訂正有価証券報告書-第33期(平成29年11月1日-平成30年10月31日)

【提出】
2020/04/06 14:31
【資料】
PDFをみる
【項目】
70項目
(1)経営成績等の状況の概要
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、企業収益や雇用環境の改善が続き、緩やかな回復基調で推移しております。
一方、海外経済の不確実性や米国発の通商政策による影響に留意する必要があることなど、先行きが不透明な状況が続いております。印刷業界につきましては、用紙価格に関する値上げの動きは落ち着いたものの、電子メディア等の普及による紙媒体の需要減少に加え、人件費や運送費の高騰、過当競争による受注金額の下落など、引き続き厳しい経営環境となっております。
このような状況のもと、当社は供給能力増強のため新印刷機導入等の設備投資の実施、また、サービス、受注サイト、顧客対応について、お客様目線での改善を続けてまいりました。
以上の結果、当事業年度における売上高は7,387,410千円(前期比7.9%増)、営業利益は777,977千円(前期比19.7%増)、経常利益は772,358千円(前期比17.5%増)、当期純利益は502,389千円(前期比22.9%増)と増収増益となりました。
なお、当社は、ネット印刷通信販売事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は3,044,973千円となり、前事業年度末に比べ1,015,644千円増加いたしました。その主な要因は、現金及び預金が881,049千円、売掛金が95,429千円増加したことによるものであります
固定資産は3,061,077千円となり、前事業年度末に比べ477,526千円増加いたしました。その主な要因は、製造設備の強化に伴い、機械及び装置が156,207千円、土地が67,315千円、建設仮勘定が239,129千円増加したことによるものであります。
この結果、当事業年度末における資産合計は6,106,051千円となり、前事業年度末に比べ1,493,170千円増加いたしました
(負債)
当事業年度末における流動負債は1,628,973千円となり、前事業年度末に比べ204,265千円増加いたしました。その主な要因は、買掛金が84,057千円、未払金が11,190千円、未払法人税等が65,500千円増加したことによるものであります。
固定負債は1,212,783千円となり、前事業年度末に比べ488,604千円減少いたしました。その主な要因は、長期借入金が524,280千円減少した一方で、ポイント引当金が8,513千円、退職給付引当金が11,202千円、役員退職慰労引当金が15,959千円増加したことによるものであります。
この結果、当事業年度末における負債合計は2,841,757千円となり、前事業年度末に比べ284,339千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産は3,264,293千円となり、前事業年度末に比べ1,777,509千円増加いたしました。その主な要因は、平成30年10月18日に東京証券取引所JASDAQに新規上場したことに伴う公募増資及び第三者割当増資により資本金が637,560千円、資本準備金が637,560千円それぞれ増加し、また、当期純利益を計上したことにより利益剰余金が502,389千円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は53.5%となり、前事業年度末に比べ21.3ポイント増加いたしました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、投資活動により764,727千円資金が減少したものの、営業活動及び財務活動によりそれぞれ905,169千円及び740,607千円資金が増加したことにより、前事業年度末に比べ881,049千円(78.6%増)増加し、当事業年度末には2,002,368千円となりました。
当事業年度中に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、905,169千円(前事業年度は799,875千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益830,453千円の計上及び減価償却費350,010千円の計上といった増加要因があった一方で、売上債権の増加118,985千円及び法人税等の支払額299,878千円といった減少要因によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、764,727千円(前事業年度は762,793千円の支出)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出784,152千円等によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、740,607千円(前事業年度は66,970千円の支出)となりました。これは株式の発行による収入1,264,887千円といった増加要因があった一方で、長期借入金の返済による支出524,280千円といった減少要因によります。
④ 生産、受注及び販売の実績
販売実績
当事業年度における販売実績を示すと、以下のとおりであります。なお、当社は、ネット印刷通信販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載は省略しております。
セグメントの名称金額(千円)前期比(%)
ネット印刷通信販売事業7,387,410107.9

(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先前事業年度当事業年度
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
ラクスル株式会社1,962,21228.72,390,92332.4

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、後記「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
② 当事業年度の経営成績の分析
a.売上高
当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ539,019千円増加し、7,387,410千円となりました。主な要因は、当社のパートナーからの受注増加に伴うものであります。
b.売上原価、売上総利益
当事業年度の売上原価は、前事業年度に比べ412,175千円増加し、5,220,305千円となりました。主な要因は、売上高増加に伴い材料費が125,614千円、外注加工費が199,532千円増加したことによるものであります。
この結果、当事業年度の売上総利益は、前事業年度に比べ126,843千円増加し、2,167,104千円となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益
当事業年度の販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ1,465千円減少し、1,389,127千円となりました。主な要因は、受注増加に伴い荷造運搬費が109,109千円、上場関連及びカスタマーセンター等の間接部門強化を中心として給料及び手当が25,007千円、外形標準課税増加等により租税公課が13,259千円それぞれ増加した一方、広告宣伝費が167,614千円減少したことによるものであります。
この結果、当事業年度の営業利益は、前事業年度に比べ128,309千円増加し、777,977千円となりました。
d.営業外損益、経常利益
当事業年度の営業外収益は、寮や駐車場利用に係る従業員からの受取賃貸料7,984千円を計上したこと等により10,123千円となりました。
当事業年度の営業外費用は、上場関連費用の発生による株式交付費10,232千円を計上したこと等により15,742千円となりました。
この結果、当事業年度の経常利益は、前事業年度に比べ114,929千円増加し、772,358千円となりました。
e.特別損益、当期純利益
当事業年度の特別利益は、印刷機一台を売却したこと等に伴う固定資産売却益60,552千円を計上したことによるものであります。
当事業年度の特別損失は、固定資産除却損2,457千円を計上したことによるものであります。
以上の結果のほか、法人税等合計328,063千円を計上したことにより当期純利益は、前事業年度に比べ93,529千円増加し、502,389千円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要の主なものは、材料の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また投資資金需要の主なものは、印刷設備等の投資等によるものであります、運転資金及び投資資金については、営業キャッシュ・フローによる充当を基本に、必要に応じて資金調達を実施しております。
また、重要な設備の新設等に要する資金については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載しております。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、目標とする経営指標として前期対比売上高成長率及び売上高経常利益率を掲げております。当事業年度の前期対比売上高成長率は、パートナーからの受注増加等により7.9%となり、前事業年度の16.9%には及ばないものの、引き続き高い成長率を達成することができました。また、売上高経常利益率は、売上高が増加した一方で、販売費及び一般管理費が減少したこと等により、前事業年度に比べ0.9ポイント上昇の10.5%となりました。今後もこの2つの指標を目標として経営を行うことにより、企業の成長性及び効率性の確保を図る所存であります。
⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の経営成績は、特定人物への依存や同業他社との競合、用紙の価格変動等、様々な要因の変化の影響を受ける可能性があります。このため、事業環境を注視するとともに、内部統制システムの強化等によりこれらのリスク要因に対応して参ります。
⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社の経営者は、当社が今後さらなる成長と発展を遂げるためには、人材の育成と確保、印刷品質の更なる向上、情報セキュリティ対策の強化、受注サイトユーザビリティの強化といった様々な課題に対応していくことが重要であると認識しております。
そのために、サービス品質の継続的な向上、優秀な人材の採用・教育等を通じた営業力強化によるさらなる新規顧客の獲得を展開していく方針であります。