有価証券報告書-第36期(令和2年11月1日-令和3年8月31日)

【提出】
2021/11/26 14:16
【資料】
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【項目】
109項目
(1)経営成績等の状況の概要
当社は、2021年1月28日開催の第35期定時株主総会において「定款一部変更の件」を決議し、決算期を10月31日から8月31日へと変更しました。これに伴い、決算期変更の経過期間となる当事業年度は、2020年11月1日から2021年8月31日までの10ヶ月間になるため、対前期比については記載しておりません。
当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の拡大の影響から、7月に緊急事態宣言が再発令されるなど経済活動の制限が続いており、不透明な状況が続いておりました。
印刷業界につきましても、徐々に制限緩和されつつあるものの、依然としてイベントの自粛等が継続されており、コロナ禍前に比べ印刷需要が回復しきれていない状況でした。一方、ネット印刷通販業界は、コロナ禍以前の5年間は毎年10%程度市場が拡大したといわれており、新型コロナウイルス感染症の影響に関しても、印刷業界全体からすると回復は早いといわれております。
このような状況のもと、当社の月次売上高は、2021年3月から8月まで対前年同月を上回っております。また、製造現場においては、多能工化を進めることにより人員配置を見直した結果、生産性が向上しコストダウンにつながっております。
当事業年度において、印刷売上高は7,055,892千円、内、パートナー企業への印刷売上高は、2,957,411千円、パートナー企業以外の会員の印刷売上高は4,098,481千円となりました。
新規会員数は12,087社(通期累計新規会員数に対する進捗率65.2%)であり、パートナー企業以外の新規及び既存を含めた会員1社当たりの平均売上高は23,280円となっております。なお、1社当たりの新規獲得に係る広告宣伝活動における単価は4,697円となりました。
以上の結果、当事業年度における売上高は7,162,200千円、営業利益は238,783千円、経常利益は213,052千円、当期純利益は143,431千円となりました。
なお、当社は、インターネットによる印刷物及び印刷資材の通信販売(以下「ネット印刷通信販売事業」という。)の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産は2,294,847千円となり、前事業年度末に比べ1,290,957千円減少いたしました。その主な要因は、短期借入金750,000千円を返済したこと等により現金及び預金が1,047,834千円減少したこと、及び未収金が74,663千円それぞれ減少したこと等によるものであります。
固定資産は4,408,565千円となり、前事業年度末に比べ248,047千円減少いたしました。その主な要因は、減価償却費の計上により、機械及び装置が301,055千円減少したこと等によるものであります。
この結果、当事業年度末における資産合計は6,703,412千円となり、前事業年度末に比べ1,539,004千円減少いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債は1,849,934千円となり、前事業年度末に比べ1,115,875千円減少いたしました。その主な要因は、前事業年度に新型コロナウイルス感染症の影響により資金が不足することを懸念して備えた短期借入金を返済したことにより750,000千円、約定により返済した1年内返済予定の長期借入金が333,821千円減少したこと等によるものです。
固定負債は1,820,972千円となり、前事業年度末に比べ423,988千円減少いたしました。その主な要因は、約定により返済した長期借入金が419,616千円減少したこと等によるものであります。
この結果、当事業年度末における負債合計は3,670,906千円となり、前事業年度末に比べ1,539,864千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産は3,032,506千円となり、前事業年度末に比べ860千円増加いたしました。その主な要因は、当期純利益を143,431千円計上したことにより利益剰余金が増加し、その他有価証券評価差額金が10,310千円増加した一方、自己株式を取得したことにより154,146千円減少したこと等によるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ1,047,834千円減少し、1,018,967千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
当事業年度中に係る区分ごとのキャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、765,526千円(前事業年度は1,174,664千円の収入)の収入となりました。これは主に、減価償却費432,667千円及び税引前当期純利益の計上208,910千円といった増加要因によります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、138,339千円(前事業年度は621,120千円の支出)の支出となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出98,748千円等の減少要因によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、1,675,021千円(前事業年度は423,347千円の収入)の支出となりました。これは主に長期借入金の返済による支出853,437千円及び短期借入金の返済による支出750,000千円といった減少要因によります。
④ 生産、受注及び販売の実績
販売実績
当事業年度における販売実績を示すと、以下のとおりであります。なお、当社は、ネット印刷通信販売事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載は省略しております。
セグメントの名称金額(千円)
ネット印刷通信販売事業7,162,200

(注)1.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合
相手先前事業年度当事業年度
金額(千円)割合(%)金額(千円)割合(%)
ラクスル株式会社2,531,53431.92,424,03033.8

2.上記の金額には、消費税等は含まれておりません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、後記「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
② 当事業年度の経営成績の分析
当社の成績は、前期同一期間に比べ増収増益となりました。
経営成績の詳細につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 経営成績の状況」をご参照ください。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要の主なものは、材料の仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものであります。また、投資資金需要の主なものは、印刷設備等の投資等によるものであります。
運転資金及び投資資金については、営業キャッシュ・フローによる充当を基本に、必要に応じて資金調達を実施しております。
また、重要な設備の新設等に要する資金については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載しております。
⑤ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、目標とする経営指標として前期対比売上高成長率及び売上高営業利益率を掲げております。当事業年度の前期対比売上高成長率は、コロナウイルス感染症の影響から、印刷需要が落ち込んだことにより△1.9%となりました。また、売上高営業利益率についても、売上高の減少や材料費の増加等により、△1.0%となりました。今後もこの2つの指標を目標として経営を行うことにより、企業の成長性及び効率性の確保を図る所存であります。
⑥ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社の経営成績は、同業他社との競合、用紙の価格変動等、様々な要因の変化の影響を受ける可能性があります。このため、事業環境を注視するとともに、新規顧客の獲得、内部統制システムの強化等によりこれらのリスク要因に対応して参ります。
⑦ 経営者の問題意識と今後の方針について
当社の経営者は、当社が今後さらなる成長と発展を遂げるためには、予測できない様々な変化に対して、柔軟性のある対応基盤の構築が必要であると認識しております。
そのために、独自のマーケティングの確立、次世代基幹システムの構築、強固な財務基盤構築、成長し続けるための人材基盤構築、独自の生産自働化構想を展開していく方針であります。