有価証券報告書-第4期(平成31年3月1日-令和2年2月29日)

【提出】
2020/05/28 10:24
【資料】
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【項目】
137項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループはベビー・子供服の企画販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績に関する記載は省略しております。また、2019年3月29日に株式会社ハートフィールの全株式を取得し子会社化したことにより、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しております。よって、前年同期との比較を省略しております。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得環境の改善などから緩やかな回復基調で推移したものの、通商問題を巡る動向など世界経済は不確実性を増し、加えて2019年10月に実施された消費税率引き上げやインバウンド需要の減少など、先行き不透明な状況が継続いたしました。また、2019年後半に発生した新型コロナウィルスの感染拡大による世界経済への影響が懸念され、予断を許さない状況が続いております。
一方、当社グループが属するアパレル業界は、地球温暖化による気候変動やインバウンド需要の減少及び新型コロナウィルスの感染拡大による消費マインドの後退により、多くの企業が苦戦を強いられました。
こうした中、当社グループはマルチチャネル・マルチブランド戦略において業績を牽引するショッピングセンターチャネルとeコマースを中心に経営資源を投下いたしました。具体的には、ショッピングセンターへの積極的な店舗展開、ショッピングセンターとeコマース両チャネルにおける顧客ID統合によるCRMの強化及びRFID導入による物流業務の効率化を推進し、eコマースを展開する株式会社ハートフィールの全株式を取得し子会社化したことによりボーイズブランドの強化を図りました。
百貨店チャネルは、ベビー・トドラー向けブランドの「ANNA SUI mini」や「X-girl STAGES/XLARGE KIDS」が健闘したものの、地球温暖化による気候変動やジュニア世代の百貨店離れ等の要因もあり、ジュニア向けブランドを中心に前年売上高を下回りました。店舗数では、20店舗出店し、32店舗退店したため、当連結会計年度末において575店舗となりました。その結果、当連結会計年度の百貨店売上高は9,060百万円となりました。
ショッピングセンターチャネルは、ベビー・トドラー向けブランド「petit main」及びジュニア向けブランド「Lovetoxic」がともに年間を通して堅調に推移しました。店舗数では、24店舗出店し、2店舗退店したため、当連結会計年度末において184店舗(注)1となりました。その結果、当連結会計年度のショッピングセンター売上高は13,634百万円となりました。
eコマースチャネルは、ショッピングセンター店舗顧客とのID統合を行い、併せて新規顧客獲得キャンペーンを実施しました。また、「GLAZOS」を展開する株式会社ハートフィールの子会社化による規模の拡大を図りました。その結果、当連結会計年度のeコマース売上高は6,095百万円となりました。
その他のチャネル(注)2の売上高は、アウトレット及び卸売り販売ともに堅調に推移しました。また、前事業年度の夏に開始したフォトスタジオ事業が、稼働率UPと購買単価上昇により堅調に推移し、中国における「petit main」の販売状況は、現在はライセンス契約による事業展開のステージではありますが、堅調な売上推移となっております。その結果、当連結会計年度のその他売上高は4,171百万円となりました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は32,962百万円、営業利益は1,664百万円、経常利益は1,622百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は999百万円となりました。
(注)1.当連結会計年度においてショッピングセンター向けブランド「petit main」が4店舗百貨店へ出店いたしました。当該4店舗はショッピングセンターチャネルに含んでおります。
2.アウトレット、卸売り販売、フォトスタジオ、ライセンス販売を含みます。
② 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産は15,310百万円となりました。
流動資産合計は8,580百万円となり、その主な内訳は、商品3,394百万円、受取手形及び売掛金2,607百万円及び現金及び預金2,488百万円であります。
固定資産合計は6,730百万円となり、その主な内訳は、のれん3,363百万円、差入保証金1,195百万円及び有形固定資産のリース資産(純額)816百万円であります。
(負債)
当連結会計年度末における負債は10,975百万円となりました。
流動負債は5,656百万円となり、その主な内訳は、買掛金2,488百万円、未払費用618百万円及び1年内返済予定の長期借入金595百万円であります。
固定負債は5,319百万円となり、その主な内訳は、長期借入金4,404百万円及びリース債務661百万円であります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は4,335百万円となりました。その主な内訳は、利益剰余金2,207百万円及び資本剰余金1,860百万円であります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、2,488百万円となりました。
各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、2,319百万円となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,601百万円の計上、減価償却費517百万円、のれん償却額223百万円、売上債権の増加額270百万円及びたな卸資産の減少額506百万円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、822百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出266百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出234百万円及び差入保証金の差入による支出208百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、856百万円となりました。これは主に、長期借入による収入620百万円、長期借入金の返済による支出871百万円、リース債務の返済による支出370百万円及び配当金の支払額307百万円によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.仕入実績
当社グループは、ベビー・子供服の企画販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2019年3月1日
至 2020年2月29日)
前年同期比(%)
ベビー・子供服の企画販売事業 (千円)14,632,150-
合 計 (千円)14,632,150-

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比は記載しておりません。
なお、前事業年度の仕入実績は、14,458,071千円です。
c.受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
d.販売実績
当社グループは、ベビー・子供服の企画販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に替えて、チャネル別販売実績を記載しております。
チャネルの名称当連結会計年度
(自 2019年3月1日
至 2020年2月29日)
構成比(%)
ベビー・子供服の企画販売事業
百貨店(千円)9,060,38927.5
ショッピングセンター(千円)13,634,79141.4
eコマース(千円)6,095,88418.5
そ の 他 (注)2(千円)4,171,92212.6
合 計(千円)32,962,986100.0

(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.アウトレット、卸売り販売、フォトスタジオ、ライセンス販売を含みます。
3.当連結会計年度より連結財務諸表を作成しているため、前年同期比に替えて構成比を記載しております。なお、前事業年度のチャネル別構成比は以下のとおりであります。
チャネルの名称前事業年度
(自 2018年3月1日
至 2019年2月28日)
構成比(%)
ベビー・子供服の企画販売事業
百貨店(千円)9,796,25433.0
ショッピングセンター(千円)11,770,99939.6
eコマース(千円)4,286,86114.4
そ の 他(千円)3,846,77413.0
合 計(千円)29,700,888100.0

(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。2019年3月29日に株式会社ハートフィールの全株式を取得し子会社化したことにより、当連結会計年度より連結財務諸表を作成しております。よって、前年同期との比較を省略しております。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 経営成績の分析
a.売上高、売上原価及び売上総利益
売上高は32,962百万円となりました。チャネル別では、百貨店チャネルが第2四半期における異常気象と百貨店業界における環境の厳しさを反映し苦戦しました。一方、ショッピングセンターチャネルとeコマースチャネルの業績は堅調に推移しました。ショッピングセンターは、既存店売上高が好調だったことに加え、新店の売上高がチャネルの業績拡大に貢献しました。またeコマースは、ショッピングセンターとeコマースの顧客IDの統合により新規顧客獲得数が大幅に増加し、高成長を継続しました。チャネル別売上高の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」と「④生産、受注及び販売の実績」をご参照ください。
売上総利益率は、百貨店ブランドに比べ売上総利益率が高いショッピングセンターブランドの売上高比率が高まったものの、第4四半期における冬物の販売不振に伴う商品評価損計上等により54.0%となりました。その結果、売上総利益は17,793百万円となりました。
b.販売費及び一般管理費及び営業利益
販売費及び一般管理費は、eコマースの売上増に伴う販売手数料や荷具運賃等の販売費の増加に加え、ショッピングセンターブランドの売上増に伴う歩合家賃や支払手数料等の一般管理費も増加したため、売上高販管費比率は48.9%となりました。その結果、販売費及び一般管理費は16,128百万円となりました。
以上の結果、営業利益は1,664百万円となりました。
c.営業外損益及び経常利益
営業外収益は81百万円となりました。これは主に受取賃貸料24百万円及び債務勘定整理益20百万円によるものであります。
営業外費用は124百万円となりました。これは主に長期借入金及びリース債務にかかる支払利息73百万円、ならびに賃貸費用19百万円によるものであります。
その結果、経常利益は1,622百万円となりました。
d.特別損益及び当期純利益
特別損失は21百万円となりました。これは減損損失15百万円及び固定資産除却損5百万円によるものであります。
法人税、住民税及び事業税630百万円及び法人税等調整額△28百万円を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は999百万円となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性の分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照ください。
なお、当社の資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社の運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入費用ならびに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。設備投資を目的として資金需要は、計画に基づき、案件ごとに手持資金の支出とリース契約による長期借入に切り分けております。設備投資のうち、原則としてショッピングセンター、アウトレットモール及び路面店の店舗内装工事についてはリース契約で賄い、ショッピングセンター等の出店に際して負担する入居保証金や百貨店の内装工事費用及びその他の設備投資は手元資金により賄っております。
④ 経営戦略の現状と見通し
当社グループは非上場化以降において、ナルミヤブランドの再構築及び百貨店販売に依存しない事業基盤の確立を目指し、必要な経営資源を必要なところに投入することに注力してまいりました。ベビー・子供服専業のSPAとして、子供服のナルミヤとしての基本路線を維持しながら、百貨店売場のブランドリプレースと、ショッピングセンターやアウトレットモールへの積極的な出店、及びeコマースの強化を図り、マルチチャネル・マルチブランド戦略を展開してまいりました。
当連結会計年度末現在、トドラー向け13ブランド、ジュニア向け6ブランドを展開、百貨店575店舗、ショッピングセンター184店舗、アウトレットモール24店舗を展開、eコマース事業において、自社オンラインサイト以外に、多くの他社オンラインショッピングサイトに出店しております。
今後におきましても、ブランドのポートフォリオの最適化に留意しながら、マルチチャネル・マルチブランド戦略を展開するとともに、子供の出生数が日本の約17倍である中国を中心としたアジア近隣諸国への進出や子供のライフスタイルへのサービス提供により、事業拡大を図ってまいります。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループを取り巻くアパレル小売市場は、依然として消費者の低価格志向が強く、ブランド間の優勝劣敗が顕著になっております。当社グループが事業展開する子供服市場におきましても、少子高齢化により客数の増加が見込めない状況のなかで、ギフト、フォーマル需要である高付加価値志向とカジュアルでトレンド需要の中価格志向、更には普段着需要の低価格志向にカテゴリー分けがより一層顕著になると見込まれます。
また、2021年2月期は、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による外出自粛、それに伴う消費者心理の冷え込み等により、経済への大きなダメージが見込まれます。当社グループが属する子供服市場も大きく落ち込むことが見込まれます。2020年3月には、小中高等学校の休校に伴い、卒業式、入学式など子供服の需要が高まるシーズンに大きなマイナスの影響がありました。さらに、4月には緊急事態宣言が発動され、当社グループの主要な出店先である百貨店、ショッピングセンター等の休業に伴い、店舗の大多数が休業となりました。
なお、このような外部環境においてもeコマースは堅調に推移しており、eコマースで子供服を購入するといった消費行動はより一層拡大することが想定されます。当社グループといたしましては、引き続きeコマースへの投資を継続し、顧客の視認性と利便性を高めることで、より一層eコマースの領域の拡大を続けてまいります。また、中国市場に対しても現状のビジネスパートナーと連携を図りつつ事業の拡大に努めてまいります。さらに子供のライフスタイルを彩るフォトスタジオ事業も採算性が高まり堅調に推移しておりますので、出店数を増やし当社グループの業績への貢献度を高めてまいります。