有価証券報告書-第8期(2023/03/01-2024/02/29)

【提出】
2024/05/27 9:03
【資料】
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【項目】
145項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による行動規制が解除されたことにより社会活動の正常化が進みましたが、海外経済の減速への懸念や資源価格の高止まりなどもあり、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが属するアパレル業界においては、行動規制の解除により社会活動の正常化が進み、個人消費の回復傾向が見られました。一方、仕入価格や物流費の上昇に加え、物価上昇による消費者の節約志向が懸念されており、厳しい経営環境が続いております。また、ベビー・子供服市場においては、学校行事・家族行事の再開により、一定の回復が見られました。
このような環境の下、当社グループは、お客様が買い物すること自体に楽しみを求められていると考え、店頭の接客やビジュアルマーチャンダイジング(VMD)を強化し、オケージョンなどの商品企画を促進することで、販売機会の提案を行ってきました。為替変動のリスクや物流費の高騰、店頭人材の確保の厳しさなどに対して、顧客視点での商品企画、タイムリーな納品、上代設定などを行い、販売研修を充実させたことで、業績は順調に推移いたしました。
チャネル別売上高に関しましては、行動規制の解除などによって、百貨店、ショッピングセンター及びアウトレットモールの実店舗へお客様が戻られたため売上高が年間を通じて回復し、百貨店チャネルの売上高9,541百万円(前期比102.5%)、ショッピングセンターチャネルの売上高14,645百万円(同111.7%)、eコマースチャネルの売上高は8,558百万円(同104.5%)、その他チャネルの売上高4,739百万円(同108.0%)となりました。
百貨店チャネルでは、上期においては卒園・入学、水着・浴衣などのオケージョン需要が増加することを見込み、企画・生産・販売を積極的に行いました。下期においては、暖冬の影響でアウター類の売れ行きが不振となりましたが、通年では前年・計画ともに上回る結果となりました。
ショッピングセンターチャネルでは、「petit main」は、インフルエンサーコラボ、キャラクターコラボの積極的な商品展開と接客強化によって、プロパー販売が促進されました。また、「Lovetoxic」は、新カテゴリーのダンスファッションである「LTXC」を発売することで、大きく売上を伸ばしました。
eコマースチャネルにおいては、集客施策への積極的な投資を行い、サイトへの訪問頻度が回復したこと、ECモール間の在庫管理精度向上に取り組みが奏功し、買い上げ率が向上したことから、売上が増加しました。
その他チャネルにおいては、インバウンド回復による集客増によって、売上を伸ばしました。
ブランド別では、ショッピングセンターブランド「petit main」、「Lovetoxic」の売上高が前連結会計年度を上回りました。また、百貨店ブランドでは、9ブランドのうち5ブランドが前連結会計年度の売上高を上回り、特に「kate spade NEW YORK」、「Paul Smith JUNIOR」は2ケタ増と引き続き売上高増に貢献しております。
粗利益率に関しましては、原料高、運賃上昇、為替変動リスクなどによって、仕入れ原価が高騰していましたが、商品企画の工夫、付加価値の追加、接客強化によって、定価での販売が順調に推移したため、前連結会計年度と比較すると良化しております。
特別損失として、連結子会社である株式会社ハートフィールにおいて前連結会計年度に引き続き事業計画の見直しを行い、上期にのれんの一時償却額166百万円を計上しました。株式会社ハートフィールにおけるオンライン事業を当社が運営するナルミヤオンラインへ集約し、物流コスト等を削減することにより、株式会社ハートフィールの業績は回復してきております。
また、人的資本経営をより充実させるため給与等の支払額を増加したことにより、賃上げ促進税制の優遇措置を受けることができました。
当連結会計年度における出退店の状況は、百貨店17店舗・ショッピングセンター7店舗・アウトレット1店舗を出店し、百貨店22店舗・ショッピングセンター3店舗・LOVST(フォトスタジオ)3店舗撤退しました。出店については、前連結会計年度同様に地域や商圏などを厳選した計画としております。
なお、百貨店の店舗数は、売場数×ブランド数で計算するため、出退店店舗数が多くなる傾向があります。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は37,484百万円(前期比107.1%)、営業利益は2,105百万円(同123.5%)、経常利益は2,072百万円(同127.6%)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,216百万円(同146.4%)となりました。
なお、当社グループはベビー・子供服の企画販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績に関する記載は省略しております。
② 財政状態の状況
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ880百万円増加し、8,810百万円となりました。これは主に、現金及び預金が155百万円減少したこと、受取手形及び売掛金が305百万円増加及び商品が684百万円増加したこと等によります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ157百万円減少し、5,350百万円となりました。これは主に、リース資産の減少等により有形固定資産が97百万円減少したこと、のれんの減少等により無形固定資産が226百万円減少したこと、及び繰延税金資産の増加等により、投資その他の資産が166百万円増加したことによります。これらの結果、当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ722百万円増加し、14,160百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ894百万円増加し、5,790百万円となりました。これは主に、買掛金が508百万円増加したこと及び未払法人税等が224百万円増加したこと等によります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ797百万円減少し、2,361百万円となりました。これは主に、長期借入金が717百万円減少したこと等によります。これらの結果、当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ97百万円増加し、8,152百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ625百万円増加し、6,008百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び配当金の支払いにより利益剰余金が902百万円増加したこと及び自己株式が280百万円増加したこと等によります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ205百万円減少し、2,738百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は、1,927百万円(前連結会計年度は1,735百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,904百万円の計上、減価償却費446百万円の計上、のれん償却額の計上365百万円、売上債権の増加額304百万円、棚卸資産の増加額684百万円、仕入債務の増加額508百万円及び法人税等の支払額570百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、551百万円(前連結会計年度は166百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出97百万円、無形固定資産の取得による支出240百万円、及び差入保証金の差入による支出92百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は、1,594百万円(前連結会計年度は1,355百万円の使用)となりました。これは、長期借入金の返済による支出726百万円、リース債務の返済による支出273百万円、自己株式の取得による支出280百万円及び配当金の支払額313百万円によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.仕入実績
当社グループは、ベビー・子供服の企画販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2023年3月1日
至 2024年2月29日)
前年同期比(%)
ベビー・子供服の企画販売事業 (千円)15,945,334112.7
合 計 (千円)15,945,334112.7

c.受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
d.販売実績
当社グループは、ベビー・子供服の企画販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に替えて、チャネル別販売実績を記載しております。
チャネルの名称当連結会計年度
(自 2023年3月1日
至 2024年2月29日)
前年同期比(%)
ベビー・子供服の企画販売事業
百貨店(千円)9,541,230102.5
ショッピングセンター(千円)14,645,625111.7
e コ マ ー ス(千円)8,558,401104.5
そ の 他(注)1(千円)4,739,123108.0
合 計(千円)37,484,381107.1

(注)アウトレット、卸売り販売、フォトスタジオ、ライセンス販売を含みます。
(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績の分析
a.売上高、売上原価及び売上総利益
売上高は37,484百万円(前期比107.1%)、売上総利益は22,223百万円(同109.0%)となりました。
なお、この詳細については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」と「④生産、受注及び販売の実績」をご参照ください。
b.販売費及び一般管理費及び営業利益
販売費及び一般管理費は、人的資本経営をより充実させるための従業員給料及び手当並びに賞与引当金繰入額等の人件費の増加及び、店舗売上増加に伴う地代家賃の一般管理費が増加したことにより、販売費及び一般管理費は20,117百万円となりました。
以上の結果、営業利益は2,105百万円(前期比123.5%)となりました。
c.営業外損益及び経常利益
営業外収益は47百万円となりました。これは主に受取賃貸料19百万円及び保険解約返戻金11百万円によるものであります。
営業外費用は80百万円となりました。これは主に長期借入金及びリース債務にかかる支払利息43百万円、賃貸費用13百万円によるものであります。
その結果、経常利益は2,072百万円(前期比127.6%)となりました。
d.特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別損失は168百万円となりました。これは主にのれん償却額166百万円によるものであります。
法人税、住民税及び事業税789百万円及び法人税等調整額△102百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,216百万円(前期比146.4%)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性の分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
なお、当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。設備投資を目的として資金需要は、計画に基づき、案件ごとに手持資金の支出とリース契約による長期借入に切り分けております。設備投資のうち、原則としてショッピングセンター、アウトレットモール及び路面店の店舗内装工事についてはリース契約で賄い、ショッピングセンター等の出店に際して負担する入居保証金や百貨店の内装工事費用及びその他の設備投資は手元資金により賄っております。
④ 経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。