有価証券報告書-第9期(2024/03/01-2025/02/28)

【提出】
2025/05/26 9:59
【資料】
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【項目】
144項目
文中の将来に関する事項は、当連結会計年度の末日現在において判断したものであります。
(1)経営成績等の状況の概要
① 経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、雇用・所得の改善が進む中、景気は緩やかな回復基調にありますが、海外経済の減速への懸念や資源価格の高止まりなどもあり、先行き不透明な状況が続いております。
当社グループが属するアパレル業界においては、インバウンド需要の拡大等による個人消費の回復基調が一部に見られるものの、原材料及びエネルギー価格の高騰や度重なる物価上昇もあり、衣料品に対する消費者の節約志向や低価格志向が想定されるなど、今後の事業環境への影響が依然として懸念されます。
このような環境の下、当社グループは、2025年2月期から2027年2月期までの中期経営計画(連結)を策定し、「マルチ・ブランドの進化」としてブランドポートフォリオ経営、「マルチ・チャネルの深化」としてチャネル間の融合・新ロケーションの開拓、「CRM(カスタマーリレーションシップマネジメント)の強化」として単一ブランドから複数ブランドへのファン拡大・LTV(ライフタイムバリュー)の最大化を目指しております。安定した事業基盤の構築として、主力ブランドの新規出店やブランド価値向上を目的とした、店頭の接客やVMD(ビジュアルマーチャンダイジング)を強化し、プロダクトプロモーションを促進することで、販売機会の提案を行ってまいりました。また、他社にない当社グループ特有のIPについて、当連結会計年度から強化を加速させ、大きな成果を上げつつあります。
チャネル別売上高に関しましては、今期上半期までは好調に推移しておりましたが、下半期は暖冬の影響により秋冬商戦は苦戦を強いられました。そのような中、成長投資を積極的に行い、当初計画以上の新規出店や新ブランドの立上げも行いました。デジタル戦略としては引き続き、自社EC『ナルミヤオンライン』とリアル店舗を連動させたプロモーション施策や、オンラインとオフラインの統合を目指したOMO(オンラインマージズウィズオフライン)施策なども積極的に行った結果、各チャネルの売上高につきましては、百貨店チャネル売上高9,396百万円(前年同期比98.5%)、ショッピングセンターチャネル売上高15,346百万円(同104.8%)、eコマースチャネル売上高8,772百万円(同102.5%)、その他チャネル売上高5,637百万円(同119.0%)となりました。百貨店チャネルでは、上半期においては卒園・入学、水着・浴衣などのオケージョン需要が増加することを見込み、企画・生産・販売を積極的に行い、販売は順調に推移しました。下半期においては、暖冬の影響でアウター類の売れ行きが不振となりました。ショッピングセンターチャネルでは、アウトドアブランド「Minimal」の出店拡大、「petit main」からの派生ブランド「and D. petit main」のデビュー、『子ども』という概念の拡大施策の一環としてドッグウェア「petit main for dog」のデビューなど、新たな商品展開と接客強化・ブランディング強化によって、新規顧客獲得を促進しました。eコマースチャネルにおいては、OMO(オンラインマージズウィズオフライン)強化の一環として、自社アプリダウンロード数の獲得施策を積極的に行い、100万ダウンロードを突破したことを契機としてサイトへの訪問頻度が回復したこと、越境EC等の新たな販路開拓やマーケティング活動の実施により、増収となりました。その他チャネルにおいては、特にアウトレットチャネルで既存店舗のブランド構成の最適化を進め、売上を伸ばしました。
ブランド別では、ショッピングセンターブランド「petit main」の売上高が前連結会計年度を上回りました。また、百貨店ブランドでは、11ブランドのうち5ブランドが前連結会計年度の売上高を上回り、特に「Paul Smith JUNIOR」、「by LOVEiT」は2ケタ増となりました。
在庫残高に関しましては、市況の回復を見込み、お客様が積極的にお買い物をして頂くことを想定し、仕入れ額を増やしてきました。暖冬の影響で販売が厳しかったため秋冬物が、前連結会計年度と比較すると当連結会計年度末の在庫金額が増加しました。
販売費及び一般管理費に関しましては、処遇改善の実施による人件費の増加や、成長投資を積極的に行い、当初計画以上の新規出店に伴う開店コスト、システム投資及び新ブランド立上げによる販促コスト発生等の一過性の事象もあり、前連結会計年度と比較すると増加しました。
特別利益として、財務体質の強化及びキャッシュ・フローの向上の観点から、加入していた養老保険を解約したことに伴い、保険解約返戻金として特別利益に188百万円計上しました。
税金面に関しましては、人的資本経営をより充実させるため給与等の支払額を増加したことにより、賃上げ促進税制の優遇措置を受けました。
当連結会計年度における出退店の状況は、既存ブランドの出店加速や新ブランドの立ち上げに伴い、百貨店41店舗・ショッピングセンター31店舗・アウトレット2店舗を出店し、百貨店29店舗・ショッピングセンター2店舗・アウトレット1店舗撤退しました。また、2024年12月に当社グループの連結子会社となった株式会社KPの直営店45店舗が増加しました。
以上の結果、当連結会計年度の売上高は39,152百万円(前年同期比104.5%)、営業利益は1,860百万円(同88.4%)、経常利益は1,819百万円(同87.8%)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,403百万円(同115.4%)となりました。
また、当社グループはベビー・子供服の企画販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の経営成績に関する記載は省略しております。
② 財政状態の状況
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べ381百万円減少し、8,429百万円となりました。これは主に、現金及び預金が953百万円減少したこと、売掛金が58百万円増加及び商品が505百万円増加したこと等によります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ217百万円増加し、5,567百万円となりました。これは主に、建物及び構築物(純額)の増加等により有形固定資産が418百万円増加したこと、のれんの減少等により無形固定資産が34百万円減少したこと及び投資その他の資産が167百万円減少したことによります。これらの結果、当連結会計年度末の総資産は前連結会計年度末に比べ164百万円減少し、13,996百万円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べ487百万円減少し、5,302百万円となりました。これは主に、未払金が235百万円減少したこと、未払法人税等が395百万円減少したこと及び買掛金が160百万円増加したこと等によります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ695百万円減少し、1,665百万円となりました。これは主に、長期借入金が532百万円減少したこと及びリース債務が150百万円減少したこと等によります。これらの結果、当連結会計年度末の負債は、前連結会計年度末に比べ1,183百万円減少し、6,968百万円となりました。
(純資産)
純資産は、前連結会計年度末に比べ1,019百万円増加し、7,027百万円となりました。これは主に、親会社株主に帰属する当期純利益の計上及び配当金の支払いにより利益剰余金が1,001百万円増加したこと等によります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末に比べ799百万円減少し、1,938百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動の結果獲得した資金は、1,307百万円(前連結会計年度は1,927百万円の獲得)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益2,007百万円の計上、減価償却費517百万円、のれん償却額186百万円、棚卸資産の増加額204百万円、未払金の減少額254百万円及び法人税等の支払額900百万円等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動の結果使用した資金は、808百万円(前連結会計年度は551百万円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出788百万円、無形固定資産の取得による支出258百万円、保険積立金の払戻による収入441百万円及び差入保証金の差入による支出224百万円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動の結果使用した資金は、1,303百万円(前連結会計年度は1,594百万円の使用)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出917百万円及び配当金の支払額402百万円等によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b.仕入実績
当社グループは、ベビー・子供服の企画販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
セグメントの名称当連結会計年度
(自 2024年3月1日
至 2025年2月28日)
前年同期比(%)
ベビー・子供服の企画販売事業 (千円)16,414,232102.9
合 計 (千円)16,414,232102.9

c.受注実績
当社は受注生産を行っておりませんので、該当事項はありません。
d.販売実績
当社グループは、ベビー・子供服の企画販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載に替えて、チャネル別販売実績を記載しております。
チャネルの名称当連結会計年度
(自 2024年3月1日
至 2025年2月28日)
前年同期比(%)
ベビー・子供服の企画販売事業
百貨店(千円)9,396,30298.5
ショッピングセンター(千円)15,346,960104.8
e コ マ ー ス(千円)8,772,443102.5
そ の 他(注)(千円)5,637,200119.0
合 計(千円)39,152,906104.5

(注)アウトレット、卸売り販売、フォトスタジオ、ライセンス販売を含みます。
(2)経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績の分析
a.売上高、売上原価及び売上総利益
売上高は39,152百万円(前年同期比104.5%)、売上総利益は22,946百万円(同103.3%)となりました。
なお、この詳細については「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」と「④生産、受注及び販売の実績」をご参照ください。
b.販売費及び一般管理費及び営業利益
販売費及び一般管理費は、人的資本経営をより充実させるための従業員給料及び手当等の人件費の増加及び、店舗売上増加に伴う地代家賃の一般管理費が増加したことにより、販売費及び一般管理費は21,085百万円となりました。
以上の結果、営業利益は1,860百万円(前年同期比88.4%)となりました。
c.営業外損益及び経常利益
営業外収益は75百万円となりました。これは主に受取賃貸料44百万円及び保険解約返戻金9百万円によるものであります。
営業外費用は116百万円となりました。これは主に賃貸費用40百万円及び長期借入金及びリース債務にかかる支払利息36百万円によるものであります。
その結果、経常利益は1,819百万円(前年同期比87.8%)となりました。
d.特別損益及び親会社株主に帰属する当期純利益
特別利益は199百万円となりました。これは主に保険解約返戻金188百万円によるものであります。
特別損失は11百万円となりました。これは固定資産除却損11百万円によるものであります。
法人税、住民税及び事業税511百万円及び法人税等調整額91百万円を計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は1,403百万円(前年同期比115.4%)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性の分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
なお、当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。設備投資を目的とした資金需要は、計画に基づき、ショッピングセンター等の出店に際して負担する入居保証金や百貨店の内装工事費用及びその他の設備投資を手元資金により賄っております。
④ 経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑤ 経営者の問題意識と今後の方針について
経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。