有価証券報告書-第5期(令和2年3月1日-令和3年2月28日)
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大による2020年4月及び2021年1月の2度の緊急事態宣言の発出に伴い、消費マインドの低迷、飲食業等における時短営業、イベント・旅行業やインバウンド需要の大幅な減退により大きく悪化しました。2022年2月期におきましても、新型コロナウイルス感染症拡大の懸念は依然として残り、先行き不透明な状況が続くものと思われます。
当社グループが属するアパレル業界においても、当連結会計年度は、4,5月の緊急事態宣言に伴うリアル店舗の臨時休業や「令和2年7月豪雨」のような異常気象等によるマイナス要因により苦戦を強いられましたが、9月以降は日本政府の緊急経済対策等によって消費マインドが徐々に回復し、業績は一時回復傾向となりました。しかし、2021年1月に入ると、新型コロナウイルス感染症拡大が顕著になり、緊急事態宣言が再度発出されたため、再び厳しい状況となりました。
このような環境の中、当社グループは新型コロナウイルス感染症対策として、店舗における除菌・感染防止シートの設置、日々の従業員の体調確認など適切な感染拡大防止対策を実施し、お客様と従業員の安全と健康を最優先としたうえで、営業を継続してまいりました。
販売状況については、eコマースでの売上が巣ごもり需要とあいまって前期比大幅プラスとなったものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、リアル店舗における売上が年間を通して前期比マイナスとなりました。しかしながらeコマースの販売好調による収益増大と、百貨店の不振3ブランドの撤退、それに伴う人材の最適化といった構造改革が功を奏し、営業利益は回復傾向となりました。
なお当連結会計年度で大幅に成長したeコマースチャネルは、視認性と利便性の向上を目標とし自社サイトの改善・改修に努めてまいりました。また、新サービスとして、クリック&コレクト(eコマース決済と店舗受取)、チャット接客(販売員によるリモート接客)、自社専用オンラインアプリのリリースなどを導入し、新規会員数が増加したことで事業基盤が強化されました。なお、当連結会計年度末の会員数は72万人で、前期比147.6%となりました。
ブランド別では、当連結会計年度後半、主力ブランドである「petit main」の新商品プティプラセットや、ミッフィーコラボ商品などの販売が好調に推移しました。また、その他ブランドでは、百貨店ブランドの「ANNA SUI mini」、ショッピングセンターブランドの「Lovetoxic」において、人気アニメとのコラボ商品発売等により、徐々にではありますが売上が回復傾向にあります。
新規事業であるフォトスタジオの「LOVST BY NARUMIYA」においては、株式会社LOVSTの全株式を取得し、完全子会社化いたしました。当連結会計年度においては、マリンアンドウォークヨコハマ店に続き、新たに2店舗出店し株式会社LOVSTが運営していた2店舗を追加したことで全5店舗体制となりました。2022年2月期は引き続きフォトスタジオ事業の拡大を目指し、百貨店などへ出店してまいります。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は29,511百万円(前期比10.5%減)、営業利益は1,037百万円(同37.7%減)、経常利益は1,006百万円(同38.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は396百万円(同60.3%減)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ416百万円減少し、8,164百万円となりました。これは主に、現預金が656百万円減少したこと及び受取手形及び売掛金が205百万円増加したことによります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ257百万円減少し、6,472百万円となりました。これは主に、リース資産の減少等により有形固定資産が117百万円減少したこと及びのれんの減少等により無形固定資産が147百万円減少したことによります。これらの結果、当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ674百万円減少し、14,636百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ74百万円減少し、5,582百万円となりました。これは主に、買掛金が154百万円増加したこと及び未払消費税等が211百万円減少したことによります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ673百万円減少し、4,645百万円となりました。これは主に、長期借入金が578百万円減少したことによります。これらの結果、当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ747百万円減少し、10,228百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ72百万円増加し、4,407百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び配当金の支払い等により利益剰余金が52百万円増加したことによります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ656百万円減少し、1,831百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は、1,042百万円(前連結会計年度は2,319百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益777百万円の計上、減価償却費498百万円の計上及びのれん償却額225百万円等の資金の獲得と、法人税等の支払358百万円等の資金の支出によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は、354百万円(前連結会計年度は822百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出122百万円及び差入保証金の差入による支出75百万円等の資金の支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果支出した資金は、1,345百万円(前連結会計年度は856百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出596百万円、リース債務の返済による支出404百万円及び配当金の支払額344百万円等の資金の支出によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.仕入実績
当社グループは、ベビー・子供服の企画販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
d.販売実績
当社グループは、ベビー・子供服の企画販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に替えて、チャネル別販売実績を記載しております。
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.アウトレット、卸売り販売、フォトスタジオ、ライセンス販売を含みます。
(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
② 経営成績の分析
a.売上高、売上原価及び売上総利益
売上高は29,511百万円となりました。当連結会計年度の売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、巣ごもり需要によりeコマースは前期比大幅増となった半面、リアル店舗での販売が前期比大幅減となり、全体で前期比10.5%減となりました。チャネル別売上高の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」と「④生産、受注及び販売の実績」をご参照ください。
売上総利益率は、コロナ禍におけるセール販売と、ショッピングセンターブランドの売上高比率が低下したことにより、全体で0.6ポイント低下しました。その結果、売上総利益は15,767百万円となりました。
b.販売費及び一般管理費及び営業利益
販売費及び一般管理費は、eコマースの売上増に伴う販売手数料や荷具運賃等の販売費があったものの、人件費や地代家賃等の一般管理費が減少したため、販売費及び一般管理費は、前期比8.7%減となりました。しかしながら、売上高が大幅減となったことにより、売上高販管費比率は前期比1ポイント増となりました。その結果、販売費及び一般管理費は14,730百万円となりました。
以上の結果、営業利益は1,037百万円となりました。
c.営業外損益及び経常利益
営業外収益は91百万円となりました。これは主に受取賃貸料23百万円及び債務勘定整理益39百万円によるものであります。
営業外費用は122百万円となりました。これは主に長期借入金及びリース債務にかかる支払利息72百万円、ならびに賃貸費用19百万円によるものであります。
その結果、経常利益は1,006百万円となりました。
d.特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別損失は520百万円となりました。これは減損損失23百万円、固定資産除却損25百万円及び臨時休業による損失462百万円によるものであります。
法人税、住民税及び事業税367百万円及び法人税等調整額13百万円を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は396百万円となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性の分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照ください。
なお、当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入費用ならびに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。設備投資を目的として資金需要は、計画に基づき、案件ごとに手持資金の支出とリース契約による長期借入に切り分けております。設備投資のうち、原則としてショッピングセンター、アウトレットモール及び路面店の店舗内装工事についてはリース契約で賄い、ショッピングセンター等の出店に際して負担する入居保証金や百貨店の内装工事費用及びその他の設備投資は手元資金により賄っております。
④ 経営戦略の現状と見通し
子供服専業のSPAとして、マルチブランド・マルチチャネル戦略を展開しております。近年の課題は、事業ポートフォリオの最適化であり、チャネルごとにお客様が望まれるブランド・商品を展開し、そのための最適な事業構成にするべく営んでまいりました。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、4,5月はリアル店舗がほぼ閉店し、経営に大きな打撃がありました。しかしながら近年育成に注力しておりましたeコマースチャネルが大きく飛躍し、当社グループとしての影響は最小限にとどめられたと考えます。
今後は、大幅に成長したeコマースをさらに成長させるべく、視認性と利便性の追求のため投資を積極的に継続してまいります。今後において、受注出荷能力の向上と配送コスト削減を目指し、物流拠点の移転を実施いたします。
当連結会計年度は、百貨店チャネルにおいては、不振ブランドの撤退を実施したことで構造改革が進み、結果として収益化が見込めるチャネルとなりました。ショッピングセンターチャネルでは、主力ブランドの「petit main」が、プティプラセット等の大ヒット商品が創出できたことで、下期の売上は回復傾向となりました。また、eコマースで注文を受け店舗で受け取るクリック&コレクトをスタートし、現在も多くのお客様に利用いただいております。eコマースからリアル店舗へと連携を行うことで、相乗効果を高めてまいります。
今後においては、eコマースとショッピングセンターブランドのフリー在庫の一元管理を行い、お客様への利便性を高めてまいります。
当連結会計年度末現在、トドラー向け13ブランド、ジュニア向け6ブランドを展開、百貨店440店舗、ショッピングセンター193店舗、アウトレットモール25店舗を展開、eコマース事業において、自社オンラインサイト以外に、多くの他社オンラインショッピングサイトに出店しております。
今後におきましても、事業ポートフォリオの最適化に留意しながら、マルチチャネル・マルチブランド戦略を展開するとともに、子供服だけでなく、モノからコトへと事業領域を拡大し成長を図ってまいります。具体的には、フォトスタジオ事業であるLOVSTの新規出店を加速させ、既存事業とのシナジーを高め成長を目指します。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループが属するアパレル業界は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、店舗への来店客数が大幅に減少しeコマースでの販売は増加するなど、デジタルトランスフォーメーションが加速し、既存の事業モデルが大きく変化しております。
また、依然として消費者の低価格志向は強く、ブランド間の優勝劣敗が顕著になっております。当社グループが事業展開する子供服市場におきましても、日本国内の少子高齢化により絶対的な客数増加が見込めない状況のなかで、ギフト、フォーマル需要である高付加価値志向とカジュアルでトレンド需要の中価格志向、更には普段着需要の低価格志向にカテゴリー分けがより一層顕著になると見込まれます。また、当連結会計年度の業績からもわかるように、eコマースでの購買行動はさらに拡大するものと思われます。
そのような環境において、当社グループとしてはeコマースへの投資を積極的に行ってきました。当連結会計年度は、お客様の声を直接お聞きし、すぐに改善につなげるようチャット接客を開始、eコマースで注文後、商品の受け渡しは店舗で行い、その場合送料無料となるクリック&コレクト、さらに自社オンライン専用アプリケーションを開発し、当社グループの全ブランドの情報提供とeコマースサイトへのアクセスが簡単にできるようになりました。
今後ともeコマースを中心に投資を積極的に行うことで、お客様の購買行動に適した事業ポートフォリオへ成長していきたいと考えています。
また、国内での少子高齢化に対応することは、重要な課題であると考えており、当社グループが成長を継続するためには、子供、家族といった当社グループのお客様へ提供する付加価値をより一層拡大することが必要と考えています。そのために、2020年12月に全株式を取得したフォトスタジオ事業のLOVSTを積極的に展開していきます。モノからコトへと付加価値を広げることで、事業成長を継続していきたいと考えています。フォトスタジオ事業は子供服とのシナジー効果も見込まれますので、今後において当社グループが出店している百貨店やショッピングセンターへの展開を計画しています。
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症拡大による2020年4月及び2021年1月の2度の緊急事態宣言の発出に伴い、消費マインドの低迷、飲食業等における時短営業、イベント・旅行業やインバウンド需要の大幅な減退により大きく悪化しました。2022年2月期におきましても、新型コロナウイルス感染症拡大の懸念は依然として残り、先行き不透明な状況が続くものと思われます。
当社グループが属するアパレル業界においても、当連結会計年度は、4,5月の緊急事態宣言に伴うリアル店舗の臨時休業や「令和2年7月豪雨」のような異常気象等によるマイナス要因により苦戦を強いられましたが、9月以降は日本政府の緊急経済対策等によって消費マインドが徐々に回復し、業績は一時回復傾向となりました。しかし、2021年1月に入ると、新型コロナウイルス感染症拡大が顕著になり、緊急事態宣言が再度発出されたため、再び厳しい状況となりました。
このような環境の中、当社グループは新型コロナウイルス感染症対策として、店舗における除菌・感染防止シートの設置、日々の従業員の体調確認など適切な感染拡大防止対策を実施し、お客様と従業員の安全と健康を最優先としたうえで、営業を継続してまいりました。
販売状況については、eコマースでの売上が巣ごもり需要とあいまって前期比大幅プラスとなったものの、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、リアル店舗における売上が年間を通して前期比マイナスとなりました。しかしながらeコマースの販売好調による収益増大と、百貨店の不振3ブランドの撤退、それに伴う人材の最適化といった構造改革が功を奏し、営業利益は回復傾向となりました。
なお当連結会計年度で大幅に成長したeコマースチャネルは、視認性と利便性の向上を目標とし自社サイトの改善・改修に努めてまいりました。また、新サービスとして、クリック&コレクト(eコマース決済と店舗受取)、チャット接客(販売員によるリモート接客)、自社専用オンラインアプリのリリースなどを導入し、新規会員数が増加したことで事業基盤が強化されました。なお、当連結会計年度末の会員数は72万人で、前期比147.6%となりました。
ブランド別では、当連結会計年度後半、主力ブランドである「petit main」の新商品プティプラセットや、ミッフィーコラボ商品などの販売が好調に推移しました。また、その他ブランドでは、百貨店ブランドの「ANNA SUI mini」、ショッピングセンターブランドの「Lovetoxic」において、人気アニメとのコラボ商品発売等により、徐々にではありますが売上が回復傾向にあります。
新規事業であるフォトスタジオの「LOVST BY NARUMIYA」においては、株式会社LOVSTの全株式を取得し、完全子会社化いたしました。当連結会計年度においては、マリンアンドウォークヨコハマ店に続き、新たに2店舗出店し株式会社LOVSTが運営していた2店舗を追加したことで全5店舗体制となりました。2022年2月期は引き続きフォトスタジオ事業の拡大を目指し、百貨店などへ出店してまいります。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は29,511百万円(前期比10.5%減)、営業利益は1,037百万円(同37.7%減)、経常利益は1,006百万円(同38.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は396百万円(同60.3%減)となりました。
② 財政状態の状況
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ416百万円減少し、8,164百万円となりました。これは主に、現預金が656百万円減少したこと及び受取手形及び売掛金が205百万円増加したことによります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ257百万円減少し、6,472百万円となりました。これは主に、リース資産の減少等により有形固定資産が117百万円減少したこと及びのれんの減少等により無形固定資産が147百万円減少したことによります。これらの結果、当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ674百万円減少し、14,636百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ74百万円減少し、5,582百万円となりました。これは主に、買掛金が154百万円増加したこと及び未払消費税等が211百万円減少したことによります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ673百万円減少し、4,645百万円となりました。これは主に、長期借入金が578百万円減少したことによります。これらの結果、当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ747百万円減少し、10,228百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ72百万円増加し、4,407百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び配当金の支払い等により利益剰余金が52百万円増加したことによります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ656百万円減少し、1,831百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は、1,042百万円(前連結会計年度は2,319百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益777百万円の計上、減価償却費498百万円の計上及びのれん償却額225百万円等の資金の獲得と、法人税等の支払358百万円等の資金の支出によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果支出した資金は、354百万円(前連結会計年度は822百万円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出122百万円及び差入保証金の差入による支出75百万円等の資金の支出によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果支出した資金は、1,345百万円(前連結会計年度は856百万円の支出)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出596百万円、リース債務の返済による支出404百万円及び配当金の支払額344百万円等の資金の支出によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.仕入実績
当社グループは、ベビー・子供服の企画販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
セグメントの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年3月1日 至 2021年2月28日) | 前年同期比(%) |
ベビー・子供服の企画販売事業 (千円) | 13,721,779 | 93.8 |
合 計 (千円) | 13,721,779 | 93.8 |
(注)上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
c.受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
d.販売実績
当社グループは、ベビー・子供服の企画販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に替えて、チャネル別販売実績を記載しております。
チャネルの名称 | 当連結会計年度 (自 2020年3月1日 至 2021年2月28日) | 前年同期比(%) | |||||
ベビー・子供服の企画販売事業 | |||||||
百貨店 | (千円) | 6,388,171 | 70.5 | ||||
ショッピングセンター | (千円) | 11,026,091 | 80.9 | ||||
eコマース | (千円) | 8,666,523 | 142.2 | ||||
そ の 他 (注)2 | (千円) | 3,430,968 | 82.2 | ||||
合 計 | (千円) | 29,511,752 | 89.5 |
(注)1.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
2.アウトレット、卸売り販売、フォトスタジオ、ライセンス販売を含みます。
(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。なお、連結財務諸表の作成のための重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響に関する仮定については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
② 経営成績の分析
a.売上高、売上原価及び売上総利益
売上高は29,511百万円となりました。当連結会計年度の売上高は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、巣ごもり需要によりeコマースは前期比大幅増となった半面、リアル店舗での販売が前期比大幅減となり、全体で前期比10.5%減となりました。チャネル別売上高の詳細については、「(1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」と「④生産、受注及び販売の実績」をご参照ください。
売上総利益率は、コロナ禍におけるセール販売と、ショッピングセンターブランドの売上高比率が低下したことにより、全体で0.6ポイント低下しました。その結果、売上総利益は15,767百万円となりました。
b.販売費及び一般管理費及び営業利益
販売費及び一般管理費は、eコマースの売上増に伴う販売手数料や荷具運賃等の販売費があったものの、人件費や地代家賃等の一般管理費が減少したため、販売費及び一般管理費は、前期比8.7%減となりました。しかしながら、売上高が大幅減となったことにより、売上高販管費比率は前期比1ポイント増となりました。その結果、販売費及び一般管理費は14,730百万円となりました。
以上の結果、営業利益は1,037百万円となりました。
c.営業外損益及び経常利益
営業外収益は91百万円となりました。これは主に受取賃貸料23百万円及び債務勘定整理益39百万円によるものであります。
営業外費用は122百万円となりました。これは主に長期借入金及びリース債務にかかる支払利息72百万円、ならびに賃貸費用19百万円によるものであります。
その結果、経常利益は1,006百万円となりました。
d.特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別損失は520百万円となりました。これは減損損失23百万円、固定資産除却損25百万円及び臨時休業による損失462百万円によるものであります。
法人税、住民税及び事業税367百万円及び法人税等調整額13百万円を差し引いた結果、親会社株主に帰属する当期純利益は396百万円となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性の分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」を参照ください。
なお、当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入費用ならびに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。設備投資を目的として資金需要は、計画に基づき、案件ごとに手持資金の支出とリース契約による長期借入に切り分けております。設備投資のうち、原則としてショッピングセンター、アウトレットモール及び路面店の店舗内装工事についてはリース契約で賄い、ショッピングセンター等の出店に際して負担する入居保証金や百貨店の内装工事費用及びその他の設備投資は手元資金により賄っております。
④ 経営戦略の現状と見通し
子供服専業のSPAとして、マルチブランド・マルチチャネル戦略を展開しております。近年の課題は、事業ポートフォリオの最適化であり、チャネルごとにお客様が望まれるブランド・商品を展開し、そのための最適な事業構成にするべく営んでまいりました。
当連結会計年度は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、4,5月はリアル店舗がほぼ閉店し、経営に大きな打撃がありました。しかしながら近年育成に注力しておりましたeコマースチャネルが大きく飛躍し、当社グループとしての影響は最小限にとどめられたと考えます。
今後は、大幅に成長したeコマースをさらに成長させるべく、視認性と利便性の追求のため投資を積極的に継続してまいります。今後において、受注出荷能力の向上と配送コスト削減を目指し、物流拠点の移転を実施いたします。
当連結会計年度は、百貨店チャネルにおいては、不振ブランドの撤退を実施したことで構造改革が進み、結果として収益化が見込めるチャネルとなりました。ショッピングセンターチャネルでは、主力ブランドの「petit main」が、プティプラセット等の大ヒット商品が創出できたことで、下期の売上は回復傾向となりました。また、eコマースで注文を受け店舗で受け取るクリック&コレクトをスタートし、現在も多くのお客様に利用いただいております。eコマースからリアル店舗へと連携を行うことで、相乗効果を高めてまいります。
今後においては、eコマースとショッピングセンターブランドのフリー在庫の一元管理を行い、お客様への利便性を高めてまいります。
当連結会計年度末現在、トドラー向け13ブランド、ジュニア向け6ブランドを展開、百貨店440店舗、ショッピングセンター193店舗、アウトレットモール25店舗を展開、eコマース事業において、自社オンラインサイト以外に、多くの他社オンラインショッピングサイトに出店しております。
今後におきましても、事業ポートフォリオの最適化に留意しながら、マルチチャネル・マルチブランド戦略を展開するとともに、子供服だけでなく、モノからコトへと事業領域を拡大し成長を図ってまいります。具体的には、フォトスタジオ事業であるLOVSTの新規出店を加速させ、既存事業とのシナジーを高め成長を目指します。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社グループが属するアパレル業界は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響によって、店舗への来店客数が大幅に減少しeコマースでの販売は増加するなど、デジタルトランスフォーメーションが加速し、既存の事業モデルが大きく変化しております。
また、依然として消費者の低価格志向は強く、ブランド間の優勝劣敗が顕著になっております。当社グループが事業展開する子供服市場におきましても、日本国内の少子高齢化により絶対的な客数増加が見込めない状況のなかで、ギフト、フォーマル需要である高付加価値志向とカジュアルでトレンド需要の中価格志向、更には普段着需要の低価格志向にカテゴリー分けがより一層顕著になると見込まれます。また、当連結会計年度の業績からもわかるように、eコマースでの購買行動はさらに拡大するものと思われます。
そのような環境において、当社グループとしてはeコマースへの投資を積極的に行ってきました。当連結会計年度は、お客様の声を直接お聞きし、すぐに改善につなげるようチャット接客を開始、eコマースで注文後、商品の受け渡しは店舗で行い、その場合送料無料となるクリック&コレクト、さらに自社オンライン専用アプリケーションを開発し、当社グループの全ブランドの情報提供とeコマースサイトへのアクセスが簡単にできるようになりました。
今後ともeコマースを中心に投資を積極的に行うことで、お客様の購買行動に適した事業ポートフォリオへ成長していきたいと考えています。
また、国内での少子高齢化に対応することは、重要な課題であると考えており、当社グループが成長を継続するためには、子供、家族といった当社グループのお客様へ提供する付加価値をより一層拡大することが必要と考えています。そのために、2020年12月に全株式を取得したフォトスタジオ事業のLOVSTを積極的に展開していきます。モノからコトへと付加価値を広げることで、事業成長を継続していきたいと考えています。フォトスタジオ事業は子供服とのシナジー効果も見込まれますので、今後において当社グループが出店している百貨店やショッピングセンターへの展開を計画しています。