微であると判断しております。
(2)財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
①財政状態の分析
財政状態に関する分析は、「Ⅰ 経営成績等の状況の概要 (1)財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりです。
②経営成績の分析
a 売上高
当連結会計年度の売上高は、6,424,647千円(前期比8.3%増)となりました。セグメント別の分析は以下のとおりです。
・AIX事業
AIX事業については、BtoC領域におけるコラボ企画の実施・新サービスリリース・機能追加や、BtoB領域におけるグループ会社追加・オーガニックでの案件数増加等の効果により、安定した収益を上げ、売上高は3,581,992千円となりました。なお、売上高については連結内部の取引消去後の金額となります。
BtoC領域については、もともと市場において有している圧倒的なネットワーク外部性に加え、将棋への継続的な注目度により、「将棋ウォーズ」「棋神アナリティクス」「棋神ラーニング」ともに安定した収益を上げました。当連結会計年度においては、棋神戦ヨーロッパ大会、OKAMURAグランドチャンピオンシップ、「たんぽぽ杯」等のイベントを実施したほか、2025年12月には、将棋ウォーズで累計対局数11億局を達成いたしました。日本将棋連盟との連携も継続して強化しており、各種イベントやコラボレーション企画を通じて、将棋文化の普及・発展に貢献しております。また、2026年6月には、AIが実戦棋譜からユーザーの棋力に合わせた詰将棋を抽出する1対1対戦型の新モード「詰めバト」をリリースし、新たな将棋体験の提供を開始しております。
また、BtoB領域については、LLMを含むAIやITに関する投資が実証実験フェーズから本格導入フェーズへと移行する中、案件数・引き合いの増加や大型案件の獲得等もあり、収益が拡大しております。VOIQ社のインサイドセールス領域での貢献もあり、商談件数は前期比で大幅に増加しているほか、稼働案件数も増加いたしました。
当セグメントにおいて、LLMの活用・社会実装は事業戦略の中核となるテーマであります。その取り組みとして、2024年5月に生成AIを活用したエンタープライズ向けAIアシスタントSaaS「HEROZ ASK」を本リリースしました。「HEROZ ASK」については、利用企業数・ID数ともに順調に増加しており、2025年10月にARR1億円、2026年4月にはARR2億円を突破し、累計契約顧客数も430社を突破し、なおも売上・顧客数ともに増加しており、当社のAI BPaaSの中心となるSaaSとして、今後も機能アップデート・事業拡大に取り組んでまいります。
・AI Security事業
AI Security事業について、当連結会計年度の売上高は2,842,655千円となり、前連結会計年度に比べ175,116千円増加しました。なお、売上高については連結内部の取引消去後の金額となります。
マネージドセキュリティサービスでは、Vario EDRが主要代理店でのエンドポイントセキュリティサービス
の案件獲得等によるライセンス数が増加したほか、インテグレーションサービスでも、ネットワーク構築も
含めたセキュリティ導入を行うネットワークインテグレーションサービス(以下、IS)における高単価な件
数の納品が増加しており、主にこれらの効果により売上高が伸長しております。一方で、VCRにおいては、競
合環境の激化により販売数の回復に至っていないため、売上が減少しました。
b 売上原価、売上総利益、販売費及び一般管理費、営業利益
当社グループの売上原価、販売費及び一般管理費については、人材関連費用、広告宣伝費、機械学習用サーバ等設備の減価償却費・通信費、BtoCサービスに係る課金決済手数料、支払手数料が主な内容となります。
当連結会計年度は、コーポレート機能については適切なコストコントロールを進めましたが、一方で、事業・サービス拡大に伴う、主に営業・マーケティング人材の採用強化による人件費等の増加、また昨今の物価高騰に伴う通信費・各種ライセンス費用等の増加や、新規プロダクト(HEROZ ASK等)への先行投資等により、売上原価・販売費及び一般管理費は前期比で増加しております。また、特別損失として減損損失3,368千円を計上したほか、主にグループ会社に関して繰延税金資産を新たに計上したこと等により、連結全体での法人税等調整額(△は利益)は減少し△99,249千円となりました。
これらの結果、当連結会計年度における売上原価は3,503,097千円となり、当連結会計年度の売上総利益は2,921,550千円となりました。また、当連結会計年度における販売費及び一般管理費は2,398,430千円となり、当連結会計年度の営業利益は523,119千円(前期比70.7%増)となりました。
c 営業外収益、営業外費用、経常利益、特別損益
営業外収益及び費用については、当社が出資する投資事業組合に関する運用損益や、借入金に関する支払利息、株主優待関連費用等が主な内容となります。そのほか、当連結会計年度は特別損失として減損損失3,368千円が発生しております。
これらの結果、当連結会計年度の経常利益は408,330千円(前期比78.9%増)、税金等調整前当期純利益は699,310千円(前期比432.8%増)となりました。
上記a~cの結果を受け、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は376,028千円(前期は177,709千円の損失)となりました。なお、法人税等調整額を含む法人税等合計は79,044千円となっております。
(3)キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの分析・検討内容については、「Ⅰ 経営成績等の状況の概要 (2)キャッシュ・フローの状況」に記載の通りです。
(4)経営成績に重要な影響を与える要因について
「3 事業等のリスク」に記載した通り、事業内容、事業運営・組織体制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。そのため、当社グループは常に市場動向や業界動向を注視しつつ、優秀な人材の確保と適切な教育を実施するとともに、事業運営体制の強化と整備を進めることで、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に適切な対応を図ってまいります。
(5)経営戦略の現状と見通し
当連結会計年度における我が国の経済状況は、所得・雇用環境が改善される中、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が期待されているものの、世界的な金融引締めや急激な為替・株価変動、中東・ウクライナ情勢及び物価の上昇が国内景気に及ぼすリスクが見られる等、先行きが不透明な状況が続いております。
その一方で、情報サービス業界においては、従来なかったスピード感での技術革新や、少子高齢化・生産年齢人口の減少等を受け、デジタル技術を活用したDXに関する投資が引き続き拡大を続けています。特に、AI市場においては、ChatGPTのリリースに端を発した、各産業におけるAIXに関する投資の加速が続いており、まさに現在進行形で、LLMを含むAIの技術競争・需要拡大・社会実装が急激なスピードで進んでおります。なお、当社グループでは、AIXとは、AIを社会に浸透させることにより、その力を通じて既存の業務プロセスやビジネスモデル等を含めて社会全体に抜本的な変革を起こすこと、と捉えております。LLMを含むAIが当たり前のように社会全体に浸透していく中で、AIを業務ツールとして断片的に使うのではなく、より根本的な価値創造・人とAIの共創がテーマとなる世界が到来しております。また、国内外において、AIが社員のように自律的にタスク・業務を遂行する「AIエージェント」に関する機運・注目も高まっており、AIエージェントの実現・拡充を通じた新たな価値提供・業務プロセス変革が求められる時代に突入しています。
そして、SaaS市場においても、導入の需要のみならず、「ニーズの多様化に伴うSaaS間連携」「統合管理の複雑化によるセキュリティ要件の高度化」等に関する需要拡大が見込まれるほか、セキュリティ市場においても、サイバーセキュリティ攻撃による脅威が年々増加しており、ランサムウェア(身代金要求型ウイルス)によるサイバー攻撃被害が国内外の様々な企業や医療機関等で続き、国民生活や社会経済に影響が出る事例も発生しています。
このような環境の中で、当社グループは、HEROZ3.0として「AI BPaaS」を掲げ、単なるSaaSツールの提供会社にとどまらず、生成AIや複数の分野・領域にまたがるAIエージェントをフル活用し、AIが業務全体を自律的に遂行・最適化するAgentic Workというかたちで価値提供を行い、社会全体にAIXを起こしていくことを目指しております。現在市場に流通しているAIエージェントの多くは、特化型エージェントやワークフロー補助型エージェントなど、ある程度定式化されたプロセス内での業務遂行・実行を行うものとなっておりますが、当社グループは、そこからさらに進化した「AI Agent2.0」として、「Meta Agent」(課題分解、ゴール設定、解決策探索・実行までを完全自律的に遂行し、業務全体を再構築できる自律型AIエージェント)の実現を目指し、社会全体への価値提供・事業成長に繋げてまいりたいと考えております。
(6)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。運転資金や自社サーバ購入等を目的とした資金需要は自己資金によることを基本としておりますが、必要に応じて多様な調達手段を検討してまいります。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は3,367,019千円、有利子負債の残高は1,649,110千円となっております。

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