有価証券報告書-第12期(2023/11/01-2024/10/31)
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善するなど、景気は緩やかな回復が見られました。一方で、国際情勢の動向、原材料価格や資源価格の高騰、物価の上昇、為替の大幅な変動等が国内外の経済活動に与える影響が懸念され、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループの属する不動産市場におきましては、首都圏中古マンション成約件数も好調であり、当社グループの主力とする中古コンパクトマンション投資の市場も拡大傾向にあると想定しております。また、現在、国策の「資産所得 倍増プラン」での新NISA等の税制優遇制度強化による個人の投資意欲の高まりを背景に、分散投資の一環として不動産投資にも注目が集まってきており、特に不動産は、株式などと比較して相対的に安定した収益を見込める資産であるとの認識から、特にインフレーションに対するヘッジ手段として注目されています。そのため、個人投資家の不動産への積極的かつ継続的な投資姿勢は今後も継続していくものと考えております。
このような環境の中、当社グループは、2024年6月に中期経営計画を公表し、フロービジネスは手数料の改善、商品ラインアップの拡充により事業拡大を図るとともに、安定収益であるストックビジネスの積み上げによる盤石な収益構造へ転換を図ってまいりました。
(a)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ7,561百万円増加し、38,702百万円となりました。これは主に棚卸資産が3,766百万円増加し13,950百万円となったこと、現金及び現金同等物が1,873百万円増加し19,325百万円となったこと及び、その他の流動資産が1,349百万円増加し3,016百万円となったことによるものであります。また、非流動資産は前連結会計年度末に比べ8,216百万円増加し、38,427百万円となりました。これは主にのれんが7,026百万円増加し14,799百万円となったこと、投資不動産が614百万円減少し10,689百万円となったこと、使用権資産が597百万円増加し2,459百万円となったこと及び、繰延税金資産が556百万円増加し2,020百万円となったことによるものであります。
この結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ15,778百万円増加し、77,130百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ10,388百万円増加し、34,209百万円となりました。これは主にその他の金融負債が4,597百万円増加し7,148百万円となったこと、社債及び借入金が3,642百万円増加し14,089百万円となったこと及び、リース負債が898百万円増加し5,478百万円となったことによるものであります。また、非流動負債は前連結会計年度末に比べ2,722百万円増加し、19,669百万円となりました。これは主に社債及び借入金が4,786百万円増加し9,283百万円となったこと、リース負債が1,568百万円減少し9,250百万円となったこと及び、その他の金融負債が752百万円減少し174百万円となったことによるものであります。
この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ13,111百万円増加し、53,879百万円となりました。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ2,667百万円増加し、23,251百万円となりました。これは主に利益剰余金が1,841百万円増加し2,831百万円となったことによるものであります。
(b)経営成績
当連結会計年度の業績は、売上収益189,883百万円(前年同期比29.5%増)、売上総利益30,734百万円(前年同期比35.9%増)、事業利益※1 4,056百万円(前年同期比86.6%増)、営業利益3,878百万円(前年同期比75.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,841百万円(前年同期比82.2%増)となりました。
なお、上記以外の主要KPIは、ネット売上収益※2 31,846百万円(前年同期比36.6%増)、ストックビジネス粗利※3 7,808百万円(前年同期比85.2%増)、コア事業利益率※4 12.7%(前年同期は9.4%)、ノンオーガニック比率※5 42.6%(前年同期は41.1%)となります。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
なお、当社グループは経営管理区分の見直しを行ったことに伴い、当連結会計年度より「その他」に含まれていた中華圏の投資家向け不動産プラットフォーム事業を「RENOSYマーケットプレイス」に含めて記載する方法に変更しております。これに伴い、セグメント別の業績における前年同期比は、前年同期を変更後の方法に基づき作成したものを基礎として算定しております。
①RENOSYマーケットプレイス事業※6
認知度拡大施策や「貯蓄から投資」による個人投資家の不動産への積極的かつ継続的な投資姿勢等を背景に、中古マンション投資で5年連続No.1となるなど、好調にシェアを拡大いたしました※7。また、売却DXの推進、商品ラインアップの拡充等の各種手数料改善策により粗利額の最大化を図ってまいりました。加えて、プロパティマネジメント事業について、サブスクリプションにつながる購入DXが好調なことに加え、同事業を営む株式会社Core Asset Managementを2023年12月に、RW OpCo, LLCを2024年3月に、それぞれM&Aを実施したことにより、サブスクリプションのオーナー数、契約数共に増加基調を維持しております。これにより、主なKPIはRENOSY会員数※8 51.9万人(前年同期比約30%増)、購入DX成約件数※9 1,862件(前年同期比約2%増)、売却DX成約件数※10 846件(前年同期比約16%増)、サブスクリプション契約件数※11 32,452戸(前年同期比約82%増)、アセットプランナー数(中古コンパクトマンション)※12 126人(前年同期比約18%増)、ARPA(中古コンパクトマンション) ※13 1,130百万円(前年同期比約69百万円増)となり、好調に進捗しております。その結果、RENOSYマーケットプレイス事業の業績は、売上収益184,784百万円(前年同期比29.1%増)、売上総利益26,747百万円(前年同期比34.8%増)、セグメント利益8,885百万円(前年同期比34.5%増)となっております。
②ITANDI事業
バーティカルSaaSのネットワーク効果や株式会社Housmartを2024年1月、株式会社マーキュリーを同年8月にそれぞれM&Aしたことにより、ARR※14 4,513百万円(前年同期比約72%増)、チャーンレート※15 0.37%(前年同期は0.49%)、累計顧客数4,503社(前年同期比約55%増)、ユニットエコノミクス※16 40.8倍(前年同期は26.2倍)、導入プロダクト数13,144プロダクト(前年同期比約55%増)、ITANDI BB PV数1,101万PV(前年同期比約22%増)の達成など、順調に業績を拡大しました。その結果、ITANDI事業の業績は、売上収益4,513百万円(前年同期比40.9%増)、売上総利益3,645百万円(前年同期比35.3%増)、セグメント利益1,316百万円(前年同期比87.6%増)となっております。
※1 事業利益=売上収益-売上原価-販売費及び一般管理費
※2 ネット売上収益は、「RENOSYマーケットプレイス事業の売上総利益+(連結売上収益-RENOSYマーケットプレイス事業の売上収益)」で算出
※3 ストックビジネス粗利は、RENOSYマーケットプレイス事業のサブスクリプションビジネス及びITANDI事業の売上総利益の合計
※4 コア事業利益率は、「連結事業利益÷ネット売上収益」で算出
※5 ノンオーガニック比率は、中古コンパクトマンション及びサブスクリプション以外の事業の売上総利益の合計をノンオーガニックの売上総利益と定義し、全体の売上総利益に占める割合を算出
※6 RENOSYマーケットプレイス事業は、主にネット不動産マーケットプレイス「RENOSY」における不動産の購入DX・売却DX、不動産オーナー向けにサブスクリプション(定額利用)での管理プラン提供、新築コンパクトマンションを活用したサービス提供
※7 ネット不動産投資のRENOSY、 マンション投資の売上高・マッチング件数で全国No.1を獲得https://ssl4.eir-parts.net/doc/3491/tdnet/2437813/00.pdf
※8 RENOSY会員数は、2024年10月末時点での会員ストック数(会員登録した累計の人数)
※9 購入DX成約件数は、RENOSYマーケットプレイス内の投資、実需の購入成約件数の当第4四半期3ヶ月累計
※10 売却DX成約件数は、RENOSYマーケットプレイス内の投資、実需の売却成約件数の当第4四半期3ヶ月累計
※11 サブスクリプション契約件数は、2024年10月末時点での管理戸数
※12 アセットプランナー数(中古コンパクトマンション)は、2024年10月末の人数
※13 ARPA(Average Revenue per Agent)(中古コンパクトマンション)は、2024年10月期の中古コンパクトマンションの通期売上収益を、当該年度の各月末時点のアセットプランナー数の平均値で除して算出
※14 Annual Recurring Revenue。各四半期末の月末MRR(Monthly Recurring Revenueの略。月額利用料金、従量課金、ライフラインサービスの収益を含む)に12を乗じて算出。なお、2024年10月期より、従来までの主要プロダクトにイタンジの全てのSaaSサービス、Housmart社の「PropoCloud」、RENOSY XやマーキュリーのSaaSサービスを追加し算出
※15 2024年10月末時点での直近12ヶ月の平均月次チャーンレート
※16 1顧客当たり経済性。LTVをCACで除して算定した倍率、2024年10月末時点での直近12ヶ月の平均値
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,873百万円増加し19,325百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、3,635百万円(前年同期は6,798百万円の獲得)となりました。これは主に、減価償却費及び償却費5,600百万円、棚卸資産の増加額3,759百万円、税引前利益3,143百万円及び、法人所得税の支払額1,310百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、4,793百万円(前年同期は2,052百万円の使用)となりました。これは主に、企業結合による支出2,902百万円及び、無形資産の取得による支出1,585百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は、2,965百万円(前年同期は808百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる収入10,113百万円及び、長期借入金の返済による支出5,065百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(b)契約実績
当社グループは、契約実績と販売実績が概ね同じであるため、記載を省略しております。
(c)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
3.前年同期比は、前連結会計年度の数値をセグメント変更後の区分に組み替えて比較しております。
4.当連結会計年度において、販売実績に著しい増加がありました。この増加の内容は、「①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容(b)経営成績」に記載のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態
当連結会計年度の財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 (a)財政状態」に記載のとおりであります。
(b)経営成績
(売上収益及び売上総利益)
売上収益は、RENOSYの認知度向上やデジタルマーケティングを活用した効率的な集客により RENOSY会員数が順調に伸びたことで、RENOSYマーケットプレイスの販売件数が増加した結果、189,883百万円(前年同期比29.5%増)となりました。また、売上総利益率が高いイタンジの収益が伸長したことに加えて、従前より実施しているRENOSYマーケットプレイスの各種手数料改善施策の奏功及びサブスクリプションにおいてのスケールメリット効果、DX活用による業務効率化等により、売上総利益は30,734百万円(前年同期比35.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費及び営業利益)
販売費及び一般管理費は認知度向上(利用意向向上)を目的とした広告宣伝費の積み増し及び主に人件費の増加により、26,678百万円(前年同期比30.5%増)となりました。
この結果、営業利益は3,878百万円(前年同期比75.4%増)となりました。
(金融収益、金融費用及び税引前利益)
金融収益が11百万円(前年同期比2.3%増)であったのに対して、金融費用が主に資金調達関係の支払利息や手数料により746百万円(前年同期比17.1%増)となりました。
この結果、税引前利益は3,143百万円(前年同期比98.3%増)となりました。
(法人所得税費用及び当期利益)
法人所得税費用は、主に税引前利益の増加により、1,288百万円(前年同期比127.4%増)となりました。
この結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,841百万円(前年同期比82.2%増)となりました。
(c)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は投資用不動産の取得、販売費及び一般管理費の広告宣伝費及び人件費、ソフトウエアの開発投資及びM&A等であります。これらの資金需要に対しては、営業活動から獲得する自己資金及び金融機関からの借入や社債による調達を基本としており、経済・金融環境の変化に備えた十分な手許流動性の確保により、安定した財務基盤の維持に努めております。また、資金調達の機動性及び流動性確保の補完機能を高めるため、取引銀行と当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を有しております。
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境が改善するなど、景気は緩やかな回復が見られました。一方で、国際情勢の動向、原材料価格や資源価格の高騰、物価の上昇、為替の大幅な変動等が国内外の経済活動に与える影響が懸念され、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループの属する不動産市場におきましては、首都圏中古マンション成約件数も好調であり、当社グループの主力とする中古コンパクトマンション投資の市場も拡大傾向にあると想定しております。また、現在、国策の「資産所得 倍増プラン」での新NISA等の税制優遇制度強化による個人の投資意欲の高まりを背景に、分散投資の一環として不動産投資にも注目が集まってきており、特に不動産は、株式などと比較して相対的に安定した収益を見込める資産であるとの認識から、特にインフレーションに対するヘッジ手段として注目されています。そのため、個人投資家の不動産への積極的かつ継続的な投資姿勢は今後も継続していくものと考えております。
このような環境の中、当社グループは、2024年6月に中期経営計画を公表し、フロービジネスは手数料の改善、商品ラインアップの拡充により事業拡大を図るとともに、安定収益であるストックビジネスの積み上げによる盤石な収益構造へ転換を図ってまいりました。
(a)財政状態
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ7,561百万円増加し、38,702百万円となりました。これは主に棚卸資産が3,766百万円増加し13,950百万円となったこと、現金及び現金同等物が1,873百万円増加し19,325百万円となったこと及び、その他の流動資産が1,349百万円増加し3,016百万円となったことによるものであります。また、非流動資産は前連結会計年度末に比べ8,216百万円増加し、38,427百万円となりました。これは主にのれんが7,026百万円増加し14,799百万円となったこと、投資不動産が614百万円減少し10,689百万円となったこと、使用権資産が597百万円増加し2,459百万円となったこと及び、繰延税金資産が556百万円増加し2,020百万円となったことによるものであります。
この結果、資産合計は前連結会計年度末に比べ15,778百万円増加し、77,130百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ10,388百万円増加し、34,209百万円となりました。これは主にその他の金融負債が4,597百万円増加し7,148百万円となったこと、社債及び借入金が3,642百万円増加し14,089百万円となったこと及び、リース負債が898百万円増加し5,478百万円となったことによるものであります。また、非流動負債は前連結会計年度末に比べ2,722百万円増加し、19,669百万円となりました。これは主に社債及び借入金が4,786百万円増加し9,283百万円となったこと、リース負債が1,568百万円減少し9,250百万円となったこと及び、その他の金融負債が752百万円減少し174百万円となったことによるものであります。
この結果、負債合計は前連結会計年度末に比べ13,111百万円増加し、53,879百万円となりました。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ2,667百万円増加し、23,251百万円となりました。これは主に利益剰余金が1,841百万円増加し2,831百万円となったことによるものであります。
(b)経営成績
当連結会計年度の業績は、売上収益189,883百万円(前年同期比29.5%増)、売上総利益30,734百万円(前年同期比35.9%増)、事業利益※1 4,056百万円(前年同期比86.6%増)、営業利益3,878百万円(前年同期比75.4%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益1,841百万円(前年同期比82.2%増)となりました。
なお、上記以外の主要KPIは、ネット売上収益※2 31,846百万円(前年同期比36.6%増)、ストックビジネス粗利※3 7,808百万円(前年同期比85.2%増)、コア事業利益率※4 12.7%(前年同期は9.4%)、ノンオーガニック比率※5 42.6%(前年同期は41.1%)となります。
セグメント別の業績は、次のとおりであります。
なお、当社グループは経営管理区分の見直しを行ったことに伴い、当連結会計年度より「その他」に含まれていた中華圏の投資家向け不動産プラットフォーム事業を「RENOSYマーケットプレイス」に含めて記載する方法に変更しております。これに伴い、セグメント別の業績における前年同期比は、前年同期を変更後の方法に基づき作成したものを基礎として算定しております。
①RENOSYマーケットプレイス事業※6
認知度拡大施策や「貯蓄から投資」による個人投資家の不動産への積極的かつ継続的な投資姿勢等を背景に、中古マンション投資で5年連続No.1となるなど、好調にシェアを拡大いたしました※7。また、売却DXの推進、商品ラインアップの拡充等の各種手数料改善策により粗利額の最大化を図ってまいりました。加えて、プロパティマネジメント事業について、サブスクリプションにつながる購入DXが好調なことに加え、同事業を営む株式会社Core Asset Managementを2023年12月に、RW OpCo, LLCを2024年3月に、それぞれM&Aを実施したことにより、サブスクリプションのオーナー数、契約数共に増加基調を維持しております。これにより、主なKPIはRENOSY会員数※8 51.9万人(前年同期比約30%増)、購入DX成約件数※9 1,862件(前年同期比約2%増)、売却DX成約件数※10 846件(前年同期比約16%増)、サブスクリプション契約件数※11 32,452戸(前年同期比約82%増)、アセットプランナー数(中古コンパクトマンション)※12 126人(前年同期比約18%増)、ARPA(中古コンパクトマンション) ※13 1,130百万円(前年同期比約69百万円増)となり、好調に進捗しております。その結果、RENOSYマーケットプレイス事業の業績は、売上収益184,784百万円(前年同期比29.1%増)、売上総利益26,747百万円(前年同期比34.8%増)、セグメント利益8,885百万円(前年同期比34.5%増)となっております。
②ITANDI事業
バーティカルSaaSのネットワーク効果や株式会社Housmartを2024年1月、株式会社マーキュリーを同年8月にそれぞれM&Aしたことにより、ARR※14 4,513百万円(前年同期比約72%増)、チャーンレート※15 0.37%(前年同期は0.49%)、累計顧客数4,503社(前年同期比約55%増)、ユニットエコノミクス※16 40.8倍(前年同期は26.2倍)、導入プロダクト数13,144プロダクト(前年同期比約55%増)、ITANDI BB PV数1,101万PV(前年同期比約22%増)の達成など、順調に業績を拡大しました。その結果、ITANDI事業の業績は、売上収益4,513百万円(前年同期比40.9%増)、売上総利益3,645百万円(前年同期比35.3%増)、セグメント利益1,316百万円(前年同期比87.6%増)となっております。
※1 事業利益=売上収益-売上原価-販売費及び一般管理費
※2 ネット売上収益は、「RENOSYマーケットプレイス事業の売上総利益+(連結売上収益-RENOSYマーケットプレイス事業の売上収益)」で算出
※3 ストックビジネス粗利は、RENOSYマーケットプレイス事業のサブスクリプションビジネス及びITANDI事業の売上総利益の合計
※4 コア事業利益率は、「連結事業利益÷ネット売上収益」で算出
※5 ノンオーガニック比率は、中古コンパクトマンション及びサブスクリプション以外の事業の売上総利益の合計をノンオーガニックの売上総利益と定義し、全体の売上総利益に占める割合を算出
※6 RENOSYマーケットプレイス事業は、主にネット不動産マーケットプレイス「RENOSY」における不動産の購入DX・売却DX、不動産オーナー向けにサブスクリプション(定額利用)での管理プラン提供、新築コンパクトマンションを活用したサービス提供
※7 ネット不動産投資のRENOSY、 マンション投資の売上高・マッチング件数で全国No.1を獲得https://ssl4.eir-parts.net/doc/3491/tdnet/2437813/00.pdf
※8 RENOSY会員数は、2024年10月末時点での会員ストック数(会員登録した累計の人数)
※9 購入DX成約件数は、RENOSYマーケットプレイス内の投資、実需の購入成約件数の当第4四半期3ヶ月累計
※10 売却DX成約件数は、RENOSYマーケットプレイス内の投資、実需の売却成約件数の当第4四半期3ヶ月累計
※11 サブスクリプション契約件数は、2024年10月末時点での管理戸数
※12 アセットプランナー数(中古コンパクトマンション)は、2024年10月末の人数
※13 ARPA(Average Revenue per Agent)(中古コンパクトマンション)は、2024年10月期の中古コンパクトマンションの通期売上収益を、当該年度の各月末時点のアセットプランナー数の平均値で除して算出
※14 Annual Recurring Revenue。各四半期末の月末MRR(Monthly Recurring Revenueの略。月額利用料金、従量課金、ライフラインサービスの収益を含む)に12を乗じて算出。なお、2024年10月期より、従来までの主要プロダクトにイタンジの全てのSaaSサービス、Housmart社の「PropoCloud」、RENOSY XやマーキュリーのSaaSサービスを追加し算出
※15 2024年10月末時点での直近12ヶ月の平均月次チャーンレート
※16 1顧客当たり経済性。LTVをCACで除して算定した倍率、2024年10月末時点での直近12ヶ月の平均値
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1,873百万円増加し19,325百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況と主な増減要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により得られた資金は、3,635百万円(前年同期は6,798百万円の獲得)となりました。これは主に、減価償却費及び償却費5,600百万円、棚卸資産の増加額3,759百万円、税引前利益3,143百万円及び、法人所得税の支払額1,310百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、4,793百万円(前年同期は2,052百万円の使用)となりました。これは主に、企業結合による支出2,902百万円及び、無形資産の取得による支出1,585百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により得られた資金は、2,965百万円(前年同期は808百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入れによる収入10,113百万円及び、長期借入金の返済による支出5,065百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
(a)生産実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
(b)契約実績
当社グループは、契約実績と販売実績が概ね同じであるため、記載を省略しております。
(c)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2023年11月1日 至 2024年10月31日) | |
金額(百万円) | 前年同期比(%) | |
RENOSYマーケットプレイス事業 | 184,784 | 129.1 |
ITANDI事業 | 4,489 | 140.8 |
その他事業 | 609 | 209.3 |
合計 | 189,883 | 129.5 |
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の相手先がいないため記載を省略しております。
3.前年同期比は、前連結会計年度の数値をセグメント変更後の区分に組み替えて比較しております。
4.当連結会計年度において、販売実績に著しい増加がありました。この増加の内容は、「①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容(b)経営成績」に記載のとおりであります。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。
なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要性がある会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要性がある会計方針 4.重要な会計上の判断、見積り及び仮定」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(a)財政状態
当連結会計年度の財政状態につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 (a)財政状態」に記載のとおりであります。
(b)経営成績
(売上収益及び売上総利益)
売上収益は、RENOSYの認知度向上やデジタルマーケティングを活用した効率的な集客により RENOSY会員数が順調に伸びたことで、RENOSYマーケットプレイスの販売件数が増加した結果、189,883百万円(前年同期比29.5%増)となりました。また、売上総利益率が高いイタンジの収益が伸長したことに加えて、従前より実施しているRENOSYマーケットプレイスの各種手数料改善施策の奏功及びサブスクリプションにおいてのスケールメリット効果、DX活用による業務効率化等により、売上総利益は30,734百万円(前年同期比35.9%増)となりました。
(販売費及び一般管理費及び営業利益)
販売費及び一般管理費は認知度向上(利用意向向上)を目的とした広告宣伝費の積み増し及び主に人件費の増加により、26,678百万円(前年同期比30.5%増)となりました。
この結果、営業利益は3,878百万円(前年同期比75.4%増)となりました。
(金融収益、金融費用及び税引前利益)
金融収益が11百万円(前年同期比2.3%増)であったのに対して、金融費用が主に資金調達関係の支払利息や手数料により746百万円(前年同期比17.1%増)となりました。
この結果、税引前利益は3,143百万円(前年同期比98.3%増)となりました。
(法人所得税費用及び当期利益)
法人所得税費用は、主に税引前利益の増加により、1,288百万円(前年同期比127.4%増)となりました。
この結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,841百万円(前年同期比82.2%増)となりました。
(c)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
③ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの主な資金需要は投資用不動産の取得、販売費及び一般管理費の広告宣伝費及び人件費、ソフトウエアの開発投資及びM&A等であります。これらの資金需要に対しては、営業活動から獲得する自己資金及び金融機関からの借入や社債による調達を基本としており、経済・金融環境の変化に備えた十分な手許流動性の確保により、安定した財務基盤の維持に努めております。また、資金調達の機動性及び流動性確保の補完機能を高めるため、取引銀行と当座貸越契約及び貸出コミットメント契約を有しております。